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中西 洋平*; 柴田 基樹*; 澤田 諭*; 近藤 寛朗*; 元川 竜平; 熊田 高之; 山本 勝宏*; 三田 一樹*; 宮崎 司*; 竹中 幹人*
Polymer, 306, p.127209_1 - 127209_7, 2024/06
被引用回数:2 パーセンタイル:56.40(Polymer Science)Adding silane coupling agents to rubber/silica particles systems improves their mechanical properties and the dispersion of the particles. The improvement is believed to be attributed to the enhanced adsorption of rubber molecules on the surface of silica particles by the silane coupling agent. However, the enhancement of the adsorption by silane coupling agent has not been clarified quantitatively yet. In this study, we have investigated the difference in (i) the adsorption of rubber on silica surfaces and (ii) the aggregation of silica particles in rubber/silica particle systems with and without silane coupling agents by using contrast variation neutron scattering (CV-SANS). The CVSANS results quantitatively clarified the adsorption layer's thickness and the degree of aggregation for both systems. In the case of the system without silane coupling agents, the adsorption layers do not exist around the particles, and the particles tend to aggregate. On the other hand, the adsorption layers of about 5.3 nm are formed on the surface of the particles in the system with silane coupling agents, and the addition of silane coupling agents suppressed the aggregation.
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:58 パーセンタイル:96.23(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200
Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.
Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04
被引用回数:298 パーセンタイル:99.68(Multidisciplinary Sciences)小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。
澤田 真一; 山口 大輔; Putra, A.; 小泉 智*; 前川 康成
Polymer Journal, 45(8), p.797 - 801, 2013/08
被引用回数:10 パーセンタイル:30.39(Polymer Science)高プロトン伝導性を有する放射線グラフト電解質膜を開発するには、膜内構造に関する基礎的知見が非常に重要である。そこで本研究では、中性子小角散乱(SANS)測定により、直接メタノール型燃料電池用として開発を進めたエチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を基材とするグラフト電解質膜のナノスケール構造を調べた。グラフト率31%の電解質膜のSANSプロファイルでは、相関長d=34nmの位置にショルダーピークとして、ETFEのラメラ結晶の間に導入されたポリスチレンスルホン酸(PSSA)グラフト領域に起因する構造を確認できた。乾燥及び含水状態においてピーク位置は変化しないことから、ラメラ結晶間という制限された空間内のPSSAグラフト領域は含水していないことがわかった。このことは、ラメラ結晶間のグラフト領域はプロトン伝導に寄与しないことを示唆することから、基材に用いる高分子の結晶構造が電解質膜のプロトン伝導度に影響を及ぼすことが明らかになった。
岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 八巻 徹也; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成
Macromolecules, 45(22), p.9121 - 9127, 2012/11
被引用回数:20 パーセンタイル:54.16(Polymer Science)燃料電池用高分子電解質膜の発電性能,耐熱性,機械特性の向上には、電解質特性を支配するナノ-マイクロメートルに及ぶ階層構造を明確にすることが重要である。そこで、放射線グラフト重合法を利用して作製したグラフト型電解質膜の中で、導電率,機械特性や発電性能が詳細に調べられている架橋テフロンからなる電解質膜について、中性子及びX線小角散乱(SANS, SAXS)を測定した結果、グラフト鎖からなるイオンチャンネルは、48-57nmのラメラ周期、直径480nmのラメラ結晶、及び1.7nmのイオンチャンネル内のスルホン酸の会合に対応する階層構造を有することがわかった。さらに、散乱プロファイルのグラフト率依存性より、ラメラ内部の非晶相に局所的にグラフト相(イオンチャンネル)が形成するため、低いグラフト率で高い伝導性を示すことが判明した。
Adare, A.*; Afanasiev, S.*; Aidala, C.*; Ajitanand, N. N.*; 秋葉 康之*; Al-Bataineh, H.*; Alexander, J.*; 青木 和也*; Aphecetche, L.*; Aramaki, Y.*; et al.
Physical Review C, 83(4), p.044912_1 - 044912_16, 2011/04
被引用回数:10 パーセンタイル:54.72(Physics, Nuclear)重いフレーバーのメソンの崩壊からの電子の測定は、このメソンの収量が金金衝突では陽子陽子に比べて抑制されていることを示している。われわれはこの研究をさらに進めて二つの粒子の相関、つまり重いフレーバーメソンの崩壊からの電子と、もう一つの重いフレーバーメソンあるいはジェットの破片からの荷電ハドロン、の相関を調べた。この測定は重いクォークとクォークグルオン物質の相互作用についてのより詳しい情報を与えるものである。われわれは特に金金衝突では陽子陽子に比べて反対側のジェットの形と収量が変化していることを見いだした。
岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 八巻 徹也; 前川 康成; 小泉 智
International Journal of Polymer Science, 2011(2011), p.301807_1 - 301807_7, 2011/00
被引用回数:12 パーセンタイル:36.60(Polymer Science)高耐久性や高導電性を有する燃料電池用グラフト電解質膜を開発するためには、グラフト重合プロセスの基礎的理解が必要不可欠である。そこで本研究では、時間分解小角中性子散乱(SANS)測定により、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)へのスチレンのグラフト重合過程を調べた。具体的には、前照射(15kGy)を行ったPTFE膜をスチレンモノマーに浸漬して60Cで保持したまま、所定時間ごとにグラフト重合中のPTFE膜のSANS測定を行った。グラフト開始から200分以内の初期過程では、PTFEの結晶と非結晶の界面からグラフト鎖は生長し、PTFE微結晶を覆うようにグラフト相が形成された。その後、グラフト相のサイズはさらに増大し、やがてグラフト相どうしが連結していくことが明らかとなった。
西山 哲*; 大西 有三*; 澤田 淳; 矢野 隆夫*
土木学会論文集,C, 65(4), p.776 - 788, 2009/10
単一の不連続面を含む岩石を模擬した試料のせん断透水実験において、せん断応力-せん断変位曲線の比例限界点の前後で透水特性が変化するという結果に着目し、不連続面内の水の流れが表現できる解析手法の構築と実験結果に対するメカニズムの考察を試みたものである。具体的には不連続面の表面の構造を再現した解析モデルにおいて、水を仮想粒子に置き換えて、粒子同士及び不連続面の壁面との衝突・散乱を繰り返すという単純な計算によって水の流れを表現する格子ガス法に基づく解析手法の構築を試み、本手法がNavier-Stokes方程式から導かれる流れを表現するものであることを平行平板モデルを用いて検討するとともに、比例限界点前後で不連続面内の水の流れが相違するメカニズムを論じる。
西山 哲*; 上原 真一*; 矢野 隆夫*; 斉藤 竜平*; 内田 雅大; 澤田 淳; 武部 篤治
JNC TY8400 2005-007, 70 Pages, 2005/03
本研究では,岩盤不連続面のせん断時における透水特性を把握するために,せん断透水同時試験装置の開発を行い,人工供試体を用いてせん断透水試験を行った。せん断時の垂直方向の拘束形式としては垂直応力一定試験と垂直剛性一定試験を採用しており,基本的なパラメータである垂直応力,垂直剛性Kv,不連続面表面形状および動水勾配Iなどが透水特性に与える影響について考察した。また,開発したLGA解析コードを用いて,開口幅をパラメータとした平行平板中の流体解析を実施した。そして,その流体解析結果から,開口幅,動水勾配と流量の関係について検討を行い,LGA法の適用性を確認した。
大塚 二郎; 安井 久敏*; 吉田 和生*; 居関 正人*; 小屋越 直喜; 佐々木 和一; 澤田 誠
JNC TN4410 2004-001, 31 Pages, 2004/06
敦賀本部国際技術センターでは、高速原子炉「もんじゅ」の運転再開に向けた教育研修の一環として、「もんじゅ建設の歩み」と題する特別講演を平成14年7月より展開致している。 この特別講演は、「もんじゅ」のことをもう一度一から勉強し直そうとの発想に立って開催するもので、当時の建設業務に従事した諸先輩方に講演を頂き、建設時代に得られた貴重な経験や知見を「もんじゅ」開発に携わる関係者に伝承することを目的としている。
八巻 徹也; 元川 竜平; 岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 浅野 雅春; 小泉 智; 前川 康成
no journal, ,
われわれは、ポリテトラフルオロエチレン膜を放射線架橋した後、それにスチレンを放射線グラフト重合することで、パーフルオロ主鎖に架橋構造を有する新規の燃料電池用高分子電解質膜を開発している。本研究では、この架橋フッ素系高分子電解質膜に対し、中性子・X線小角散乱分析,電子顕微鏡観察などによってナノマイクロメートル領域における階層構造を調べた。また、この結果をもとに、本電解質膜におけるプロトン伝導性と構造の関係について検討した。
小泉 智; 前川 康成; 八巻 徹也; 澤田 真一; 岩瀬 裕希*
no journal, ,
線などの放射線を照射したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(テフロン)のフィルムはスチレンモノマー溶液に浸すとフィルムはモノマーを吸い続けて膨潤する。これは前照射によって発生したラジカルが長時間にわたり安定に存在して、フィルム内部でラジカル重合が継続することによる(1959年Chapiro)。この例のような放射線プロセスによる固相重合(放射線グラフト重合法)の歴史は古い(Chapiro,田畑米穂,林晃一郎らの総説)。一般にテフロンフィルムは化学物質を寄せ付けず化学薬品に対する耐性に優れる。しかし放射線プロセスを用いればこの常識に反してラジカル重合でテフロン基材にイオン伝導性グラフト鎖をフィルム全体に均一に導入することができる。この手法は、例えば固体高分子形燃料電池用の電解質膜の開発において有効である。本発表では時分割中性子小角散乱法(SANS)によりPTFE基材膜へのスチレンのグラフト重合過程をその場観察した。その結果、テフロン微結晶の周辺にグラフト鎖が成長する様子を小角散乱の時間変化より詳細に解析することができた。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 橋本 竹治; 八巻 徹也; 澤田 真一; 前川 康成
no journal, ,
本発表では、放射線グラフト重合法を活用して作製された架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)電解質膜の作製プロセスにおける構造変化、及び膨潤した状態の階層構造を中性子小角散乱法で測定した結果を報告する。さらにコントラストバリエーション法を活用することで、架橋PTFE電解質膜を形成するPTFE領域、及びグラフト鎖領域の構造情報をそれぞれ分離することに成功した。これにより電気伝導度と直接関係するイオン交換容量の変化に依存して、イオンチャンネル形成を担うグラフト鎖の構造が変化する様子を捉えることに成功した。
岩瀬 裕希; 小泉 智; 橋本 竹治; 八巻 徹也; 澤田 真一; 前川 康成
no journal, ,
量子ビームを活用した架橋・重合プロセスにより、燃料電池膜として作製された架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)電解質膜の作製プロセスにおける構造変化及び膨潤状態の構造について、中性子小角散乱法で測定した結果を報告する。本研究では架橋PTFE電解質膜の高いプロトン伝導性の起源を明らかにするために、この膜内に存在してプロトン伝導特性を担うイオンチャンネルの構造をコントラストバリエーション法を活用して選択的に観察することを試みた。これによりイオン交換容量が増加すると、プロトン伝導度は比例して増加するが、イオンチャンネル構造は棒状からネットワーク状に変化することを見いだした。さらに架橋PTFE電解質膜への作製過程、すなわちPTFEの放射線架橋,スチレンのグラフト重合、及びスルホン化のそれぞれの過程で得られた試料について観察し、イオンチャンネルのサイズは放射線架橋プロセスと密接に関係していることを明らかにした。
小泉 智; 岩瀬 裕希; 澤田 真一; 八巻 徹也; 前川 康成
no journal, ,
テフロンは耐溶媒性に優れる素材として知られるが、線前照射法によってフィルム内部にラジカルを導入すると、スチレンモノマーを連続的に吸い込み、テフロン基材に対してグラフト重合を行うことができる。このような固相における重合反応は、モノマーや活性種の拡散,基材との相分離,基材の破壊といった物理過程と共存し大変複雑であり、その理解は未だ不十分である。そこで、重合途中の基材構造変化を中性子小角散乱でその場観察した。その結果、グラフトは一般に結晶表面で行われるという描像を確認することができた。この知見は固相空間を利用して重合触媒の開発に指針を与え得るものであり、この成果を発表する。
八巻 徹也; 元川 竜平; 岩瀬 裕希; 澤田 真一; 浅野 雅春; 小泉 智; 前川 康成
no journal, ,
線・電子線架橋,グラフト重合プロセスにより得られる電解質膜のさらなる高性能化を図るうえで、膜中のスルホン酸基と水が集合してできるプロトン伝導経路(イオンクラスター)や、海島構造を形成するPTFE基材の結晶・非晶相など、広いスケールに渡る高次構造、すなわち階層構造を調べることは極めて重要である。今回、このような構造-機能相関に関する基礎研究の一環として、JRR-3において中性子小角散乱法で架橋ポリテトラフルオロエチレンからなるグラフト電解質膜の構造解析を行ったので報告する。架橋PTFE電解質膜では、ナフィオンのイオンクラスター構造に由来するいわゆるアイオノマーピークが観測されなかったことから、プロトン伝導経路はナフィオンと同じスケールで存在しないことがわかった。架橋PTFE電解質膜に特徴的なプロファイルとして、ポリスチレンスルホン酸グラフト鎖からなるドメインの空間分布を反映した、ショルダー状の強い散乱が観測された。この散乱に対応する相関長45nmは、PTFE結晶粒の間の距離と同程度であったことから、放射線架橋により決まる結晶粒の分布が電解質膜の構造特性に影響を与えている可能性が示唆される。
八巻 徹也; 元川 竜平; 岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 浅野 雅春; 小泉 智; 前川 康成
no journal, ,
われわれは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を放射線架橋した後、それにスチレンを放射線グラフト重合することで、パーフルオロ主鎖に架橋構造を有する新規の高分子電解質膜を開発している。本研究では、中性子やX線を用いた小角散乱(それぞれSANS, SAXS)分析や散逸粒子動力学(DPD)シミュレーション,透過型電子顕微鏡(TEM)による観察などを行うことにより、架橋PTFE電解質膜のナノマイクロメートル階層構造を調べた。また、この結果をもとに、本電解質膜におけるプロトン伝導性と構造の関係について検討した。
八巻 徹也; 元川 竜平; 岩瀬 裕希*; 澤田 真一; 浅野 雅春; 小泉 智; 前川 康成
no journal, ,
本研究では、中性子・X線小角散乱測定や散逸粒子動力学シミュレーション、透過型電子顕微鏡による観察を相補的に組合せて、架橋ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)電解質膜のナノマイクロメートル階層構造を調べ、その結果をもとに本電解質膜におけるプロトン伝導性と構造の関係について検討した。ポリスチレンスルホン酸グラフト鎖からなるドメイン構造の形成はラメラ内の非晶相という制限された場においてグラフト鎖が生長した結果であるが、このようなラメラ内のグラフト重合はごく一部であることがわかった。一方、ほとんどのグラフト重合はラメラ外の非晶相で進行し、プロトン伝導を担っているのもこうしてグラフトされたポリスチレンスルホン酸であると推測された。ナノスケール構造の比較においては、ナフィオン膜では水どうしが凝集して大きなイオンクラスターを形成するのに対し、架橋PTFE電解質膜の水はグラフト鎖のSO
H基と混在しており、クラスター寸法が小さいという傾向が示唆された。このため、ナフィオンに比べてSO
H基によるプロトンの束縛が大きく、プロトンの自己拡散係数は小さいと考えられる。
Tran, D. T.; 澤田 真一; 長谷川 伸; Putra, A.; 山口 大輔; 大場 洋次郎*; 小泉 智; 大沼 正人*; 前川 康成; 勝村 庸介*
no journal, ,
放射線グラフト法によって燃料電池用の高性能電解質膜を開発するには、グラフト電解質膜の構造を詳細に理解することが必要不可欠である。そこで本研究では、小角X線及び中性子散乱法により、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)を基材とするグラフト電解質膜の構造解析を行った。基材ETFE膜では、相関長23nmの位置に結晶ラメラの間隔に起因するピークが見られた。スチレングラフト膜(グラフト率34%)と電解質膜(イオン交換容量2.0meq/g)では、それぞれ30, 33nmの位置にピークが観察された。この結果は、ラメラ内の非晶相領域にグラフト鎖が導入され、ラメラ間隔を広げたと解釈できる。
長谷川 伸; 阿佐美 進哉*; 澤田 真一; 日野 聡*; 磯部 繁人*; 橋本 直幸*; 前川 康成
no journal, ,
原子炉建屋や水素ガスステーションの安全性を確保するため、水素透過度が酸素, 水蒸気透過度よりも高く、かつ水素吸蔵のために十分な水素透過度(1010
mol/m
s Pa)を有する水素選択透過膜の開発が必要不可欠である。そこで、放射線グラフト重合法により、水素透過性の高い多孔性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜基材の空隙率を制御することで、水素選択透過膜の開発を目指した。親水性(アクリル酸), 疎水性(スチレン)およびシリカ含有(トリメトキシシリルスチレン)グラフト鎖を、グラフト率60, 144, 92%まで導入できた。グラフト重合前後で多孔膜の空隙率はほとんど変化しないことから、グラフト重合反応は、空隙率に影響を及ぼさないことを初めて見出した。そこで、加熱圧縮処理でグラフト多孔膜の空隙率を40%前後に調整することで、水素透過率を10
10
mol/m
s Paに制御できた。窒素, 水蒸気に対する水素の透過比は最大3倍および7.1倍を示したことから、多孔膜へのグラフト重合が水素選択透過膜の開発に有効であることが分かった。