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松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 104, 2016/02
本研究では出芽酵母S288cを材料として定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を用いてDNA損傷量の評価を試みた。0.1から10Gyの炭素イオンを照射したゲノムDNAを用い、PCRよってURA3遺伝子領域を増幅した。線量の増加に伴ってPCRによるDNA増幅は抑制された。以前の研究からURA3遺伝子領域内で変異が起こりやすいことが示唆された領域とそれ以外の領域の損傷量において、今回の試験では有意な差はなかったことから、抽出したDNAに対する照射では、損傷量は異ならないことが確認された。
松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 119, 2015/03
高LETのイオンビームによる突然変異誘発の分子機構を明らかにするために、出芽酵母()を材料として研究を行ってきた。これまでに、LETの増加に伴って致死率および遺伝子の突然変異率が上昇する傾向があること、ならびに突然変異の分布としてヌクレオソーム構造のリンカーDNAにおいて局所的に突然変異が誘発されることを示唆する結果を報告した。ここでは、突然変異が誘発される部位がヌクレオソーム構造に関係があるという仮説を検証するために、野生株と異なるヌクレオソーム構造の遺伝子を持つ組換え株を作成し、突然変異誘発スペクトルを分析した。野生株での突然変異の位置と、ヌクレオソーム構造が異なる株での遺伝子の突然変異位置には相違があり、突然変異が生じる位置がヌクレオソーム構造に依存することが示唆された。
松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 野澤 樹; 鳴海 一成*; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 112, 2014/03
To investigate the nature of mutations induced by accelerated ions in eukaryotic cells, the effects of carbon-ion irradiation were compared with those of -ray irradiation in the budding yeast . Previous studies suggested that the mutation sites induced by carbon ions were localized near the linker regions of nucleosomes, whereas mutations induced by rays were located uniformly throughout the gene. We hypothesized that the locus of mutations might be related to the nucleosome structure. To confirm this hypothesis, we examined the mutation spectrum in the gene with the altered nucleosome structure. It is likely that sites of mutations occurred in the with altered nucleosome structure is inconsistent with those in the wild type. We will further accumulate the data to examine the above hypothesis.
松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 野澤 樹; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2012-046, JAEA Takasaki Annual Report 2011, P. 105, 2013/01
We have been studying ion beam-induced mutations in budding yeast S288c ( ) as a model of eukaryote cell. We report a new method to evaluate DNA lesions caused by high-LET radiation using the polymerase chain reaction (PCR). PCR is one of the most reliable methods for detecting DNA damage as the amplification stops at the site of the damage. In this study, the 804-bp region of gene was amplified by PCR reaction using a specific oligonucleotide primer set. The PCR device adopted was an Eco Real-Time PCR System (Illumina). The percentage of undamaged template DNA was tended to decrease with an increase in absorbed dose of radiation. The higher LET radiations resulted in the higher rate of decrease in undamaged template DNA. This result suggests that different types of lesions are produced on DNA depending on the LET value of radiations.
松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 野澤 樹; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 108, 2012/01
We have been studying ion-beam induced mutations in the budding yeast as a model of eukaryote cell. Yeast cells were irradiated with 220 MeV carbon ions with 107 keV/m LET. The survival rates following irradiation were determined on the basis of colony-forming ability. and strains showed hyper sensitivity, while the and strains showed relatively lower sensitivity to the carbon ion irradiation. The expression of gene was up-regulated following carbon ion irradiation but not rays. This difference may result from the repair pathway that operates in mutant strains.
清水 喜久雄*; 松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 野澤 樹; 坂本 綾子; 鳴海 一成
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 79, 2011/01
To elucidate the molecular mechanism of mutagenesis caused by ion beam irradiation in yeast, two mutant strains and which are deficient in mismatch repair mechanisms were used to measure mutation spectra. Several hot spots were found in the mutant, while mutations in the mutant were distributed evenly for base substitution except one hot spot at position 345. These results suggest that the incorporation of damaged nucleotides was not uniform in yeast cells.
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 野澤 樹; 坂本 綾子; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2009-041, JAEA Takasaki Annual Report 2008, P. 75, 2009/12
本研究では、真核生物の一種である出芽酵母の野生株、塩基除去修復が不活性であるogg1株及びミスマッチ修復が不活性であるmsh2株を用いて、炭素イオンビーム照射で誘発される突然変異について、URA3遺伝子の突然変異を検出する5-FOAによる選択系で、変異スペクトルの解析を行った。その結果、野生株及びogg1株ともに塩基置換の頻度が高く、特にogg1株では変異のすべてが塩基置換であった。また、msh2株では、一塩基欠失が全体の突然変異の大部分を占め、その中でもGC to TAのトランスバージョン変異が多く誘発されることが確認された。これらの結果から、8-oxoGの生成がイオンビームに起因する突然変異をおもに誘導し、OGG1及びMSH2遺伝子が遺伝子の安定性に強く貢献していることが示唆された。
高橋 真哉*; 中川 繭; 田中 淳; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*; 坂本 綾子
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 58, 2008/11
植物の紫外線耐性機構の研究過程で、YファミリーDNAポリメラーゼをコードしている新規遺伝子を同定した。YファミリーDNAポリメラーゼは複製忠実度が低く、さまざまなDNA損傷をバイパスすると考えられている。遺伝子欠損植物は、紫外線やDNA架橋剤に感受性を示す。遺伝子産物であるAtREV1タンパク質の生化学的な機能を解析するために、組換え大腸菌を用いてAtREV1タンパク質を発現・精製し、精製したタンパク質を用いてデオキシヌクレオチド転移活性を調べた。その結果、AtREV1タンパク質は複製忠実度が低く、鋳型の塩基にかかわらず、dCMPを好んで挿入することがわかった。また、APサイトの相補鎖には塩基を挿入できるが、紫外線損傷塩基の相補鎖には塩基を挿入できなかった。AtREV1タンパク質の低い複製忠実度が突然変異を引き起こすかどうかを調べるために、野生株と遺伝子欠損株の突然変異頻度を測定した。その結果、AtREV1タンパク質が紫外線あるいは線で生じるDNA損傷の誤複製を起こすことで、突然変異誘発を促進していることがわかった。
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 60, 2008/11
本研究は、真核生物のモデル生物である出芽酵母を用いて、イオンビームで生じる突然変異誘発の分子機構を解明することを目的とする。今回、野生株とDNAグリコシラーゼ活性の欠損によって8オキソデオキシグアニン(8-oxodG)を除去できない変異株を用いて、5-フルオロオロト酸耐性を指標として取得した変異体を解析し、高LET炭素イオンビームによって生じる8-oxodGの突然変異誘発性を調べた。変異株の100Gy照射での変異の出現頻度は野生株の2倍であった。野生株では遺伝子に起こった突然変異のうちGT塩基置換が全体の41%を占めていたのに対して、変異株ではGT塩基置換が全体の70%を占めていた。野生株では塩基置換のほかに挿入変異や欠損変異が認められたのに対して、変異株では挿入変異や欠損変異が認められなかった。
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 横田 裕一郎; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 86, 2008/03
放射線による突然変異生成プロセスには、DNA修復機構が大きく関与すると考えられている。特に重粒子線照射の場合、相同組換えや非相同末端結合反応による二本鎖切断修復の関与が大きいと考えられる。そこで本研究では、野生株及び二本鎖切断修復機構を欠損した株()を用い、高LETの重粒子線による分子レベルでの損傷を、相同組換え,非相同末端結合反応それぞれ独立に調べることで、突然変異誘発の過程をクロマチン損傷と修復経路の観点から明らかにすることを目的とした。変異位置並びにヌクレオソームマッピングのデータと比較した結果、野性株ではリンカーDNA領域に局所的に突然変異が誘発されていた。一方、二本鎖切断修復欠損株株及び株では、変異はヒストンタンパクと結合した領域で特異的に生成した。このことは修復メカニズムの差異によって固定される変異が異なるということを示している。
高橋 真哉*; 坂本 綾子; 田中 淳; 清水 喜久雄*
Plant Physiology, 145(3), p.1052 - 1060, 2007/11
被引用回数:16 パーセンタイル:38.82(Plant Sciences)AtREV1はシロイヌナズナにおいて誤りがちなDNA損傷乗り越え複製にかかわることが予想されている。今回、さらに詳細な研究を行うために、大腸菌タンパク質過剰発現系を用いてAtREV1組み換えタンパク質を作成し、精製を行った。得られた精製タンパク質をプライマー伸長法で解析し、塩基挿入活性の測定を行った。その結果、AtREV1組み換えタンパク質はプライマー末端に1から2個の塩基を挿入した。特に、鋳型DNAの塩基にかかわらずシトシンを挿入する活性が高いことがわかった。また、AtREV1は、脱塩基部位を持つ鋳型DNAに対してもシトシンを挿入した。脱塩基部位は、細胞内の生理活性によって自発的につくられるほか、細胞をさまざまなDNA変異原に曝した際につくられることがわかっている。しかし、AtREV1は紫外線によってつくられる損傷を持つ鋳型DNAに対しては、塩基を挿入することができなかった。AtREV1は、マグネシウムイオン存在下では、ある程度の基質特異性を示したが、マンガンイオンの存在価では、より緩やかな基質特異性を示すことがわかった。以上の結果から、AtREV1タンパク質が"忠実度の低い"DNAポリメラーゼであることが明らかとなった。
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 田中 淳; 清水 喜久雄*
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 76, 2007/02
本研究では、高等生物のモデル系として出芽酵母を用い、イオンビームによる突然変異誘発の特徴について分子レベルでの解析を行った。イオンビームによる野生型の突然変異頻度は、炭素イオン100Gy照射で最も高く、自然突然変異と比べて168.5倍であった。変異の種類は、GCからTAのトランスバージョン変異が最も多く見られた。イオンビームでは、線照射では確認できない変異のホットスポットが見られ、約170塩基対の間隔でDNA配列上に分布していた。このことから、変異ホットスポットとゲノムの高次構造との関係が示唆された。
松尾 裕一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 田中 淳; 清水 喜久雄*
Mutation Research; Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis, 602(1-2), p.7 - 13, 2006/12
被引用回数:31 パーセンタイル:60.07(Biotechnology & Applied Microbiology)真核生物におけるイオンビーム誘発突然変異の特徴を解析する目的で、出芽酵母に対する炭素イオン照射の効果を線照射の効果と比較した。酵母遺伝子をマーカーとして、炭素イオンビームによって誘発された54個の突然変異をシークエンスし、突然変異の特異性を解析した。その結果、炭素イオンビームによって誘発された突然変異の種類は、トランスバージョンが68.7%, トランジションが13.7%で、挿入/欠失は17.6%であった。トランスバージョンはおもに、G:C塩基対からT:A塩基対へ置換であったのに対し、トランジションのすべてはG:C塩基対からA:T塩基対への置換であった。突然変異が生じた塩基の周辺の配列を比較すると、ACA又はACT配列の真ん中のCが置換されているケースが多く見られた。高等植物であるシロイヌナズナに対しては、イオンビームは短い欠失や染色体の再編成を生じさせることが報告されているが、これとは対照的に酵母では大きな欠失や配列の重複はみられなかった。さらに、酵母におけるイオンビーム誘発突然変異で最も特徴的だったのは、ヌクレオソーム構造のリンカー領域の付近に変異が集中し、ホットスポットを形成している点である。一方、線ではこのようなホットスポットは見られなかった。このことから、炭素イオンビームは、DNA配列とヌクレオソーム構造の両方に依存して突然変異を誘発させていることが示唆された。
坂本 綾子; 高橋 真哉*; 岩井 成憲*; 清水 喜久雄*
no journal, ,
われわれはシロイヌナズナのDNAポリメラーゼ及びREV1蛋白質の遺伝子を単離し、解析を行ってきた。DNAポリメラーゼのサブユニットをコードする, 、及び遺伝子を欠損したシロイヌナズナは、通常の生育条件下では正常に生長するが、紫外線照射下で生育させると、野生型に比べて強い生長阻害がみられた。また、播種後3日目の幼植物体に対して紫外線や線、及びクロスリンク試薬などを与えると、及び欠損株では、野生型に比べて根端の分裂組織の増殖が阻害され、根の伸長が抑制されるという結果になった。このことから、シロイヌナズナのDNAポリメラーゼ及びREV1蛋白質が、DNA損傷による細胞増殖の停止を忌避する働きをもっていることが予想された。そこで、AtREV1蛋白質の機能を明らかにする目的でにおけるポリメラーゼ活性を解析したところ、AtREV1は脱塩基部位を持つDNAを鋳型として逆鎖のプライマー末端にdCMPを挿入した。このことから、AtREV1蛋白質が脱塩基部位を持つDNAの複製に関与していることが示唆された。一方で、AtREV1蛋白質は、紫外線損傷DNAの逆鎖に対しては塩基挿入活性を示さなかった。このことから、AtREV1は、dCMPトランスフェラーゼ活性のほかに未同定の機能があり、これが失われることにより植物に紫外線感受性が生じたことが示唆された。
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 田中 淳; 清水 喜久雄*
no journal, ,
近年、放射線を用いた突然変異による育種技術として重粒子線が注目されているが、突然変異誘発のメカニズムは未だに不明な点が多い。本研究では、高等生物のモデル系として酵母細胞を用いて、重粒子線並びに線による突然変異について、分子レベルでの解析を行った。イオンビームによる野生型の突然変異頻度は生存率が約50%となる100Gyで最も高く、自然変異率と比較して168.5倍であった。シーケンス解析の結果、イオンビームでは、局所的に変異が起こる部位(ホットスポット)が見られたが、線では確認できなかった。イオンビームが線とは異なる遺伝子損傷を生み出すものと考えられる。変異パターンを解析した結果、イオンビーム並びに線では塩基置換の頻度が高く、なかでもトランスバージョンの割合が高かった。
松尾 陽一郎*; 西嶋 茂宏*; 坂本 綾子; 清水 喜久雄*
no journal, ,
イオンビームによる突然変異誘発のメカニズムを分子レベルで解析するために、出芽酵母の野性株並びにDNA修復欠損株を用い、イオンビームによる損傷とDNA修復のメカニズムについて解析を行った。照射試料として野性株,塩基除去修復による8-oxodGTPの除去活性を失った株、及びミスマッチ修復の活性を失った株を用いた。原子力機構・イオン照射研究施設(TIARA)のAVFサイクロトロンを用いて加速したカーボンイオン粒子(エネルギー:220MeV, LET:107keV/m)を照射した。続いて最も突然変異の頻度が高かった照射条件を用いて突然変異の誘発を行い、it URA3領域(804bp)についてPCR法を用い増幅させ、変異位置をシークエンス解析によって決定した。得られた結果から、株ではおもにCGTAトランスバーションが誘発され、株では1塩基欠失がおもに誘発されることがわかった。これらの変異パターンから、重粒子線照射による突然変異の要因として酸化損傷したヌクレオチドが関与していることが示唆された。
清水 喜久雄*; 松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 西嶋 茂宏*; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 鳴海 一成
no journal, ,
本研究では、真核生物の一種である出芽酵母の野生株,塩基除去修復が不活性であるogg1株及びミスマッチ修復が不活性であるmsh2株を用いて、炭素イオンビーム照射で誘発される突然変異について、URA3遺伝子の突然変異を検出する5-FOAによる選択系で、変異スペクトルの解析を行った。その結果、野生株及びogg1株ともに塩基置換の頻度が高く、特にogg1株では変異のすべてが塩基置換であった。また、msh2株では、一塩基欠失が全体の突然変異の大部分を占め、アデニン及びチミン塩基対でおもに変異が誘発されることが確認された。これらの結果から、8-oxoGの生成がイオンビームに起因する突然変異をおもに誘導し、OGG1及びMSH2遺伝子が遺伝子の安定性に強く貢献していることが示唆された。
泉 佳伸*; 松尾 陽一郎*; 坂本 綾子; 高城 啓一*; 畑下 昌範*; 小嶋 崇夫*; 清水 喜久雄*
no journal, ,
真核生物のモデルとして出芽酵母(S288c)を用い、イオンビームにより誘発された突然変異の解析を行った。その結果、イオンビーム照射では線のような低LET放射線とは対照的な生物応答が観察された。イオンビームに特徴的な突然変異誘導メカニズムを解明するために、LETが13keV/mから107keV/mまでの炭素イオンビームの照射を行った。また比較として、LETが0.45keV/mの陽子線の照射を行った。炭素イオンビーム照射の照射はTIARA(JAEA)及びHIMAC(NIRS)にて、陽子線照射は若狭湾エネルギー研究センターにて行った。照射後、生残率と突然変異頻度の測定と突然変異部位を特定するためのシークエンス解析を行った。放射線照射に起因する突然変異生成の分子機構を説明するために、野生型酵母に加えて8-oxoGTPの除去活性が失われている系統(BER-)、及びミスマッチ修復が不活性である系統(MMR-)を用いた。また、比較のため二本鎖切断修復に関与する遺伝子が不活性である系統(NHEJ-)及び系統(HR-)についても解析を行った。
清水 喜久雄*; 松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 野澤 樹; 長谷 純宏; 坂本 綾子; 田中 淳
no journal, ,
高LETのイオンビームは育種や医療分野において大きな成果を上げてきている。しかし、高LETイオンビームによる突然変異誘発メカニズムにはまだ不明な点が多い。今回、われわれは出芽酵母を材料に用い、遺伝子を突然変異マーカーとしてイオンビームによる変異スペクトルを解析するともに、マイクロアレイ法を用いてイオンビーム照射によって発現が誘導される遺伝子を解析した。LETと変異スペクトルとの関係を調べるため、高崎量子応用研究所TIARAの107keV/mのカーボンイオン、及び放射線総合研究所HIMACの13keV/mのカーボンイオンを酵母細胞に照射して遺伝子座の変化を調べたところ、107keV/mのカーボンを用いたときのみ遺伝子上に幾つかの特異的なホットスポットが生じた。このことから、LETが異なると生じるDNA損傷及びそれに対する修復機構が異なっている可能性が示唆された。一方、マイクロアレイ解析の結果、カーボンイオン照射後の細胞では相同組み換えや非相同末端結合,ヌクレオチド除去種修復などの修復遺伝子とともに、酸化ストレス応答遺伝子等の発現が誘導されることが明らかになった。
松尾 陽一郎*; 泉 佳伸*; 長谷 純宏; 野澤 樹; 坂本 綾子; 鳴海 一成; 清水 喜久雄*
no journal, ,
本研究では、重粒子線に由来するDNA損傷を評価することを目的として、ポリメラーゼ連鎖反応を応用して鋳型DNAに生じた損傷の程度の評価を行った。出芽酵母の領域をPCRで増幅し精製した反応物をターゲットとして、日本原子力研究開発機構イオン照射研究施設(TIARA)のAVFサイクロトロンを用いて加速した炭素イオン粒子(220MeV, LET:107KeV/m)、又は放射線医学総合研究所のHIMACで加速した炭素イオン粒子(290MeV, LET:50keV/m)を照射した。照射したDNAを鋳型としてリアルタイムPCRを行い、ポリメラーゼ連鎖反応によるDNAの増幅率からDNAの損傷量を評価した。その結果、吸収線量の増加に伴ってDNA増幅率が低下し、ポリメラーゼ連鎖反応を阻害するような鋳型として機能しないDNAの量が増加していることが明らかになった。また、吸収線量が同じでも、LETが高いほど鋳型として機能しないDNA量が増加することがわかった。この結果から、本手法を用いることによりDNA鎖切断を指標としてLETが異なる放射線による影響を評価できる可能性が示された。