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加道 雅孝; 岸本 牧; 保 智己*; 安田 恵子*; 青山 雅人*; 刀祢 重信*; 篠原 邦夫*
AIP Conference Proceedings 1696, p.020019_1 - 020019_4, 2016/01
被引用回数:3 パーセンタイル:87.05軟X線顕微鏡は生きている細胞の細胞内小器官を観察するための非常に強力なツールであり、これまで細胞の内部構造を観察するための多くの研究開発が行われてきた。しかし、細胞内構造は非常に複雑で、軟X線顕微鏡で取得した細胞の軟X線顕微鏡像において細胞内小器官を特定することは困難であった。我々は、同一細胞を軟X線顕微鏡と蛍光顕微鏡により同時に観察するハイブリッドイメージング法を提案した。細胞にあらかじめ蛍光標識を施すことにより蛍光顕微鏡により細胞内小器官の位置を正確に特定することができ、蛍光顕微鏡によって得られた細胞内小器官の位置情報を用いて軟X線顕微鏡で取得した細胞の軟X線顕微鏡像において細胞内構造を正確に特定可能となる。軟X線顕微鏡は蛍光顕微鏡よりはるかに高い空間分解能を持つため、正確に特定された細胞内小器官の詳細な構造の解析が可能である。ハイブリッドイメージング法により生きている細胞の観察を行った。その結果、生きている細胞内のミトコンドリアの詳細な構造が確認できた。
加道 雅孝; 岸本 牧; 保 智己*; 安田 恵子*; 篠原 邦夫*
Journal of Physics; Conference Series, 463, p.012056_1 - 012056_4, 2013/10
被引用回数:14 パーセンタイル:97.21高輝度レーザープラズマ軟X線源と密着型顕微法を組合せたレーザープラズマ軟X線顕微鏡を開発し、細胞内小器官のその場観察を実施した。高強度で高品質なレーザーを金と窒化シリコンの二層構造極薄膜ターゲットに照射することにより高効率なプラズマの加熱を実現し、生きている細胞の瞬時観察に必要とされる一立体角辺り1.310
個の軟X線フォトンを発生することに成功した。光学顕微鏡による明視野観察を可能とするために透明ガラス基板上に成膜したPMMAフォトレジスト上に細胞を直接培養した。光学顕微鏡と軟X線顕微鏡の両方の顕微鏡による撮像を行うことにより、取得した細胞の軟X線顕微鏡像と蛍光顕微鏡像の直接比較を実現した。その結果、軟X線顕微鏡で取得したミトコンドリアや細胞骨格等の細胞内小器官を正確に特定することが可能となり、これらの細胞内小器官の詳細な構造の解析に成功した。
加道 雅孝; 岸本 牧; 保 智己*; 安田 恵子*; 青山 雅人*; 篠原 邦夫*
Proceedings of SPIE, Vol.8849, p.88490C_1 - 88490C_7, 2013/09
被引用回数:1 パーセンタイル:56.79これまでに、高輝度レーザープラズマ軟X線源と密着型顕微法を組合せたレーザープラズマ軟X線顕微鏡を開発し、生きている細胞の細胞内構造を100nm以下の高い空間分解能でその場観察することに成功している。さらに、同一の細胞を軟X線顕微鏡と蛍光顕微鏡により同時に観察し、直接比較することにより、軟X線顕微鏡によって取得した細胞内構造を正確に特定する手法を提案した。細胞をあらかじめ、マイトトラッカー,ファロイジン, DAPI等の蛍光色素によって蛍光標識を施し、蛍光顕微鏡で観察することにより、ミトコンドリア,アクチンフィラメント,クロマチン等の位置を正確に把握することが可能である。蛍光顕微鏡の空間分解能は数100nm程度に制限されるが、軟X線顕微鏡は100nm以下の高い空間分解能を持つため、蛍光顕微鏡で位置を把握した細胞内小器官の詳細な構造の観察が可能となった。特に、ミトコンドリアの観察では、蛍光顕微鏡では解像しきれなかったミトコンドリアのかたまりが軟X線顕微鏡では十分解像され、個々のミトコンドリアの構造も観察できることがわかった。
岸本 牧; 加道 雅孝; 石野 雅彦; 保 智己*; 安田 恵子*; 篠原 邦夫*
AIP Conference Proceedings 1465, p.43 - 47, 2012/07
被引用回数:8 パーセンタイル:93.79水中の生きた生体細胞内ナノメートルスケール構造を観測するためのピコ秒シングルショット接触型X線顕微鏡システムの開発を行っている。この顕微システムは、プラズマ軟X線源用の大強度赤外ポンプレーザーシステムとX線顕微鏡チャンバより構成されている。ポンプレーザーは、光パラメトリック法を採用して非常にコントラストの良いレーザーパルスを発生することが可能であり、高効率で水の窓軟X線を発生することができる。X線顕微鏡チャンバは、真空チャンバ,集光レンズ,薄膜ターゲットとその駆動系,真空対応試料ホルダーより構成される。ポンプレーザーパルスは集光レンズによって薄膜ターゲット上に集光され、レーザー誘起プラズマが生成する。プラズマで発生した水の窓軟X線は、試料ホルダーにセットされたPMMAフォトレジスト基板上の生物試料を照射する。軟X線照射後にフォトレジスト基板は現像処理され、フォトレジスト上に記録された生体細胞のX線透過イメージをAFMを用いて読み出す。われわれは開発した軟X線顕微鏡を用いて水中のマウスのライディッヒ細胞のX線像を取得し、この顕微鏡システムが約100nmの空間分解能を持つことを実証した。
加道 雅孝; 岸本 牧; 石野 雅彦; 保 智己*; 安田 恵子*; 篠原 邦夫*
AIP Conference Proceedings 1465, p.246 - 250, 2012/07
被引用回数:5 パーセンタイル:85.9生体の主要な構成要素である炭素に吸収されやすく、周囲の水にはほとんど吸収されないという特徴を持つ高輝度軟X線源と組合せた密着型軟X線顕微鏡は、自然環境下にある水を含んだ生物試料を無染色で直接観察することが可能である。しかし、反面、軟X線顕微鏡はこれまで観察できなかった生きた細胞内の構造を観察できるという新しい観察技術であるため、学術的な応用のためにはX線像で取得された構造を正確に特定することが非常に重要である。われわれは、同一の細胞のX線顕微鏡像と蛍光顕微鏡像を直接比較し、蛍光顕微鏡で観察された構造をもとにX線顕微鏡で得られた構造を特定するという新しい手法を提案した。その結果、X線顕微鏡によりミトコンドリアの構造の観察に成功した。
加道 雅孝; 石野 雅彦; 保 智己*; 安田 恵子*; 岸本 牧; 錦野 将元; 金城 康人*; 篠原 邦夫*
AIP Conference Proceedings 1365, p.391 - 394, 2011/09
被引用回数:7 パーセンタイル:90.47密着型軟X線顕微鏡によりウェットな状態の生きた細胞のシングルショット撮像を実施し、これまでに明らかにされなかった免疫細胞の触手構造の撮像に成功している。軟X線顕微鏡は、これまでに可視化されなかった構造を観察することができるが、実用化のためには軟X線顕微鏡像の中の構造を具体的に特定することが必要である。われわれは、共焦点レーザー顕微鏡と軟X線顕微鏡で同一の細胞の撮像を実施した。共焦点レーザー顕微鏡によって得られた細胞内器官の蛍光顕微鏡像と軟X線顕微鏡によって得られた軟X線顕微鏡像を直接比較することにより、軟X線顕微鏡像の中のアクチンフィラメント等の細胞内器官の特定に成功した。さらに、軟X線顕微鏡の特長を活かすことにより、細胞内器官のより詳細な構造の観察に成功した。
石野 雅彦; 加道 雅孝; 篠原 邦夫*; 山本 容正*; 平井 到*; 岸本 牧; 錦野 将元; 長谷川 登; 保 智己*; 安田 恵子*; et al.
Proceedings of SPIE Europe Optics + Optoelectronics 2011, Vol.8139, p.81390R_1 - 81390R_8, 2011/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01金の極薄膜ターゲットは強力な「水の窓」領域の軟X線を発生することから、軟X線顕微鏡のプラズマX線光源として適している。薄膜ターゲット背面からの発光を用いることにより、光源と試料間の距離を短縮することが可能となり、結果として試料を照射する光量を増加させることができる。光源と試料ホルダを組合せることにより、簡便な顕微鏡を設計することも可能となる。また、試料ホルダと光源以外のいかなる光学素子も必要としないので、光量減少の原因となる要素を排除することもできる。われわれは金薄膜ターゲットを組み込んだ細胞用試料ホルダの開発を行い、これを用いて生きた細胞のX線像を撮影することに成功した。本研究で開発した光源一体型試料ホルダは、実験室サイズのコンパクト軟X線顕微鏡を開発するうえで、中心要素となると期待されている。
加道 雅孝; 石野 雅彦; 岸本 牧; 保 智己*; 安田 恵子*; 金城 康人*; 篠原 邦夫*
Proceedings of SPIE Europe Optics + Optoelectronics 2011, Vol.8139, p.81390O_1 - 81390O_7, 2011/09
レーザープラズマ軟X線源は、高輝度で短パルスという特徴を持ち、軟X線顕微鏡の生物応用に適している。軟X線顕微鏡は生きたままの生物試料の撮像が可能で、これまでに幾つかの実験結果が報告されている。しかし、それらの研究では細胞表面構造の撮像は実現されているが、高輝度軟X線源が必要とされる生きた細胞の細胞内器官の詳細構造の撮像に成功した例はない。われわれは、高輝度軟X線源と密着型軟X線顕微鏡を組合せることにより生きた細胞の細胞内器官の詳細構造の撮像に成功した。軟X線顕微鏡で得られた細胞内器官を同定するために同一細胞を蛍光顕微鏡と軟X線顕微鏡で観察し、直接比較することを考案した。軟X線顕微鏡像と蛍光顕微鏡像を比較することにより、軟X線像の中のアクチンフィラメントやミトコンドリアなどの細胞内器官を正確に特定し、それらの詳細な構造を観察することを可能とした。
加道 雅孝; 石野 雅彦; 保 智己*; 安田 恵子*; 岸本 牧; 錦野 将元; 金城 康人*; 篠原 邦夫*
電気学会論文誌,C, 130(10), p.1774 - 1778, 2010/10
レーザープラズマ軟X線源を用いた密着型軟X線顕微鏡によりネズミの精巣ライディッヒ細胞のアクチンフィラメントが観察された。ライディッヒ細胞は、パラホルムアルデヒドで固定し、ファロイジンで染色した後、軟X線顕微鏡による観察の前に共焦点レーザー顕微鏡で観察を行った。共焦点レーザー顕微鏡と軟X線顕微鏡で得られた像を直接比較した結果、アクチンフィラメントの位置だけでなく、形においても良い一致が見られた。その結果、実績のある共焦点レーザー顕微鏡像との比較により、軟X線顕微鏡像の中のアクチンフィラメントが明瞭に同定されるとともに、共焦点レーザー顕微鏡に比べてより詳細な構造情報を得ることに成功した。
石野 雅彦; 加道 雅孝; 錦野 将元; 篠原 邦夫*; 保 智己*; 安田 恵子*; 長谷川 登; 岸本 牧; 大場 俊幸; 河内 哲哉
Proceedings of SPIE, Vol.7589, p.75891B_1 - 75891B_8, 2010/02
被引用回数:2 パーセンタイル:73.45酸素と炭素のK殻吸収端に挟まれた「水の窓」と呼ばれる軟X線を利用する軟X線顕微鏡は、水溶液中の生きた細胞を高い空間分解能で観察する技術であり、細胞構造や構造変化に伴う機能発現の解明に役立つ手段として期待されている。生きた細胞を100nm以下の空間分解能で観察するためには、試料上で10個/
m
を越える光量のX線が必要となることから、短パルスX線光源には非常に高強度のレーザープラズマX線源が求められる。そのため、レーザー光からX線への変換効率が高い光源の開発やX線光源を試料に近づけるなどの工夫が必要となる。高強度短パルスX線光源の開発を目的として、極薄膜ターゲットを用いたレーザープラズマX線源の特性評価を行った。ターゲットとして窒化シリコン膜上に数十nmから数百nmの膜厚を持つ金を成膜した薄膜ターゲットを用意し、Nd:glassレーザーを金の薄膜に集光照射することにより発生する軟X線を裏面から計測した。その結果、発光強度とスペクトル分布に膜厚依存性が確認できた。測定から、金薄膜により入射レーザーのエネルギーが消費され、レーザーが高い効率で軟X線に変換されていることを示唆する結果が得られた。
浅井 志保; 間柄 正明; 鈴木 大輔; 篠原 伸夫; 斎藤 恭一*; 須郷 高信*; 高見 実智己*; 白石 久二雄*
no journal, ,
イオン交換基を持つ高分子鎖を付与した多孔性高分子膜の連続孔に試料溶液を透過させると、イオン交換基と溶液中のイオンとが効率よく接触するため、高速透過時も高い回収率を保持できる。本研究では、放射線グラフト重合法を用いてイオン交換基を持つ高分子鎖を多孔性ポリマーシートの細孔表面に付与し、得られたシートをディスク状に裁断してイオン交換カートリッジを作製した。さらに、本カートリッジを尿中U分析へ適用するため、Uの精製に最適な吸着及び溶出条件を決定した。本カートリッジを採用した場合、コンディショニングからU溶出までに要した時間は約20分であり、高濃度の塩(52mg/mL-試料溶液)を含む試料であっても、迅速にUを精製できることがわかった。
芝原 隆二*; 浅井 志保; 萩原 京平*; 高見 実智己*; 白石 久二雄*; 梅野 太輔*; 篠原 伸夫; 須郷 高信*; 斎藤 恭一*
no journal, ,
生体試料中の無機イオンを分析するためには、試料中に共存するタンパク質を排除し、無機イオンを選択的に吸着する必要がある。本研究では、多孔性高分子膜の細孔表面に、放射線グラフト重合法によって高分子鎖を付与し、高分子鎖の上部に水酸基を、下部に陰イオン交換基を配置してタンパク質を排除し、かつ無機イオンを吸着させることを試みた。タンパク質及び無機イオンのモデルとして、アルブミン(分子量66,000)及びリン酸イオン(分子量100)を用い、タンパク質排除能及び無機イオン吸着性能を評価した。リン酸イオンの吸着量は、陰イオン交換基の導入量に伴って増大した。一方、アルブミンは陰イオン交換基及び水酸基の導入量に関係なくほとんど吸着しなかった。したがって、サイズの大きいアルブミンが高分子鎖上部の水酸基によって排除されることを確認できた。
加道 雅孝; 石野 雅彦; 錦野 将元; 長谷川 登; 河内 哲哉; 水谷 治央*; 篠原 邦夫*
no journal, ,
レーザープラズマX線源を用いた密着型X線顕微法による生細胞のX線イメージングについて発表を行う。実験には、厚さ70nmのエポキシほうまいされたネズミの脳神経細胞の切片を用いた。切片は電子顕微鏡観察用に処理されたもので、オスミウム及び重金属染色されている。X線観察の結果、数10ナノメートルの大きさのミトコンドリアが確認された。同じ試料を電子顕微鏡及び部分干渉顕微鏡によって観察し、X線顕微鏡によるものと比較を行った。その結果、より少ない細胞染色によっても十分なコントラストが得られることがわかった。
石野 雅彦; 加道 雅孝; 岸本 牧; 錦野 将元; 長谷川 登; 大場 俊幸; 河内 哲哉; 保 智己*; 安田 恵子*; 山本 容正*; et al.
no journal, ,
細胞の構造変化に伴う機能発現の解明を目指して、密着法による生きた細胞の軟X線顕微鏡観察を行っている。密着法は高い空間分解能と広い視野を同時に実現できる顕微法であり、光源にレーザープラズマX線を用いることにより、水溶液中の細胞を瞬時に撮像することを可能としている。軟X線顕微鏡では試料によるX線吸収の差異により像を得るために、光学顕微鏡とは異なったコントラストで観察される。そのため、得られたX線像に「何」が写っているかを特定する必要があり、軟X線顕微鏡開発の中の重要な課題の一つに挙げられる。本研究では、水溶液中で生きた細胞の軟X線顕微鏡観察に加えて、細胞内器官を蛍光染色した試料の蛍光顕微鏡と軟X線顕微鏡による比較観察を試みた。生きた細胞の軟X線顕微鏡像には、細胞内の核や分泌物に由来すると考えられる構造が確認できた。核と細胞骨格を染色した細胞の蛍光顕微鏡像と軟X線顕微鏡像を比較した結果、同一の構造が得られているだけでなく、X線像にはさらに微細な構造を確認することができた。
加道 雅孝; 石野 雅彦; 岸本 牧; 篠原 邦夫*; 保 智己*; 安田 恵子*; 山本 容正*; 金城 康人*
no journal, ,
レーザープラズマX線源を用いた密着型軟X線顕微鏡は、生きたままの細胞を高い空間分解能で観察できる技術として期待されている。しかし、細胞内のさまざまな構造が重なり合うため、得られる細胞の軟X線像は複雑で、これまで細胞内の微細器官を明瞭に特定できた例はない。われわれは、密着型軟X線顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を用いて同一の細胞を撮像し、両方の顕微鏡で得られた像を直接比較することにより、軟X線顕微鏡で得られた細胞内器官の特定を行った。その結果、アクチンフィラメントやミトコンドリア等の細胞内器官の明瞭な特定に成功した。さらに、軟X線顕微鏡を用いることにより、共焦点レーザー顕微鏡によるものより微細な構造が観察できることがわかった。
石野 雅彦; 加道 雅孝; 保 智己*; 安田 恵子*; 篠原 邦夫*; 三方 裕司*; 岸本 牧; 錦野 将元; 大場 俊幸; 海堀 岳史; et al.
no journal, ,
軟X線顕微鏡は、水溶液中の生きた細胞を高い空間分解能で観察可能な技術である。また、電子顕微鏡で必要とされる染色や切片化を必要とせず、細胞試料を無加工、非破壊で観察できるメリットもある。現在までに、レーザープラズマX線を光源とした密着法により、ヤツメウナギの網膜細胞や生きた精巣ライディッヒ細胞の軟X線像を無染色で取得することに成功しているが、軟X線顕微鏡により得られる像は細胞内器官によるX線吸収像であるため、従来の光学顕微鏡の像とは異なるコントラストで観察される。軟X線顕微鏡により細胞内器官の微細構造の観察や構造変化に伴う機能発現を明らかにするためには、取得した軟X線像に写る構造を同定する必要があり、軟X線顕微鏡開発の中の重要な課題の一つに挙げられる。そこで、生体細胞の可視化技術として、細胞内器官を蛍光標識した同一の細胞を蛍光顕微鏡と軟X線顕微鏡を用いて観察し、各顕微鏡により得られた像を直接比較することにより構造の同定を試みた。その結果、軟X線像には蛍光顕微鏡像と同一の構造が微細に観察されていることを確認できた。
加道 雅孝; 岸本 牧; 石野 雅彦; 保 智己*; 安田 恵子*; 篠原 邦夫*
no journal, ,
軟X線顕微鏡は、細胞の内部構造を生きているままで「その場観察」できる技術として期待されてきたが、その実現には非常に高輝度な軟X線源が必要とされた。これまでの研究では、軟X線光量の不足により、水溶液中の生きている細胞の撮像に数秒から数分の長時間露光が必要とされ、空間分解能の低下や放射線による影響を回避するために細胞を凍結する手法が一般的に用いられてきた。われわれは、厚さ100nmの窒化シリコン簿膜上に厚さ20nmの金を成膜した2層構造薄膜ターゲットに高コントラスト高強度レーザーを集光照射することにより高輝度軟X線の発生に成功した。さらに、X線感光材上に直接培養した細胞に軟X線を照射することにより、自然環境下にある生きた細胞内のミトコンドリアや細胞骨格などの細胞内小器官の「その場観察」に世界で初めて成功した。
加道 雅孝; 岸本 牧; 刀祢 重信*; 保 智己*; 安田 恵子*; 青山 雅人*; 篠原 邦夫*
no journal, ,
レーザー励起プラズマ軟X線源を光源としたレーザープラズマ軟X線顕微鏡は100nm以下の高い空間分解能と1ns以下の高い時間分解能を持ち、水溶液(培養液)中の生きている細胞をそのままの状態で瞬時に撮像できるという特徴を持つ。われわれはこれまでの研究で、培養中の精巣ライディッヒ細胞の観察を行い、ミトコンドリアや細胞骨格等の細胞内小器官や細胞核内のクロマチン構造の詳細な撮像に成功した。さらに、軟X線顕微鏡で撮像した細胞の内部構造を正確に特定するために、蛍光色素を使い分けることにより特定の細胞内小器官を選択的に可視化できる蛍光顕微鏡との併用法を考案した。今回われわれは、レーザープラズマ軟X線顕微鏡の利用の次の例としてアポトーシス(細胞死発現の一形態)における細胞核の構造変化の観察を行った。レーザープラズマ軟X線顕微鏡は蛍光顕微鏡よりも高い空間分解能で細胞核の構造変化を直接観察できるため、アポトーシスにより細胞核が崩壊するメカニズムを解明するうえで非常に重要な役割を果たすことが期待できる。
加道 雅孝; 岸本 牧; 刀祢 重信*; 保 智己*; 安田 恵子*; 青山 雅人*; 篠原 邦夫*
no journal, ,
レーザープラズマ軟X線源を光源とした"レーザープラズマ軟X線顕微鏡"は、100nm以下の高い空間分解能と1ns以下の高い時間分解能を持ち、生きている細胞の内部構造をそのまま観察することが可能である。我々は、開発したレーザープラズマ軟X線顕微鏡をこれまで様々な生命現象、特にプログラムされた細胞死であるアポトーシスの観察に活用してきた。正常な細胞におけるクロマチンは細胞核内に折りたたまれた状態で存在するが、細胞がアポトーシスを起こすと、核周辺へのクロマチンの凝縮が起こり、リング形状、ネックレス形状を経て、最終的に核崩壊にいたることがこれまでの透過型電子顕微鏡と蛍光顕微鏡を用いた研究でわかっている。しかし、それぞれのステージにおける細胞核の構造変化の詳細な機構についてはまだまだ不明な点が多い。我々は、その中でも特にアポトーシスの機構を理解する上で重要なリング形状からネックレス形状への構造変化を詳細に調べた結果について報告を行うとともに、細胞核の崩壊の機構について議論を行う。
加道 雅孝; 岸本 牧; 保 智己*; 安田 恵子*; 青山 雅人*; 篠原 邦夫*
no journal, ,
高輝度レーザープラズマ軟X線源と密着型軟X線顕微鏡を組み合わせたレーザープラズマ軟X線顕微鏡を開発し、生きている細胞の細胞内小器官の詳細な構造の観察に成功した。レーザープラズマ軟X線源は、非常に高輝度で短パルスという特徴を持つことから、細胞への放射線影響や細胞の運動による解像度の低下を招くことなく生きている細胞の観察を可能とする。また、細胞をX線感光材上に直接培養することにより、培養中の細胞をその場で観察することを可能とした。さらに、軟X線顕微鏡と蛍光顕微鏡を組み合わせたハイブリッド顕微鏡を考案することにより軟X線顕微鏡による細胞内小器官を正確に特定することを実現した。ネズミの精巣ライディッヒ細胞を観察した結果、生きている細胞中の個々のミトコンドリアの撮像に初めて成功し、さらにその詳細な構造の観察に成功した。