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鈴木 知史; 矢板 毅; 鈴木 伸一; Pacold, J.*; Altman, A. B.*; Minasian, S. G.*; Tyliszczak, T.*; Shuh, D. K.*; 吉田 啓之; 逢坂 正彦
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 127, p.169 - 177, 2019/04
被引用回数:3 パーセンタイル:22(Chemistry, Multidisciplinary)密度汎関数法(DFT: density-functional theory)を用いて、Cs M X線吸収端近傍微細構造(NEXAFS: near-edge X-ray absorption fine structure)スペクトルを解析する手法を確立し、粘土鉱物中のCsの電子状態を評価した。各種のCsハロゲン化物のDFTによる解析を行うことにより、内殻空孔強度を組み込みその値を最適化して、NEXAFSスペクトルの再現に成功した。本DFTによる解析手法を用いて、粘土鉱物のCs M NEXAFSスペクトルを解析したところ、主要な遷移およびテール構造を含めて、実験によるNEXAFSスペクトルを良好に再現することができた。本手法を用いて、電荷密度や電子状態の解析を行い、NEXAFSスペクトルに現れる構造が結合状態およびCs原子の周りの局所環境を反映する可能性が高いこと、粘土鉱物中においてCsと最近接原子との相互作用が最も大きいこと等を示した。
鈴木 知史; 吉田 啓之; Shuh, D. K.*; 鈴木 伸一; 矢板 毅
Proceedings of 23rd International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-23) (DVD-ROM), 6 Pages, 2015/05
粘土鉱物中のセシウムの状態を評価するため、Csを含んだ粘土鉱物のCs M吸収端近傍X線微細構造(NEXFS)を測定するとともに、Csハロゲン化物や粘土鉱物を密度汎関数法(DFT)を用いて評価した。Csハロゲン化物の評価から、内殻空孔と価電子の相互作用を取り込むには、内殻空孔強度(CHS)を設定すればよいことが分かった。この結果に基づいて、粘土鉱物のCs M NEXAFSをDFTより計算したところ、主ピークだけでなくテール構造を含めて実験結果をよく再現した。また、粘土鉱物の六員環のSiをAlに置換すると明確にNEXAFSは変化し、層間においてCsとKが共存する場合はNEXAFSの変化は小さかった。さらに、CsClと粘土鉱物中のCsの電子構造を評価した。
矢板 毅; 館盛 勝一; Edelstein, N. M.*; Bucher, J. J.*; Rao, L.*; Shuh, D. K.*; Allen, P. G.*
Journal of Synchrotron Radiation, 8(Part2), p.663 - 665, 2001/03
Am,Nd,及びErとベンゾイミダゾールとの溶液内錯体の局所構造をEAXFSにより決定した。溶液内にベンゾイミダゾールを、段階的に加えることでBIZの配位が確認され、Am,Ndでは溶液中における金属: BIZが1:10の試料でBIZが2分子、Erに3分子配位することが明らかとなった。配位数は、イオンの表面電荷の強さに依存した傾向を示しており、イオン半径の近いAmと軽ランタノイドの分離がBIZの配位数の違いには依存していない可能性が示された。最近接の構造はBIZの窒素と水の酸素からなり、原子間距離の観点からは、酸素より弱い静電的相互作用であることが明らかとなった。BIZの2つの配位窒素と金属との距離は、Am錯体でおよそ0.2Å、Er錯体で0.1Å異なることが、一方Nd測定では、同じ距離を取ることが明らかになった。これらの違いは、溶媒和における構造安定化と分子内構造安定化との関連で重要な知見であるといえる。
矢板 毅; Shuh, D. K.*; 塩飽 秀啓; 岡本 芳浩
no journal, ,
Pu以降のマイナーアクチノイドは、その最外殻が閉核の6s, 6p軌道であり、内側に存在する5f軌道は化学結合に関与しないと考えられてきた。しかしながら、ある特定の化合物との相互作用において、その化学挙動の類似性が指摘されているイオン半径の同等なランタノイドと錯生成度定数の観点などで違いが見いだされることが近年明らかになってきた。この現象を解明するために本研究では、X線吸収及び発光分光法により錯体の荷電子帯の電子状態について検討した。各エネルギー(図中左エネルギー)において照射されたCm-Phen錯体の発光スペクトルの変化を検証するため、フリーPhenのスペクトルとの比較を行ったところ、Cm錯体において明確な変化が認められた。この変化については、DFT計算により、5f電子が関与する共有結合相互作用に由来する物であると結論づけられた。
矢板 毅; 池田 隆司; Shuh, D. K.*
no journal, ,
アクチノイドの5f軌道は、ランタノイドの4f軌道に比べるとやや遍歴的であることが知られているが、閉殻の6s, 6p軌道の内殻に存在し、特に分子性の物質との相互作用においては、その化学結合への関与はほとんどないとされてきた。しかしながら、ソフトな性質を示す配位子との相互作用においては、その配位子によるイオン認識挙動におけるランタノイドとの差が指摘されてきた。本研究では、これらアクチノイドの相互作用について明らかにするために、配位子側の部分状態密度関数の測定をもとにアクチノイド(Pu及びCm)との錯体における化学結合特性,5f電子の逆共与特性について明らかにしたので報告する。