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越川 博; 吉村 公男; Sinnananchi, W.; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*; 前川 康成
Macromolecular Chemistry and Physics, 214(15), p.1756 - 1762, 2013/08
被引用回数:15 パーセンタイル:43.24(Polymer Science)貴金属フリー液体燃料電池用自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜(AEM)の開発において、電解質膜の耐熱性や高い含水率に起因する燃料透過が問題になっている。そこで、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合膜(ETFE)にクロロメチルスチレン(CMS)を放射線グラフト重合後、グラフト鎖をトリメチルアミンにより4級化することでAEMを作製し、含水性,安定性に及ぼす電解質膜の対アニオンの効果を調べた。4級化によって得られた塩化物塩の膜(塩化物膜)は、炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬することで重炭酸膜に変換した。また、1M KOH水溶液でアニオン交換後、窒素ガスで飽和させた水で洗浄することで、重炭酸化物塩の生成なしに水酸化物膜に変換できた。塩化物膜及び重炭酸膜に対して、水酸化物膜は4倍の伝導率及び2倍の含水率を示した。また、熱分析測定より、水酸化物膜が他の二つの膜よりも安定であることがわかった。以上の結果から、水酸化物膜の水酸化アルキルアンモニウムが化学的に不安定であること、安定化するために高い含水率を示すことを明らかにした。
前川 康成; 越川 博; Sinnananchi, W.; 山本 和矢*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
企業との共同研究で進めている貴金属フリー液体燃料電池への適用を目的に、放射線グラフト重合によるアニオン交換形電解質膜の開発を進めている。今回、ETFE膜にクロロメチルスチレン(CMS)をグラフト重合後、グラフト鎖のトリメチルアミンによる4級化(変換率100%)により作製したグラフト形電解質膜について、対アニオンの電解質膜特性に及ぼす影響を調べた。塩化物,重炭酸化物,水酸化物と電解質膜の対アニオンの酸性度が低下することで、含水率,導電率ともに大幅に上昇することがわかった。さらに、塩化物の場合は、脱アミンにより分解するのに対し、水酸化物ではより低温で脱メタノールにより分解することがわかった。水酸化物であるアニオン伝導電解質膜では、水酸化物の酸性度が低いため、化学的不安定となること、及び、その化学的不安定さを解消するために高含水率となることが示唆された。
前川 康成; Sinnananchi, W.; 越川 博; 八巻 徹也; 浅野 雅春; 山本 和矢*; 三瓶 文寛*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
企業との共同研究で進めている貴金属フリー液体燃料電池への適用を目的に、放射線グラフト重合によるアニオン交換形電解質膜の開発を進めている。今回、ETFE膜にクロロメチルスチレン(CMS)をグラフト重合後、グラフト鎖のトリメチルアミンによる4級化により作製したグラフト形電解質膜(TMA)について、その耐久性に重要な安定性に及ぼす電解質膜の対アニオンの効果を調べた。電解質膜の対アニオンである水酸化物や重炭酸化物では、塩化物に比べて含水率,導電率ともに高い値を示した。このことから強塩基であるアンモニウム塩に対して、弱酸の対アニオンとの組合せでは電解質膜が不安定であり、トリメチルアミンからなるアニオン伝導電解質膜が低耐久性であることが推察された。そこで、含水率を下げる目的で疎水性のアルキルアミン(ブチルジメチルアミン)からなる電解質膜(BDMA)を作製した。得られた電解質膜は、燃料電池作動温度である80Cにおいて、大気中,水中,塩基性溶液中でグラフト形電解質膜(TMA)よりも安定であることが確認できた。
吉村 公男; Sinnananchi, W.; 越川 博; 八巻 徹也; 前川 康成; 山本 和矢*; 猪谷 秀幸*; 朝澤 浩一郎*; 山口 進*; 田中 裕久*
no journal, ,
液体燃料を蓄電媒体とする白金フリー燃料電池自動車に適用できるアニオン伝導電解質膜の開発において、電解質膜の高い含水率に起因する燃料透過と低耐久性が問題になっている。本研究では、塩基性強度の高いアミン(有機強塩基)の4級化反応で形成される弱塩基性のイオン交換基からなるグラフト型アニオン伝導電解質膜を作製し、弱塩基性イオン交換基の含水率や導電率に及ぼす効果を調べた。放射線グラフト重合反応によりETFE膜にクロロメチルスチレングラフト鎖を導入した後、有機強塩基であるメチルイミダゾール(MIm)、及びジアザビシクロノネン(DBN)をグラフト鎖と反応させ、水酸化カリウムで処理することでアニオン伝導電解質膜を得た。MImを導入した電解質膜は、従来のグラフト型アニオン膜に対してほぼ同等の導電率(127mS/cm)を維持し、かつ、約半分の含水率(68%)を示した。さらに弱塩基性イオン交換基を与えるDBNを導入した電解質膜では、含水率が18%とさらに抑制できたが、導電率が0.4mS/cmと大幅に低下した。形成される弱塩基性のイオン交換基の塩基性強度を調整することで、低含水率かつ高導電性のアニオン伝導電解質膜が作製できることがわかった。