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乙坂 重嘉*; 鈴木 崇史; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 三野 義尚*; 鋤柄 千穂*; 伊藤 友加里*; 白井 厚太朗*; 杉原 奈央子*
no journal, ,
福島沿岸の堆積物中の放射性セシウム濃度を変動させる要因の一つである、浅海域-沖合海域間での懸濁粒子の移動過程を明らかにするため、粒子輸送の「下流域」と推測される福島第一原子力発電所の南南東の陸棚縁辺域(北緯37度00分、東経141度24.9分)において、2017年10月から2018年6月まで時系列式セジメントトラップを設置し、計39期間の沈降粒子試料を採取した。観測期間を通して沈降粒子からCsが検出され、Cs濃度は明瞭な季節変動を示した。観測期間中に得られた最大の沈降粒子中のCs濃度は、同観測点の表層(01cm層)堆積物中のCs濃度に比べて一桁高かった。一方で、年間のCs粒子束は、観測開始時に既にその観測点の海底に蓄積していたCs存在量の1%未満であった。浅海域から沖合海域での粒子による継続的な放射性セシウムの輸送は起こっているものの、堆積物中での放射性セシウム量を変化させる要因としての効果は小さいと推測される。
乙坂 重嘉*; 御園生 敏治; 土肥 輝美; 鶴田 忠彦; 高橋 嘉夫*; 杉原 奈央子*; 小畑 元*; 池上 隆仁*; 自見 直人*; 波々伯部 夏美*
no journal, ,
福島沿岸の海底に蓄積した放射性セシウムの移動過程を明らかにするため、福島第一原子力発電所の南南東の陸棚縁辺域において、2017年10月から2018年6月にかけて時系列式セジメントトラップを設置し、計39期間の沈降粒子試料を採取・分析した。沈降粒子からは観測期間を通じてCsが検出され、Cs粒子束は特に秋季から冬季にかけて高かった。冬季の沈降粒子は、他の期間に比べてわずかにPOMの割合が高く、POMは、タンパク質や糖酸といった、比較的分解の進んでいない海洋起源の成分で構成されていた。夏季から秋季にかけてCsを取り込んで観測点付近の海底に蓄積したPOMが、晩秋季から冬季にかけての海底付近の擾乱に伴って陸棚上を再移動したと推測される。
乙坂 重嘉*; 青野 辰雄*; 福田 美保*; 神林 翔太*; 御園生 敏治; 土肥 輝美; 鶴田 忠彦; 鈴木 崇史; 高橋 嘉夫*; 杉原 奈央子*; et al.
no journal, ,
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故によるセシウム-137(Cs: 半減期30.1年)の海底への蓄積量は、海洋に運ばれたCsの総量の12%程度(0.10.2PBq)に過ぎないものの、特に沿岸域では長期にわたってとどまることが明らかにされている。その一方で、放射性セシウムの海底付近での中・長期的な移行過程や、それに伴う海底付近の生態系への影響については、不確かな点が残されている。本講演では、特に福島沿岸の海底でのCsの分布と挙動について概観するとともに、事故から約10年が経過した現在、特に注目すべきプロセスについて、最新の結果を報告する。