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田口 茂郎; 田口 克也; 牧野 理沙; 山中 淳至; 鈴木 一之; 高野 雅人; 越野 克彦; 石田 倫彦; 中野 貴文; 山口 俊哉
日本保全学会第17回学術講演会要旨集, p.499 - 502, 2021/07
東海再処理施設は2018年に廃止措置段階に移行した。廃止措置を着実に進めるため、東海再処理施設はプロジェクトマネジメント機能の強化に取り組んでいる。本稿では、将来の本格的な廃止措置への移行に向けて、東海再処理施設が現在取り組んでいる、プロジェクト管理ツールの活用検討及び機器解体計画の具体化方法について報告する。
鈴木 庸平*; 向井 浩樹*; 石村 豊穂*; 横山 高富*; 坂田 修平*; 平田 孝文*; 岩月 輝希; 水野 崇
Scientific Reports (Internet), 6, p.22701_1 - 22701_6, 2016/03
被引用回数:13 パーセンタイル:47.78(Multidisciplinary Sciences)微生物による6価ウランの4価ウランへの還元固定法は、汚染水の安価な浄化方法として知られている。その反応は一般的に5ナノメーター以下のウラン粒子で起こる。本研究では、花崗岩中の割れ目を充填する炭酸塩鉱物において、4価のウランからなるコフィナイト粒子の観察を行った。その結果、普遍的な現象として微生物による炭酸塩鉱物の形成時に、炭酸塩鉱物と4価ウランナノ粒子の共沈が起こっている可能性が考えられた。このような現象は、放射性廃棄物の地層処分に関連して汚染水中の放射性核種やウランの長期隔離に寄与すると考えられる。
鈴木 和博; 本岡 隆文; 塚田 隆; 寺川 友斗; 市瀬 健一; 沼田 正美; 菊池 博之
JAEA-Technology 2014-004, 29 Pages, 2014/03
東日本大震災の影響により、東京電力福島第一原子力発電所の2号機, 3号機及び4号機では、緊急冷却策として海水が冷却水として使用済燃料プールへ注入された。海水成分の塩化物イオンは金属材料に孔食を起こす原因物質であることから、使用済燃料プール内の燃料被覆管に孔食が発生・成長した場合、孔食部からの放射性物質の漏えいが懸念される。そこで、海水成分を含む使用済燃料プール水における燃料被覆管の閉込機能の健全性を評価するため、照射済燃料被覆管の孔食発生条件を孔食電位測定により調査することとした。本報告では、高放射性の使用済燃料から孔食電位測定用の試料を作製する技術の開発について報告する。専用機器の開発と作製手順の確立により、専用施設でのマニプレータによる遠隔操作によって、照射済燃料被覆管の孔食発生条件の調査を可能とした。
宮村 浩子; 呉田 昌俊; 瀬川 麻里子; 久保 純*; 斎藤 隆文*; 鈴木 喜雄; 武宮 博
Visualization of Mechanical Processes (Internet), 1(3), 8 Pages, 2011/10
ハイフレームレート中性子ラジオグラフィーが開発され、これを用いることで高速に動作する自動車のエンジン内のオイルを記録することが可能になった。しかし、記録された画像に写るオイルは不明瞭であるため、オイルの振舞いまで精緻に捕らえることは難しい。そこでわれわれは、マルチスケール画像処理技術を用いて、この問題を解決することを試みた。本技術は、画像を明瞭にし、さらにオイルのスケールに応じて分類できる特徴を持つ。そのため特定のスケールに注目して観察できる。さらに、時空間画像を用いて、時間変動するオイルの振舞いを観察することも提案する。これらの技術によって、注目すべき時空間領域を注意深く観察できる。
宮村 浩子; 呉田 昌俊; 瀬川 麻里子; 久保 純*; 斎藤 隆文*; 鈴木 喜雄; 武宮 博
Proceedings of 11th Asian Symposium on Visualization (ASV-11) (CD-ROM), 4 Pages, 2011/06
大規模かつ複雑な原子力シミュレーションや実験施設から生成される膨大なデータを効率的に解析するための画像解析技術を産業界の課題に適用した事例について報告する。日本原子力研究開発機構と日産自動車は、中性子ラジオグラフィを使用した高速度カメラを開発し、車のエンジン内部でオイルが流れる様子を取得した。しかし、記録された画像は不明瞭であり、詳細にオイルの動きを可視化し、解析することは困難である。そこで、この問題を解決するために、画像を強調する効果のある画像処理技術であるマルチスケール解析手法を適用する。さらに、詳細な理解がなされていないオイルの動きを把握するための時空間画像解析手法を提案する。本発表では、これら画像解析技術の適用に関する有効性について議論する。
宮村 浩子; 呉田 昌俊; 瀬川 麻里子; 久保 純*; 斎藤 隆文*; 鈴木 喜雄; 武宮 博
電気学会研究会資料,産業計測制御研究会(IIC-10-73), p.7 - 12, 2010/03
中性子ラジオグラフィによって金属物体内部の水やオイルを測定する試みがなされている。ここで、高速カメラによって高速回転するエンジン内部のオイルの可視化に成功した。しかし、オイルは、滴状だけでなく、霧状であることもあり、これらの状態を認識し、解析することは難しい課題である。そこで、画像処理のテクニックである多重スケール解析によって、エンジン内部のオイルの状態を認識することを試みる。
坂下 哲哉; 高浪 タカ子*; 簗瀬 澄乃*; 浜田 信行*; 鈴木 芳代; 木村 孝文*; 小林 泰彦; 石井 直明*; 東谷 篤志*
Journal of Radiation Research, 51(2), p.107 - 121, 2010/03
被引用回数:33 パーセンタイル:63.1(Biology)線虫の放射線影響に関する研究は、過去30年以上にわたって行われ、現在、分子,細胞及び個体レベルでの線虫における放射線の影響機構の理解が進みつつある。本論文では、生殖細胞,老化、及び行動に焦点を当てて、これまでに蓄積された知見を解説する。生殖細胞に関しては、アポトーシス,セルサイクルの停止,DNA損傷の修復について概説し、老化については、放射線で誘導される酸化ストレスに着目してホルミシス効果とともに述べる。最後に、最近報告された行動への興味深い影響について、他の生物種への放射線影響と比較しながらまとめる。本解説にて触れた多くの研究で得られた知見から、線虫は放射線生物学の分野でも、よいモデル生物であることが示唆される。
乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 田中 孝幸; 伊藤 集通; 小林 卓也; 川村 英之; 皆川 昌幸*; 荒巻 能史*; 千手 智晴*; 外川 織彦
JAEA-Data/Code 2009-020, 27 Pages, 2010/02
原子力機構が実施した日本海海洋調査の最終成果物のひとつとして、日本海の海洋環境パラメータと放射性核種に関するデータベース(JASPER)の第1巻が2007年に公開された。第1巻では、代表的な人工放射性核種(ストロンチウム-90,セシウム-137及びプルトニウム-239,240)について、海水及び海底土中の濃度データが収録された。今回はその第2巻として、海水中の放射性炭素同位体比データと、栄養塩濃度(ケイ酸,リン酸,硝酸及び亜硝酸)を含む海洋学的指標(塩分,水温,溶存酸素濃度)のデータが公開される。この第2巻には、現時点で20,398データレコードの登録があり、その内訳は、放射性炭素が1,660データ,水温が2,695データ,塩分が2,883データ,溶存酸素濃度が2,109データ,栄養塩濃度が11,051データである。このデータベースは、人工放射性核種による日本海の汚染状況の継続的な監視,日本海内の生物地球化学的循環,数値シミュレーションモデルの開発検証の各分野において強力なツールとなることが期待される。
井岡 郁夫; 鈴木 潤; 本岡 隆文; 木内 清; 中山 準平*
Journal of Power and Energy Systems (Internet), 4(1), p.105 - 112, 2010/02
再処理施設の沸騰硝酸環境において、粒界腐食はオーステナイト・ステンレス鋼の重大な劣化事象である。粒界腐食の主要因は、結晶粒界への不純物元素の偏析が原因と考えられている。新たな複合溶製技術により、全有害不純物を100ppm以下に抑えた超高純度(EHP:Extra High Purity)オーステナイト・ステンレス鋼を開発した。C, P, S, B等の不純物元素を添加したEHP合金を作製して、粒界腐食と不純物元素量の相関性を調べた。得られた結果を重回帰分析し、粒界腐食に及ぼす不純物元素の影響度を示した。その結果、B, P, Si, C, Sの順に粒界腐食に大きな影響を与え、Mnの影響は少なかった。
井岡 郁夫; 鈴木 潤; 本岡 隆文; 木内 清; 中山 準平
Proceedings of 17th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-17) (CD-ROM), 5 Pages, 2009/06
再処理施設の沸騰硝酸環境において、粒界腐食はオーステナイトステンレス鋼の重大な劣化事象である。粒界腐食の主要因は、結晶粒界への不純物元素の偏析が原因と考えられている。新たな複合溶製技術により、全有害不純物を100ppm以下に抑えた超高純度(EHP: Extra High Purity)オーステナイトステンレス鋼を開発した。C, P, S, B等の不純物元素を添加したEHP合金(Fe-25Cr-20Ni-Ti)を作製して、粒界腐食と不純物元素量の相関性を調べた。不純物元素を添加しないEHP合金では粒界腐食は観察されなかったが、不純物添加EHP合金では粒界腐食を生じた。得られた結果の重回帰分析より、粒界腐食と不純物元素量の回帰式を求め、粒界腐食に及ぼす不純物元素の影響度を示した。
前田 茂貴; 関根 隆; 青山 卓史; 鈴木 惣十
Reactor Dosimetry State of the Art 2008, p.607 - 615, 2009/00
高速実験炉「常陽」は、高速中性子束を1.3倍に高め、照射スペースを2倍に拡大したMK-III炉心の本格運転を開始した。このMK-III炉心を有効に活用し、国内外の多様な照射ニーズに応えるべく、低速中性子スペクトル照射場の設置,照射温度の低温化,可動型の照射装置の導入及び中性子照射孔の設置等の照射機能のさらなる拡大を計画している。これらの設置に向けた実現性と照射条件を評価した。この結果、現状よりも幅広いニーズに対応可能な照射場が実現可能であることを確認し、一部については設置変更許可を取得した(平成19年5月)。この計画により、世界的にも貴重な高速中性子照射場である「常陽」の付加価値をさらに高めて、幅広く活用していく。
荒巻 能史*; 外川 織彦; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 天野 光; 田中 孝幸; 千手 智晴*; 皆川 昌幸*
JAEA-Conf 2008-005, p.149 - 152, 2008/03
原子力機構では、1990年代後半より日本海全域における人工放射性核種濃度の現状把握、及び日本海深層の物質循環について観測研究を実施してきた。本報告では、これらの観測によって得られた、海水流動のトレーサとして有効な放射性炭素(C)の広範な分布をもとに、深層水の特性やその循環について議論した。19992002年及び2005年に実施した調査で得られた海水試料中のCを、むつ事務所の加速器質量分析装置で測定した。その結果、各海域のCは表層の+70‰程度から深度とともに指数関数的に減少する傾向にあるが、日本海盆などの水深2000m以深では-65‰前後でほぼ一定の値となった。また、日本海盆西部域やウツリョウ海盆の底層水におけるCにばらつきが顕著であるのに対して、日本海盆東部域では誤差範囲内で一定の値を示した。以上のように、日本海の各海域における底層水の特性を明らかにすることができ、その要因や底層水の循環について考察した。
荒巻 能史*; 千手 智晴*; 外川 織彦; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 北村 敏勝; 天野 光; Volkov, Y. N.*
Radiocarbon, 49(2), p.915 - 924, 2007/10
被引用回数:8 パーセンタイル:24.1(Geochemistry & Geophysics)2002年夏季に日本海北部海域における放射性炭素を測定した。北緯45度以北の表層海水では、高水温と低塩分とともに50‰という高いCが観測された。これは、対馬暖水が北部海域まで北上していることを意味する。深層海水におけるCは海水密度とともに小さくなり、最小値は-70‰であった。この結果から、この海域における深層水の滞留時間は短いことが示唆される。北部海域で冬季に形成されると考えられる高密度水は北緯47度以北の表層海水で観測されたが、海水の深層への沈み込みを示す指標は見られなかった。
青山 卓史; 関根 隆; 前田 茂貴; 吉田 昌宏; 前田 幸基; 鈴木 惣十; 竹田 敏一*
Nuclear Engineering and Design, 237(4), p.353 - 368, 2007/02
被引用回数:14 パーセンタイル:70.38(Nuclear Science & Technology)高速実験炉「常陽」は、照射能力向上のため、MK-III炉心への改造を行った。MK-III炉心では、二領域炉心を採用して出力を平坦化し、制御棒配置を変更した。また、原子炉熱出力が1.4倍に増加したことに伴い、冷却系の改造を行って除熱能力を向上させた。MK-III性能試験では、低出力状態で炉心核特性確認のための臨界近接,過剰反応度測定,制御棒校正,等温温度係数測定を実施した。そして、段階的に原子炉熱出力を増加させながら核計装応答,ヒートバランスを確認し、定格の140MWt出力を達成した後、燃焼係数を測定した。本論文は、これらのMK-III性能試験結果のうち、炉心核特性に関する測定・解析評価結果をまとめたものである。
青山 卓史; 関根 隆; 仲井 悟; 鈴木 惣十
Proceedings of 15th Pacific Basin Nuclear Conference (PBNC-15) (CD-ROM), 6 Pages, 2006/10
高速実験炉「常陽」は、日本の自主技術によりナトリウム冷却高速炉の設計・建設・運転を行い、技術的知見を後続炉に反映するとともに、高速中性子照射場として活用することを目的として建設された。「常陽」は1977年にMK-I炉心としての初臨界を達成して以降、運転保守技術経験を蓄積するとともに、1982年の照射用炉心(MK-II炉心)としての運転開始からは、高速中性子による照射試験を中心として高速炉技術開発に貢献してきた。さらに、2003年には、高速中性子束を約1.3倍,照射スペースを約2倍に拡大することにより、照射性能を約4倍に向上させたMK-III炉心での運転を開始した。さらに、低除染TRU燃料サイクル技術開発を目的としたMA含有MOX燃料や、金属燃料及び酸化物分散強化型フェライト鋼等の照射実績の少ない照射試験を効率的に実施するため、キャプセル型照射装置の開発等を進め、先進的な燃料及び材料の照射試験を着実に進めている。世界の高速炉が停止されていく中で、「常陽」はGNEP等の国際的な枠組みにおいても照射施設としての役割が期待されている。今後、「常陽」は、高速炉開発にとどまらず、広く原子力一般,学術分野等の研究開発にも貢献していく。
萩原 政幸*; 辻井 宏之*; Rotundu, C. R.*; Andraka, B.*; 高野 安正*; 立岩 尚之; 小林 達生*; 鈴木 隆史*; 菅 誠一郎*
Physical Review Letters, 96(14), p.147203_1 - 147203_4, 2006/04
被引用回数:18 パーセンタイル:67.3(Physics, Multidisciplinary)準一次元系磁性物質Ni(CHN)(NO)(ClO)(NTENP)の磁場中比熱測定を行った。スピン鎖に並行に磁場を加えると、臨界磁場以上でスピンギャップが消滅し、磁気秩序転移温度より高温では比熱が温度に依存する振る舞いを示すことが明らかとなった。本研究から明らかとなった、朝永-ラッティンジャー流体的振る舞いについて理論モデルを用いて解析する。
青山 卓史; 前田 茂貴; 前田 幸基; 鈴木 惣十
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences, 6(3), p.279 - 282, 2005/12
環境負荷低減の観点から、高速炉における長半減期核分裂生成物(Long-Lived Fiision Product, LLFP)の核変換技術が検討されている。本報告では、サイクル機構大洗工学センター高速実験炉「常陽」において、LLFP核変換の実現可能性を評価した結果を報告する。高効率な核変換特性を持った照射場を設置するために、反射体領域の反射体6体を中性子減速用の集合体に置き換え、その中心に試験用の集合体を配置する方法を検討した。中性子減速材としては、減速物質の代表としてベリリウム(Be)及び水素化物(ZrH1.65)を採用し、核変換効率に対する減速材充填率や炉心燃料及び遮へい集合体への影響を評価した。充填率を最適化した結果、試験用集合体の炉中心レベルにおけるTcの核変換率はBe減速材で27.8%/year、ZrH減速材で20.1%/yearとなった。この結果、十分な核変換率が得られる照射場の設置可能性を示し、今後の課題を摘出した。
青山 卓史; 前田 茂貴; 前田 幸基; 鈴木 惣十
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences, 6(3), p.279 - 282, 2005/12
環境負荷低減の観点から、高速炉における超半減期核分裂生成物(Long-Lived Fission Product, LLFP)の核変換技術が検討されている。本報告では、高速実験炉「常陽」において、LLFP核変換の実現可能性を評価した結果を報告する。高効率な核変換特性を持った照射版を設置するために、反射体領域の反射体6体を中性子減速用の集合体に置き換え、その中心に試験用の集合体を配置する方法を検討した。中性子減速材としては、減速物質の代表としてベリリウム(Be)及び水素化物(ZrH)を採用し、核変換効率に対する減速材充填率や炉心燃料及び遮へい集合体への影響を評価した。充填率を最適化した結果、試験用集合体の炉中心レベルにおけるTcの核変換率はBe減速材で27.8%/年、ZrH減速材で20.1%/年となった。この結果、十分な核変換率が得られる照射場の設置可能性を示し、今後の課題を摘出した。
千手 智晴*; 磯田 豊*; 荒巻 能史*; 乙坂 重嘉; 藤尾 伸三*; 柳本 大吾*; 鈴木 崇史; 久万 健志*; 森 康輔*
Journal of Oceanography, 61(6), p.1047 - 1058, 2005/12
被引用回数:9 パーセンタイル:19.31(Oceanography)日本海,日本海盆から大和海盆にかけて底層付近の詳細な水塊構造を観測した。観測は研究船白鳳丸KH03-3次航海(2002年10月14日19日)で行った。大和海盆の底層付近では0.085度以上の、日本海盆では0.070度以下の海水が分布しており、これらの海水は両海盆間の境界付近でestuary型のフロントを形成しながら会合していた。フロントの構造から、底層での日本海盆から大和海盆への流入と、その上層での大和海盆からの流出が示唆された。また、日本海盆から流入した底層水は、大和海盆内の時計回りの循環に捕捉され、鉛直拡散,海底加熱,酸素消費の過程を通して、大和海盆底層水に変質されると推測された。ボックスモデルにより大和海盆底層水の熱収支を解析した結果、海底加熱は鉛直拡散の約70パーセントの大きさを持ち、これらによって日本海盆からの冷たい底層水の移流効果が打ち消されていることがわかった。さらに、大和海盆底層水の平均滞留時間は9.1年であると見積もられた。
伊藤 集通; 荒巻 能史*; 乙坂 重嘉; 鈴木 崇史; 外川 織彦; 小林 卓也; 川村 英之; 天野 光; 千手 智晴*; Chaykovskaya, E. L.*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 42(1), p.90 - 100, 2005/01
被引用回数:14 パーセンタイル:67.92(Nuclear Science & Technology)1996-2002年の期間、日露の研究機関の協力で人工放射性核種の広域調査プロジェクトが日露の両排他的経済水域にまたがった日本海で実施された。本プロジェクトの目的は、Sr, Cs, Pu等の核種の海洋中での移行を明らかにすることである。2001-2002年には4回の調査航海が実施された。これら調査で得られた放射性核種の濃度とその分布はこれまでに得られた知見の範囲内であったことから、現在日本海に対する新たな放射性核種源となるような事故,投棄あるいは過去の廃棄物からの漏洩等が発生していないことが確認された。また、海水中におけるインベントリは、グローバルフォールアウトで同緯度帯の海洋にもたらされた量の約2倍であり、日本海におけるそれら核種の蓄積が示された。さらに、亜表層におけるSr及びCs濃度が日本海の広い範囲で時間変動していることが明らかとなり、溶存酸素データとの比較解析により、この時間変動は日本海の上部の水塊移動と関連付けられた。