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滝藤 聖崇; 奥田 幸彦; 中村 いずみ*; 古屋 治*
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 10 Pages, 2024/03
産業事故の類型のうち、設計想定を超える巨大地震などの外的事象を起因とする産業事故を特にNATECH(Natural-hazard triggered technological accidents)と呼ばれている。火災や化学物質の大規模漏洩につながった事例が過去複数あったことから、現在ではNATECHが周辺住民、周辺環境に大きく影響を及ぼすものとして注目されている。このため、プラントのリスク評価とそれに基づいたプラントのNATECH対策は不可欠である。しかしながら、プラントのリスク評価に必要な、プラントを構成する機器の損傷モードとシステムの機能維持との関係を定量的にあらわす「損傷状態」の定義は未だ確立されていない。そこで、本研究では、原子力施設をはじめとしたプラントを構成する代表的なシステムである配管システムを例にとり、損傷モードにおける「損傷状態」の定義に資する指標を提案することを目的とする。配管の主要な損傷モードのひとつである流路閉塞のモードがプラントの機能維持に影響を及ぼすと考えられるため、まずは流路閉塞に着目し、配管のうち特に変形しやすい要素であるエルボを対象に、試験および解析の両面から閉塞率と変形量の関係を求めた。本論文では、上記試験結果等を報告するとともに、得られた閉塞率を流路閉塞の損傷モードにおける、機能維持に関わる「損傷状態」の定義に資する指標のひとつとして提案する。
崔 炳賢; 西田 明美; 滝藤 聖崇; 堤 英明*; 高田 毅士
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 10 Pages, 2024/03
東京電力福島第一原子力発電所事故以降、原子力施設の確率論的地震リスク評価(地震PRA)の重要性が注目されている。地震力は多数機器に同時に作用するため、強地震動下のシナリオの詳細分析には、応答や耐力の相関性を考慮した多数機器の同時損傷確率の評価が重要となる。しかしながら、従来の簡易な建屋質点系モデルでは、建屋の局部応答・局部損傷を含めた3次元的な詳細な地震時応答を十分に再現できないことから、損傷事象間の相関性の影響を完全相関(一つ損傷すればすべて損傷と仮定)のように単純化せざるを得なかった。そのため、局部応答・局部損傷を表現できる建屋3次元詳細解析モデルを用いた地震応答解析手法を活用し、機器損傷に関わる建屋の床応答を精緻に求めることで、機器損傷の相関性のより現実的な評価が期待されている。本論文では、原子力施設の機器損傷に関わる建屋の床応答に着目し、従来の建屋質点系モデルと建屋3次元詳細解析モデルによる機器設置位置の床応答間の最大加速度の相関係数等を比較して両モデルによる影響の違いを確認するとともに、機器応答の相関の違いによる地震PRA評価結果への影響について検討し、得られた知見について報告する。
奥田 幸彦; 滝藤 聖崇; 西田 明美; Li, Y.
Mechanical Engineering Journal (Internet), 12 Pages, 2024/00
地震に対する確率論的リスク評価(PRA)において、設計上の想定を超える入力地震動を対象とした配管系のフラジリティ評価に資する現実的応答解析手法の構築は重要課題の一つである。特に、配管系はプラント固有の複雑なルート形状を有していることから、配管支持構造物の配置や剛性等が、配管系全体の応答特性に与える影響が大きいことが知られている。弾性応答を超える過大な入力地震動に対する現実的応答解析手法の構築のためには、配管支持構造物を含めた配管系の現実的応答を推定できる弾塑性応答解析手法の開発が望まれている。筆者らは、配管支持構造物を含む配管系の弾塑性応答解析手法の整備を目的として、これまでに配管支持構造物載荷試験及び弾塑性特性を考慮した材料モデルの最適化検討を実施してきた。本論文では、既報の配管支持構造物載荷試験を対象とした弾塑性応答解析により再現性を確認するとともに、試験結果と解析結果の分析・評価により塑性率と損傷状態との良好な相関が得られたことから、配管支持構造物に対する損傷評価指標として塑性率が有効であることを示す。
中村 いずみ*; 大谷 章仁*; 奥田 幸彦; 渡壁 智祥; 滝藤 聖崇; 奥田 貴大; 嶋津 龍弥*; 酒井 理哉*; 渋谷 忠弘*; 白鳥 正樹*
第10回構造物の安全性・信頼性に関する国内シンポジウム(JCOSSAR2023)講演論文集(インターネット), p.143 - 149, 2023/10
原子力発電施設における配管系の耐震設計では、設計対象を弾性はり要素でモデル化し、弾性解析に基づく保守的な応力評価を実施している。一方、これまでに実施された多数の実験結果から、配管系は設計の想定を超えるような地震入力下では弾塑性挙動を示し、破損に至るまでには大きな裕度を有していると認識されている。このような状況を踏まえ、適切な保守性と合理性を有する耐震評価のため、弾塑性応答挙動を考慮した新たな耐震設計・評価手法の構築を目指し、2019年に日本機械学会より発電用原子力設備規格設計・建設規格の事例規格が発刊された。初版発刊後は事例規格の継続的な改善のために議論と検討を進め、2022年には疲労評価に用いるサイクルカウント法等に修正を加えた改訂版の発刊が決定した。また、次期改訂に向け、配管支持構造物の弾塑性評価を規格に取り入れる議論が進められている。本稿では、2022年の事例規格における主要な改訂内容、改訂の背景、次期改訂に向けた取り組み状況及び今後の課題について紹介する。
滝藤 聖崇; 奥田 幸彦; 西田 明美; Li, Y.
Proceedings of ASME 2023 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2023) (Internet), 10 Pages, 2023/07
地震に対する確率論的リスク評価(地震PRA)において、設計上の想定を超える入力地震動を対象とした配管系のフラジリティ評価のための現実的応答解析手法の構築は重要課題の一つである。配管系はプラント固有の複雑な三次元形状を有することから、配管支持構造物の配置や剛性等が、配管系全体の応答特性に与える影響が大きく、配管支持構造物を含めた配管系の地震応答解析手法の開発が必要である。そこで筆者らは、配管支持構造物を含む配管系の弾塑性挙動を考慮できる地震応答解析手法の確立のため、配管支持構造物の弾塑性履歴特性をモデル化するための手法の検討を開始した。本研究では、配管支持構造物の弾塑性履歴特性を表現できる非線形ばねモデルを定式化し、このモデルを用いて配管支持構造物の載荷試験を対象とした再現解析を行った。解析結果と試験結果はよく一致したことから、定式化の有効性を確認した。本論文では、弾塑性履歴ばねの定式化、載荷試験の再現解析及び解析結果と試験結果の比較等の主な実施内容及び得られた成果について報告する。
奥田 幸彦; 滝藤 聖崇; 西田 明美; Li, Y.
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 9 Pages, 2023/05
地震に対する確率論的リスク評価(PRA)において、設計上の想定を超える入力地震動を対象とした配管系のフラジリティ評価に資する現実的応答解析手法の構築は重要課題の一つである。特に、配管系はプラント固有の複雑なルート形状を有していることから、配管支持構造物の配置や剛性等が、配管系全体の応答特性に与える影響が大きいことが知られている。一方、従来の耐震設計では弾性応答を仮定した評価手法が採用されていることから、弾性応答を超える過大な入力地震動に対する現実的応答解析手法の構築のためには、配管支持構造物を含めた配管系の現実的応答を推定できる弾塑性応答解析手法の開発が望まれている。筆者らは、配管支持構造物を含む配管系の弾塑性応答解析手法の整備を目的として、これまでに配管支持構造物載荷試験及び弾塑性特性を考慮した材料モデルの最適化検討を実施してきた。本論文では、既報の配管支持構造物載荷試験を対象とした弾塑性応答解析により再現性を確認するとともに、試験結果と解析結果の分析・評価により塑性率と損傷状態との良好な相関が得られたことから、配管支持構造物に対する損傷評価指標として塑性率が有効であることを示す。
崔 炳賢; 西田 明美; 滝藤 聖崇; 堤 英明*; 高田 毅士
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 8 Pages, 2023/05
福島第一原子力発電所事故以降、原子力施設の確率論的地震リスク評価(地震PRA)の重要性が注目されている。地震力は多数機器に同時に作用するため、厳しい地震動下のシナリオの詳細分析には、応答や耐力の相関性を考慮した多数機器の同時損傷確率の評価が重要となる。しかしながら、従来の簡易な建屋質点系モデルでは、建屋の局部応答・局部損傷を含めた3次元的な詳細な地震時応答を十分に再現できないことから、損傷事象間の相関性の影響を完全相関(一つ損傷すればすべて損傷と仮定)のように単純化せざるを得なかった。そのため、局部応答・局部損傷を表現できる建屋3次元詳細解析モデルを用いた地震応答解析手法を活用し、機器損傷に関わる建屋の床応答を精緻に求めることで、機器損傷の相関性のより現実的な評価が期待されている。本論文では、原子力施設の機器損傷に関わる建屋の床応答に着目し、従来の建屋質点系モデルと建屋3次元詳細解析モデルによる機器設置位置の床応答の最大加速度の相関係数を比較して両モデルの違いを確認するとともに、機器損傷に関する詳細を分析した結果を示す。
滝藤 聖崇; 奥田 幸彦; 西田 明美; Li, Y.
no journal, ,
設計想定を超える入力地震動を対象とする地震フラジリティ評価には、配管支持構造物を含む配管系の弾塑性応答解析が必要となる。一方、配管系を構成する配管支持構造物の弾塑性解析手法については具体化が検討課題となっている。本研究では配管支持構造物の弾塑性解析手法構築のために荷重-変位特性に着目した解析及び定式化による検討を進め、既往載荷試験を対象に材料特性等のパラメトリック解析を実施した。本稿では、実施した解析で得られた荷重-変位特性曲線からエネルギ散逸効果を定量的に評価した結果を報告する。
中村 いずみ*; 大谷 章仁*; 森下 正樹; 奥田 幸彦; 渡壁 智祥; 渋谷 忠弘*; 滝藤 聖崇; 奥田 貴大; 白鳥 正樹*
no journal, ,
ASME Boiler and Pressure Vessel Code Section IIIやJEAC4601 (Japan Electric Association Code)などの学協会規格における現行の配管系の耐震設計手法は弾性解析に基づいており、大きな裕度が含まれていることが知られている。そこで、日本機械学会(JSME)発電用設備規格原子力専門委員会耐震許容応力検討タスクでは配管系の弾塑性挙動を考慮したより合理的な耐震設計手法を確立するため、2014年から活動に着手し、2019年に配管本体の疲労評価に関する規定とFEMによる詳細弾塑性解析手法を発電用原子力設備規格 設計・建設規格の事例規格NC-CC-008として発行した。本報告では、事例規格の構成及び耐震設計手法の全体フローと事例規格の関係を説明するとともに、耐震許容応力検討タスクが事例規格の高度化のために取り組んでいる配管サポートの弾塑性挙動を考慮した耐震評価手法、配管本体の簡易的な応答スペクトル解析手法及び配管溶接部の疲労損傷評価法等の中長期的な技術項目をそれぞれ紹介する。
高田 毅士; 西田 明美; 崔 炳賢; 滝藤 聖崇; 堤 英明*; 村松 健; 久保 光太郎*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の事故の教訓の一つに、地震(揺れ)と津波(没水)という複数の異なる作用をもたらす複合ハザードを考慮に入れた安全性評価手法開発の必要性が指摘できる。しかしながら、その取扱いの複雑さと関連基礎的研究の不十分さから、保守的仮定が設定されたり、あるいは、実況に応じて適宜考慮するといったあいまいな扱いとなっているのが現状である。そこで、複合ハザードを受ける原子力施設を対象にした安全性確保のために、物理現象の不確かさを定量的に取り扱うことの可能な確率論的リスク評価(PRA)手法の開発に向け、複合ハザードを取り扱う適切な方法論、スクリーニング手法の検討等が必要である。本稿では、多岐にわたる関連研究項目を概観した上で、構築した研究計画と着目する事項について報告する。また、検討結果は複合ハザードを考慮したPRA手法開発のロードマップの骨子として提示する。
崔 炳賢; 滝藤 聖崇; 西田 明美; 高田 毅士
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故以降、原子力施設の確率論的地震リスク評価(地震PRA)の重要性が注目されている。厳しい地震動下のシナリオの詳細分析には、地震力は複数機器に同時に作用するため、複数機器の同時損傷確率の評価が重要となる。従来は、一方向地震動入力条件下で簡易な建屋質点系モデルを用いて応答評価され同一床上に設置される機器への入力は同一と仮定されていた。しかし、多方向同時地震動入力条件の下で、建屋の局部応答・局部損傷を表現できる建屋3次元詳細解析モデルを用いることにより、機器損傷に関わる建屋の床応答を精緻に求めることが可能で、機器の設置位置の違いを考慮した、より現実的な機器応答評価が可能となる。本稿では、仮想原子炉建屋を対象に、建屋3次元詳細解析モデルによる複数機器の最大応答に関する相関特性を評価し、応答の三次元効果を近似的に評価する新しい方法を提案する。
久保 光太郎*; 滝藤 聖崇; 崔 炳賢; 西田 明美; 村松 健; 高田 毅士
no journal, ,
原子力施設の地震PRAや「リスク情報を活用した意思決定(RIDM)」の重要性が注目されている。本稿では、現在、日本原子力研究開発機構が改良を継続している地震PRAのための信頼性解析コードSECOM2(Seismic Core Melt Frequency Evaluation Code, Version 2)-DQFM(Direct Quantification of Fault Tree Using the Monte Carlo Simulation)のRIDMの利用を見据えた近年及び今後の改良に向けた検討の状況について報告する。具体的には、(1)当該コード内に実装されているモンテカルロ法に基づくフォールトツリー定量化手法に係る高速化のためのアルゴリズム改良及び並列化の検討、(2)定量化結果の確認のための表示機能等の追加、(3)機器の損傷相関の取り扱いに関する検討について、代表的な沸騰水型原子炉の地震時PRAへの適用例などを用いて報告する。これらの改良によって、SECOM2-DQFMのユーザビリティが向上し、当該コードのRIDMにおける活用が期待される。加えて、当該コードの複合ハザードを考慮したリスク評価への適用性の向上も見込まれる。
滝藤 聖崇; 中村 いずみ*; 奥田 幸彦; 酒井 理哉*; 嶋津 龍弥*; 大谷 章仁*; 渡壁 智祥; 奥田 貴大; 渋谷 忠弘*; 白鳥 正樹*
no journal, ,
原子力施設の配管系は、破損に至るまでに大きな弾塑性挙動を示すことが知られている。配管本体の弾塑性挙動を考慮した現行の事例規格では、配管支持構造物は弾性挙動を仮定しており、配管支持構造物を含む配管系の弾塑性挙動を考慮した評価法が望まれている。著者らは、支持構造物の評価手法を構築するために、配管支持構造物の弾塑性解析における解析パラメータの影響評価及び解析結果のばらつきに関する知見を得るために、配管支持構造物のベンチマーク解析を実施した。本稿では実施したベンチマーク解析の進捗状況を報告する。
中村 いずみ*; 滝藤 聖崇; 奥田 幸彦; 古屋 治*
no journal, ,
自然災害起因の産業事故はNatechと呼ばれ、近年その適切な評価の重要性が認識されつつある。Natechリスクの評価と適切な対策の実行には構造物の破損モードを把握し、破損モードと維持機能を対応付ける必要があるが、産業施設で使用される機械設備類では試験データや解析事例が不足しており、そのような性能評価が難しい。そこで、産業施設で多用される配管系の地震時挙動を対象とし、試験による破損モードの把握と維持機能との対応付けを試みる研究を開始した。その端緒として代表的な配管継手であるエルボ配管とティ配管に対し静的載荷試験を実施した。その結果、配管の大変形、疲労損傷、座屈等の破損モードを取得した。また、それらの破損モードから生じる機能への影響を閉塞と漏洩に分類し、継手形状や負荷形態と想定される機能への影響を対応づけた。