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論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:43 パーセンタイル:96.93(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

The Surface composition of asteroid 162173 Ryugu from Hayabusa2 near-infrared spectroscopy

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.

Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04

 被引用回数:259 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)

小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。

論文

Study on gas entrainment from unstable drifting vortexes on liquid surface

平川 萌*; 菊池 祐一郎*; 堺 公明*; 田中 正暁; 大島 宏之

Proceedings of 26th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-26) (Internet), 8 Pages, 2018/07

ナトリウム冷却高速炉において、ガス通過による予期しない炉心反応度の投入を防止するため、カバーガス空間にある自由液面からのガス巻き込み現象は重要な評価課題となっている。本研究では、回流水槽を利用した実験で観察された自由液面を移動する非定常渦のガス巻込み現象の解析を行い、実験結果と比較して解析手法の妥当性について検討するとともに、解析結果に対し、原子力機構で開発された評価ツール(StreamViewer)を適用して、自由液面からのガスコア長さの評価を実施した。

論文

Study of fission using multi-nucleon transfer reactions

西尾 勝久; 廣瀬 健太郎; Vermeulen, M. J.; 牧井 宏之; Orlandi, R.; 塚田 和明; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 佐藤 哲也; 永目 諭一郎; et al.

EPJ Web of Conferences, 163, p.00041_1 - 00041_6, 2017/11

 被引用回数:1 パーセンタイル:61.21(Nuclear Science & Technology)

We are promoting a study of fission using multi-nucleon transfer (MNT) reactions, where excited states in neutron-rich actinide nuclei, which cannot be accessed by particle capture and/or fusion reactions, are populated. Also, the excited states in the fissioning nucleus are widely populated by the MNT reactions, from which effects of excitation energy on fission properties can be investigated. Experiments were carried out at the JAEA tandem facility in Tokai, Japan. We studied reactions using the $$^{18}$$O beam and several actinide target nuclei such as $$^{232}$$Th, $$^{238}$$U, $$^{237}$$Np, $$^{248}$$Cm. Ejectile nucleus was identified by a silicon $$Delta$$E-E telescope to identify transfer channel and hence the compound nucleus. Fission fragments were detected by multi-wire proportional counters, and fission fragment mass distributions (FFMDs) were measured for each isotope. Measured FFMDs are reproduced by a calculation based on the fluctuation-dissipation model, and importance of multi-chance fission concept is investigated. Fission fragment angular distribution relative to the recoil direction suggested the increase of the spin of the fissioning nucleus with the number of transferred nucleons.

論文

Complex chemistry with complex compounds

Eichler, R.*; 浅井 雅人; Brand, H.*; Chiera, N. M.*; Di Nitto, A.*; Dressler, R.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; Even, J.*; Fangli, F.*; Goetz, M.*; et al.

EPJ Web of Conferences, 131, p.07005_1 - 07005_7, 2016/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:72.98(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

近年、物理的な前段分離装置を活用することにより、超重元素の比較的不安定な単一分子の合成と研究が気相化学研究によって可能になった。非常に揮発性の高い106番元素のヘキサカルボニル錯体Sg(CO)$$_{6}$$の合成は最近の大きな成果である。この成功を受けて、中心金属原子と周囲の配位子間の第一乖離エネルギーの測定を第2世代の実験として実施した。管状の分解反応装置を用いた手法を開発し、短寿命のMo(CO)$$_{6}$$, W(CO)$$_{6}$$, Sg(CO)$$_{6}$$錯体に適用することに成功した。

論文

Decomposition studies of group 6 hexacarbonyl complexes, 1; Production and decomposition of Mo(CO)$$_6$$ and W(CO)$$_6$$

Usoltsev, I.*; Eichler, R.*; Wang, Y.*; Even, J.*; Yakushev, A.*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; et al.

Radiochimica Acta, 104(3), p.141 - 151, 2016/03

 被引用回数:31 パーセンタイル:95.03(Chemistry, Inorganic & Nuclear)

周期表第6族元素で最も重いSgのヘキサカルボニル錯体の熱的安定性を調べることを目指して、短寿命MoおよびW同位体を用いてヘキサカルボニル錯体を合成し、その合成および解離条件を調べた。チューブ状の反応装置を用いてヘキサカルボニル錯体を解離させ、第1解離エネルギーを導出できるかテストした。第6族元素のヘキサカルボニル錯体の解離を調べるには、反応表面として銀が最適であることがわかった。Mo(CO)$$_6$$およびW(CO)$$_6$$の解離が起こる反応表面温度は、それらの第1解離エネルギーと相関があることがわかり、この方法を用いてSg(CO)$$_6$$の第1解離エネルギーを決定できる見通しを得た。

論文

In situ synthesis of volatile carbonyl complexes with short-lived nuclides

Even, J.*; Ackermann, D.*; 浅井 雅人; Block, M.*; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; Eichler, R.*; Fan, F.*; 羽場 宏光*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(3), p.2457 - 2466, 2015/03

 被引用回数:15 パーセンタイル:77.56(Chemistry, Analytical)

金属カルボニル錯体の迅速その場合成を、核分裂や核融合反応によって生成される短寿命同位体を用いた実験によって実証した。高い反跳エネルギーを持つ短寿命核反応生成物を一酸化炭素分子と直接反応させることでカルボニル錯体を合成し、高い揮発性を持つ錯体のみをガス気流によって迅速に搬送し、化学分析・測定装置にかけて検出した。この手法を用いることで、Mo, Tc, Ru, Rh, W, Re, Os, Irの短寿命同位体の揮発性カルボニル錯体の合成に成功した。一方、HfとTaの揮発性錯体は検出されなかった。この手法は超重元素シーボーギウム(原子番号106)の化学研究に既に適用されており、また短寿命遷移金属同位体を用いた核科学研究の様々な分野への応用が今後期待される。

論文

Development of a new continuous dissolution apparatus with a hydrophobic membrane for superheavy element chemistry

大江 一弘*; Attallah, M. F.*; 浅井 雅人; 後藤 尚哉*; Gupta, N. S.*; 羽場 宏光*; Huang, M.*; 金谷 淳平*; 金谷 佑亮*; 笠松 良崇*; et al.

Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(2), p.1317 - 1320, 2015/02

 被引用回数:10 パーセンタイル:64.63(Chemistry, Analytical)

超重元素化学にむけ、ガスジェット法によって搬送された核反応生成物を連続溶解する新規方法を開発した。本方法では、疎水性メンブレンフィルターを用い、気相と水相を分離する。本手法を用いて短寿命放射性核種$$^{91m,93m}$$Moならびに$$^{176}$$Wの溶解効率を測定した結果、水溶液流速0.1-0.4mL/minで80%以上の収率が得られた。一方、1.0-2.0L/minの範囲内では、ガス流速への依存性は観測されなかった。以上の結果から、本手法が超重元素の溶液化学研究に適用可能であることが示された。

論文

Synthesis and detection of a Seaborgium carbonyl complex

Even, J.*; Yakushev, A.*; D$"u$llmann, Ch. E.*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 佐藤 哲也; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; Eichler, R.*; Fan, F. L.*; et al.

Science, 345(6203), p.1491 - 1493, 2014/09

 被引用回数:63 パーセンタイル:83.28(Multidisciplinary Sciences)

超重元素の新しい錯体、106番元素シーボーギウム(Sg)のカルボニル錯体の合成に初めて成功し、その吸着特性を低温熱クロマトグラフィー・$$alpha$$線測定装置COMPACTを用いて調べた。理化学研究所の気体充填型反跳イオン分離装置GARISを用いて合成及び前段分離された短寿命核反応生成物$$^{265}$$Sgを、ヘリウムと一酸化炭素の混合ガス中に打ち込み、カルボニル錯体を合成した。生成したカルボニル錯体のうち揮発性の高いもののみをガス気流によってCOMPACTへと搬送し、低温熱クロマトグラフィー測定を行った。検出されたSgカルボニル錯体の吸着エンタルピーは-50kJ/molと求まり、この高い揮発性からこの錯体は6配位のSg(CO)$$_{6}$$であると結論した。これまで超アクチノイド元素では単純な無機錯体しか合成されたことがなく、本研究は超アクチノイド元素における初めての有機金属錯体合成の成果である。

論文

Investigation of the cause of peculiar irradiation behavior of 9Cr-ODS steel in BOR-60 irradiation tests

大塚 智史; 皆藤 威二; 矢野 康英; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 上羽 智之; 小山 真一; 田中 健哉

Journal of Nuclear Science and Technology, 50(5), p.470 - 480, 2013/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:38.62(Nuclear Science & Technology)

BOR-60において9Cr-ODS鋼被覆管燃料ピンを含む4体の集合体の照射試験を実施した。4体の中で最高の燃焼度(ピーク: 11.9at%)及び最高照射量(ピーク: 51dpa)を達成した試験集合体は燃料破損等の問題なく、無事照射試験を完了することができた。これにより9Cr-ODS鋼被覆管としてのチャンピオンデータを取得することに成功した。一方、ピーク燃焼度10.5at%、ピーク照射量44dpaに達した試験集合体で9Cr-ODS鋼被覆管燃料ピンの破損が生じた。破損部近傍には特異な組織変化が生じていた。これら特異な照射挙動の原因究明を進めた結果、照射試験に供した9Cr-ODS鋼被覆管には超音波探傷検査で検知できなかった金属Cr介在物が存在し、これにBOR-60の高温照射が重畳したことが原因であることがわかった。

論文

Irradiation performance of oxide dispersion strengthened (ODS) ferritic steel claddings for fast reactor fuels

皆藤 威二; 大塚 智史; 矢野 康英; 丹野 敬嗣; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 田中 健哉

Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Safe Technologies and Sustainable Scenarios (FR-13) (USB Flash Drive), 11 Pages, 2013/03

高燃焼度燃料被覆管候補材料として原子力機構で開発を進めているODSフェライト鋼被覆管の照射特性を把握し、高速炉燃料としての適用性を判断するために「常陽」とBOR-60で照射試験を実施した。「常陽」では、照射温度693から1108Kの範囲で照射量33dpaまでの材料照射試験を実施し、照射後の強度特性や組織安定性等に関するデータを取得した。BOR-60では、燃焼度11.9at%、照射量51dpaまでの燃料ピン照射試験を実施し、燃料との共存性(被覆管内面腐食)や寸法安定性に関するデータを取得した。これらの結果から、ODSフェライト鋼被覆管の高速炉燃料としての優れた照射特性が確認できた。本論文では、これら照射試験で得られたODSフェライト鋼被覆管の照射特性について評価した結果を述べる。

論文

Effects of neutron irradiation on tensile properties of oxide dispersion strengthened (ODS) steel claddings

矢野 康英; 小川 竜一郎; 山下 真一郎; 大塚 智史; 皆藤 威二; 赤坂 尚昭; 井上 賢紀; 吉武 庸光; 田中 健哉

Journal of Nuclear Materials, 419(1-3), p.305 - 309, 2011/12

 被引用回数:20 パーセンタイル:80.18(Materials Science, Multidisciplinary)

高速実験炉「常陽」のCMIR-6で照射したODS鋼被覆管のリング引張特性に及ぼす照射効果に関して調査を行った。照射条件範囲は、照射温度693$$sim$$1108Kと照射量16$$sim$$33dpaであった。照射温度923K未満では強度特性に変化は見られなかったが、1023Kでは20%の強度低下が見られた。一方、照射後の一様伸びは、すべての照射条件で2%以上確保されていた。本照射条件範囲ではODS鋼被覆管は、一般的な11Crフェライト/マルテンサイト鋼であるPNC-FMS被覆管と比較しても優れた引張特性を維持していることが明らかになった。

論文

Oxide fuel fabrication technology development of the FaCT project, 5; Current status on 9Cr-ODS steel cladding development for high burn-up fast reactor fuel

大塚 智史; 皆藤 威二; 矢野 康英; 山下 真一郎; 小川 竜一郎; 上羽 智之; 小山 真一; 田中 健哉

Proceedings of International Conference on Toward and Over the Fukushima Daiichi Accident (GLOBAL 2011) (CD-ROM), 6 Pages, 2011/12

9Cr及び12Cr-ODS鋼被覆管の炉内健全性評価結果についてまとめた。9Cr及び12Cr-ODS鋼被覆管燃料ピンの照射試験を実施し、ピーク燃焼度11.9at%、ピーク照射量51dpaまでの照射を健全に完了し、ODS鋼被覆管燃料ピンとしてのチャンピオンデータを取得することができた。一方で、ピーク燃焼度10.5at%まで照射したもう一体の集合体において、12Cr-ODS鋼燃料ピンは健全に照射を完了したが、9Cr-ODS鋼燃料ピン1本の破損が生じた。破損部の組織調査を実施した結果、不定形の粗大析出物が形成した特異な組織変化が認められた。この9Cr-ODS鋼における燃料破損と特異な組織変化の原因究明を進めた結果、超音波探傷検査で検知できなかった金属Cr介在物が9Cr-ODS鋼被覆管中に存在し、これに高温照射が重畳したことが原因であることが判明した。次のステージ(2011-2013)では、製造プロセス中で単体金属元素粉末の取り扱いを行わない完全プレアロイ法による均質被覆管の製造技術開発を行うこととした。

論文

Packing behaviour of a Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$ pebble bed under cyclic loads

谷川 尚; 田中 雄一郎*; 榎枝 幹男

Journal of Nuclear Materials, 417(1-3), p.703 - 705, 2011/10

 被引用回数:5 パーセンタイル:38.65(Materials Science, Multidisciplinary)

固体増殖方式の核融合ブランケットを研究対象とし、室温から973Kの温度領域及び0.1MPaから3MPaまでの機械荷重条件において、Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$ペブル充填体に繰り返し熱機械負荷を与え、圧縮ひずみの進展挙動を観察した。機械荷重の負荷により生じた充填体の圧縮変形は、荷重を除いた後の熱処理により部分的に回復した。初期充填率が67.3%の充填体に対して多数回の熱機械負荷を与えた結果、圧縮の進展により充填率が68.5%となった。このような圧縮の進展により、実機においては充填体の上部に空隙が生じることが予想される。初期充填率が65%の場合には約50mm、67%の場合には約20mmと予想される。したがって、初期充填率として高い値を実現することが重要である。

論文

Enhanced micronucleus formation in the descendants of $$gamma$$-ray-irradiated tobacco cells; Evidence for radiation-induced genomic instability in plant cells

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 長谷 純宏; 浜田 信行*; 小林 泰彦; 田中 淳; 鳴海 一成

Mutation Research; Fundamental and Molecular Mechanisms of Mutagenesis, 691(1-2), p.41 - 46, 2010/09

 被引用回数:9 パーセンタイル:28.46(Biotechnology & Applied Microbiology)

電離放射線を照射した哺乳類細胞や酵母では、その子孫細胞において、直接照射されていないにもかかわらず、染色体異常や突然変異の頻度が高い現象(放射線誘発ゲノム不安定性)が報告されてきた。本研究の目的は、高等植物に放射線誘発ゲノム不安定性が生じるか否かを明らかにすることである。そこで、$$gamma$$線を照射したタバコ細胞とその子孫細胞において、微小核頻度と増殖を調べた。照射細胞の細胞周期は、照射の24時間前後で一過性に停止した。一方、微小核頻度は照射後48時間で最大となった。照射細胞の約半数は微小核を有したが、照射細胞は非照射細胞と同程度に旺盛な増殖を示した。照射細胞は照射後4週間で2の21乗倍に増殖したが、微小核頻度は非照射細胞と比べてなお2倍高かった。この実験結果は、照射子孫細胞において微小核が誘発され続けていることを示しており、タバコ細胞における放射線誘発ゲノム不安定性の直接の証拠となる。

論文

A UVB-hypersensitive mutant in ${it Arabidopsis thaliana}$ is defective in the DNA damage response

坂本 綾子; Lan, V. T. T.*; Puripunyavanich, V.*; 長谷 純宏; 横田 裕一郎; 鹿園 直哉; 中川 繭*; 鳴海 一成; 田中 淳

Plant Journal, 60(3), p.509 - 517, 2009/07

 被引用回数:20 パーセンタイル:50.47(Plant Sciences)

細胞分裂周期の進行は、内的又は外的なさまざまな要因によって常にストレスを受けており、それによってDNA複製の中断や染色体の分配異常などが引き起こされることが知られている。細胞周期チェックポイントとは、こうした異常事態の際に細胞周期の進行を停止し、適切な処理が行われるまで次のステップに移行しないようにするための機構である。われわれは、シロイヌナズナの紫外線感受性変異株のスクリーニングの過程で、${it suv2}$ (sensitive to UV 2)変異株を単離した。${it suv2}$変異株は、さまざまなDNA変異原やヒドロキシウレアに対して感受性を示し、その表現系は損傷チェックポイントにかかわるAtATRの欠損株に非常によく似ていた。さらに、SUV2蛋白質はGCN4型のコイルドコイルドメインを持つ蛋白質をコードしており、N末側にはPI3K様プロテインキナーゼのターゲット配列が2か所存在していた。そこで、SUV2蛋白質同士どうしの相互作用を酵母two-hybridの系で解析したところ、${it suv2}$は2量体を形成することが明らかになった。以上の結果から、われわれは${it suv2}$がATRの活性を制御するATRIPのシロイヌナズナにおけるホモログであると結論づけ、AtATRIPと命名した。

論文

Thermal conductivity measurement with silica-coated hot wire for Li$$_4$$SiO$$_4$$ pebble bed

谷川 尚; 田中 雄一郎*; 榎枝 幹男; 秋場 真人

Journal of Nuclear Science and Technology, 46(6), p.553 - 556, 2009/06

 被引用回数:6 パーセンタイル:41.05(Nuclear Science & Technology)

Li$$_4$$SiO$$_4$$微小球充填体の有効熱伝導率を熱線法により測定した。熱線として、ニクロム素線と、それにシリカの絶縁被膜を塗布したものとを用いた。ニクロム素線を用いた測定では975Kにおいて、正しい測定値が得られなかった。これは、室温では絶縁性であるLi$$_4$$SiO$$_4$$の電気伝導率が高温において高くなったために、熱線に取り付けた熱電対の信号が影響を受けたためだと結論された。絶縁被膜をニクロム素線と熱電対とに塗布して同様の測定を行ったところ、室温から975Kの温度範囲において、有効熱伝導率を測定することができた。得られた有効熱伝導率における絶縁被膜の影響を評価し、十分に小さいことを確認した。また、その影響は実験において観測された傾向と一致した。シリカ絶縁被膜を塗布した熱線による熱伝導率測定は他の増殖材料にも適用でき、特に高温での測定において簡便で有効な手法であることを明らかにした。

論文

Kinetic analysis of double-strand break rejoining reveals the DNA reparability of $$gamma$$-irradiated tobacco cultured cells

横田 裕一郎; 和田 成一*; 長谷 純宏; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 鳴海 一成; 田中 淳

Journal of Radiation Research, 50(2), p.171 - 175, 2009/04

 被引用回数:3 パーセンタイル:14.54(Biology)

高等植物と哺乳動物におけるDNA修復能力を比較するため、$$gamma$$線照射したタバコプロトプラストとCHO-K1細胞において、DNA2本鎖切断(DSB)再結合の定量解析を行った。タバコプロトプラストのDSB再結合効率は照射後の培養温度に依存し、その効率は、培養至適温度である27$$^{circ}$$Cで最大に達した。タバコプロトプラストのDSB再結合効率は二相性指数関数でよく近似され、初期損傷の半数は1時間以内に、残りは4時間以内に再結合された。さらにわれわれは、27$$^{circ}$$CでのタバコプロトプラストのDSB再結合効率は、37$$^{circ}$$CでのCHO-K1細胞の再結合効率とほぼ同じであることを発見した。これらの知見は、DSB再結合効率は、タバコプロトプラストの高い放射線耐性にあまり寄与していないことを示唆するものである。

論文

地下の還元的な条件下でのセレンの砂質泥岩への収着分配係数

飯田 芳久; 木村 祐一郎*; 山口 徹治; 上田 正人*; 田中 忠夫; 中山 真一

原子力バックエンド研究, 15(2), p.57 - 67, 2009/03

放射性廃棄物の地層処分の安全評価において、放射性核種の岩石への収着は重要な評価因子である。深地層の還元的な環境におけるセレン(Se)の砂質泥岩への収着分配係数(K$$_{d}$$)に対する、硝酸塩(NaNO$$_{3}$$)及び塩水(NaCl)の影響をバッチ式収着試験で調べた。試験は、日本原子力学会が定めた、「深地層処分のバリア材を対象とした測定の基本手順」に準じて行った。深度129-156mから極力空気に触れさせないように工夫をして採取した砂質泥岩試料及び地下水試料を用い、Seを還元的な溶液条件で安定な化学形(HSe$$^{-}$$あるいはSe$$_{4}$$$$^{2-}$$)に調製したうえで試験液に添加し、添加後もHSe$$^{-}$$で溶存させるため還元的な溶液条件(Eh, pH)を維持した。得られたHSe$$^{-}$$のK$$_{d}$$は、塩濃度範囲0.1-1.1mol$$cdot$$dm$$^{-3}$$において、0.015-0.037m$$^{3}$$$$cdot$$kg$$^{-1}$$であり、典型的な収着性元素であるCsと同程度であった。

論文

Tobacco BY-2 cells have a transient and leaky DNA-damage checkpoint at G$$_{2}$$/M phase after $$gamma$$-ray irradiation

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 和田 成一*; 長谷 純宏; 小林 泰彦; 井上 雅好*; 田中 淳; 鳴海 一成

JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 69, 2008/03

葉状植物を含む多くの高等植物は、個体及び細胞レベルで高い放射線耐性を示すが、その機序は明らかにされていない。本研究では、タバコ培養細胞(BY-2)をモデル植物細胞として、この問題に取り組むために、$$gamma$$線で照射したBY-2細胞における細胞周期チェックポイントの解析と微小核誘発率測定を行った。その結果、G$$_{2}$$/M期細胞区は照射後24時間で一過的に増加した。また、少なくとも一個の微小核を持つ細胞の割合は、照射後48時間で急勾配で増加した。これらのことから、BY-2細胞は、G2期において一過性かつ緩いDNA損傷チェックポイント機構を持ち、結果として、$$gamma$$線照射後に微小核が高頻度で誘発されると考えられた。これは、ゲノムの不安定性を増加させるので、一見すると生物にとって良くないと思われがちだが、限られた寿命の間に、他の競合相手よりも多く太陽光を得るために、早く増殖する必要がある高等植物にとっては許容できることなのであろうと思われた。

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