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阿部 有希子*; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 橋本 昌司*; 丹下 健*
Geoderma Regional (Internet), 29, p.e00529_1 - e00529_11, 2022/06
被引用回数:1 パーセンタイル:14.82(Soil Science)本研究では、火山灰土壌における土壌呼吸速度の空間変動の要因を明らかにするために、火山灰母材の35年生のスギ人工林において調査区を設置した。2013年1月から2019年8月の期間に土壌呼吸速度を定期的に測定し、空間変動の経年変化を調べた。さらに、2019年8月に全ての測点内からリターと土壌を採取し、Ao層の炭素量、土壌炭素量(SOC)、比重の軽い画分(1.6g cm)の炭素量(LF-C),細根量,容積重を測定した。土壌呼吸速度の測点間の空間的なばらつきの傾向は7年間維持されていた。重回帰分析の結果、LF-Cのみを説明変数とするモデルが土壌呼吸速度を最も精度高く予測しており、他の要因を加えても精度は向上しなかった。また、SOCは土壌呼吸速度との関係が認められなかった。火山灰土壌では土壌呼吸速度の説明変数としてSOCよりもLF-Cの方が適していることが示唆された。
阿部 有希子*; Liang, N.*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 寺本 宗正*; 橋本 昌司*; 丹下 健*
no journal, ,
土壌呼吸速度の森林内における空間的なばらつきを調べるために、東京農業大学奥多摩演習林のスギ人工林内の21カ所において2013年1月から2019年8月にかけて土壌呼吸速度を測定した。2013年に土壌呼吸速度が高かった測点は7年間を通じて高く、低い測点は7年間を通じて低い傾向が認められた。2019年8月に各測点で採取した表層土壌の炭素量と土壌呼吸速度には相関が認められなかったが、比重1.6g cmより軽い画分の土壌量や細根量と土壌呼吸速度の間に有意な正の相関が認められた。比重の軽い画分の土壌には、微生物によって分解されやすい比較的新しい有機物が多く含まれるとされることから、微生物分解されやすい有機物の多寡が測点間の土壌呼吸速度のばらつきの要因と考えられた。
阿部 有希子; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 橋本 昌司*; 丹下 健*
no journal, ,
土壌呼吸は同じ森林内であっても空間的なばらつきが大きい。本研究では、東京農業大学奥多摩演習林内の火山灰土壌のスギ人工林に調査区を設置し、2013年3月から2019年8月にかけて土壌呼吸速度を定期的に測定し、ばらつきの経年変化とその要因について検討した。2013年に土壌呼吸速度が高かった測点は7年間を通じて高く、低かった測点は7年間を通じて低い傾向を示した。重回帰分析の結果、土壌中の比重の軽い画分( 1.6g cm)の炭素量(LF-C)のみを説明変数とするモデルが土壌呼吸速度を最も精度高く予測しており、他の要因を説明変数として加えても予測精度はほとんど向上しなかった。また、土壌炭素量と土壌呼吸速度には相関が認められなかった。したがって、火山灰を母材とする土壌では、LF-Cが土壌呼吸速度を規定する要因になっていると考えられた。
阿部 有希子; 中山 理智; 丹下 健*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
土壌には莫大な量の炭素が土壌有機物として蓄積されており、微生物の分解によって二酸化炭素として大気中へ放出(微生物呼吸)される。近年、下層土壌に蓄積された有機物の分解が微生物呼吸に大きく寄与している可能性が指摘されているが、その実態は明らかではない。森林土壌からの炭素放出の実態と環境変化に対する応答を正確に把握するためには、下層土壌も含めた炭素循環を明らかにする必要がある。本研究では、土壌有機物の存在状態や分解特性が異なると想定される火山灰と非火山灰を母材とする森林土壌を対象に、表層から下層までの土壌プロファイルにおける微生物呼吸量を明らかにすることを目的とした。火山灰土壌(CHI, HSB)と非火山灰土壌(AKZ, HIR)が分布する計4か所の調査地において、土壌を深さ別(0-10、10-25、30-45、45-60cm)に採取した。採取した土壌は根などを除去した後に20Cの条件下で培養し、二酸化炭素濃度を定期的に測定した。本発表では、土壌理化学性や有機物特性と微生物呼吸量との関連性について報告するとともに、土壌炭素量あたりの微生物呼吸量を土壌有機物の分解性の指標として算定し、調査地間及び深さによる違いについても議論する。