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門脇 正尚; 永井 晴康; 吉田 敏哉*; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(10), p.1194 - 1207, 2023/10
被引用回数:2 パーセンタイル:82.84(Nuclear Science & Technology)大気拡散シミュレーションにより原子力事故の緊急対応を支援する場合、予測結果と合わせて結果の不確実性を提供する必要がある。本研究では、予測結果のプルームの拡散方向の不確実性をベイズ機械学習に基づいて推定する手法を開発する。機械学習用のトレーニングデータおよびテストデータは、原子力施設からのセシウム137の仮想放出を考慮したシミュレーションを2015年から2020年の期間で毎日実行することで作成された。不確実性推定に対する本手法の有効性を調べたところ、36時間後の予測においても不確実性の予測可能性は50%を超えたことから、本手法の有効性が確認された。また、不確実性が大きいと判定されたプルームの拡散方向も、本手法によって極めて良好に予測された(予測期間において不確実性を妥当に判定しなかった割合は0.9%-7.9%)。一方で、本手法により不確実性が過大に予測された割合は最大で31.2%となったが、これは許容できると考えられる。これらの結果は、本研究で開発されたベイズ機械学習による不確実性推定の手法が、大気拡散シミュレーションによって予測されたプルームの方向の不確実性を効果的に推定していることを示している。
寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08
被引用回数:1 パーセンタイル:82.84(Nuclear Science & Technology)原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。
吉田 敏哉; 永井 晴康; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(1), p.55 - 66, 2022/01
被引用回数:3 パーセンタイル:51.72(Nuclear Science & Technology)本研究では、気象予報の不確実性が及ぼす大気拡散予報計算への影響を定量的に評価した。そのために、大気拡散モデルを用いて原子力施設からの放出を想定した過去1年間(2018年)の拡散計算を行った。気象入力条件に解析値を用いた計算と予報値を用いた計算を行い、解析値計算に対する予報値計算の誤差を不確実性とした。不確実性の定量的な大きさは、両者の地表濃度分布の代表的な拡散方向のずれを角度で表すことで算出した。気象庁が配信している気象入力値を使用した場合、その角度は平均的には10/日で増加した。一方、前後の時刻の不確実性とは関係なく、突発的に4、5倍に増加することも分かった。また、角度の時系列は日変化や季節変化を有していたため、拡散方向の不確実性は気象入力値だけでなく気象条件や地理的条件の影響を受けることが示唆された。さらに、不確実性の主な要因は、解析値と予報値との100kmスケール以上もしくは100kmスケール以下の風向のずれであることを示した。
森口 祐一*; 佐藤 陽祐*; 森野 悠*; 五藤 大輔*; 関山 剛*; 寺田 宏明; 滝川 雅之*; 鶴田 治雄*; 山澤 弘実*
KEK Proceedings 2021-2, p.21 - 27, 2021/12
福島第一原子力発電所事故時の呼吸由来の内部被ばく線量評価において、I-131等の短寿命核種は重要であるが、被ばく線量や大気中濃度の実測値が少ない。そのため、他の核種の環境中濃度の実測値、大気移流拡散沈着モデル(ATDM)による推計値、空間線量率の測定値等に基づく総合解析が必要である。本研究では、Cs-137を対象として、これまでに構築してきた大気中濃度と地表沈着量に基づく空間線量率推計手法をATDM相互比較に供された国内外の多数のモデルに適用し、これまで検証が困難であった福島県内外の地域を中心に選定した計64地点を対象にATDMの再現性の検証を行った。その結果、初期被ばくの評価上特に重要な3月12日の原発から北方向へ輸送されたプルームについて、これまで対象としていた原発から25km地点より近傍の約10km地点における線量率のピーク値やそのタイミングを比較的良好に再現するATDMが複数存在することが分かった。また、実測値がなくこれまで検証が困難であった北関東地域でのプルームの輸送状況の再現性の検証に見通しが得られた。
門脇 正尚; 古野 朗子; 永井 晴康; 川村 英之; 寺田 宏明; 都築 克紀; El-Asaad, H.
Journal of Environmental Radioactivity, 237, p.106704_1 - 106704_18, 2021/10
被引用回数:1 パーセンタイル:7.55(Environmental Sciences)本研究では、局所規模の大気拡散シミュレーションと観測から推定した福島第一原子力発電所(1F)事故のCsのソースタームの、大規模の大気拡散に対する妥当性を確認することを目的として、大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを用いた半球スケールの大気拡散シミュレーションと海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを用いた海洋拡散シミュレーションを実施した。大気拡散シミュレーションの結果は、観測値の
Csの大気中濃度を一部過大評価したものの、全体として観測値を良好に再現した。また、海洋拡散シミュレーション結果は、北太平洋で観測された
Csの海水中濃度を過小評価した。本研究では、大気拡散シミュレーションから得られた
Cs沈着量を海洋拡散シミュレーションで用いており、
Csの海水中濃度の過小評価は海洋へ沈着した
Csが少なかったことが原因だと示された。大気拡散シミュレーションに用いた降水の再現性を向上させることで、
Csの大気中濃度の過大評価と海水中濃度の過小評価をそれぞれ改善することができると考えられ、本研究で検証されたソースタームは、1F事故による
Csの局所規模の大気拡散シミュレーションと大規模の大気拡散シミュレーションの両方で有効であることが示された。
中山 浩成; 佐藤 大樹; 永井 晴康; 寺田 宏明
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(9), p.949 - 969, 2021/09
被引用回数:7 パーセンタイル:81.84(Nuclear Science & Technology)局所域高分解能大気拡散モデルLOHDIM-LESに、原子炉建屋などの建物による遮蔽効果を考慮して詳細に線量評価が行える計算手法を導入した。線量計算においては、放射線輸送計算コードPHITSにより、大気拡散モデルの計算格子ごとに地表面沈着・大気中の放射性核種から地上の評価点への線量寄与を計算して整備した応答行列のデータベースを用いた。精度検証として、六ヶ所再処理工場においてアクティブ試験により大気放出された放射性核種の局所域拡散シミュレーションを行った。敷地内のモニタリングポストにおいて得られた空間線量率と比較したところ、良好に一致することを確認した。これにより、詳細線量計算手法を導入したLOHDIM-LESは、建物影響を考慮して空気中濃度や線量を詳細に評価できることを実証した。
根本 美穂*; 海老根 典也; 岡本 明子; 保坂 泰久*; 都築 克紀; 寺田 宏明; 早川 剛; 外川 織彦
JAEA-Technology 2021-013, 41 Pages, 2021/08
北朝鮮が地下核実験を実施した際には、原子力緊急時支援・研修センター(支援・研修センター)は、原子力規制庁からの要請に基づき、国による対応への支援活動として、原子力基礎工学研究センター(基礎工センター)の協力を得て、WSPEEDI-IIを用いて放射性物質の大気拡散予測計算を実施し、予測結果を原子力規制庁に提出する。本報告書は、北朝鮮地下核実験対応に特化するために基礎工センターで開発され、平成25年(2013年)2月から平成29年(2017年)9月までに実施された3回の地下核実験対応に使用されたWSPEEDI-II自動計算システムの支援・研修センターへの移管と整備について記述する。また、移管・整備した自動計算システムに関するその後の保守と運用について説明するとともに、北朝鮮地下核実験対応における今後の課題について記述する。
中山 浩成; 吉田 敏哉; 寺田 宏明; 門脇 正尚
Atmosphere (Internet), 12(7), p.899_1 - 899_16, 2021/07
被引用回数:1 パーセンタイル:8.25(Environmental Sciences)CLADS補助金事業「ガンマ線画像から大気中3次元核種分布及び放出量を逆解析する手法の開発」において、原子力機構の分担課題として実施する、大気拡散計算と放射線計測を融合して大気放出された放射性核種の濃度分布と放出量を推定する手法開発のために実施するものである。本研究では、福島第一原子力発電所の廃炉工程で発生しうる放射性物質の大気放出を想定した大気拡散予測の精度向上のために、原子力機構内にある建物を原子炉建屋と見なして、その周辺の気流の集中観測と簡易的な拡散実験を実施した。気流の集中観測としては、対象建物よりやや離れた所にドップラーライダーを設置して、上空の風速を3次元的に測定・取得した。また、建物屋根面に超音波風速計を設置して、建屋の影響で生じる非定常性の強い複雑な乱流の情報として、高周波変動風速も測定・取得した。簡易的な拡散実験としては、放射性物質の放出をミスト散布により模擬し、ミストの拡散の様子をビデオカメラで撮影した。次に、建物影響を考慮した詳細乱流計算によるデータベースと気象観測との結合による簡易拡散計算を行った。拡散シミュレーション結果とカメラ撮影したミスト拡散とを比較したところ、各時刻において良好に拡散挙動が再現できていることを確認した。これにより、本研究で提案したフレームワークの有効性を示すことができた。
寺田 宏明; 永井 晴康
Isotope News, (775), p.44 - 48, 2021/06
国内の原子力緊急時に迅速に放射性物質の大気拡散予測情報を提供するための緊急時対応システムとして、旧日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構、以降「原子力機構」)は、緊急時環境線量情報予測システム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information: SPEEDI)を開発し、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」として文部科学省により運用された。その後、原子力機構では、計算範囲の拡大と高度な気象及び拡散計算モデルの使用により予測性能を向上した世界版SPEEDI (WSPEEDI: Worldwide version of SPEEDI)を開発し、様々な応用研究を行ってきた。筆者らは、2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故に対して、このWSPEEDIの活用により様々な対応を実施してきた。この経験に基づき、様々な気象条件や任意の放出条件に対する大気拡散計算結果を即座に取得でき、様々な応用が可能な大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを開発した。本稿では、WSPEEDI-DBの開発の経緯と本システムの概要について述べる。
門脇 正尚; 寺田 宏明; 永井 晴康
Atmospheric Environment; X (Internet), 8, p.100098_1 - 100098_17, 2020/12
大気中のIの挙動や全球収支は、観測データの時間-空間分解能の低さや、観測データに基づくモデル研究が少ないことから、完全には理解されていない。そこで本研究では、2007年から2010年の期間を対象とした
Iの全球収支を定量することを目的として、これまでに開発された大気
I拡散モデルGEARN-FDMに新たに2つの気相化学反応、6つの光分解反応、2つのヨウ素化学を導入し、さらに核燃料再処理施設からの
Iの大気放出過程及び海洋と陸域からの
Iの揮発過程を導入することで、大気中の
Iをシミュレートする化学輸送モデルを開発した。本モデルを用いたシミュレーション結果から、海洋からの
Iの放出量は7.2GBq/yと推定され、放出量の約半分が英国海峡起源であった。一方、陸域からの
Iの放出量は1.7GBq/yと推定され、大規模な使用済核燃料再処理施設が稼働する/していたヨーロッパ,ロシア,北米の陸域放出が顕著であった。大気-海洋間及び大気-陸地間における
Iの正味の交換フラックスはそれぞれ18.0GBq/y及び5.3GBq/yと推定された。海洋と陸域からの放出量は本研究で考慮した使用済核燃料再処理施設の総放出量(23.3GBq/y)よりも小さく、2007年から2010年においては、稼働中の使用済核燃料再処理施設からの大気放出が大気中の
Iの重要なソースであることを示している。
佐藤 陽祐*; 関山 剛*; Fang, S.*; 梶野 瑞王*; Qurel, A.*; Qu
lo, D.*; 近藤 裕昭*; 寺田 宏明; 門脇 正尚; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment; X (Internet), 7, p.100086_1 - 100086_12, 2020/10
福島第一原子力発電所(FDNPP)事故により放出されたCsの大気中の挙動を調べるため、第3回大気拡散モデル相互比較が実施された。前回のモデル比較より高い水平格子解像度(1km)が使われた。前回のモデル比較に参加したモデル中9モデルが参加し、全モデルで同一の放出源情報と気象場が使用された。解析の結果、観測された高い
Cs大気中濃度のほとんどが良好に再現され、いくつかのモデルの性能向上によりマルチモデルアンサンブルの性能が向上した。高解像度化によりFDNPP近傍の気象場の再現性が向上したことで、拡散モデルの性能も向上した。風速場の良好な表現によりFDNPP北西の高い沈着量の細い分布が合理的に計算され、FDNPPの南側の沈着量の過大評価が改善された。一方で、中通り地方、群馬県北部、及び首都圏のプルームの再現性能はやや低下した。
寺田 宏明; 永井 晴康; 田中 孝典*; 都築 克紀; 門脇 正尚
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(6), p.745 - 754, 2020/06
被引用回数:8 パーセンタイル:74.98(Nuclear Science & Technology)世界版緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIを用いて福島第一原子力発電所事故時に放出された放射性物質の放出源情報と大気拡散過程の解析を実施してきた。この経験に基づき、原子力緊急時の様々なニーズに対応し緊急時対応計画に有用な情報を提供可能な大気拡散計算手法を開発した。この手法では、原子力施設のような放出地点が既知の場合、放出源情報を特定せず事前に作成しておいた拡散計算結果のデータベースに、提供された放出源情報を適用することで、即座に予測結果を取得することが可能である。この機能により、様々な放出源情報を適用した計算結果と測定データの容易な比較と最適な放出源情報の探索が可能である。この解析手法は、福島事故の放出源情報の推定に適用された。この計算を過去の気象解析データを用いて実施することで、様々な放出源情報と気象条件に対する拡散計算結果を即座に取得することが可能となる。このデータベースは、環境モニタリング計画の最適化や、緊急時対応計画において想定すべき事象の理解等の事前計画に活用可能である。
竹上 弘彰; 野口 弘喜; 田中 伸幸; 岩月 仁; 上地 優; 笠原 清司; 今井 良行; 寺田 敦彦; 久保 真治
Nuclear Engineering and Design, 360, p.110498_1 - 110498_6, 2020/04
被引用回数:12 パーセンタイル:86.67(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉を熱源として利用する熱化学法ISプロセスによる水素製造法の研究開発を行っている。ISプロセスの実用化に向けて、主要反応器について耐食性及び処理性能に関する信頼性評価を完了し、これらの成果を基に、全系を実用工業材料で製作した100NL/h-H規模の連続水素製造試験装置を完成させた。本報では、連続水素製造試験でのヨウ化水素溶液の安定的な送液技術を開発することで、水素製造時間を8時間から31時間に延伸することに成功した。また、セラミクス試験体の破壊試験データを用い、セラミックス構造体の強度推定式を作成することができた。
寺田 宏明; 永井 晴康; 都築 克紀; 古野 朗子; 門脇 正尚; 掛札 豊和*
Journal of Environmental Radioactivity, 213, p.106104_1 - 106104_13, 2020/03
被引用回数:47 パーセンタイル:93.82(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故(特に測定値が利用できない事故初期)の公衆の被ばく線量評価には、大気輸送・拡散・沈着モデル(ATDM)シミュレーションによる放射性核種の環境中時間空間分布の再構築が必要である。このATDMシミュレーションに必要な放射性物質の大気中への放出源情報が多くの研究で推定されてきた。本研究では、ベイズ推定に基づく最適化手法により、これまでに推定した放出源情報とATDMシミュレーションの改善を行った。最適化では、新たに公開された大気汚染測定局で収集された浮遊粒子状物質(SPM)分析によるCs大気中濃度を含む様々な測定値(大気中濃度,地表沈着量,降下量)を使用し、拡散計算と測定の比較結果のフィードバックにより放出源情報だけでなく気象計算も改善させた。その結果、ATDMシミュレーションはSPM測定点の大気中濃度と航空機観測による地表沈着量を良く再現した。さらに、最適化放出率とATDMシミュレーションにより主要核種の大気中および地表における時間空間分布(最適化拡散データベース)を構築した。これは、避難者の行動パターンと組み合せた包括的な線量評価に活用される。
太田 雅和; 寺田 宏明; 長谷川 英尚*; 柿内 秀樹*
Science of the Total Environment, 704, p.135319_1 - 135319_15, 2020/02
被引用回数:6 パーセンタイル:33.2(Environmental Sciences)Iの陸面移行をモデル化し、陸面モデル(SOLVEG-II)に組み込んだ。各
I移行過程の重要度を調べることを目的として、本モデルを2007年の六ケ所再処理工場からの
I大気放出影響下で観測された野外での
I移行に適用した。モデル計算結果から、対象としたササの葉の
I汚染が、主に降雨による
I湿性沈着に起因した
Iの葉面吸着によって引き起こされたことが示された。土壌への
I移行においては、
Iの湿性沈着が主であり、
I
の乾性沈着の10倍の値であった。一方、2007年の土壌への
I沈着量は、モデルが仮定した土壌中
I量の僅か2%であり、土壌中での長期に渡る
I蓄積の重要性が示された。更に、計算結果から、長期に渡る土壌中
Iの消失が、従前から考えられてきたメチル化ではなく経根吸収によって引き起こされる可能性が示された。
岩崎 俊樹*; 関山 剛*; 中島 映至*; 渡邊 明*; 鈴木 靖*; 近藤 裕昭*; 森野 悠*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 滝川 雅之*; et al.
Atmospheric Environment, 214, p.116830_1 - 116830_11, 2019/10
被引用回数:6 パーセンタイル:28.58(Environmental Sciences)放射性物質の事故放出のための大気拡散予測モデルの利用が日本気象学会の作業部会により勧告された。本論文の目的は、2011年の福島第一原子力発電所からの事故放出に関する予測モデル相互比較によるこの勧告の検証である。放出強度は、放出の時間変化が得られない場合の最悪ケースを想定するため予測期間内で一定と仮定された。放射性物質の吸入を防ぐには地上大気の汚染度、湿性沈着に伴う放射線被ばく軽減には鉛直積算量の利用が想定される。予測結果はアンサンブル幅を有しているが、共通して時間空間的な相対的危険度を示しており、公衆に効果的な警告を不足なく出すのに非常に有用である。信頼性向上にはマルチモデルアンサンブル手法が効果的であろう。
石崎 修平; 早川 剛; 都築 克紀; 寺田 宏明; 外川 織彦
JAEA-Technology 2018-007, 43 Pages, 2018/10
北朝鮮が地下核実験を実施した際、原子力緊急時支援・研修センターは、原子力規制庁からの要請に基づき、国による対応への支援活動として、原子力基礎工学研究センターの協力を得て、WSPEEDI-IIシステムを用いて放射性物質の大気拡散予測計算を実施し、予測情報を原子力規制庁に提出する。本報告書は、北朝鮮による地下核実験に対する国及び原子力機構の対応体制を説明するとともに、平成28年9月及び平成29年9月に実施された5回目及び6回目の地下核実験を主たる対象として、原子力緊急時支援・研修センターが実施した大気拡散予測に関する一連の対応活動を記述する。さらに、予測計算に使用した計算プログラムシステムの概要について説明するとともに、北朝鮮地下核実験対応における今後の計画と課題を記述する。
佐藤 陽祐*; 滝川 雅之*; 関山 剛*; 梶野 瑞王*; 寺田 宏明; 永井 晴康; 近藤 裕昭*; 打田 純也*; 五藤 大輔*; Qulo, D.*; et al.
Journal of Geophysical Research; Atmospheres, 123(20), p.11748 - 11765, 2018/10
被引用回数:39 パーセンタイル:86.63(Meteorology & Atmospheric Sciences)福島第一原子力発電所事故により放出されたCsの大気中の挙動を理解するため、大気拡散モデル相互比較が実施され、12モデルが参加した。モデルで考慮される過程に起因するモデル間の差異に焦点を当てた解析を行うため、全モデルで同じ気象場、水平分解能、及び放出源情報が使用された。モデルアンサンブルによる観測された大気中
Cs濃度上昇イベントの捕捉率は40%であり、FMSは80を超えた。解析の結果、大気中
Cs濃度上昇イベントの再現には気象場が最も重要な要素であり、気象場の再現性が高い場合のモデル間の差異は、沈着及び拡散過程に起因していることが分かった。また、沈着フラックスが小さいモデル及び拡散が強いモデルは高い性能を示したが、拡散が強いモデルは大気中
Cs濃度を過大評価する傾向を示した。
竹上 弘彰; 野口 弘喜; 田中 伸幸; 岩月 仁; 上地 優; 笠原 清司; 今井 良行; 寺田 敦彦; 久保 真治
Proceedings of 9th International Topical Meeting on High Temperature Reactor Technology (HTR 2018) (USB Flash Drive), 7 Pages, 2018/10
日本原子力研究開発機構では、高温ガス炉を熱源として利用する熱化学法ISプロセスによる水素製造法の研究開発を行っている。ISプロセスの実用化に向けて、主要反応器について耐食性及び処理性能に関する信頼性評価を完了し、これらの成果を基に、全系を実用工業材料で製作した100NL/h-H規模の連続水素製造試験装置を完成させた。本報では、これらのISプロセスの研究開発について、連続水素製造試験及び機器開発の現状・成果について報告する。
門脇 正尚; 堅田 元喜*; 寺田 宏明; 鈴木 崇史; 長谷川 英尚*; 赤田 尚史*; 柿内 秀樹*
Atmospheric Environment, 184, p.278 - 291, 2018/07
被引用回数:16 パーセンタイル:55.98(Environmental Sciences)長寿命放射性ヨウ素(I)は、大気環境における放射性核種の有用な地球化学トレーサである。本研究では、
Iの大気濃度および沈着の観測を実施し、観測データから大気濃度および沈着の明瞭な季節変動を得た。さらに、大気中の
I循環を支配する要因を明らかにすることを目的として、得られた観測データを用いて、移流、乱流拡散、大気沈着、光化学、ガス粒子変換、核燃料再処理工場からの
Iの排出、海洋および陸域からの
Iの揮発の各物理・化学過程を考慮した全球ヨウ素輸送モデルを開発した。全球ヨウ素輸送モデルは、我々が観測した
Iの大気濃度および沈着の季節変動、そして既往文献の
Iの降水中濃度の全球分布を良好に再現した。開発した全球ヨウ素輸送モデルを用いて人為起源と自然起源の
Iインベントリの強度を変化させる数値実験を実施し、地球全体の
I循環に対する人為起源の
Iの影響を評価した。その結果、冬季においては、人為起源の
Iが主にユーラシアの北部に沈着する可能性があることが示された。一方で、夏季においては、自然起源の
Iが北半球中高緯度の沈着に支配的であった。これらの結果は、地球表面からの
Iの再飛散過程が全球規模での
I循環に重要であることを示唆している。さらに、冬季のユーラシア北部や北極域においては局所的に乾性沈着が寄与しており、乾性沈着が環境中の
Iの季節変化に重要な影響を及ぼすことが示唆された。