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甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
Scientific Reports (Internet), 14, p.24722_1 - 24722_15, 2024/10
放射線DNA損傷の直接・間接効果を推定するには、水の放射線分解に関する科学的知見が不可欠である。水の放射線分解により生じる二次電子は、この二つの効果に関与する。ここでは、第一原理計算コードを用いて、水への20-30eVのエネルギー付与の結果生じた二次電子のフェムト秒ダイナミクスを計算し、ナノサイズの極微小な空間領域に生成される放射線分解化学種の形成メカニズムを解析した。その結果から、水の放射線分解によって生成される化学種は、付与エネルギーが25eVを超えると数ナノメートルの極微小領域で高密度化し始めることを明らかにした。本研究成果は、細胞死のような生物学的影響を引き起こすと考えられているクラスターDNA損傷の形成について重要な科学的知見となる。
土田 秀次*; 手塚 智哉*; 甲斐 健師; 松谷 悠佑*; 間嶋 拓也*; 斉藤 学*
Journal of Chemical Physics, 161(10), p.104503_1 - 104503_8, 2024/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Physical)高速イオンビームは、生体細胞内の水との相互作用によって生成される二次電子などの化学生成物によってDNAに損傷を与えるが、粒子線治療で用いられるブラッグピーク領域におけるこれらの化学生成物の生成過程は完全には理解されていない。この過程を調べるために、真空中の液体水ジェットにMeVエネルギーの炭素ビームを照射したときに生成される放射線分解物の収率を評価する実験を行った。さらに、放射線輸送モンテカルロコードを用いて、入射イオンと二次電子による水中の電離過程をシミュレーションした。その結果、水中でのイオン化の主な原因は二次電子であることがわかった。最後に、これらの素過程は、DNA損傷の形成機構を研究する放射線生物物理学や生化学の発展に寄与することを示す。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(46), p.32371 - 32380, 2023/11
被引用回数:1 パーセンタイル:20.85(Chemistry, Multidisciplinary)水の光分解・放射線分解の科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水へのエネルギー付与の結果生じる水和電子の空間分布(スパー)の形成メカニズムは未だ良く分かっていない。スパー内に生じる水和電子、OHラジカル及びHOの化学反応時間は、このスパー半径に強く依存する。我々は先行研究において、特定の付与エネルギー(12.4eV)におけるスパー形成メカニズムを第一原理計算により解明した。本研究では付与エネルギーが11-19eVにおけるスパー半径を第一原理計算した。本計算のスパー半径は3-10nmであり、付与エネルギーが8-12.4eVにおける実験予測値(~4nm)と一致し、付与エネルギーの増加に伴いその半径は徐々に拡大することがわかった。本研究で得られたスパー半径は新たな科学的知見であり、放射線DNA損傷の推定などに幅広く活用されることが期待できる。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(11), p.7076 - 7086, 2023/03
被引用回数:4 パーセンタイル:62.38(Chemistry, Multidisciplinary)水の放射線分解に関する科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水の分解生成物であるラジカルの生成メカニズムは未だ良く分かっていない。我々は、放射線物理の観点から、この生成メカニズムを解く計算コードの開発に挑戦し、第一原理計算により、水中の二次電子挙動は、水との衝突効果のみならず分極効果にも支配されることを明らかにした。さらに、二次電子の空間分布をもとに、電離と電子励起の割合を予測した結果、水和電子の初期収量の予測値は、放射線化学の観点から予測された初期収量を再現することに成功した。この結果は、開発した計算コードが放射線物理から放射線化学への合理的な時空間接続を実現できることを示している。本研究成果は、水の放射線分解の最初期過程を理解するための新たな科学的知見になることが期待できる。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 伊東 祐真*; 横谷 明徳*
no journal, ,
生体への放射線照射は極まれに生物影響を誘発する複雑なDNA損傷を形成する。この複雑なDNA損傷はクラスター損傷と呼ばれ、実験により検出することは非常に困難である。そこで本研究では、DNA損傷を解析するための物理コードと化学コードを開発し、クラスター損傷の形成メカニズム解明に取り組んでいる。今回、DNAにエネルギーが付与され、二次電子が放出されるシンプルな体系における計算結果を解析した結果、クラスター損傷の形成メカニズムはDNAに付与されるエネルギーに強く依存することが示された。この科学的知見はDNA損傷の修復機構の解明に貢献し、放射線生物影響の解明に繋がることが期待される。