Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
飛田 健次; 西尾 敏*; 榎枝 幹男; 中村 博文; 林 巧; 朝倉 伸幸; 宇藤 裕康; 谷川 博康; 西谷 健夫; 礒野 高明; et al.
JAEA-Research 2010-019, 194 Pages, 2010/08
発電実証だけでなく、最終的には経済性までを一段階で見通しうる核融合原型炉SlimCSの概念設計の成果を報告する。核融合の開発では、これまで、1990年に提案されたSSTR(Steady State Tokamak Reactor)が標準的な原型炉概念とされてきたが、本研究はSSTRより軽量化を図るため小規模な中心ソレノイドを採用して炉全体の小型化と低アスペクト比化を図り、高ベータ及び高楕円度(グリーンワルド密度限界を高めうる)を持つ炉心プラズマにより高出力密度を目指した。主要パラメータは、プラズマ主半径5.5m,アスペクト比2.6,楕円度2.0,規格化ベータ値4.3,核融合出力2.95GW,平均中性子壁負荷3MW/mとした。この炉概念の技術的成立性を、プラズマ物理,炉構造,ブランケット,超伝導コイル,保守及び建屋の観点から検討した。
飛田 健次; 西尾 敏; 榎枝 幹男; 川島 寿人; 栗田 源一; 谷川 博康; 中村 博文; 本多 充; 斎藤 愛*; 佐藤 聡; et al.
Nuclear Fusion, 49(7), p.075029_1 - 075029_10, 2009/07
被引用回数:137 パーセンタイル:97.72(Physics, Fluids & Plasmas)最近の核融合原型炉SlimCSに関する設計研究では、おもに、ブランケット,ダイバータ,材料,保守を含む炉構造の検討に重点を置いている。この設計研究における炉構造の基本的考え方とそれに関連する課題を報告する。楕円度のついたプラズマの安定化と高ベータ化のため、セクター大の導体シェルを交換ブランケットと固定ブランケット間に設置する構造とした。また、ブランケットには、加圧水冷却,固体増殖材を採用することとした。従来の原型炉設計で検討していた超臨界水冷却を利用するブランケット概念に比べ、トリチウム自給を満足するブランケット概念の選択肢はかなり絞られる。ダイバータ技術やその材料について考慮すると、原型炉のダイバータ板での熱流束上限は8MW/m以下とすべきであり、これは原型炉で取り扱うパワー(すなわち、アルファ加熱パワーと電流駆動パワーの和)に対して大きな制約となりうる。
飯村 光一; 小川 光弘; 冨田 健司; 飛田 正浩
JAEA-Technology 2009-021, 71 Pages, 2009/05
JMTRは、平成23年度から照射試験の再稼働に向け、燃料異常過渡試験の準備を進めている。燃料異常過渡試験は、シュラウド照射装置(OSF-1)及びヘリウム3出力制御型沸騰水キャプセル照射装置(キャプセル制御装置,ヘリウム3出力可変装置及び沸騰水キャプセルから構成)を使用して、BWR高燃焼度燃料でBWRの照射環境を模擬し、出力急昇時の燃料挙動を評価する試験である。燃料異常過渡試験で取り扱う燃料試料が、さらに高燃焼度燃料(50GWD/t-UOから110GWD/t-U)になることから、燃料試料破損時における安全評価のため、線量の再評価を行う必要がある。本報告書は、燃料異常過渡試験で燃料試料の破損に至った場合、核分裂生成物がキャプセル制御装置及び沸騰水キャプセルに流出したときの各機器の線量当量率の評価及び取扱う放射線業務従事者の被ばく評価をまとめたものである。
小川 光弘; 飯村 光一; 冨田 健司; 飛田 正浩
JAEA-Technology 2009-017, 254 Pages, 2009/05
JMTR(Japan Materials Testing Reactor)では、平成23年度の再稼働に向けて照射施設の整備を進めている。照射施設の整備に伴い使用する燃料の照射条件等の変更から、JMTRの核燃料物質使用施設からの直線ガンマ線及びスカイシャインガンマ線による周辺監視区域境界における外部被ばくによる実効線量の再評価を実施した。評価方法は、照射施設における核燃料物質の最大使用量から、核種生成崩壊計算コード「ORIGEN2」を用いて線源強度を求め、これに建屋等の体系をモデル化し、しゃへい計算コード「G33-GP2」及び「QAD-CGGP2」を用いて周辺監視区域境界上の線量当量率を算出した。評価の結果、当該施設からの直接ガンマ線及びスカイシャインガンマ線による周辺監視区域境界における年間の実効線量は十分に低いことが確認された。
飛田 健次; 西尾 敏; 佐藤 正泰; 櫻井 真治; 林 孝夫; 芝間 祐介; 礒野 高明; 榎枝 幹男; 中村 博文; 佐藤 聡; et al.
Nuclear Fusion, 47(8), p.892 - 899, 2007/08
被引用回数:57 パーセンタイル:86.6(Physics, Fluids & Plasmas)コンパクトな核融合原型炉概念SlimCSについて報告する。この原型炉は通常のトカマク炉と比べると小規模な中心ソレノイドコイル(CS)を採用している点に特徴がある。通常、CSの主要な役割はポロイダル磁束の供給とされるが、これをプラズマ形状制御とみなすことでCSの大幅な小型化が可能であり、これによりトロイダルコイルの軽量化しいては炉本体重量の低減が期待できる。さらに、CSの小型化はプラズマの低アスペクト比(=2.6)化を可能にし、高楕円度,大プラズマ電流化,高ベータ化など炉心プラズマの高出力密度を実現するうえで望ましい条件が整う。この結果、SlimCSはARIES-RSのような先進トカマク炉概念と同規模の炉寸法でありながら、比較的無理のない炉心プラズマ条件でほぼ同等の核融合出力を発生するメリットを持つ。
飛田 健次; 西尾 敏; 佐藤 正泰; 櫻井 真治; 林 孝夫; 芝間 祐介; 礒野 高明; 榎枝 幹男; 中村 博文; 佐藤 聡; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2006/10
コンパクトな原型炉を実現するための新概念を提案する。原型炉で見通しうる保守的な設計パラメータでありながら、経済的実用炉の設計例ARIES-RS, CRESTと同規模にコンパクトな原型炉が実現できる可能性を示した。本研究で提案する炉SlimCSは、主半径5.5m、アスペクト比2.6、最大磁場16.4T、核融合出力2.95GWの原型炉であり、規格ベータ値2、規格化密度0.4のときにゼロ電気出力、規格ベータ値4.3,規格化密度1.1の定格運転では1GW程度の正味電気出力を発生する。この概念の特徴は、小規模な中心ソレノイド(CS)を設置することによって形状制御等の炉心プラズマにかかわる技術的困難を回避しつつ、トロイダル磁場コイルをできる限り中心軸に近づけて設置し、プラズマを低アスペクト比化したことである。これによりトロイダル磁場コイルの蓄積エネルギーが大幅に減少し、トロイダル磁場コイルの物量、ひいては炉本体の建設コストの削減に寄与しうる。また、低アスペクト比のため高楕円度及び高ベータ限界が期待され、このようなコンパクトな原型炉が構想可能になる。
飛田 健次; 西尾 敏; 榎枝 幹男; 佐藤 正泰; 礒野 高明; 櫻井 真治; 中村 博文; 佐藤 聡; 鈴木 哲; 安堂 正己; et al.
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1151 - 1158, 2006/02
被引用回数:123 パーセンタイル:99.01(Nuclear Science & Technology)原研における発電実証プラント設計検討では、中心ソレノイド(CS)の機能に着目して3つの設計オプションを検討中である。これらのうち、主案はCSの機能をプラズマ形状制御に限定してコンパクトにすることによりトロイダル磁場コイルの軽量化を図ったものであり、この設計オプションの場合、主半径5.5m程度のプラズマで3GWの核融合出力を想定する。本プラントでは、NbAl導体による超伝導コイル,水冷却固体増殖ブランケット,構造材として低放射化フェライト鋼,タングステンダイバータなど近未来に見通しうる核融合技術を利用する。プラントの設計思想及び要素技術に対する要請を述べる。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 江里 幸一郎; 濱田 一弥; 市毛 尚志; 礒野 高明; et al.
Nuclear Fusion, 44(2), p.329 - 334, 2004/02
超伝導トカマク装置へのJT-60改修が計画されている。原型炉に繋がる先進的な核融合技術として、JT-60改修装置(JT-60SC)の設計のために超伝導マグネット技術やプラズマ対向機器を開発した。JT-60SCの超伝導トロイダル磁場コイル用として、高い臨界電流密度を可能とする、高い銅比4のニオブアルミ超伝導素線を新規に開発し、量産化に成功した。この素線と、突合せ溶接で作った全長30mの丸穴四角のステンレス製コンジットを用いて、実機サイズのケーブル・イン・コンジット導体を製作した。この導体を使用して、リアクト&ワインド法(熱処理後に巻線作業を行う製作方法)を実証するR&Dを進めている。ニオブアルミ導体の歪み劣化が小さいことを利用したこの製作方法は、将来の大型コイル製作の技術的な信頼性向上と低コストに繋がる先進的な超伝導技術として注目されている。JT-60SCのダイバータへの熱負荷10-15MW/mに耐える機器として、スクリュウ管を銅製ヒートシンクに設け、これと炭素繊維複合材,緩衝材を一体ロウ付けすることで、良好なプラズマ対向機器を開発した。電子ビーム照射試験により、この対向機器は従来のスワール管の場合と比較して約1.5倍の高い熱伝達率を達成することを明らかにした。
逆井 章; 石田 真一; 松川 誠; 秋野 昇; 安藤 俊就*; 新井 貴; 江里 幸一郎; 濱田 一弥; 市毛 尚志; 礒野 高明; et al.
Nuclear Fusion, 44(2), p.329 - 334, 2004/02
被引用回数:7 パーセンタイル:22.95(Physics, Fluids & Plasmas)超伝導トカマク装置へのJT-60改修が計画されている。原型炉に繋がる先進的な核融合技術として、JT-60改修装置(JT-60SC)の設計のために超伝導マグネット技術やプラズマ対向機器を開発した。JT-60SCの超伝導トロイダル磁場コイル用として、高い臨界電流密度を可能とする、高い銅比4のニオブアルミ超伝導素線を新規に開発し、量産化に成功した。この素線と、突合せ溶接で作った全長30 mの丸穴四角のステンレス製コンジットを用いて、実機サイズのケーブル・イン・コンジット導体を製作した。この導体を用いて、リアクト&ワインド法(熱処理後に巻線作業を行う製作方法)を実証するR&Dを進めた。ニオブアルミ導体の歪み劣化が小さいことを利用したこの製作方法は、将来の大型コイル製作の技術的な信頼性向上と低コストに繋がる先進的な超伝導技術として注目されている。JT-60SCのダイバータへの熱負荷10-15MW/mに耐える機器として、スクリュウ管を銅製ヒートシンクに設け、これと炭素繊維複合材、緩衝材を一体ロウ付けすることで、良好なプラズマ対向機器を開発した。電子ビーム照射試験により、この対向機器は従来のスワール管の場合と比較して約1.5倍の高い熱伝達率を達成することを明らかにした。
植田 祥平; 江森 恒一; 飛田 勉*; 高橋 昌史*; 黒羽 操; 石井 太郎*; 沢 和弘
JAERI-Research 2003-025, 59 Pages, 2003/11
高温工学試験研究炉(HTTR)の出力上昇試験を実施した。HTTRの燃料性能を評価するため、原子炉保護設備の1次冷却材放射能計装,燃料破損検出装置(FFD),1次冷却材サンプリング設備により1次冷却材中の放射能濃度を測定した。その結果、1次冷却材中放射能濃度は10Bq/cm以下であり、Kr及びXe核種の濃度は0.1Bq/cm以下であった。Kr放出率(R/B)値は、原子炉出力60%以下において約210、定格30MW出力時において約710であった。事前解析によるKr放出率の予測値は、測定値とよく一致し、希ガスの放出機構が、燃料コンパクトマトリックス部の汚染ウランの核分裂により生成し、反跳から拡散へと変化することが示された。
阿部 勝憲*; 長谷川 晃*; 佐藤 学*; 飛田 公一
JNC TY9400 2002-010, 45 Pages, 2002/03
稀ガスイオンビームによる隆起あるいは剥離を制御した新しい表面加工技術を確立した。希ガスイオンを固体に照射することにより特定の形状に表面を隆起あるいは剥離させる技術を応用し、温度履歴記憶素子の作成を試みた。温度履歴記憶素子の模擬材料として炭化ケイ素表面の直径2mmの 範囲に約1000個の隆起部からなる温度モニターアレーを作製した。温度モニタ材として必要と考えられる基本的な挙動を明らかにし、また電子顕微鏡による隆起領域の微細組織観察を実施し、加熱による形状変化の機構を考察した。測定温度範囲に対応し、注入したヘリウムガスの内圧による表面剥離を活用する方法と熱活性化過程で体積収縮により生じる内部圧力による表面剥離を活用する方法の 2つの機構での温度モニタの可能性が示された。
曾我 知則; 飛田 公一; 三次 岳志; 宮川 俊一
サイクル機構技報, (8), p.13 - 22, 2000/09
「常陽」制御棒の寿命はB4Cペレットのスエリング及びロケーションに起因する吸収材-被覆管の機械的相互作用(ACMI)によって約40E(+26)cap/m3に制限されている。この問題を解決し長寿命化を図るため、シュラウド管を装着したNaボンド型制御棒の開発を進めてきた。本構造におけるACMI及び吸収材-被覆管の化学的相互作用(ACCCI)等の挙動評価の結果、 約120E(+26)cap/m3までの高燃焼度化が可能であるとの結論を得た。また一連の試験研究によって炉内Na充填機構の信頼性を確認し、使用済制御棒の処理についても見通しを得た。本制御棒は2002年以降、「常陽」での運用を開始する計画である。
飛田 公一
日本原子力学会誌, 42(11), 4 Pages, 2000/00
「常陽」運転用制御棒として従来に対し約3倍の取替寿命の延長を可能とするNaボンド型制御棒を新たに開発した。よって、本技術開発を広く公開するため日本原子力学会誌NEWS覧にサイクル機構の動きとして投稿し、その概要を紹介する。主な内容は、「常陽」制御棒の寿命はこれまでの使用経験からB4Cペレットのスエリングやリロケ-ションによる被覆管との機械的相互作用(ACMI)により決定されていたが、今回シュラウド管を装着したNaボンド型制御棒の開発により、BCペレットと被覆管ギャップの拡大を図り、これにより使用開始からACMIの発生までの期間を大幅に延長することで約3倍の寿命延長を可能としたものである。
有井 祥夫; 冨田 直樹; 前田 彰; 小林 孝良; 伊東 秀明; 飛田 公一; 山下 芳興
日本原子力学会誌, 38(7), p.577 - 584, 1996/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)高速実験炉「常陽」は、燃料・材料の照射施設として、わが国のFBRの実用化に向けた高性能燃料・材料の開発ばかりでなく、外部機関から多種多様な照射試験への対応が要求される。このような状況の下に、炉心の高中性子束化、照射運転時間の増大および照射技術の高度化計画(MK-III計画)の検討を進めてきた。本稿では、このMK-3計画の概念と炉心及び冷却系設備等の設計結果について報告する。なお、設計の改造は、稼働中のプラントであるという制約条件を踏まえて行うものであり、その概要についても報告する。
蔦木 浩一; 関 正之; 飛田 典幸; 長井 修一朗; 西山 元邦; 井坂 和彦*; 平子 一仁*
PNC TN8410 91-256, 64 Pages, 1991/05
高強度フェライト/マルテンサイト鋼を用いた照射試験計画に先だち,本材料の溶接試験を行いその溶接特性評価の一助とする。TIG及びレーザ溶接法により,高強度フェライト/マルテンサイト鋼を用いて製作した被覆管及び端栓の溶接試験を行った。また本材料は,溶接による焼入れ硬化性を示すため,コールドの焼結炉を用いて溶接後に熱処理(焼きもどし)試験を行った。1. 溶接部断面金相試験において,レーザ溶接の場合は溶接部表面に向かって成長した組織(筋状の組織)が観察された。TIG溶接では,このような現象は観察されなかった。また,結晶粒の大きさはTIG溶接の方が大きくなった。2. 溶接後の溶接部硬さは,どの溶接法の場合も母材よりも大幅に増加した。またレーザ溶接よりTIG溶接の方が硬化度は大きかった。3. 熱処理有り,無し共に引張強度及び単軸クリープ強度は溶接法に関係なく同じような値を示した。
蔦木 浩一; 関 正之; 飛田 典幸; 西山 元邦; 井坂 和彦*; 平子 一仁*
PNC TN8410 91-174, 40 Pages, 1991/02
MA957鋼被覆管を用いての溶接試験に先立ち,被覆管形状を模擬した溶接試験を行いその溶接特性,機械的性質等に関するデータを取得し,同材料の溶接特性評価の一助とする。MA957鋼の棒材を被覆管形状に機械加工し,端栓との溶接をレーザ溶接法により溶接試験を行った。1. 従来の端栓のツバ部をテーパ型に改良することにより,溶接金属部のアンダーカットは改善された。2. 溶接金属部全周に渡り,空孔が多数観察された。3. 引張強度については,常温で約82kg/mm2となりSUS316相当鋼と同等値を示したが,600を超えると急激な強度低下を示した。また内圧バースト試験についても同様な結果が観察された。4. 元素の分散状態としては,空孔部にチタン,イットリウムが凝集しクロムは若干減少した端栓形状を改良することによりアンダーカットは改善できたが,空孔の発生,イットリウムの凝集は解決されなかった。従って,MA957鋼の溶接は融接法であるレーザ溶接法では,健全な溶接ができないため融接法に変る溶接法を検討する必要がある。
長井 修一朗; 上村 勝一郎; 飛田 典幸; 関 正之; 蔦木 浩一; 平子 一仁*; 三島 毅
PNC TN8410 91-010, 49 Pages, 1991/01
PMW(パルス磁気溶接)法による溶接は固相接合法であるため,従来のX線検査では,PMW溶接部の機械的強度を保証するための接合長さの測定は行えない。そこでX線よりも欠陥分解能の高い超音波を利用した溶接部欠陥検査装置の開発を実施した。本報告書は,この検査装置の設計,製作,試運転の結果とPMW試料を用いての溶接部欠陥検査結果について報告する。本装置の組立精度,駆動精度及び欠陥分解能については,設計値を十分満足したが,自動駆動時の試料形状の認識が完全に行えず,自動駆動時の超音波条件の確保が不十分であった。(結論)自動駆動時の実試料形状と探触子トレース形状の誤差は,設計時に想定した試料形状よりも実際は複雑な形状(2段テーパー等)であるため,それに駆動ソフトが追従できずに生ずると考えられる。従って,今後,この駆動用ソフトを改造することにより探触子のトレース形状を確保できると考える。又,それにより探傷条件の安定が計れれば,超音波による溶接部の欠陥検査は,十分に可能であると思われる。
三島 毅*; 飛田 典幸; 関 正之; 蔦木 浩一; 千田 茂久
PNC TN8430 88-004, 41 Pages, 1988/10
PWR燃料要素は,炉内での外圧が高いため燃料要素内の圧力を大気圧より高くしている。その為,燃料要素内にH-を加圧封入した後に,TIG溶接法にて加圧孔のスポット溶接密封を行っている。しかし,TIG溶接法は高圧雰囲気下でアークをスタートさせると電極の消耗が著しく,同一電極での再アークスタートは極めて困難である。このような問題点を解決するため,加圧孔のスポット溶接密封法としてレーザ溶接法が一つの解決策として揚げられている。しかし一方では,レーザ溶接方法は単位面積当たりのエネルギー密度が高いのでジルコニウム合金を形成している主要元素が溶融蒸発してしまい,耐腐食性が減少してしまうとも考えられている。本溶接評価試験は,今後P-サーマル燃料要素及びATR燃料要素の製造にレーザ溶接法が採用できるかどうかを評価するために行った基礎研究である。以下に,試験結果の概要を示す。1)レーザ溶接法の溶接性について。1作業性はTIG溶接法より(はるかに)容易である。2溶接金属部表面にアンダカットが生じる。3溶接金属部の硬さは,母材と比べて約100H-硬化する。この現象はディフォーカス(以下--距離と称す。)を短くするとその傾向が顕著に現れる。4内圧バースト試験では,母材よりも溶接金属部が強くなる。5レーザ溶接法では,0.8--では径が大きすぎ加圧孔を0.5--にする必要がある。(通常TIG溶接では,0.8--)
三島 毅*; 飛田 典幸; 関 正之; 蔦木 浩一; 豊島 光男*; 井坂 和彦*
PNC TN8430 88-006, 73 Pages, 1988/09
(目的)本改良型端栓の溶接評価試験は,FBR燃料要素製造時に従来から使用されているツバ型端栓の欠点を補うために,新たに考案した改良型端栓(端栓と被覆管の嵌合形状がテーパ型になっている端栓)の溶接特性を調査する試験である。(方法)改良型端栓と被覆管を組合せ,TIG溶接法にて溶接を行い,以下に示す項目の溶接特性を評価した。1)改良型端栓と各種被覆管を組合せて溶接を行い,溶接特性を把握する。2)改良型端栓の電極位置の設定誤差許容範囲を把握する。3)改良型端栓製作時の寸法公差の許容範囲を確認する。(結果)溶接を行った結果を以下に示す。1)改良型端栓は,ツバ型端栓より全ての被覆管鋼種において引張強度が優れている。2)改良型端栓は,ツバ型端栓より溶接ビード外径が小さくなる。3)改良型端栓は,ツバ型端栓より電極位置の設定範囲が広い。4)改良型端栓は,ツバ型端栓より端栓加工(嵌合部直径)時の寸法公差許容範囲を広く設定できる。5)改良型端栓は,被溶接物に合わせ溶接条件(電極位置)を変える必要が無い。6)改良型端栓は,ツバ型端栓より溶接時の入熱量を多くする必要があるが,端栓のテーパ部に溝を付けることにより改善できる。(結論)今回試作した改良型端栓の溶接特性は,従来から使用されているツバ型端栓よりも種々な面(機械的特性,溶接性,各種材料への適用性,電極位置の設定位置の誤差許容範囲及び製作時の寸法公差の許容範囲)で優れている事が判明した。特に各種被覆管材料を同一溶接条件で溶接が可能であること。又,電極位置の設定誤差許容範囲が広いことは,自動化工程に無くてはならないことである。以上の内容からしても,本改良型端栓はツバ型端栓より優れている言える。しかし,ツバ型端栓と同等の溶け込み深さを得る為には,溶接時の入熱量を若干ではあるが多くする必要があるが,端栓のテーパ部に溝を付けることにより改善できる。今後は,溝付端栓の溶接特性を把握する試験を実施する。
三島 毅*; 飛田 典幸; 関 正之; 蔦木 浩一; 豊島 光男*; 井坂 和彦*
PNC TN8430 88-003, 59 Pages, 1988/08
「もんじゅ」高燃焼度炉心取替燃料用のバックアップ被覆管材として,試作された改良オーステナイト鋼6鋼種の被覆管について,端栓との溶接性及び溶接部の機械的特性を端栓の材質との関連において把握するための試験を行った。試験は,以下の様に分けて実施した。試験1:改良オーステナイト鋼の被覆管とSUS316相当鋼の端栓を溶接した試験試験2:改良オーステナイト鋼の被覆管と同鋼種の端栓を溶接した試験 以下に試験結果の概略を示す。1外観については,6鋼種共アンダーカット,クラック,ピンホール,着色はみられず,また,溶接ビート幅も全周にわたって均一であった。2断面金相状態については,6鋼種共被覆管肉厚以上の溶け込みがあり,溶接部は,SUS316相当鋼と同様な金属組織が観察された。3溶接部の引張強さは,6鋼種共素管の引張強さに比べ約94%に低下している。また,これらの値はSUS316相当鋼の引張強さと同等な値であった。4内圧バーストについては,6鋼種共被覆管部から破裂した。破裂値は,平均で約1400--/cm2で素管とほぼ同等の値であった。以上の結果から改良オーステナイト鋼の被覆管と端栓の溶接性及び溶接部の機械的特性は、端栓が同鋼種であっても、SUS316相当鋼であっても、同等の結果が得られた。従って、改良オーステナイト鋼被覆管の溶接は、従来通りのTIG溶接法及び溶接条件で可能であることを確認した。