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小泉 智; Putra, A.; 能田 洋平; 山口 大輔; 徳増 崇*; 川勝 年洋*
no journal, ,
固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体(MEA)の構造評価法を中性子小角散乱法を基軸として開発した。従来のピンホール型中性子小角散乱法(SANS)に集光レンズを用いてピンホール法を補強し集光型超小角散乱法を実現した。また完全結晶を活用した ボンゼ・ハート法を活用し測定範囲を10mへ拡張した。これらが観察する空間サイズはMEAのカーボン担体及びそこにおける水分布に相当する。またm以上の観察は、低真空走査電子顕微鏡で補足し、画像をフーリエ変換して散乱との比較を行った。他方、局所構造に関して偏極解析法を併用することで非干渉性散乱を定量化して除去し、ナフィオンのイオンクラスター構造の内部を観察することに成功した。この結果を分子動力学法や粒子散逸法などのマルチスケール計算機シミュレーションの結果と比較し、イオンクラスターの内部構造を実画像化することを試みた。以上のように実空間観察、計算機シミュレーション等を組合せた先端的中性子小角散乱法は、燃料電池の運転性能を向上させるためのMEA材料の設計指針を与える新手法として有用である。
小泉 智; 川勝 年洋*; 徳益 崇*
no journal, ,
固体高分子形燃料電池用の膜電極接合体(MEA)の構造評価法を中性子小角散乱法を基軸として開発した。従来のピンホール型中性子小角散乱法(SANS)では観測が可能な空間サイズはnmから100nmに限定されてきた。そこで集光レンズを用いてピンホール法を補強し集光型超小角散乱法を実現した。また完全結晶を活用した ボンゼ・ハート法を活用し測定範囲を10mへ拡張した。これらが観察する空間サイズはMEAのカーボン担体及びそこにおける水分布に相当する。またm以上の観察は、低真空走査電子顕微鏡で補足し、画像をフーリエ変換して散乱との比較を行った。他方、局所構造に関して従来のSANSでは、水素由来の非干渉性散乱がバックグランドとなり構造解析の支障であった。そこで偏極解析法を併用することで非干渉性散乱を定量化して除去し、ナフィオンのイオンクラスター構造の内部を観察することに成功した。この結果を分子動力学法や粒子散逸法などのマルチスケール計算機シミュレーションの結果と比較し、イオンクラスターの内部構造を実画像化することを試みた。
小泉 智; 陸川 政弘*; 吉田 実留*; 徳増 崇*; Zhao, Y.; 前川 康成
no journal, ,
固体高分子形燃料電池の本格普及に際して、電池システムのコスト削減は急務である。このためには高温低加湿条件で動作する高分子電荷質膜を開発することが必須な課題といえる。例えば標準膜として実績のあるナフィオン(フッ素系高分子)でも、低加湿のもと水の脱離に伴いプロトン伝導性が急激に低下する。このような事情のもと、環境調和性及び廃棄コストに優れる炭化水素系電解質膜で、低加湿のもとで動作する新材料を開発することができれば代替材料となる期待が大きい。炭化水素系電解質膜では、確立された連鎖重合や縮合重合を用いてブロック共重合体などの特殊構造高分子を合成し膜内のミクロ相分離構造を精密化することができる。高分子の1次構造に起因する分子集合体としての2次構造が高分子電解質特性を改善する可能性がある。一般にミクロ相分離等の2次構造は、膜形成のプロセスに強く依存する。特に結晶化が伴う高分子の場合は結晶構造によるミクロ構造の形成が大きく影響を受けるであろう。このため1次構造と膜形成プロセスの組合せを考えれば、これまでに予見されていない優れたプロトン伝導性を実現することが可能かも知れない。この目的のためには高分子合成化学と、構造評価を担当する高分子物性の連携が必須であろう。特にマルチスケールに渡る構造解析が求められる。そこで本研究では電解質膜の2次構造を評価する手法として中性子小角散乱を用いる。特に膜を膨潤させる水の一部を重水で置き換えることで中性子散乱のコントラストを変化させる溶媒置換コントラスト変調法を用いて2次構造の詳細を明らかにすることを目的とした。