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上田 祐生; Micheau, C.; 阿久津 和宏*; 徳永 紘平; 山田 雅子*; 山田 悟史*; Bourgeois, D.*; 元川 竜平
Langmuir, 40(46), p.24257 - 24271, 2024/11
本研究では、パーフルオロヘキサン中のフルオラスリン酸エステル(TFP)からなるフルオラス抽出系において、n-ヘキサン中の有機リン酸エステル(THP)からなる類似の有機抽出系と比較して、より高い金属イオン抽出性能に寄与する主要因を分子レベルで理解するために、硝酸溶液からのZr(IV)イオンの抽出の巨視的挙動を微視的構造情報と相関させた。拡張X線吸収微細構造、中性子反射率測定、中性子小角散乱により、それぞれZr(IV)イオン周辺の局所配位構造、界面における抽出剤分子の蓄積、バルク抽出相における抽出剤分子の構造が明らかになった。その結果、いずれの抽出系においても、界面には抽出剤分子はあまり蓄積しなかった。フルオラス抽出系では、硝酸との接触により凝集体が形成され、Zr(IV)抽出後も残存した。一方、有機抽出系では、二量体のみが形成された。Zr(IV)イオン周辺の局所的な配位構造とバルク抽出相における抽出剤分子の構造の違いが、フルオラス抽出系における高いZr(IV)抽出性能に寄与していると推測している。特に、フルオラス相中のZr(IV)濃度が増加しても凝集体の大きさはほとんど変化せず、これはフルオラス抽出系で相分離が起こらないことと密接に関係していると考えられる。
田中 万也; 山路 恵子*; 升屋 勇人*; 富田 純平; 小澤 麻由美*; 山崎 信哉*; 徳永 紘平; 福山 賢仁*; 小原 義之*; Maamoun, I.*; et al.
Chemosphere, 355, p.141837_1 - 141837_11, 2024/05
本研究では生物性マンガン酸化物を用いて人形峠坑水からのラジウム除去実験を行った。その結果、7.6mgの生物性マンガン酸化物を用いて3L坑水中から98%以上のRaを除去することが出来た。これは固液分配係数に換算すると10 mL/gという非常に高い値となり、生物性マンガン酸化物が実際の坑水処理に有効であることを示している。
Maamoun, I.; 徳永 紘平; 土肥 輝美; 菅野 太志*; Falyouna, O.*; Eljamal, O.*; 田中 万也
Frontiers in Nuclear Engineering (Internet), 2, p.1142823_1 - 1142823_17, 2023/03
テクネチウム99は半減期が長く易動性の高い放射性核種であることから、固相として回収することが困難であるとされてきた。本研究では、新たにFe-Niナノ粒子のTc(VII)除去へ有効性を評価するために、アナログ元素であるRe(VII)の除去実験を行った。その結果、Fe-Niナノ粒子を用いて高い効率で水溶液中からRe(VII)を回収できることが示された。
徳永 紘平
放射化学, (47), p.20 - 23, 2023/03
福島第一原子力発電所事故により放出された放射性核種の挙動の理解とその環境回復は重要な課題であり、この多量で多様な放射性核種が地表・地下環境にてどのように移行・濃集するかを解明することができれば、地球表層の放射性核種を含むあらゆる元素の長期間に渡る物質循環予測研究として、基礎と応用の両面で重要な研究となる。これまで、地球表層における水-堆積物(土壌)、水-鉱物間の元素分配を支配する反応プロセスの理解と、それに基づく元素挙動予測を目指した研究を行ってきた。とくに、放射光X線吸収微細構造(XAFS)法を用いて元素の化学状態を直接決定し、元素挙動に影響する反応を原子・分子レベルで明らかにする研究を進めている。受賞記念講演の特集号として本稿では、これまで進めてきた鉱物への微量元素の分配に関する基礎研究をもとに、長寿命陰イオン放射性核種であるセレン(Se)やヨウ素(I)を効果的に処理処分する手法の開発を行った研究を紹介する。
徳永 紘平; 田中 万也; 高橋 嘉夫*; 香西 直文
Environmental Science & Technology, 57(8), p.3166 - 3175, 2023/02
被引用回数:2 パーセンタイル:39.66(Engineering, Environmental)核燃料の核分裂生成核種の中には半減期が極めて長いものが存在し、それらの適切な処理処分方法の開発は重要な課題である。特に福島第一原子力発電所での汚染水処理において問題となるセレン79(Se)やヨウ素129(I)は、核分裂生成核種の中でも半減期が特に長く、かつ水溶液中からの除去が困難な陰イオンとして存在する(ヨウ素酸(IO)、亜セレン酸(SeO)、セレン酸(SeO))。本研究では、これら長半減期の陰イオン系核種に対する新規の処理処分法として、極めて安定な鉱物であるバライト(BaSO)中にこれらの陰イオンを水溶液中から効果的に取り除いた後に、鉱物の構造内で長期間安定に保持する技術の開発を行った。実験の結果、バライトへのヨウ素酸、亜セレン酸、セレン酸の分配は競合イオンの存在下においても高い除去効率を示した一方、時間の経過に伴う固相からのイオンの溶出が問題として生じた。特に電荷の小さなヨウ素酸に対してその影響は顕著であり、純水条件においては約20%、塩化物イオンや硝酸イオンの競合イオンをそれぞれ含む溶液中においては約60%と固相からの高いヨウ素の溶出が示された。一方で、バライト共沈試料を希薄なリン酸イオン溶液に添加することで、純水のみでの溶出に比べて、陰イオンの溶出量が著しく減少する結果が得られた。これはリン酸イオンがバライト全体を安定化させたことを示しており、他の鉱物では強い抽出剤として働くリン酸イオンが、バライトに対してはイオンの溶出を低減化させることを示している。この効果を系統的に明らかにするために、XAFS法による、バライト表面でのリン酸イオンの吸着メカニズムの解明を行ったところ、リン酸イオンはバライト表面から数ナノメートルの深さにおいてバリウムのリン酸塩の化学形態で存在することが示された。このリン酸イオンの吸着によるバライト表層での二次的な沈殿相の形成により、固相からの元素の溶出が制限され、バライト全体が安定化されたと考えられる。この効果はセレン酸、亜セレン酸、ヨウ素酸の陰イオンを含んだバライト共沈試料においても同様に確認されており、バライトへの共沈とリン酸イオン吸着を合わせた処理を行うことで、放射性陰イオン系核種の溶液中からの効果的な除去と、鉱物構造内での長期的な安定化が可能となる。
徳永 紘平; 高橋 嘉夫*; 香西 直文
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences (Internet), 23, p.14 - 19, 2023/00
The mobility of arsenic (As) in the environment is generally controlled by its association with iron minerals through adsorption, coprecipitation, or surface precipitation. In this study, the host phases of As in the surface soil of a mill tailings pond in Ningyo-toge center (Okayama, Japan) were determined using X-ray absorption fine structure (XAFS) spectroscopy. The XAFS analyses showed that (i) Fe is mainly present as Fe(III) (hydr)oxides such as ferrihydrite and goethite, (ii) As occurs as As(V) and may be retained on such (hydr)oxides via adsorption, and (iii) ferrihydrite and goethite are the host phases of As in the surface soil. Although As(V) retention by ferrihydrite in this mill tailings pond has already been reported, this is the first study to demonstrate As(V) retention by goethite in the field.
酒井 宏典; 徳永 陽; 神戸 振作; Zhu, J.-X.*; Ronning, F.*; Thompson, J. D.*; 小手川 恒*; 藤 秀樹*; 鈴木 康平*; 大島 佳樹*; et al.
Physical Review B, 106(23), p.235152_1 - 235152_8, 2022/12
被引用回数:1 パーセンタイル:10.22(Materials Science, Multidisciplinary)Ni置換系CeCoNiInについて、核四重極共鳴と核磁気共鳴(NQR/NMR)を用いて調べた。=2.3Kの超伝導転移gは、Ni置換によって徐々に下がってゆき、=0.25の時にゼロとなる。超格子を用いた密度関数計算によってNQRスペクトルの帰属を行い、スピン格子緩和率が一様に抑えられ、反強磁性スピン揺らぎがNi置換によって弱められることを明らかにした。=0.25のとき、が、=2Kで極大を示すことがわかった。このことは、遍歴電子の反強磁性スピン揺らぎがネスティングによって打ち消し合っているとして理解できる。
上田 祐生; 江口 綾乃; 徳永 紘平; 菊池 圭*; 杉田 剛; 岡村 浩之; 長縄 弘親
Industrial & Engineering Chemistry Research, 61(19), p.6640 - 6649, 2022/05
被引用回数:1 パーセンタイル:7.14(Engineering, Chemical)近年の世界的なカーボンニュートラルの潮流から廃電子機器などの二次資源からの白金族金属の効果的な分離・精製の向上が求められている。本研究では、Pt(IV)とPd(II)をpH変化のみで分離可能なウレア基を導入したイミダゾリウム型イオン液体(L1)を合成し、その抽出挙動を評価した。従来の有機溶媒-水抽出系におけるウレア型抽出剤では、Pt(IV)とPd(II)を同じpH領域で抽出してしまい、相互分離ができなかった。それに対し、本研究で合成したL1は、低pH領域ではPt(IV)選択性を、高pH領域ではPd(II)選択性を示した。UV-visおよびEXAFSスペクトルによる解析から、L1によるPt(IV)抽出では、外圏錯体を形成し、Pd(II)抽出では内圏錯体を形成していることが示された。さらに、従来の有機抽出系では第三相を生成するような高濃度のPt(IV)抽出後も、L1は第三相を生成することなくPt(IV)を抽出可能であった。
内山 雄介*; 徳永 夏樹*; 東 晃平*; 上平 雄基; 津旨 大輔*; 岩崎 理樹*; 山田 正俊*; 立田 穣*; 石丸 隆*; 伊藤 友加里*; et al.
Science of the Total Environment, 816, p.151573_1 - 151573_13, 2022/04
被引用回数:9 パーセンタイル:67.74(Environmental Sciences)福島県新田川を対象に、台風201326号に伴う出水イベントに着目し、台風通過直後に実施された海底堆積調査結果と、高解像度海洋モデルを併用することによって新田川起源の懸濁態放射性核種の海底での堆積状況を評価した。数値モデルによる底面せん断応力、残差流による懸濁質輸送、局所的土砂収支に対応する侵食・堆積パターンは、現地観測結果を定性的によく説明しており、モデルの妥当性を示すとともに観測による懸濁態Cs分布パターンの形成機構について明確な解釈を与えた。
酒井 宏典; 徳永 陽; 神戸 振作; Zhu, J.-X.*; Ronning, F.*; Thompson, J. D.*; Ramakrishna, S. K.*; Reyes, A. P.*; 鈴木 康平*; 大島 佳樹*; et al.
Physical Review B, 104(8), p.085106_1 - 085106_12, 2021/08
被引用回数:4 パーセンタイル:29.17(Materials Science, Multidisciplinary)典型的な量子臨界金属であるCeCoInは、In元素をZn元素で少量置換することで、反強磁性を誘起できることが知られており、7%Zn置換系では、超伝導も共存する。NQRおよびNMRを用いて、微視的に電子状態を調べた結果、反強磁性はZn置換子周辺で起こり、超伝導は置換子から離れた電子状態が核となって起こり、近接効果により、バルク全体に超伝導が拡がる、という不均一性を見出した。Zn置換子周辺にある局所不均一性は、磁場をかけても残存することも見出した。
徳永 紘平; 高橋 嘉夫*; 田中 万也; 香西 直文
Chemosphere, 266, p.129104_1 - 129104_10, 2021/03
被引用回数:13 パーセンタイル:60.99(Environmental Sciences)本研究ではバライトへの共沈を利用することで、長い半減期と高い溶出性を持つ放射性ヨウ素の陰イオン(ヨウ素酸)を効果的な除去する手法を開発することを目的とする。本研究により、競合イオンの共存下でもヨウ素酸を効果的に除去する条件を見出すとともに、従来使用されていたハイドロタルサイトなどの層状鉱物に比べて2桁以上高い分配効率を達成した。また広域X線吸収微細構造法により、バライト構造内においてヨウ素酸は硫酸イオンと置換されて取り込まれており、電荷の過不足はバリウムイオンの周囲に存在するナトリウムイオンにより補われていることが示唆された。これらヨウ素酸のバライトに対する高い分配効率と強い結合性より、バライトは放射性ヨウ素の除去において有効な処理法であることが示された。
上田 祐生; 菊池 圭*; 徳永 紘平; 杉田 剛; 青柳 登; 田中 万也; 岡村 浩之
Solvent Extraction and Ion Exchange, 39(5-6), p.491 - 511, 2021/00
被引用回数:3 パーセンタイル:11.15(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、三価のランタノイドイオン(Ln)に関する新規フルオラス抽出剤(TFP)を開発し、その抽出分離能力を市販リン酸エステル抽出剤であるリン酸トリブチル(TBP)と比較した。興味深いことに、一般的に炭化水素のフルオロ化は抽出能力を低下させる傾向があるにもかかわらず、TFPはTBPよりも遙かに高いLn抽出および分離性能を発揮した。幾つかの分光的手法および抽出相の組成分析に基づいた微視的および巨視的なLnに関する配位環境の比較から、Ln-TFP錯体は水和水をほとんど有しないだけでなくフルオラス相中にはほとんど水分子が含まれていなかった。これらの結果は、フルオラス溶媒の強力な疎水性が、TFPのLnに対する高い抽出および分離性能をもたらしていることを示唆している。
徳永 智春*; 久野 孝平*; 河上 匠*; 山本 剛久*; 吉越 章隆
International Journal of Hydrogen Energy, 45(28), p.14347 - 14353, 2020/05
被引用回数:4 パーセンタイル:12.57(Chemistry, Physical)グラファイトとカーボンブラックによるCHからのH生成触媒メカニズムを明らかにするために、ガスクロマトグラフィー,放射光その場加熱X線光子分光法(SR-XPS)とTEMによって6員環に加え5員および7員環からなるフラーレンの触媒挙動を調べた。XPSおよびTEM分析から、sp結合からなる複数のリング構造が、CH分解の400以下の低温触媒作用を起こすことが推察された。
徳永 紘平; 香西 直文; 高橋 嘉夫*
Journal of Hazardous Materials, 359, p.307 - 315, 2018/07
被引用回数:30 パーセンタイル:69.93(Engineering, Environmental)本研究では、有効な処理処分技術が乏しい海水中のストロンチウム(Sr)に対する新規の除去法として、バライトへの共沈反応を用いた手法の開発を行った。これらSrのバライトに対する共沈過程を分子レベルで明らかにし、取り込みに最適な条件を見出すことで、天然海水の条件において液相中のSr(1mg/L)の90%以上(分配係数10000kg/L以上)の除去が達成された。このように、バライトへの共沈反応を用いたSr除去はカルシウムなどの競合イオンを多く含む海水の系においても有効であることが示された。
徳永 紘平*; 高橋 嘉夫*
Environmental Science & Technology, 51(16), p.9194 - 9201, 2017/08
被引用回数:46 パーセンタイル:81.36(Engineering, Environmental)バライト(重晶石, BaSO)は、溶解度が低く、安定性が非常に高い鉱物であり、周囲の環境が変化しても元素を保持し続けるため、有害元素を安定に隔離する鉱物として非常に有用である。本論文では、対象元素として、高い毒性を持ち、選択的な除去が難しく、有効な処理処分技術が乏しいセレンのオキソアニオン(セレン酸: SeO,亜セレン酸: SeO)に対して実験を行い、これらの元素の共沈過程を分子レベルで明らかにすることで、溶液中からこれらの元素を効率的に除去するための条件を最適化した。実験の結果、バライトへの亜セレン酸の分配には、鉱物表面への微量元素の吸着のしやすさ(=1化学的な親和性)と鉱物構造内での安定性(=2構造規制)の2つが、またセレン酸の分配には構造規制のみがそれぞれ強く働くことが示され、これらの条件を調整することで溶液からの80%以上の除去がセレン酸、亜セレン酸ともに達成された。
田中 万也; 田中 雅人*; 渡邊 直子*; 徳永 紘平*; 高橋 嘉夫*
Chemical Geology, 460, p.130 - 137, 2017/06
被引用回数:8 パーセンタイル:31.94(Geochemistry & Geophysics)深海海洋底に存在する鉄マンガン団塊・クラストにはPdが海水に比べてかなり濃集していることが知られている。しかし、こうしたPdの濃集機構はこれまでほとんど研究されてこなかった。そこで本研究ではX線吸収微細構造法を用いて鉄マンガン団塊・クラストの主要構成物質であるマンガン酸化物へのPd吸着機構を調べた。その結果、海水を模擬したNaCl水溶液中では塩化物錯体(Cl配位)であるPdはマンガン酸化物表面に吸着する過程で酸素配位に変化することが明らかとなった。さらに、マンガン酸化物表面に吸着したPdは単核二座配位と二核二座配位の2種類の内圏型錯体を形成することが分かった。これら2種類の内圏型錯体の形成は密度汎関数理論を用いた量子化学計算の結果からも支持された。こうした内圏型錯体の形成は、マンガン酸化物-NaCl水溶液間のPd吸着実験から得られた分配係数が大きいことと調和的であると言える。
酒井 宏典; 徳永 陽; 芳賀 芳範; 神戸 振作; Zhu, J.-X.*; Ronning, F.*; Ramakrishna, S. K.*; Reyes, A. P.*; 小手川 恒*; 藤 秀樹*; et al.
no journal, ,
重い電子系超伝導体CeCoInのInサイトをZnで置換すると反強磁性秩序が、CoサイトをNi置換すると超伝導が抑制されることが茨城大の横山らによって報告された。いずれの系も超伝導相や反強磁性相が消失する組成や磁場近傍において、磁化や比熱の非フェルミ液体的振る舞いが観測されている。これら置換効果を微視的に調べるため、NMRを行なっている。当日は、NMR緩和率測定にもとづいて、各相の消失する組成や磁場近傍におけるスピン揺らぎについて議論したい。
上田 祐生; 菊池 圭; 杉田 剛; 徳永 紘平; 元川 竜平; 長縄 弘親
no journal, ,
リン酸トリブチル(TBP)を用いた 従来のPUREXプロセスにおいて多量のZr(IV)が含まれる場合、抽出錯体, 遊離の抽出剤, 酸、および水の凝集を起源として生成する不溶性の第三相や沈殿による目的物の抽出阻害が問題であった。本研究では水にほとんど溶解しないフルオラス化合物に着目し、TBPと同一のリン酸エステル構造を有するフルオラスリン酸エステル抽出剤を合成し、本抽出剤のZr(IV)抽出特性、抽出機構、および第三相生成の抑制効果をTBPと比較検証した。開発した新規抽出剤は、TBPと比較し第三相の生成を著しく抑制するとともに、幅広い硝酸濃度領域においてTBPよりも高いZr(IV)抽出能力を示すことが明らかとなった。
徳永 紘平; 高橋 嘉夫*; 香西 直文
no journal, ,
天然に普遍的に存在する極めて安定な鉱物であるバライト(BaSO)は、放射性核種を除去する鉱物として非常に有用な性質を持つにも関わらず、この分野で用いられることはほとんどない。本研究では、有効な処理処分技術が乏しいセレン・ヨウ素・ストロンチウムに対する新規の除去法として、バライトによる共沈反応を用いた手法の開発を行った。これらイオンのバライトに対する共沈過程を分子レベルで明らかにし、取り込みに最適な条件を見出すことで、水溶液中の80%以上のイオンの除去が達成された。
徳永 紘平; 香西 直文; 高橋 嘉夫*
no journal, ,
福島第一原子力発電所の廃炉作業を速やかに進めると共に、廃炉作業が終了するまでの極めて深刻な課題である汚染水問題を解決するためには、水への溶解性が高い多種の放射性核種を水相から除去する技術の確立が急務である。これらの核種に対する新規の除去法として、本研究では新たに、バライト構造の一部をカルシウム(Ca)などの不純物で置換させ、結晶構造に不安定性を与えたバライト試料(Ca部分置換のバライト試料)を利用した、放射性Srの新しい固定化法の開発を行った。この試料を用いることで、バライトやアンハイドライトの硫酸塩鉱物に比べて、固相へのSrの吸着量に大幅な上昇が見られた(分配係数: 70L/kg14000L/kg)。この時、水溶液中のSr濃度の減少とCa濃度の上昇が同時に起こっていることから、合成した試料のCa成分の結晶構造中での不安定性によりSrの吸着反応が促進したと考えられる。この吸着法により、元素は固相内部に置換され安定化されると推測されるため、従来の手法では処理が難しい福島の海底堆積物中に含まれる放射性Srなどのその場環境での安定化が可能になると期待される。