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冨永 望*; 岩本 信之; 野本 憲一*
AIP Conference Proceedings 1594, p.52 - 57, 2014/05
被引用回数:1 パーセンタイル:48.58(Astronomy & Astrophysics)宇宙で最初の金属汚染は種族IIIの超新星爆発によってもたらされ、その化学組成は超金属欠乏星の組成分布に残されていると考えられている。超金属欠乏星の観測数が増えるにつれ、種族IIIの超新星爆発に関する特性を統計的に制限することができるようになった。我々は金属量[Fe/H]-3.5の超金属欠乏星48天体に対して個々の組成分布を再現する種族III超新星モデルを構築し、超金属欠乏星の組成比から超新星の特性(Fe-56放出量、残される中心天体質量)を見出した。この関係は現在の超新星に比べて、種族III超新星のFe-56放出量が少ない可能性を示唆していた。
冨永 望*; 岩本 信之; 野本 憲一*
Astrophysical Journal, 785(2), p.98_1 - 98_23, 2014/04
被引用回数:97 パーセンタイル:93.14(Astronomy & Astrophysics)宇宙最初の重元素汚染は種族III星の超新星爆発に起因しており、これによる宇宙の化学進化は超金属欠乏(EMP)星の化学組成に残されている。EMP星の観測数の増大により種族III超新星の特性に制限が課せられるようになった。われわれは超新星モデルにより計算された組成をEMP星の化学組成と比較することで種族III超新星の特性を調査した。本研究では特に金属量が太陽の1/3000より小さい金属欠乏星のみを考慮することで、観測されたEMP星の組成とこの組成を再現する超新星の特性との間にある関係を導き出した。これらの関係式からEMP星の組成分布を種族III超新星の特性へ変換することで、現在観測される超新星と比較可能な特性を得た。
冨永 望*; 梅田 秀之*; 前田 啓一*; 野本 憲一*; 岩本 信之
Proceedings of the International Astronomical Union, Volume 4, Symposium S255, p.189 - 193, 2008/06
被引用回数:1 パーセンタイル:48.60(Astronomy & Astrophysics)宇宙で最初の重元素は種族IIIの超新星爆発によって作られた。その痕跡は超金属欠乏星の組成パターンとして残されている。われわれは超金属欠乏星の組成パターンと超新星爆発の元素合成計算から得られたイールドとを比較することにより、種族III超新星における元素合成の性質を調べた。この研究では特に(1)エネルギー注入率を変えたジェット状超新星爆発、及び(2)爆発エネルギーと初期質量を変えた球対称超新星爆発による元素合成に注目している。得られた計算結果によると、超金属欠乏星の多様性[(1)低金属量における高い[C/Fe]比,(2)金属量の変化に伴う組成比の変化の傾向]は種族III超新星の多様性によって説明できることを明らかにした。
冨永 望*; 梅田 秀之*; 前田 啓一*; 岩本 信之; 野本 憲一*
AIP Conference Proceedings 1016, p.49 - 54, 2008/05
2次元特殊相対論的流体コードを用いて種族III 40のジェット状超新星爆発における流体的及び元素合成的な性質を調べ、計算で得られたイールドの組成パターンを金属欠乏星のものと比較した。その結果、鉄族元素の放出及び元素合成を受けていない物質のフォールバックにより超金属欠乏星の組成パターンを再現できることを示した。また、エネルギー注入率の異なるジェット状爆発により金属欠乏星の組成パターンの違いを説明できることを明らかにした。
青木 和光*; 本田 敏志*; Beers, T. C.*; 比田井 昌英*; 岩本 信之; 冨永 望*; 梅田 秀之*; 野本 憲一*; Norris, J. E.*; Ryan, S. G.*
Astrophysical Journal, 660(1, Part1), p.747 - 761, 2007/05
被引用回数:46 パーセンタイル:72.30(Astronomy & Astrophysics)以前の元素組成解析で、MgとScが非常に豊富であることが知られていた超金属欠乏星BS16934-002に対して、さらに詳しい元素組成解析を行った。典型的な金属欠乏星であるHD122563の組成との比較から、BS16934-002は、O, Na, Mg, Al、並びにScの過剰が明らかとなった。しかしながら、炭素,窒素、及び-元素の過剰で知られる超金属欠乏星CS22949-037とCS29498-043とは異なり、炭素と窒素の過剰は見られなかった。このような特異な組成を持った星の元素組成の起源を説明できるモデルはこれまで存在しなかったので、この研究では超新星爆発を起こす前に多くの外層質量を失った大質量星モデルを仮定し、超新星爆発後の元素合成結果との比較及び議論をしている。
冨永 望*; 前田 啓一*; 梅田 秀之*; 野本 憲一*; 田中 雅臣*; 岩本 信之; 鈴木 知治*; Mazzali, P. A.*
Astrophysical Journal, 657(2, Part2), p.L77 - L80, 2007/03
被引用回数:119 パーセンタイル:91.63(Astronomy & Astrophysics)長い継続時間を持つ線バースト(GRB)は明るく大きなエネルギーを持ったIc型超新星(このような超新星は極超新星(HNe)と呼ばれる)と関連があると考えられている。しかし、最近発生したGRB060505と060614では、超新星が観測されなかった。このことから超新星の明るさの上限は、GRBに付随するHNe(GRB-HNe)の約100倍も暗いと推測された。この上限値は、放出されたNiの質量では、約に対応する。このように少ないNi放出量は、暗いII型超新星として観測されている。HNeや暗い超新星は金属欠乏星の形成にも関連していると考えられている。この論文では、相対論的ジェットにより誘発された40の爆発モデルを用いて、爆発や元素合成が計算されている。このモデルは、GRB-HNeや明るい超新星を伴わないGRBを統一的な手法で説明することができる。その結果として、われわれは、明るい超新星を持たないGRBでは、又は、の Niが合成されていると予想する。
岩本 信之; 梅田 秀之*; 野本 憲一*; 冨永 望*; Thielemann, F. K.*; Hix, W. R.*
AIP Conference Proceedings 847, p.409 - 411, 2006/07
金属欠乏星の組成分布は超新星モデルにより全体的にはよく再現されているが、ScやKに対してはモデルによる合成量が少なすぎるために問題となっていた。しかし、最近の超新星シミュレーションによれば、中心に近い放出物質は大量のニュートリノ放射を受けるために、その物質本来の(核子1個あたりの電子数)から大きく変化し 0.5を超えることもあることが報告された。そして、この環境における爆発的元素合成では、ScやZnが多く作られることが示された。われわれは種族IIIの超新星において爆発的Si燃焼が起こる領域のを0.480.58まで変化させて元素合成計算を行った。この結果を使ってSc, K, Znなどの合成量の依存性を議論し、金属欠乏星で観測された組成分布と比較した。
定金 晃三*; 新井 彰*; 青木 和光*; 有本 信雄*; 比田井 昌英*; 大西 高司*; 田実 晃人*; Beers, T. C.*; 岩本 信之; 冨永 望*; et al.
Publications of the Astronomical Society of Japan, 58(3), p.595 - 604, 2006/06
被引用回数:12 パーセンタイル:33.37(Astronomy & Astrophysics)ブラックホール連星にある伴星V4641 Sgrについて分光観測を行い、10元素についてその存在比を得た。その結果、NとNaが太陽と比べて、それぞれ0.8dex程度過剰であることを見いだした。また、ほかの元素(C, O, Mg, Al, Si, Ti, Cr, Fe)を二つの典型的な晩期型B型星と比べた結果、それらの星の組成比の間には顕著な違いがなく、太陽組成と同じであった。V4641 Sgrで観測された組成を説明するようなモデルを構築した結果、ブラックホールの親星の最期に起きた超新星は、Ni-56を放出しない暗いタイプのものであったという示唆を得た。
岩本 信之; 梅田 秀之*; 冨永 望*; 野本 憲一*; 前田 啓一*
Science, 309(5733), p.451 - 453, 2005/07
被引用回数:240 パーセンタイル:97.46(Multidisciplinary Sciences)鉄/水素比が太陽の10万分の1という超金属欠乏星の発見は、これらの星が本当に宇宙で最初に形成された第一世代の小質量星であるのか、という問題を提起した。われわれは、これらの星が第一世代の超新星によって放出された水素やヘリウムよりも重い元素を多く含むガスから誕生した第二世代の星であると主張している。この問題の鍵となるのが、超金属欠乏星で見られる非常に特異な組成分布とその類似点及び相違点である。われわれは、物質混合とフォールバックを仮定した重力崩壊型の暗い超新星により、これらの組成の特徴を再現できることを示した。
岩本 信之; 梅田 秀之*; 冨永 望*; 野本 憲一*; 前田 啓一*
no journal, ,
鉄/水素比が太陽の1/100,000より小さい超金属欠乏星の発見により、超金属欠乏星が実際に宇宙における第一世代の小質量星であるのかどうかという問題が生じている。われわれはこれらの星が第二世代の星であり、第一世代として誕生し爆発した超新星によって放出されたさまざまな元素によって汚染されたガスから誕生したことを明らかにした。この問題を解く鍵となったのは、これらの星が持つ非常に特異な組成分布である。われわれは超新星爆発時に星内部で大規模な混合が起こり、中心付近で合成された鉄族元素などは外側へもたらされ、ごくわずかな量だけ放出されるが、数日後には混合が起こった領域の大部分は強い重力のために、中心に落下して(フォールバック)ブラックホールを形成するというシナリオを用いた。そして、超金属欠乏星や他の鉄/水素比が太陽の1/1,000程度までの金属欠乏星に対しても観測された組成分布を再現することができた。また、このような大規模なフォールバックを起こした超新星はNi-56の放出量が少ないために、超新星の後期の明るさが典型的な超新星と比べてはるかに暗い超新星であったと考えられる。