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下茂 道人*; 丹羽 正和; 宮川 和也; 安江 健一*; 戸野倉 賢一*; 徳永 朋祥*
深田地質研究所年報, (23), p.21 - 34, 2022/00
深田地質研究所と東京大学,原子力機構は、共同研究として、地下深部で生成したガスが断層を通じて地表へ放出されることに着目し、キャビティーリングダウン分光法(CRDS)を用いた可搬型分析装置による大気環境中のメタンや二酸化炭素濃度の時空間変化を迅速に捉えることで、断層の地表分布の調査手法の開発に取り組んでいる。これまでの北海道幌延町における調査により、背斜軸上の尾根部において、メタン湧出箇所を新たに確認した。本稿では、背斜軸に沿ったメタン湧出箇所の連続性やメタンフラックス、地中レーダーによる地下構造調査および既存のボーリング調査結果の再考の結果を報告する。想定背斜軸上の5箇所においてメタンの湧出が確認されたことから、背斜軸に沿い、地下からメタンが滲出している可能性が高いことが確認された。メタン湧出箇所における地中レーダーの結果、滲出点を頂点とする上側に凸の反射面が確認され、滲出点の直下に背斜軸が位置することが確認された。本研究の結果から、CRDSと物理探査、ボーリング調査、地球化学分析を組み合わせることにより、地下の流体移動経路に関する情報が得られる可能性が示された。
宮川 和也; 下茂 道人*; 丹羽 正和; 天野 健治; 徳永 朋祥*; 戸野倉 賢一*
深田地質研究所年報, (22), p.139 - 153, 2021/00
深田地質研究所と東京大学,原子力機構は、共同研究の一環として、地下深部で生成したガス(地下ガス)が断層を通じて地表へ放出されることに着目し、キャビティーリングダウン分光法を用いた可搬型分析装置による大気環境中のメタンや二酸化炭素濃度の時空間変化を迅速に捉えることで、断層の地表分布の調査手法の開発に取り組んでいる。大気環境中のガス濃度の微小変化には、地下ガスのみでなく、動植物や自動車などの複数の放出源の影響が含まれており、測定結果から地下ガス以外による影響を取り除くことで(スクリーニング)、断層の地表分布の推定精度の向上および調査の効率化が期待される。本稿では、各起源ガスの影響調査とスクリーニングの試行例を報告する。自動車の排ガスや人の呼気の影響については、そのほとんどを除外できたが、微生物発酵ガスの影響については、地下ガスとの区別が困難な場合があることが分かった。本共同研究で得られた断層の情報は、令和2年度以降の幌延深地層研究計画において日本原子力研究開発機構(原子力機構)が取り組んでいる課題「地下水の流れが非常に遅い領域を調査・評価する技術の高度化」において地質環境モデルを検討する際に活用できるものである。
下茂 道人*; 丹羽 正和; 宮川 和也; 天野 健治; 戸野倉 賢一*; 徳永 朋祥*
深田地質研究所年報, (22), p.119 - 137, 2021/00
深田地質研究所と東京大学,原子力機構は、共同研究として、地下深部で生成したガス(地下ガス)が断層を通じて地表へ放出されることに着目し、キャビティーリングダウン分光法を用いた可搬型分析装置による大気環境中のメタンや二酸化炭素濃度の時空間変化を迅速に捉えることで、断層の地表分布の調査手法の開発に取り組んでいる。幌延町が位置する天北盆地周辺は、褶曲構造が発達しており、褶曲軸とほぼ平行に大曲断層が同町を南北に縦断している。大曲断層周辺では、地表に油・ガス徴が確認されており、地下から油・ガスが地表に到達する移行経路が存在している可能性が考えられる。本稿では、徒歩測定による大気中メタン濃度測定結果を報告するとともに、ガス滲出箇所の分布や地質構造から想定される大曲断層周辺の地下流体の移行経路について述べる。
下茂 道人*; 丹羽 正和; 宮川 和也; 戸野倉 賢一*; 徳永 朋祥*
no journal, ,
高精度ガス濃度測定による地下の流体移行経路を特定する技術の実用化に向けた研究の一環として、新第三系の珪質岩が分布する北海道幌延町において、地表の大気中メタン濃度測定を実施した。測定箇所には、南北方向に軸を持つ褶曲構造が発達しており、大曲断層が同町を南北に縦断している。大曲断層周辺では、大正昭和初期にかけて、油・ガス田開発を目的とした実施された調査で、地表に油・ガス徴が確認されており、地下から地表に到達する流体移行経路の存在が示唆される。本報では、徒歩測定による大気中ガス濃度測定結果を報告するとともに、ガス滲出箇所の分布や地質構造から想定される大曲断層周辺の地下流体の移行経路について議論した。
下茂 道人*; 丹羽 正和; 天野 健治; 徳永 朋祥*; 戸野倉 賢一*; 松岡 俊文*; Biraud, S.*
no journal, ,
断層や破砕帯は、しばしば地下深部起源のガスが地表に達する移動経路となることから、地表における微量なガス徴をとらえることにより、断層の分布や活動性に関する有用な情報が得られる場合があると期待される。本研究では、キャビティーリングダウン分光法による可搬型の測定装置を用いた数ppbオーダーの計測分解能での極微量メタンガス濃度測定を断層露頭において試みた。その結果、断層沿いでバックグラウンドからは有意に高いメタンガスが再現性良く検知することができ、本装置を用いた断層調査への有効性が期待できる成果となった。
下茂 道人*; 丹羽 正和; 宮川 和也; 安江 健一*; 徳永 朋祥*; 戸野倉 賢一*; Biraud, S.*
no journal, ,
本研究では、幌延地域の断層や褶曲を事例対象として、可搬型高精度ガス測定によって断層や褶曲における地下からのガス移行経路を把握するための調査技術の検証を行い、その有効性を示すことができた。
下茂 道人*; 丹羽 正和; 天野 健治; 徳永 朋祥*; 戸野倉 賢一*; 松岡 俊文*; Biraud, S.*
no journal, ,
本研究では、岐阜県に分布する活断層である阿寺断層を事例対象として、キャビティリングダウン法による可搬型の高精度メタンガス検出装置を用いた活断層調査技術の適用性を検討した。複数地点・方法での観測及び採取したメタンガスの分析からは、本手法が地下深部からの流体移行経路としての断層の検出技術に適用できる見通しが示された。