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村上 健太*; 新井 拓*; 山田 浩二*; 門間 健介*; 辻 峰史*; 中川 信幸*; 鬼沢 邦雄
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 3 Pages, 2024/03
本論文では、長期運転に関連する日本の規制規則、規格、業界ガイドを国際安全規格と体系的に比較することにより、日本の規格・基準の将来像を検討し、日本の規格制度が国際安全規格の勧告を概ね満たしていることを確認した。日本の規格・基準の将来的な改善に関する提言は、5項目に要約された。
村瀬 知志*; 吉川 裕未*; 藤原 孝将*; 深田 幸正*; 寺西 貴志*; 狩野 旬*; 藤井 達生*; 稲田 康宏*; 片山 真祥*; 吉井 賢資; et al.
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 162, p.110468_1 - 110468_6, 2022/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)混合原子価系YbFeOにおける原子価制御の可能性を検討するため、電荷化学的手法によりLiイオンの挿入を試みた。対象物質をLiイオンバッテリー類似のセル状にして実験を行い、Liの挿入による格子定数および原子間距離の系統的変化を観測した。イオンの挿入は、電荷量に換算し300mAh/g以上であった。放射光吸収分光による局所構造観測を行ったところ、LiはYb層とFe層の間に挿入されることが分かった。本測定からは、金属鉄の微粒子が析出することも示唆された。このため、Liの挿入による鉄イオンの原子価の系統的な変化は明瞭に観測されなかった。メスバウア分光法などからは、Liは空間的に不均一に挿入されることが示唆されたものの、本研究の結果は、YbFeOの原子価や物性が電気化学的手法によって制御できる可能性を示すものである。
伊奈川 潤; 北辻 章浩; 音部 治幹; 中田 正美; 高野 公秀; 秋江 拓志; 清水 修; 小室 迪泰; 大浦 博文*; 永井 勲*; et al.
JAEA-Technology 2021-001, 144 Pages, 2021/08
プルトニウム研究1棟では、施設廃止措置計画に従い管理区域解除に向けた準備作業を進めており、その一環として実施した施設内に貯蔵する全ての核燃料物質の搬出を、令和2年12月のプルトニウム等核燃料物質のBECKYへの運搬をもって完了させた。今後計画されている他施設の廃止措置に活かすため、一連の作業についてまとめ記録することとした。本報告書では、運搬準備から実際の運搬作業の段階まで、核燃料物質使用許可の変更申請のための保管室の臨界評価、運搬容器の新規製作と事業所登録、運搬計画の立案・準備作業及び運搬作業等に項目立てして詳細を記録した。
鈴木 慎太郎*; 田久保 耕*; 久我 健太郎*; 髭本 亘; 伊藤 孝; 冨田 崇弘*; 志村 恭通*; 松本 洋介*; Bareille, C.*; 和達 大樹*; et al.
Physical Review Research (Internet), 3(2), p.023140_1 - 023140_12, 2021/05
本論文では常圧において転移温度が20Kに達するYb化合物の発見について報告している。価数揺動物質-YbAlBのAlサイトをMnに置換することで、反強磁性転移温度が極めて高くなるだけでなく、重い電子状態から近藤半導体に近い抵抗の大きな金属状態へと変わることが見出された。
瀬川 優佳里; 堀田 拓摩; 北辻 章浩; 熊谷 友多; 青柳 登; 中田 正美; 音部 治幹; 田村 行人*; 岡本 久人; 大友 隆; et al.
JAEA-Technology 2016-039, 64 Pages, 2017/03
本報告書は、プルトニウム研究1棟の廃止措置に関して施設利用者である研究グループが主体的に取り組んだ準備作業についてまとめたものである。プルトニウム研究1棟は、平成25年度から推進された原子力機構改革において、廃止措置対象施設の一つに選定された。廃止措置の決定により、それまで施設を利用してきた研究グループは、実験器具及び測定機器を撤去し、核燃料物質の一部及び放射性同位元素を他施設へ運搬する必要が生じた。放射化学研究グループでは、廃止措置準備を円滑に実施するため平成27年4月に「プルトニウム研究1棟使用機器撤去作業チーム」を立ち上げ、使用機器の撤去、薬品の処分、放射能汚染した可能性がある水銀の安定化処理、核燃料物質の安定化処理、核燃料物質・放射性同位元素の他施設への運搬グローブボックス汚染状況の調査について計画を立案し実施した。核燃料物質の使用の許可に関わる作業を除き、作業は平成27年12月に完了した。本報告書では、今後の老朽化施設廃止の際に役立てられるように、これらの作業について細目立てし、詳細に報告する。
伊藤 孝; 髭本 亘; 酒井 明人*; 中辻 知*; 辻本 真規*
Physical Review B, 92(12), p.125151_1 - 125151_5, 2015/09
被引用回数:5 パーセンタイル:22.92(Materials Science, Multidisciplinary)The nature of multipolar order and hyperfine-enhanced (HE) Pr nuclear spin dynamics in PrVAl was investigated using the muon spin relaxation technique. No explicit sign of time-reversal symmetry breaking was found below the multipolar order temperature K in a zero applied field as anticipated on the basis of the antiferroquadrupolar (AFQ) order picture proposed by Sakai and Nakatsuji [J. Phys. Soc. Jpn. , 063701 (2011)]. Further evidence of the nonmagnetic ground state was obtained from the observation of HE Pr nuclear spin fluctuations in the MHz scale. A marked increase in the muon spin-lattice relaxation rate (1/) was observed below 1K with decreasing temperature, which was attributed to the perturbation on the HE Pr nuclear spin dynamics associated with the development of AFQ correlations.
伊藤 孝; 髭本 亘; 二宮 和彦; 酒井 明人*; 中辻 知*
Journal of the Physical Society of Japan, 81(Suppl.B), p.SB050_1 - SB050_4, 2012/12
f電子系化合物Al (: Pr, Sm, : Ti, V, Cr)は特異な籠状構造に起因する興味深い物性を示す。イオンは16個ものAl原子からなる「籠」に内包されており、サイトには対称性の高い結晶場が生じる。これにより多極子自由度が活性な結晶場基底が形成され、低温において多極子秩序が生じる。一方、多数のAl原子がイオンに配位することにより、顕著な混成が生じる。混成の度合いは元素の置換によってチューン可能であることから、多極子秩序に関する量子臨界性の系統的研究が可能な系として注目を集めている。本研究では、上述の議論の前提となっている多極子秩序を微視的な観点から検証するために、PrTiAl及びSmAl(: Ti, V, Cr)に対してSR測定を行った。その結果、PrTiAl及びSmAl(: Ti, V, Cr)の秩序変数が、それぞれ電気四極子と磁気多極子であることが明らかになった。
小林 伸司*; 延藤 遵*; 杉山 博一*; 草野 隆司*; 辻 正邦*; 見掛 信一郎; 松井 裕哉
Proceedings of European Rock Mechanics Symposium (EUROCK 2012) (CD-ROM), 13 Pages, 2012/05
原子力機構は、岐阜県瑞浪市において建設中の深地層の研究施設において地質環境調査技術に関する研究開発を行っている。排水処理を考慮すると、湧水量は最少限にとどめる必要がある。瑞浪超深地層研究所の深度460m地点で湧水抑制のためセメントグラウトが行われたが、セメントが浸透しないような割れ目からの湧水が、より深い深度で問題となる可能性がある。本研究では、瑞浪超深地層研究所の深度300m地点において、コロイダルシリカの注入試験と水圧抵抗性試験を実施した。その結果、コロイダルシリカのような溶液型グラウトは微細な割れ目にも浸透し岩盤の透水性を1Lu未満に低下させることができること、9MPa以上の水圧抵抗性を有することを確認した。
中辻 知*; 久我 健太郎*; 木村 健太*; 佐竹 隆太*; 片山 尚幸*; 西堀 英治*; 澤 博*; 石井 梨恵子*; 萩原 政幸*; Bridges, F.*; et al.
Science, 336(6081), p.559 - 563, 2012/05
被引用回数:119 パーセンタイル:95.20(Multidisciplinary Sciences)フラストレートした磁性体においても最低温度まで乱れが残る場合がある。その一例がBaCuSbOであり、微視的に見ると磁気的に非対称である一方、長さ,時間スケールともに平均的に見ると対称な状態にある。われわれは、この物質において静的なヤーンテラー歪を示すことなくCuイオンのハニカム格子が、フラストレートした状態にあることを見いだした。このハニカム格子においては、スピン1/2同士が2次元的にランダムに結合しており、スピンダイマー的なブロードな励起があり、また低エネルギーのスピン自由度が残ることが見られた。
伊藤 孝; 髭本 亘; 二宮 和彦; Luetkens, H.*; Baines, C.*; 酒井 明人*; 中辻 知*
Journal of the Physical Society of Japan, 80(11), p.113703_1 - 113703_4, 2011/11
被引用回数:30 パーセンタイル:78.28(Physics, Multidisciplinary)A muon spin relaxation (SR) study of the cubic ground doublet system PrTiAl is presented. The zero-field SR rate shows no significant change while passing through the phase transition temperature = 2.0 K, indicating that a nonmagnetic order parameter lies behind the ordered state. This is consistent with a ferroquadrupole ordering scenario standing on quadrupole degrees of freedom active in the subspace. We also found that slow spin fluctuations remain even at 0.1 K well below , ascribed to Pr hyperfine-enhanced nuclear magnetism in the nonmagnetic ground state. The electronic exchange constant and Pr nuclear order temperature were estimated to be 0.64 K in the temperature unit and 0.13 mK, respectively, from the Pr nuclear spin fluctuation frequency 5.8(2) MHz at 0.1 K.
延藤 遵*; 辻 正邦*; 草野 隆司*; 見掛 信一郎; 神谷 晃; 石井 洋司
第40回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.179 - 184, 2011/01
瑞浪超深地層研究所掘削工事では、排水処理費等を考慮すると極力湧水を抑制することが望ましい。換気立坑の立坑深度460mまでは、セメント材料を用いたプレグラウチングにより湧水を抑制してきたが、今後の掘削の進展に伴う湧水圧の増大により、セメント材料が浸透しない微小亀裂からもある程度の湧水が発生することが懸念される。そこで、浸透性と耐久性に優れた特殊な溶液型グラウトを用いて、深度300mの水平坑道で試験施工を実施した。その結果、1Luを下回る透水場においても十分な湧水抑制効果を有することが確認された。さらに、グラウト注入区間に9MPa強の水圧を作用させても、水圧作用前後において顕著な透水性の変化は見られず、グラウトによる湧水抑制効果が保たれていることを確認した。
中新 信彦*; 近藤 公伯; 薮内 俊毅*; 辻 和樹*; 田中 和夫*; 鈴木 伸介*; 安積 隆夫*; 柳田 謙一*; 花木 博文*; 小林 尚志*; et al.
Review of Scientific Instruments, 79(6), p.166102_1 - 066102_3, 2008/06
高エネルギー電子線の検出器として利用されるイメージングプレートの絶対感度較正を行った。GeV領域に感度較正範囲を広げるべくSPring-8の入射用ライナックを利用した。この結果、従来の100MeVまでの感度が1GeVまで広げられた。
鳴島 崇*; 服部 高典; 木下 智裕*; Hinzmann, A*; 辻 和彦*
Physical Review B, 76(10), p.104204_1 - 104204_8, 2007/09
被引用回数:25 パーセンタイル:68.81(Materials Science, Multidisciplinary)高圧下における液体Snの構造を19.4GPaの圧力まで放射光X線回折によって調べた。約3-6GPaまでの加圧において、局所構造の異方性を示す特徴の減少、つまりS()の第一ピークの右肩のこぶの現象,第一ピークに対する第二ピーク位置の減少,配位数の増大が見られた。これらの特徴は、液体の局所構造が加圧に伴い単純なものになることを示唆する。しかしながら、さらに高い圧力まで加圧したとき、これらの変化はもはや見られなくなった。その時の構造パラメータは、依然単純液体のものからずれている。このことは、これまでの予想と異なり、液体は単調に単純液体に近づくのでなく、比較的安定な異方的な局所構造を持つ液体を経由することを示している。液体Snの構造変化を液体Si, Geの結果と比較し、14族元素の液体の構造変化の系統性を議論する。
服部 高典; 多賀 尚仁*; 高杉 幸伸*; 木下 智裕*; 鳴島 崇*; 辻 和彦*; 亀卦川 卓美*
Photon Factory Activity Report 2005, Part A, p.42 - 43, 2006/11
放射光を用いたX線回折実験によって、液体III-V化合物の構造の圧力変化を約20万気圧まで系統的に調べた。得られた構造因子,二体分布関数から、高圧下における液体の構造は2つの局所構造(ベータスズ的構造とbcc的構造)によって記述でき、それらの割合が圧力とともに連続的に変化することがわかった。また、III-V化合物は、融解とともに金属的な伝導性を示すが、それにもかかわらず液体中においても広い圧力領域にわたって、共有結合的な構造を保持していることが明らかとなった。
服部 高典; 木下 智裕*; 鳴島 崇*; 辻 和彦*; 片山 芳則
Physical Review B, 73(5), p.054203_1 - 054203_9, 2006/02
被引用回数:24 パーセンタイル:68.72(Materials Science, Multidisciplinary)放射光を用いて、液体CdTeの構造を23.5GPaまで調べた。液体の構造因子S(Q)と二体分布関数g(r)は、配位数の増加とともに、2つの圧力領域1.8-3.0GPaと7.0-9.0GPaで急激に変わった。これは23.5GPaまでに少なくとも3つの安定な液体formがあることを示す。構造変化の起こる圧力幅は、他の四配位共有結合性物質の液体におけるものよりずいぶん小さい。得られたS(Q)とg(r)、他の参照物質のものと比べることにより、液体の最低圧formと中圧formの局所構造は、結晶相におけるもの(閃亜鉛鉱方構造と岩塩構造)であることがわかった。一方、最高圧formの局所構造はCdTe結晶相に見られないものであった。
原 彰男; 辻 隆司*; 西村 瑞恵*; 星 一良*; 八木 正彦*; 川田 耕司*; Hou, J.-Y.*
JAERI-Conf 2005-007, p.270 - 275, 2005/08
石油開発会社で通常的に用いられている物理検層解釈の手法を適用することにより、幌延地域の深部地下に分布する珪藻質泥岩の不均質性の評価を試みた。物理検層解釈には、自然線検層およびEMI検層のデータを用いた。EMI検層のデータ解析に基づき、5種類の堆積相(AE)区分を行った。珪藻質泥岩の堆積相と化学組成、自然線量および電気伝導度の間には明瞭な相関性が認められた。複数のボーリング孔データを対比することにより、珪藻質泥岩の岩相および層厚の空間的な分布状況を認識することができた。岩相および層厚の空間的な分布状況は、幌延地域における堆積環境の変化を反映しているものと考えられる。
原 彰男; 辻 隆司*; 星 一良*; 八木 正彦*; 西村 瑞恵*; 川田 耕司*; Hou, J.-Y.*
International Symposium NUCEF2005, P. 65, 2005/02
幌延地域における堆積岩の不均質性を評価するため、自然線検層とelectrical micro imaging(EMI)検層に着目し、堆積岩の物理特性と岩相の違いとの関係を把握するとともに、孔井対比を行い堆積岩の不均質性の空間分布の把握を試みた。本研究の結果、層理面が明瞭に判読できる堆積相AおよびBは自然線量(以下GR値)が低い層準に発達し、かつSiO含有量が多くなる傾向にあるのに対し、層理面が不明瞭な堆積相DはGR値が高い層準に発達し、SiO含有量が少なくなる傾向にある。本解析結果は、原(2004)の指摘、すなわち、GR値の高い地層はAlOの含有量が高く粘土鉱物など陸源性の砕屑物に富むのに対し、GR値の低い地層はSiOの含有量が高く珪藻化石に富むことを支持している。また、自然ガンマ線検層およびEMI検層データに基づく堆積相について、孔井間対比を行うことにより、堆積物の堆積作用や地層の空間分布を推定する上で有意義な層厚分布の情報を得ることができた。
星 一良*; Hou, J.-Y.*; 川田 耕司*; 辻 隆司*; 諏訪部 瑞恵*
JNC TJ8400 2005-009, 67 Pages, 2005/01
堆積岩の不均質場の特性を実測データに基づき定量的に把握する手法を開発することは、サイト特性調査およびそれに基づき実施する性能評価解析において重要な課題となる。本研究では堆積岩の不均質性評価手法を開発する目的で、幌延地域の珪質泥岩を検討し、堆積過程とその後の埋没仮定とを考慮した堆積モデリングソフトウエアを開発した。声問層・稚内層の孔井検層解析により間隙率、泥質分含有量、削剥量の分布と埋没曲線を求め、マーカを対比し年代を推定して地質モデルを構築した。EMI検層解析ではコアの肉眼観察では識別することのできない層状の不均質性が認められ、化学分析によりその要因が珪藻と砕屑物の含有量であることがわかった。地震探査記録をGDI法を用いて解析し、広域的な物性変化の把握を試みた。平成15年度の研究で開発した堆積モデリングソフトウエアの堆積シミュレーション部分の機能を拡張し、これに予測データと実際の孔井データとを比較する機能を追加し、また入力パラメータの最適化を行う機能を追加した。孔井データに基づく幌延地域の地質モデルを用いて堆積モデリングソフトウエアのテストランを行った。
星 一良*; Hou, J.-Y.*; 川田 耕司*; 辻 隆司*; 諏訪部 瑞恵*
JNC TJ8400 2005-008, 138 Pages, 2005/01
堆積岩の不均質場の特性を実測データに基づき定量的に把握する手法を開発することは、サイト特性調査およびそれに基づき実施する性能評価解析において重要な課題となる。本研究では堆積岩の不均質性評価手法を開発する目的で、幌延地域の珪質泥岩を検討し、堆積過程とその後の埋没仮定とを考慮した堆積モデリングソフトウエアを開発した。声問層・稚内層の孔井検層解析により間隙率、泥質分含有量、削剥量の分布と埋没曲線を求め、マーカを対比し年代を推定して地質モデルを構築した。EMI検層解析ではコアの肉眼観察では識別することのできない層状の不均質性が認められ、化学分析によりその要因が珪藻と砕屑物の含有量であることがわかった。地震探査記録をGDI法を用いて解析し、広域的な物性変化の把握を試みた。平成15年度の研究で開発した堆積モデリングソフトウエアの堆積シミュレーション部分の機能を拡張し、これに予測データと実際の孔井データとを比較する機能を追加し、また入力パラメータの最適化を行う機能を追加した。孔井データに基づく幌延地域の地質モデルを用いて堆積モデリングソフトウエアのテストランを行った。
加藤 新*; 川田 耕司*; 増井 泰裕*; 辻 隆司*; 諏訪部 瑞恵*
JNC TJ8400 2003-094, 71 Pages, 2004/02
堆積岩分布地域における高レベル放射性廃棄物の地層処分サイトの選定にあたっては,地下水理の挙動に大きな影響を及ぼす地層の岩相(不均質性)分布を正確に推定することが重要である。堆積岩の岩相は,堆積過程において形成された多様な粒度分布や鉱物組成に由来するものであり,限定されたポイントデータの統計的解析手法では,必要とする十分なスケールの空間的特性を得られない可能性が大きい。そのため,堆積岩の不均質性に対応できるスケールで定量的に岩相を把握する手法を開発することが必要である。本研究は,堆積環境・堆積岩の堆積過程を考慮した前進的モデリングという予測的堆積モデルを用い,幌延地域を対象に堆積岩の岩相分布(不均質特性)を定量的に把握する手法を開発するものである。まず,幌延地域の堆積岩の堆積システムに関する既往研究データで,同地域における声問層・稚内層を中心とした泥質岩の堆積システムについて考察した。また,幌延センターにおいてHDB-1の岩芯を堆積学的観点から再調査を行なった。さらに,孔井データ,物理探査データなどの地質データを収集し,孔井の物理検層・コア分析結果により,泥質岩の岩相・圧密特性について解析を行った。また,地震探査データについては,孔井データより地層境界を解釈し,声問層,稚内層の地下構造図,等層厚線図,復元断面図を作成し,幌延地域における声問層,稚内層の堆積システムについての検討を行った。また,幌延地域の声問層,稚内層を念頭にした堆積岩について,堆積盆スケールでの堆積システムを再現することができる堆積モデルの基本ソフトウエアの開発を行い,さらに今後の改良すべき点についての提案をした。