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山田 隆二*; 國分 陽子; 若月 強*; 安江 健一
フィッション・トラックニュースレター, (29), p.8 - 10, 2016/00
土砂災害や地層処分における将来の地質環境の予測・評価では、発生地域の地形を大きく変える自然現象であるマスムーブメントや断層変位の履歴を復元し長期的な地形の安定性を評価することが重要である。過去に発生した現象により堆積物に埋没した樹木片やその炭化物などを用いた放射性炭素年代測定は履歴解析には有効な手段である。昨今の放射性炭素(
C)年代測定では加速器質量分析(AMS)による同位体比測定が主流となっているが、試料の洗浄過程における化学的前処理にはいくつかの方法があるため、既存文献のデータの収集・解析を行うにあたって、前処理法や分析機関が異なる年代測定結果の比較が可能であるかを検討することが必要である。我々は、島根県・津和野町の土砂堆積物の中から採取した木片や炭質物8試料を用いて、実験条件(化学的洗浄法, 洗浄処理者, 同位体比分析機関)を様々に組み合わせてAMS
C年代測定を行い、化学的前処理法や分析機関の違いが測定結果に与える影響を評価した。得られた年代値のばらつきはあるものの、特定の実験上の要素に起因する系統誤差の影響は小さいと考えられる。
山田 隆二*; 國分 陽子; 若月 強*; 安江 健一
no journal, ,
斜面崩壊、地すべり、土石流などマスムーブメント及び断層変位は、発生地域の地形を大きく変える自然現象であり、将来の地質環境の予測・評価ではそれらの履歴を復元し長期的な地形の安定性を評価することが重要である。過去に発生した現象により堆積物に埋没した樹木片試料などを用いた放射性炭素年代測定に基づいて履歴の復元を行うためには、既存文献のデータをコンパイルし、分析者や前処理法が異なる年代測定結果を比較することが必要となる。本研究では、島根県津和野町の土砂堆積物中から採取した樹木試料を用いて、化学的洗浄法(酸-アルカリ-酸処理、セルロース抽出等)、洗浄処理者や同位体比測定者を様々に組み合わせた放射性炭素年代測定結果を評価した。放射性炭素年代値が約2200年より若い試料では、実験プロトコルに従っている限り、処理者、測定者の違いによる年代値のばらつき、不一致は測定誤差より小さい。約4万5千年の試料では、化学的洗浄法, 処理者, 測定者の組合せによって測定誤差を超えたばらつきが見られるものの、結果の加重平均値は試料採取した露頭層序と一致することから、特定の実験場の要素に起因する系等誤差の影響は小さいと考えられる。
若月 強*; 山田 隆二*; 國分 陽子
no journal, ,
2013年7月28日の豪雨により、島根県津和野町では、溶結凝灰岩地域において多数の表層崩壊と土石流が発生し、河道の側壁や河床が侵食されて、2013年よりも古い斜面変動による堆積物の露頭が断続的に出現した。6つの小流域などの露頭から、土砂堆積と同時に埋没・枯死したと考えられる木片試料を53試料採取して放射性炭素年代測定を実施した。ここで、2万年以前の試料に対しては、測定試料調製の二酸化炭素精製時に段階加熱処理を行ない、汚染の影響を減じた。津和野町名賀では、標高約418m付近の複数地点で堰止め湖堆積物と思われる黒色の粘土層が存在し、地形図から推定される大規模崩壊の堆積箇所よりも上流側に分布する。それらの年代は場所ごとに異なるが、多くが55ka以前から41kaを示すことから、大規模崩壊は5.5万年以前に発生し、それによる堰止め湖は少なくとも4.1万年前まで維持されたと考えられる。また、堰止め湖堆積物からなる露頭の1つでは、53kaから41kaまでの1.2万年間に約3.5mの堆積物が堆積していることから、約0.3m/1000年の堆積速度と計算された。