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日下部 一晃*; 渡邊 雅範; 西内 征司*; 山崎 琢平*; 井上 広海*
環境放射能除染学会誌, 11(1), p.15 - 23, 2023/03
2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散に伴い、福島県をはじめ、広範囲にわたる地域が汚染された。除染や放射性物質の物理減衰等により、福島県内の空間線量率は着実に逓減しているが、放射線被ばくに不安を持つ県民のため、生活圏における除染効果の持続性を確認するとともに、将来的な空間線量率の推移を予測することで、安心に繋がる情報を提供することが重要となる。本報は、除染後の公共施設における除染効果の持続性を継続的且つ詳細に確認するとともに、将来の空間線量率の推移を既存のモデルによって予測できるか確認することを目的とした。除染後の公共施設の空間線量率を定点調査及び歩行調査により測定し、施設毎の空間線量率の変化を定量的に明らかにした。また、実測値と既存のモデルによる計算値を比較し、予測精度について検討した。調査対象としたいずれの施設においても除染後の明らかな再汚染は起きておらず、除染効果が持続していることがわかった。除染後の施設における将来の空間線量率の推移は、既存のモデルにより精度よく予測できることを確認した。
山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09
被引用回数:6 パーセンタイル:84.97(Nuclear Science & Technology)J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。
Chiera, N. M.*; 佐藤 哲也; Eichler, R.*; 富塚 知博; 浅井 雅人; 安達 サディア*; Dressler, R.*; 廣瀬 健太郎; 井上 浩樹*; 伊藤 由太; et al.
Angewandte Chemie; International Edition, 60(33), p.17871 - 17874, 2021/08
被引用回数:2 パーセンタイル:14.88(Chemistry, Multidisciplinary)等温ガスクロマトグラフ法を用いて、105番元素ドブニウム(Db)の単一原子を対象として、揮発性オキシ塩化物を合成し、化学的性質を調べた。同一条件下で同族元素ニオブおよびタンタルの揮発性と比較したところ、NbOCl TaOCl DbOClの関係が得られた。これはDb分子中の共有結合性が周期表からの予想よりも強くなっているためと考えられる。本成果により、超アクチノイド元素の化学的性質に関する理論計算に対する信頼できる実験データを与えることができた。
Patwary, M. K. A*; 金 政浩*; 青木 勝海*; 吉浪 皓亮*; 山口 真矢*; 渡辺 幸信*; 塚田 和明; 佐藤 望*; 浅井 雅人; 佐藤 哲也; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(2), p.252 - 258, 2021/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)重陽子加速器中性子源の設計のため、これまでにLi, Be, Cといった軽元素に対する重陽子核データが数MeVから50MeVの入射エネルギー範囲で系統的に測定されてきた。しかし、二重微分中性子収量(DDTTNY)の実測データについては、特に入射エネルギー18から33MeVの範囲で不足しているのが現状である。この問題を解消するため、本研究では12, 20, 30MeVにおける天然炭素標的に対する()反応からのDDTTNYを多重箔放射化法によって測定した。DDTTNYを導出するためのアンフォールディングにはGRAVELコードを用いた。また、本測定結果を用いて重陽子入射反応計算コードDEURACSの検証を行うとともに、総中性子収量や0放出における微分中性子収量に関する系統式の検証も行った。
塚田 和明; 永井 泰樹*; 橋本 慎太郎; 湊 太志; 川端 方子*; 初川 雄一*; 橋本 和幸*; 渡辺 智*; 佐伯 秀也*; 本石 章司*
Journal of the Physical Society of Japan, 89(3), p.034201_1 - 034201_7, 2020/03
被引用回数:2 パーセンタイル:22.16(Physics, Multidisciplinary)ポリエチレン遮へい中のZnOに、50MeV重陽子とBeによる()反応で生成した中性子を照射することで、Ga, Ga, Zn、並びにCuの特異な生成を実験的に確認した。特に、ポリエチレン遮へい内で得られた収率は、遮へいなしの実験と比較して、約20倍の収量を示した。一方、鉛遮へい内の金属Zn試料の照射におけるGa, Ga, Zn、並びにCuの収量と、ZnO及び金属Zn試料の照射におけるCu, Ni及びZnの収量は、遮へいによる影響はほとんど受けていない。この実験結果は、遮へい条件を調整することで、中性子反応に限らず陽子反応を含む多様で大量の放射性同位元素を、一度の照射で同時に合成できるという加速器中性子の注目すべき特性を示すものである。また、PHITSコードを利用した生成量予測を試み、本実験結果と比較することで、本生成量の特異性について評価した。
菊澤 信宏; 仁木 和昭*; 山本 昇*; 林 直樹; 足立 昌俊*; 渡邉 和彦*
Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.877 - 880, 2019/07
J-PARCのインターロックシステムは、人の安全のための人的保護システム(Personnel Protection System: PPS)および機器を保護するための機器保護システム(Machine Protection System: MPS)に大別される。J-PARCのPPSは2006年のLinacでの部分運用から始まり2009年のハドロン実験施設およびニュートリノ実験施設の稼働で完成した。その後の10年でビデオ監視システムの更新や新しいインターロックの新設などの改善や改良が行われてきた。本報告ではこれらを含めた最近の運用について述べるとともに、信頼性を維持・向上させるために実施している検査やメンテナンスについての現状を報告する。
廣瀬 健太郎; 西尾 勝久; 田中 翔也*; Lguillon, R.*; 牧井 宏之; 西中 一朗*; Orlandi, R.; 塚田 和明; Smallcombe, J.*; Vermeulen, M. J.; et al.
Physical Review Letters, 119(22), p.222501_1 - 222501_6, 2017/12
被引用回数:50 パーセンタイル:91.08(Physics, Multidisciplinary)JAEAタンデム加速器施設で行ったO+U反応における多核子移行チャンネルを用いた実験により、U, Np、およびPuの核分裂質量分布を励起エネルギー1060MeVにおいて測定した。これらのうち、U, Npのデータは本実験により初めて観測された。原子核の殻効果の減衰によって対称分裂すると予想されていた高励起エネルギーにおいても、質量分布が非対称を示すことがわかった。搖動散逸定理に基づく動力学モデル計算との比較から、この振る舞いはマルチチャンス核分裂によるものであることを明らかにした。
湊 太志; 塚田 和明; 佐藤 望*; 渡辺 智*; 佐伯 秀也*; 川端 方子*; 橋本 慎太郎; 永井 泰樹*
Journal of the Physical Society of Japan, 86(11), p.114803_1 - 114803_6, 2017/11
被引用回数:9 パーセンタイル:56.98(Physics, Multidisciplinary)核診断に使われるTcの親核であるMoの生成量の測定と計算を行った。MoはMo(,)Mo反応によって作られ、中性子源はC(,)反応を用いた。中性子のエネルギー範囲は熱領域から約40MeVまでである。測定されたMoの生成量は、最新のC(,)反応の実験データおよびJENDL評価済み断面積を用いて予測された数値計算結果と一致していることが分かった。次に、経済的に適したMoの生成法を模索するため、Mo生成の条件を変えた新しい系統的な数値計算を実施した。考慮した条件は、MoOサンプルの質量、炭素標的とサンプル間の距離、重陽子ビームの半径、照射時間である。得られたMoの生成量より、一つの加速器でMoの日本の需要量の約30%を担うことができることが分かった。また、1日2回MoからTcを溶出することで、Moの需要量の約50%まで引き上げることが可能であることが分かった。
国枝 賢; 岩本 修; 岩本 信之; 湊 太志; 岡本 力; 佐藤 達彦; 中島 宏; 岩元 洋介; 岩元 大樹; 北谷 文人; et al.
JAEA-Conf 2016-004, p.41 - 46, 2016/09
加速器を用いた種々のアプリケーションを開発・設計するための基礎データとして、中性子や陽子入射の高エネルギー核データを整備する必要がある。本研究では、光学モデルや前平衡モデル計算における最新の知見を投入してJENDL/HE-2007の見直しを行うと共に、特に医療分野で需要の高いLiやBe等の核種を新たに加えて、約130核種に対する200MeVまでの中性子・陽子核データライブラリJENDL-4.0/HEを完成させた。本発表においては、ライブラリの概要を説明すると共に、粒子輸送計算コードPHITSやMCNPXを用いた中性子透過計算等における積分検証結果を中心に報告する。
冨澤 宏光*; 佐藤 尭洋*; 小川 奏*; 渡川 和晃*; 田中 隆次*; 原 徹*; 矢橋 牧名*; 田中 均*; 石川 哲也*; 富樫 格*; et al.
High Power Laser Science and Engineering, 3, p.e14_1 - e14_10, 2015/04
被引用回数:6 パーセンタイル:34.43(Optics)自由電子レーザー(FEL)は、共振器を使用しない自己増幅自発放射(SASE)方式を用いている。この方式では、自然放射光を種光としてレーザー発振・増幅するため、発振したレーザー光のスペクトルや時間波形がスパイク状構造になる欠点がある。この問題点を解決するために、短波長光源である高次高調波をFELにインジェクションし、スペクトルや時間波形にスパイク構造のないフルコヒーレント化された極端紫外領域(波長61.2nm)のシードFEL光の発生に成功した。しかしながら、外部からのコヒーレント光をシード光として用いる場合、電子バンチとシード光のタイミングドリフトにより、シードFEL光の出力ゆらぎが大きくなり、発生頻度も減少する問題がある。この問題点を解決するために、電気光学(Electro-Optic: EO)効果を利用したタイミングモニターを開発し、FEL装置の診断セクションに導入した。これにより、シードFEL光(波長61.2nm)の発生頻度が約0.3%から約25%に向上し、最大出力20Jが得られた。また、検討中の水の窓領域でのシードFELについても報告する。
川本 康司; 黒岩 弘; 山田 信人; 大貫 賢二; 大森 一秋; 竹内 竜史; 尾方 伸久; 大森 将樹; 渡辺 和彦
JAEA-Technology 2014-011, 92 Pages, 2014/07
本報告書は、深度500m研究アクセス南坑道における先行ボーリング(12MI32号孔)の調査結果を取りまとめたものである。調査では、地質学的,水理学的,地球化学的データを取得するとともに、地下水水圧の初期状態および坑道掘削時の変化の把握を目的に水圧モニタリング装置を設置した。調査の結果、中粒から粗粒の等粒状組織を示す黒雲母花崗岩が分布し、岩級はCMB級である。断層角礫を伴う小規模断層が48.90mabh付近に認められたが、当初モデルで推定していたS200_13断層およびIF_SB3_13_3断層は認められなかった。割れ目密度は、40.0080.00mabh区間で大きい。孔内湧水は78.83mabhで最大600L/minであった。透水係数は、湧水の少ない区間で2.0E-91.5E-08m/sec、割れ目が集中し湧水量が多い区間で1.1E-051.6E-05m/secの範囲であった。地下水の水質は、Na, Clに富む水質であった。
佐藤 望; 塚田 和明; 渡辺 智; 石岡 典子; 川端 方子; 佐伯 秀也; 永井 泰樹; 金 政浩*; 湊 太志; 岩本 信之; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 83(7), p.073201_1 - 073201_4, 2014/07
被引用回数:13 パーセンタイル:64.07(Physics, Multidisciplinary)本研究により、Zn(,)Cu反応で生成される医療用放射性同位体Cuは、従来法による製造と比較して放射核的純度が非常に高いことが初めて明らかになった。実験は原子力機構高崎研究所のイオン照射研究施設において行われ、中性子源としてエネルギー41MeVの重陽子ビームによるC(d,n)反応が用いられた。中性子照射後、高純度Ge検出器を用いて濃縮Zn試料の線測定を行い、その結果から核反応生成物の放射能を評価した。生成されたCuに対する不純物核種の量は非常に少ないため、ZnからCuを化学分離する過程の簡略化や、高価な濃縮Zn試料の再利用が期待される。この研究結果は、高純度Cu製造に最適な反応系としてZn(,)Cu反応を提案するものであり、Cuの製造法に関する長年の課題を解決できる可能性がある。
菅沼 和明; 富樫 智人; 渡辺 真朗; 金正 倫計
Proceedings of 4th International Particle Accelerator Conference (IPAC '13) (Internet), p.678 - 680, 2014/07
J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、物質生命科学施設(MLF)や50GeVメイン加速器のビーム利用者に陽子ビームを供給している。RCSで181MeVから3GeVに加速され、MLFやMRに陽子ビームを送り出している。この送り出し用機器にキッカーシステムがある。2008年の12月より、ユーザーへの供給が開始されたが、キッカーシステムにおいて多くのトラブルが発生した。特にスイッチング素子であるサイラトロンの問題が発生し、当初、ユーザー運転に対する停止率が、13%にも上った。運転経験と独自の努力で、ビームの停止率を0.5%以下を達成した。
佐藤 尭洋*; 岩崎 純史*; 大和田 成起*; 山内 薫*; 高橋 栄治*; 緑川 克美*; 青山 誠; 山川 考一; 富樫 格*; 深見 健司*; et al.
Journal of Physics B; Atomic, Molecular and Optical Physics, 46(16), p.164006_1 - 164006_6, 2013/08
被引用回数:3 パーセンタイル:19.06(Optics)自由電子レーザー(FEL)は、自己増幅自発放射方式を用いているため、発振したレーザー光のスペクトルや時間波形がスパイク状構造になる欠点がある。この問題点を解決するために、短波長光源である高次高調波をFELにインジェクションし、スペクトルや時間波形にスパイク構造のない極端紫外領域のシード型FELの研究開発を進めている。高次高調波を発生させるドライブレーザーである高出力フェムト秒・チタンサファイアCPAレーザーシステムは、これまで原子力機構で培ったレーザー技術を設計に活かし、レーザーシステムの構築を行った。そして、このドライブレーザーをXeガス中に集光して得られる13次高調波(波長61.7nm)、15次高調波(波長53.4nm)をシード光としてFELへインジェクションし、極端紫外領域でシード型FEL(波長61.2nm)の発振に世界で初めて成功した。また、シードFEL光のコントラスト比についても検討した。この結果について発表する。
富樫 智人; 渡辺 真朗; 菅沼 和明; 高柳 智弘; 植野 智晶; 谷 教夫; 渡辺 泰広; 金正 倫計
Proceedings of 9th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.471 - 473, 2012/08
J-PARC 3GeVシンクロトロンでは、3GeVに加速した陽子ビームの取り出しに、サイラトロンを採用したキッカー電磁石電源を採用しており年間約5,000時間の連続運転が行われている。連続運転を開始した2009年1月の運転では、約13%であった停止率もサイラトロンの適切なconditioning並びに運転維持管理方法の確立により2012年現在では停止率も0.5%以下で推移しており安定な運転を継続維持している。本稿では、RCSにおけるサイラトロンの運用に関する統計と、運転維持管理方法について報告する。
渡辺 真朗; 林 直樹; 菖蒲田 義博; 菅沼 和明; 高柳 智弘; 富樫 智人; 外山 毅*
Proceedings of 3rd International Particle Accelerator Conference (IPAC '12) (Internet), p.3629 - 3631, 2012/05
J-PARC 3GeV RCSは安定運転が要求されるが、繰り返し25ppsの24時間運転開始直後はキッカー電源のサイラトロンの不安定動作による多くのトラブルが生じた。だが、2010年10月には不具合が改善した。2011年3月11日の東日本大震災後に入出射電磁石・電源・ケーブル・バスダクトの健全性を確認した。測定・確認をした結果、特に不具合はなかった。今後RCSはビームパワー1MWを達成させる必要がある。キッカーのインピーダンスはその他のインピーダンス源のなかで一番大きい。われわれは電源に抵抗と新規開発したダイオードを接続することでインピーダンスを下げ、誘起電圧が減少することが確認できた。これにより、加速器を安定に運転することが可能となった。
岡田 雅之*; 仁木 和昭*; 平山 賀一*; 今井 伸明*; 石山 博恒*; Jeong, S. C.*; 片山 一郎*; 宮武 宇也*; 小柳津 充広*; 渡辺 裕*; et al.
Physical Review Special Topics; Accelerators and Beams, 15(3), p.030101_1 - 030101_10, 2012/03
被引用回数:5 パーセンタイル:33.45(Physics, Nuclear)A novel beam-bunching technique has been implemented at a heavy-ion linear accelerator facility by installing a compact two-gap prebuncher and a multi-layer beam chopper. A pulsed beam of 2 to 4 MHz, having kinetic energy up to 1.1 MeV/u, is realized by bunching 2 keV/u continuous beams just upstream of the linac. Around 40% of the continuous beam particles are successively gathered in a single micro-bunch with a time width of around 15 ns in units of full-width at one-tenth maximum. The number of background beam particles over 250 ns just before the bunched beam is well suppressed to less than 10 of the number of bunched particles. This technique has been adopted to generate intense -particle beams for nuclear astrophysics experiments.
富樫 格*; 高橋 栄治*; 緑川 克美*; 青山 誠; 山川 考一; 佐藤 尭洋*; 岩崎 純史*; 大和田 成起*; 沖野 友哉*; 山内 薫*; et al.
Optics Express (Internet), 19(1), p.317 - 324, 2011/01
被引用回数:96 パーセンタイル:96.45(Optics)自由電子レーザー(FEL)は、共振器を使用しない自己増幅自発放射(SASE)方式を用いている。この方式では、自然放射光を種光としてレーザー発振・増幅するため、発振したレーザー光のスペクトルや時間波形がスパイク状構造になる欠点がある。この問題点を解決するために、短波長光源である高次高調波をFELにインジェクションし、スペクトルや時間波形にスパイク構造のないフルコヒーレント化された極端紫外領域のシード型自由電子レーザーの研究開発を進めている。高次高調波を発生させるドライブレーザーである高出力フェムト秒・チタンサファイアCPAレーザーシステムは、これまで原子力機構で培ったレーザー技術を設計に活かし、レーザーシステムの構築を行った。そして、このドライブレーザーをXeガス中に集光して得られる13次高調波(波長61.2nm)をシード光としてFELへインジェクションし、極端紫外領域でシード型FEL(波長61.2nm)の発振に世界で初めて成功した。高次高調波のシーディングによりSASE方式特有のスパイク構造がなくなり、スムーズなスペクトルが得られた。
富樫 智人; 渡辺 真朗; 菅沼 和明; 高柳 智弘; 植野 智晶; 谷 教夫; 渡辺 泰広
Proceedings of 7th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (DVD-ROM), p.579 - 583, 2010/08
大強度陽子加速器施設(J-PARC)の3-GeV RCS(Rapid Cycling Synchrotron)では、3GeVに加速した大強度陽子ビームの取り出しに、サイラトロンスイッチを採用したパルスキッカー電磁石電源システムを利用している。連続運転を開始した当初は、サイラトロンの不安定な動作に起因して停止する事象が最も多く、J-PARC加速器全体の故障率のうち、キッカー電磁石電源システムの故障率が最も高く(約13%)、ビーム運用停止の主因となっていた。この状況を改善するため、サイラトロンの運転状況について詳細管理を徹底して行った。その結果、サイラトロンの最適なオペレーション方法の構築と、故障の予防と保全に基づいた適切なサイラトロン交換時期の見極めが可能となり、2010年4月(Run33)の運転では故障率を0.5%以下にまで改善することができた。本稿では、キッカー電磁石電源システムを安定に稼働するためのサイラトロンオペレーションの現状について報告する。
諫山 明彦; 榊原 悟*; 古川 勝*; 松永 剛; 山崎 耕造*; 渡邊 清政*; 井戸村 泰宏; 坂本 宜照; 田中 謙治*; 田村 直樹*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 86(6), p.374 - 377, 2010/06
この会合報告は、2010年春に開催された国際トカマク物理活動(ITPA)の会合報告を取りまとめたものである。取りまとめたトピカルグループは"MHD安定性", "輸送と閉じ込め物理", "統合運転シナリオ", "ペデスタル物理"及び"高エネルギー粒子物理"の計5グループである。報告内容は、各トピカルグループの国内委員により、各会合で発表されたITER実現に向けた物理課題の解析結果や装置間比較実験報告、また次回会合までに行うべき課題などについてである。