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報告書

東海再処理施設周辺の環境放射線モニタリング結果; 2022年度

國分 祐司; 中田 陽; 瀬谷 夏美; 小池 優子; 根本 正史; 飛田 慶司; 山田 椋平*; 内山 怜; 山下 大智; 永井 信嗣; et al.

JAEA-Review 2023-046, 164 Pages, 2024/03

JAEA-Review-2023-046.pdf:4.2MB

核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2022年4月から2023年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目で見られた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の範囲を外れた値の評価について付録として収録した。

論文

Development of transient behavior analysis code for metal fuel fast reactor during initiating phase of core disruptive accident

太田 宏一*; 尾形 孝成*; 山野 秀将; 二神 敏; 島田 貞衣*; 山田 由美*

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 8 Pages, 2023/05

The experimental analyses of the U-Pu-Zr fuel pin behavior during transient overpower (TOP) tests were performed by CANIS, and the residual cladding wall thickness and molten region of the fuel alloy after the tests, and the reactivity inserted by molten fuel extrusion before the fuel pin failure were compared with the experimental results. On the basis of these analysis results, detailed calculation models were developed for and implemented into CANIS to be made it possible to consider changes in the local properties of the fuel alloys due to redistribution of fuel constituents during steady-state irradiation and in the cladding thinning rate depending on the fuel-cladding interface temperature. The modified CANIS properly predicted fuel behavior and resulting reactivity changes before fuel pin failure in TOP events.

報告書

東海再処理施設周辺の環境放射線モニタリング結果; 2021年度

中田 陽; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 二川 和郎; 根本 正史; 飛田 慶司; 山田 椋平*; 内山 怜; 山下 大智; et al.

JAEA-Review 2022-078, 164 Pages, 2023/03

JAEA-Review-2022-078.pdf:2.64MB

核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2021年4月から2022年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。

報告書

東海再処理施設周辺の環境放射線モニタリング結果; 2020年度

中田 陽; 中野 政尚; 金井 克太; 瀬谷 夏美; 西村 周作; 根本 正史; 飛田 慶司; 二川 和郎; 山田 椋平; 内山 怜; et al.

JAEA-Review 2021-062, 163 Pages, 2022/02

JAEA-Review-2021-062.pdf:2.87MB

核燃料サイクル工学研究所では、「日本原子力研究開発機構核燃料サイクル工学研究所再処理施設保安規定、第IV 編環境監視」に基づき、再処理施設周辺の環境放射線モニタリングを実施している。本報告書は、2020年4月から2021年3月までの間に実施した環境放射線モニタリングの結果、及び大気、海洋への放射性物質の放出に起因する周辺公衆の線量算出結果について、取りまとめたものである。なお、上記の環境放射線モニタリングの結果において、2011年3月に発生した東京電力株式会社(2016年4月1日付けで東京電力ホールディングス株式会社に変更)福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の影響が多くの項目でみられた。また、環境監視計画の概要、測定方法の概要、測定結果及びその経時変化、気象統計結果、放射性廃棄物の放出状況、平常の変動幅の上限値を超過した値の評価について付録として収録した。

論文

New design of a sample cell for neutron reflectometry in liquid-liquid systems and its application for studying structures at air-liquid and liquid-liquid interfaces

阿久津 和宏*; 山田 悟史*; 上田 祐生; 元川 竜平; 成田 弘一*

Applied Sciences (Internet), 12(3), p.1215_1 - 1215_10, 2022/02

 被引用回数:3 パーセンタイル:47.30(Chemistry, Multidisciplinary)

液-液系の界面構造を知ることは、二相系の生物・化学反応の理解には必須である。本研究では、界面の層構造を観察できる中性子反射率(NR)測定用の新しいサンプルセルを開発し、典型的な界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の重トルエン-重水界面への吸着挙動を調べた。開発したセルは、滑らかな界面を作るためにPTFEフレームを底部に配置し、従来のセルに比べて小型化したことが特徴である。得られたNRプロファイルは容易に解析可能であり、重トルエン-重水系と空気-重水系では界面のSDS吸着層構造にわずかな違いがあることがわかった。これは、界面の条件によってSDS分子の吸着挙動が異なることに起因すると考えられる。

論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:49 パーセンタイル:96.63(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

JT-60SA用ダイバータターゲットの製作

山田 弘一*; 櫻井 真治; 中村 誠俊

FAPIG, (187), p.28 - 31, 2014/02

核融合エネルギーの早期実現に向けて日欧協力で「幅広いアプローチ(BA)活動」が実施されており、その中で核融合エネルギーの早期実現を目指した研究開発のために日本原子力研究開発機構でJT-60SAの建設が進められている。JT-60では、高加熱プラズマの維持時間が制限されていたため、真空容器下部に設置されるダイバータターゲットは炭素タイル(C/C材)のネジ止め構造の慣性冷却であったが、改造後のJT-60SAでは100秒間の高熱負荷環境に耐えるためモノブロック構造受熱タイルを冷却管に冶金的接合した強制冷却ダイバータが適用される。しかしながら、受熱タイルと冷却管とでは適用される材料の線膨張率が異なり、その材料接合部間で欠陥が生じやすく、その欠陥が断熱箇所となり所定の除熱性能を得ることが難しい。そのため、当該機器製作では、受熱タイル構造の改善を行うことで対応した。本稿では、高い除熱性能を満足させるダイバータターゲット製作での実施内容について報告を行う。

報告書

地層処分を対象としたグラウト材料の開発,2

川口 昌尚; 中西 達郎; 岸 裕和; 延藤 遵*; 山田 勉*; 藤田 朝雄; 畑中 耕一郎

JAEA-Data/Code 2012-007, 250 Pages, 2012/11

JAEA-Data-Code-2012-007.pdf:20.55MB

地層処分で使用される支保工やグラウトにはセメント系材料を用いることが考えられるため、長期的に岩盤の変質を引き起こし、地層処分システムの長期性能に影響を及ぼす可能性が指摘されている。さらに、地層処分施設の操業にあたっては、湧水量が厳しく制限されることが想定されることから、微細な亀裂に対しても注入可能なグラウト材料の開発が必要となってくる。このため、平成19年度より、既存のグラウト材料と同等以上の施工性・止水性を有し、岩盤への影響を最小限に抑える低アルカリ性(pH$$leqq$$11)のグラウト材料の開発に取り組んでいる。ここでは、平成21年度に取りまとめを行ったJAEA-Data/Code 2010-005の続編として、それ以後のグラウト材料に関する室内試験結果を取りまとめデータ集として報告するものである。

論文

Relationship between hypocentral distribution and geological structure in the Horonobe area, northern Hokkaido, Japan

常盤 哲也; 浅森 浩一; 平賀 正人*; 山田 治; 森谷 祐一*; 堀田 光*; 北村 至*; 横田 秀晴

Proceedings of 13th International Conference on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management (ICEM 2010) (CD-ROM), p.117 - 122, 2010/10

地質環境の長期安定性を考えるうえで、地震・断層活動の特性を理解することが重要である。幌延地域は、北海道北部において地殻変動が活発な地域の一つと考えられている。そこで本研究では、北海道北部幌延地域における震源分布と地質構造の関係について検討を行った。震源分布の推定にあたっては、マルチプレット・クラスタリング解析手法を用いた。地震データは、2003年9月1日から2007年9月30日に観測された421イベントのデータを用いた。一方、地質構造は、反射法地震探査結果を用いたバランス断面図をもとに、三次元地質構造モデルを構築した。両者を比較した結果、深度の違いはあるが、震源は西から東に向かって深くなっていく分布や北北西-南南東方向に分布する傾向は、断層などの地質構造の形態の傾向と似通っていることがわかった。このことから、震源分布と地質構造とは相関関係があり、両者を比較することで、活動域の特定に関して有益な情報を得ることができると考えられる。

論文

地層処分におけるグラウト技術の高度化開発,4; 超微粒子球状シリカグラウトの配合選定試験

山田 勉*; 関根 一郎*; 関口 高志*; 石田 秀朗*; 岸 裕和; 福岡 奈緒美

土木学会平成22年度全国大会第65回年次学術講演会講演概要集(DVD-ROM), p.89 - 90, 2010/09

高レベル放射性廃棄物の地層処分における地下坑道への湧水抑制対策として、岩盤亀裂を対象にグラウト注入が検討されている。そのグラウト材料として、低アルカリ性セメント系グラウト材料の開発、溶液型グラウト材料の適用性検討が進められている。しかしながら、地下深部の高水圧環境において許容湧水量が厳しく制限されることなどを考慮すると、期待する止水効果が得られない可能性がある。そのため、セメント系と溶液型双方の弱点を補う性能が期待される代替材料として、超微粒子球状シリカグラウトを開発した。本稿では各種試験及び推奨配合の選定を行い、推奨配合として、SFCa/B=40.9%, W/B=201%, SP/B=5.5%を選定した。この配合は浸透性に優れるばかりでなく、分散性のよいスラリーで供給されるため、超微粒子粉体を取り扱ううえでのさまざまな課題についても改善されている。

論文

Development of superfine spherical silica grout as an alternative grouting material for the geological disposal of long-lived radioactive waste

内藤 守正; 岸 裕和; 福岡 奈緒美; 山田 勉*; 石田 秀朗*

Proceedings of 18th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-18) (CD-ROM), 7 Pages, 2010/05

放射性廃棄物の地層処分に向けた湧水対策として開発しているグラウト技術開発において、セメント系材料に代わる代替材料として超微粒子球状シリカグラウト材を開発している。この材料は、セメント系材料に比べて1桁以上も粒径サイズの分布が小さいという利点(最大で1ミクロン以下)を活かし、セメント系では対応できない微細な亀裂への充填が期待できるとともに、地層処分で要求される低アルカリ性も確保することも可能である。本件は、地層処分での実用的な観点から種々の室内試験を行い、既に開発されているセメント系材料の特性との比較検討から、その有効性について考察を行い今後の課題等と併せて提示を行った。

論文

Determinations of plutonium and curium in the insoluble materials of spent fuel dissolver solutions at the Tokai Reprocessing Plant

岡野 正紀; 久野 剛彦; 根本 弘和*; 山田 敬二; 綿引 優; 檜山 敏明

Proceedings of INMM 50th Annual Meeting (CD-ROM), 9 Pages, 2009/07

東海再処理施設において、使用済燃料の溶解工程で生成する不溶解物質は、溶解液への同伴を防ぐため、パルスフィルターで除去される。不溶解物質を保持した使用済みのパルスフィルターは、高放射性固体廃棄物として処分されるが、パルスフィルターに捕集された不溶解物質中のPuを定量することは、より正確な計量管理を実行するうえで重要である。現在、燃料の被覆管(ハル)及びガラス固化体中のPuの定量には、Cmから生ずる中性子線を計測し、サンプルの測定データ及び燃焼計算コードから求めたPuとCmの比(Pu/Cm比)から、間接的にPu量を評価する非破壊分析法が適用されており、パルスフィルター中のPu量測定にも同様の手法が検討されている。本研究では、中性子線測定による使用済みパルスフィルター中のPu定量手法の確立に必要な分析データを取得するため、使用済燃料溶解液中に含まれる不溶解物質を対象とし、硫酸水素アンモニウム融解法により不溶解物質を溶解した後、Puを固相抽出法により分離、Cmを溶媒抽出法により精製し、$$alpha$$スペクトロメトリによる定量を試みた。この結果、不溶解物質中のPu量とCm量は、それぞれ、数$$sim$$数十mg/g, 数十$$sim$$数百ng/gオーダーであった。

論文

Momentum-resolved charge excitations in high-$$T$$$$_{rm c}$$ cuprates studied by resonant inelastic X-ray scattering

石井 賢司; Hoesch, M.*; 稲見 俊哉; 葛下 かおり*; 大和田 謙二; 坪田 雅己; 村上 洋一; 水木 純一郎; 遠藤 康夫; 筒井 健二*; et al.

Journal of Physics and Chemistry of Solids, 69(12), p.3118 - 3124, 2008/12

 被引用回数:3 パーセンタイル:17.92(Chemistry, Multidisciplinary)

Resonant inelastic X-ray scattering (RIXS) in the hard X-ray regime is a new spectroscopic technique to measure electronic excitations utilizing brilliant synchrotron radiation. It has the great advantage that the momentum dependence can be measured unlike conventional optical methods. As inelastic neutron scattering gives spin or lattice dynamics, inelastic X-ray scattering can be a tool to measure charge dynamics in solids through the coupling of photon to the charge of the electron. Here, I would like to present our RIXS studies on high-$$T_c$$ cuprates and related materials which were performed in close collaboration with theorists. In doped Mott insulators, an interband excitation across the Mott gap and an intraband excitation below the gap are observed in the low energy region of RIXS spectra. Momentum and carrier-doping dependence of the excitations will be discussed.

論文

Development of advanced tritium breeders and neutron multipliers for DEMO solid breeder blankets

土谷 邦彦; 星野 毅; 河村 弘; 三島 良直*; 吉田 直亮*; 寺井 隆幸*; 田中 知*; 宗像 健三*; 加藤 茂*; 内田 宗範*; et al.

Nuclear Fusion, 47(9), p.1300 - 1306, 2007/09

 被引用回数:23 パーセンタイル:61.24(Physics, Fluids & Plasmas)

原型炉用増殖ブランケット開発の一環として、「高温・高照射環境に耐えうる先進トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料」の開発における最近の成果を本論文にまとめた。トリチウム増殖材料については、少量(約1mol%)の酸化物(CaO等)を添加したチタン酸リチウム(Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$)に着目し、1000$$^{circ}$$Cまでの結晶粒成長の抑制が可能であること、熱伝導が無添加Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$と同程度であること、水素によるTiの還元を抑制が可能であること等が明らかになった。中性子増倍材料については、Be-Ti合金に着目し、1000$$^{circ}$$Cにおける比強度が約200MPaと高いこと、第1候補材料であるベリリウムに比べて、F82H鋼との両立性が良いこと、乾燥空気中1000$$^{circ}$$Cにおいても高い耐酸化特性を有していること、1%の水蒸気を含んだアルゴンガス雰囲気中における水素生成速度が1/1000以下になること、水素同位体のインベントリーが非常に小さいこと等を明らかにした。これらの知見により、少量の酸化物を添加したLi$$_{2}$$TiO$$_{3}$$,ベリリウム金属間化合物(Be$$_{12}$$Ti等)を含んだベリリウム合金の良好な特性が明らかになり、原型炉用増殖ブランケットの開発に明るい見通しを得た。

論文

Development of advanced tritium breeders and neutron multipliers for DEMO solid breeder blankets

土谷 邦彦; 星野 毅; 河村 弘; 三島 良直*; 吉田 直亮*; 寺井 隆幸*; 田中 知*; 宗像 健三*; 加藤 茂*; 内田 宗範*; et al.

Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03

原型炉用増殖ブランケットに必要な「高温・高照射環境に耐えうる先進トリチウム増殖材料及び中性子増倍材料」の開発を全日本規模の産学官連携のもとで実施した。それらの開発に関する最近の成果について報告する。トリチウム増殖材料に関しては、Li$$_{2}$$TiO$$_{3}$$に酸化物を添加した材料の開発を行い、少量(約1mol%)の酸化物(CaO等)を添加することで、水素を添加したスイープガス中でもTiの還元を抑制することができる材料の開発に成功した。中性子増倍材料に関しては、ベリリウム金属間化合物であるBe$$_{12}$$Tiに着目し、各種特性を定量的に評価し、比強度が高いこと、高い耐酸化特性を有していること、1%の水蒸気を含んだアルゴンガス雰囲気中における水素生成速度が1/1000以下になることなどを明らかにした。以上の知見により、原型炉用増殖ブランケットの開発に明るい見通しを得た。

論文

Mechanical properties of weldments using irradiated stainless steel welded by the laser method for ITER blanket replacement

山田 弘一*; 河村 弘; 長尾 美春; 高田 文樹; 河野 渉*

Journal of Nuclear Materials, 355(1-3), p.119 - 123, 2006/09

 被引用回数:5 パーセンタイル:35.67(Materials Science, Multidisciplinary)

ITERの冷却配管材料候補材であるSU316LN-IGを用いて、照射材と未照射材のレーザ溶接による接合材の曲げ特性を調べた。材料は曲げは未照射材を使用している接合材では未照射材部で発生し、照射材同志の接合材では溶融金属部及び熱影響部で発生する。しかしながら、曲げ発生か所が異なっても、溶接材の曲げ特性はほぼ同じような特性を示す。また、照射材と未照射材の組合せパターンや、溶接時の入熱方向と曲げ負荷方向の関係によって、曲げ特性が変化しないことが確認された。

論文

レーザー溶接法を用いたITERブランケット補修のための照射材接合試験

山田 弘一*; 土谷 邦彦

FAPIG, (173), p.16 - 20, 2006/07

国際熱核融合実験炉(ITER: International Thermonuclear Experimental Reactor)の中で、炉内機器の一つである遮蔽ブランケットを補修・交換する際、ブランケット背面から伸びる冷却配管は溶接により既設の冷却配管と接続する必要がある。しかしながら、本体側冷却配管であるステンレス鋼は中性子により照射されているため、照射済ステンレス鋼と未照射ステンレス鋼を接合することになる。本稿では、レーザー溶接法を用いた照射済ステンレス鋼の接合に関する試験結果についてまとめた。本試験により、ITERの照射条件まで中性子照射したSUS316LN-IG材のレーザー溶接法による接合が可能であり、材料中に核変換で生成したヘリウムが約3appmであっても有意な接合試料の特性低下を引き起こさないことがわかった。

論文

Neutron irradiation effect on mechanical properties of SS/SS HIP joint materials for ITER shielding blankets

山田 弘一*; 佐藤 聡; 毛利 憲介*; 長尾 美春; 高田 文樹; 河村 弘

Fusion Engineering and Design, 81(1-7), p.631 - 637, 2006/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:9.80(Nuclear Science & Technology)

ITER遮蔽ブランケット製作のためのステンレス鋼同士のHIP接合材の機械的特性に対する中性子照射効果を明らかにした。その結果、ITER日本チーム提唱のHIP条件は、ステンレス鋼同士のHIP接合材が中性子照射をうける場合でも、ステンレス鋼母材相当の強度を有するHIP接合材を製作できることを明らかにした。また、HIP接合面における表面粗さRmaxが1$$mu$$mから30$$mu$$mまでならば、ステンレス鋼同士の接合体の機械的特性に変化は無いことから、遮蔽ブランケット製作の際に、接合表面加工工程の簡素化により、製作コスト低減の可能性を見いだすことができた。

報告書

Neutron irradiation test of copper alloy/stainless steel joint materials

山田 弘一; 河村 弘

JAEA-Technology 2005-001, 28 Pages, 2006/01

JAEA-Technology-2005-001.pdf:5.1MB

国際熱核融合実験炉(ITER)における冷却配管のための銅合金とステンレス鋼の接合方法に関する研究として、銅合金にアルミナ分散強化銅(Al$$_{2}$$O$$_{3}$$含有率:0.5wt%(CuAl-25))及びCuCrZrを選定し、ステンレス鋼(SUS316LN-IG)との各種接合方法による接合材を製作し、中性子照射効果の評価を行った。照射試験として、高速中性子照射量約2$$times$$10$$^{24}$$n/m$$^{2}$$(E$$>$$1MeV)及び照射温度約130$$^{circ}$$Cにて中性子照射を行った後、照射後試験として、引張試験,硬さ試験及び破面観察を行った。その結果、中性子照射により、いずれの接合材も脆化したが、接合による影響に起因する中性子照射効果は認められなかった。接合による影響としては、硬さ試験の結果から、鋳込み接合法及び摩擦圧接法では、接合による影響で接合界面近傍の銅合金の硬さの低下が確認された。しかしながら、中性子照射前後とも、引張強度は接合材,銅合金ともに同等の特性であった。一方、ロウ付け接合材は照射材,未照射材とも、接合により著しい引張強度の低下が見られた。以上のことから、鋳込み接合材及び摩擦圧接接合材については、本研究で用いた接合要領が、核融合炉における異種接合方法として適用できることを明らかにした。

論文

The Effect of neutron irradiation on mechanical properties of YAG laser weldments using previously irradiated material

山田 弘一*; 河村 弘; 土谷 邦彦; Kalinin, G.*; 長尾 美春; 高田 文樹; 西川 雅弘*

Journal of Nuclear Materials, 340(1), p.57 - 63, 2005/04

 被引用回数:5 パーセンタイル:35.23(Materials Science, Multidisciplinary)

ITERでのステンレス鋼候補材SUS316LN-IGを用いて、中性子照射された材料(照射材)と未照射の材料(未照射材)に加えて照射材同士,未照射材同士をYAGレーザー溶接法により接合した材料に対して中性子照射を行い、それぞれの機械的特性の評価を行った。その結果、照射材を用いた溶接材も、未照射材のみによる溶接材も、中性子照射後にはともに照射材相当の機械的特性であることを明らかにした。これは、溶融金属部を含む未照射材部分に中性子照射により照射損傷が再度発生するためと考えられる。一方、SUS316LN-IG材において、照射材が中性子照射され照射損傷量が0.3dpaが0.6dpaとなっても、引張強度は大きく変化せず、硬さ特性では、照射損傷量が0.3dpaの部位も照射損傷量が0.6dpaの部位も同等の特性であることから、照射損傷量が0.3dpaから0.6dpaの間では、照射損傷量が変わっても、SUS316LN-IG材の機械的特性に対する中性子照射効果は変化しないことを明らかにした。

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