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山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 80(6), p.695 - 705, 2024/12
これまで、水に富む塩化マグネシウム水和物系列(MgClH
O)では奇数の水和数nを持つものは欠落していた。本研究において、2GPa以上の高圧と300K以上の高温で生成する塩化マグネシウム七水和物、MgCl
7H
O (or MgCl
7D
O)を同定した。その結晶構造は、2.5GPa, 298Kでのその場単結晶X線回折と3.1GPa, 300Kでのその場粉末中性子回折の組み合わせによって決定された。単結晶試料では、望ましくない結晶相の核生成を防ぐためにアルコールを混合して成長させた。得られた結果は、水分子の配向乱れを示しており、密度汎関数理論計算によっても検証された。この乱れには水素結合の再結合が関与しており、水の高圧氷相や既知の乱れた塩水和物とは異なっていた。圧縮による収縮は主に一方向に起こる。この最も圧縮しやすい方向に垂直な面では、酸素原子と塩素原子が六角形状に配列していた。
小松 一生*; 服部 高典; Klotz, S.*; 町田 真一*; 山下 恵史朗*; 伊藤 颯*; 小林 大輝*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 佐野 亜沙美; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.5100_1 - 5100_7, 2024/06
被引用回数:2 パーセンタイル:72.94(Multidisciplinary Sciences)水素結合の対称化とは、水素原子が水素結合の中心に位置する現象である。理論的研究により、氷VIIの水素結合は、圧力が増加するにつれて、水素の分布を変化させながら、いくつかの中間状態を経て、最終的に対称化すると予測されている。これまで、多くの実験的研究が行われてきたにもかかわらず、その水素の位置や転移圧力は一貫していない。われわれは、100GPa以上の圧力で中性子回折実験を行い、氷中の水素分布を決定し、隣接酸素間での分布が80GPa付近で2つから1つになり水素結合が対称化することを世界で初めて観測した。
山下 恵史朗*; 中山 和也*; 小松 一生*; 大原 高志; 宗像 孝司*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 79(5), p.414 - 426, 2023/10
被引用回数:1 パーセンタイル:30.86(Chemistry, Multidisciplinary)最近発見された塩化ナトリウムの超水和物(NaCl 13H(D)
O)の構造を1.7GPa, 298Kでのその場単結晶中性子回折によって決定した。この物質は大きな水素結合ネットワークを持ち、いくつかの水分子は分岐水素結合や5配位水分子のような歪んだ結合の特徴を持つ。水素結合ネットワークは、ネットワークトポロジーと水素結合の無秩序性という点で、氷VIと類似している。擬似対称性によって接続されたネットワークの構成要素を区別しなければ、このハイドレートの全体的なネットワーク構造は、氷VIのネットワーク構造に対応する小さな構造単位に分解することで表現できる。この水素結合ネットワークは、既知の塩水和物とは対照的に、水分子の配向の乱れを含んでいる。ここでは、イオン種を含む水素結合ネットワークに関するさらなる洞察のための例を示す。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; Klotz, S.*; Fabelo, O.*; Fernndez-D
az, M. T.*; 阿部 淳*; 町田 真一*; 服部 高典; 入舩 徹男*; 新名 亨*; et al.
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(40), p.e2208717119_1 - e2208717119_6, 2022/10
被引用回数:4 パーセンタイル:25.06(Multidisciplinary Sciences)氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 大原 高志; 宗像 孝司*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 杉山 和正*; 川又 透*; 鍵 裕之*
High Pressure Research, 42(1), p.121 - 135, 2022/03
被引用回数:4 パーセンタイル:42.95(Physics, Multidisciplinary)We improved diamond anvil cells with a tubular frame made of Zr-based bulk metallic glass and nano-polycrystalline diamond anvils for single-crystal neutron diffraction. The thicker tubular frame was confirmed through experimentation as stably generating 4.5 GPa. Its feasibility for neutron diffraction was assessed at the Laue-TOF diffractometer at the BL18 (SENJU) beamline in the MLF J-PARC using time-resolved two-dimensional detectors covering wide solid angles. In addition to ambient-pressure measurements of NHCl, diffraction patterns of a high-pressure phase of ice were also collected in-situ. The obtained intensities are of refinable quality sufficient for structure analysis.
小松 一生*; Klotz, S.*; 中野 智志*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山下 恵史朗*; 入舩 徹男*
High Pressure Research, 40(1), p.184 - 193, 2020/02
被引用回数:14 パーセンタイル:68.77(Physics, Multidisciplinary)ナノ多結晶アンビルを用いた中性子回折実験のための新しい高圧セルを紹介する。このセルのデザインやオフライン圧力発生テスト,ガス圧媒体の装填方法が書かれている。その性能は、氷II相の約82GPaまでの中性子回折パターンによって図示されている。またこのセルを用いた常圧におけるFeO
の単結晶中性子回折実験のテストを紹介し、現在の限界と将来の開発を示す。
小松 一生*; 町田 真一*; 則武 史哉*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山根 崚*; 山下 恵史朗*; 鍵 裕之*
Nature Communications (Internet), 11, p.464_1 - 464_5, 2020/02
被引用回数:57 パーセンタイル:87.95(Multidisciplinary Sciences)水は、0Cで六方晶積層をもった通常の氷I
に凍結する。一方、ある条件では、立方晶積層を持った氷I
になるが、積層欠陥のない氷Icはごく最近まで作れなかった。今回、我々は、氷I
と同じフレームワークを持った水素ハイドレートの高圧相C
から水素を脱ガスすることによって積層欠陥のない氷I
を作る方法を発見した。これまで同様の方法で作られたネオンハイドレートからの氷XVIや水素ハイドレートからの氷VXIIの生成と異なり、今回の氷I
は、C
ハイドレートから中間非晶質相やナノ結晶相をへて形成された。得られた氷I
は、積層欠陥がないために、これまで得られているものに比べ高い熱安定性を示し、氷I
に相転移する250Kまで安定に存在する。積層欠陥のない氷I
の発見は、I
のカウンターパートとして、氷の物性に与える積層欠陥の影響を調べるうえで役立つことが期待される。
山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*
Acta Crystallographica Section C; Structural Chemistry (Internet), 75(12), p.1605 - 1612, 2019/12
被引用回数:10 パーセンタイル:63.36(Chemistry, Multidisciplinary)その場X線回折および中性子回折により塩化マグネシウム六水和物(MgCl
6H
O-II)とそのD化物(MgCl
6D
O-II)の高圧相の構造を初めて決定した。X線単結晶回折により決めた構造を初期構造として、中性子回折により得られたパターンをリートベルト解析することによりその構造を決定した。高圧相は、これまで知られている常圧相と似た骨格を持つが、Mg(H
O)
八面体周りの水素結合ネットワークがわずかに変化することにより、対称性の低下を起こしている。これらの特徴は、MgCl
水和物の高圧相の歪を反映したものである。