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論文

Numerical analysis of natural convective heat transfer with porous medium using JUPITER

上澤 伸一郎; 山下 晋; 佐野 吉彦*; 吉田 啓之

Journal of Nuclear Science and Technology, 62(6), p.523 - 541, 2025/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

東京電力福島第一原子力発電所(1F)の廃炉における汚染水対策として、日本原子力研究開発機構(JAEA)では、燃料デブリの位置や発熱、空隙率の影響を含む、空冷時の熱挙動を計算するため、ポーラスモデルを用いたJUPITERコードによる数値解析手法の開発を進めている。本研究では、ポーラスモデルを用いたJUPITERの妥当性確認を行うため、多孔質体を用いた自然対流熱伝達実験とその数値シミュレーションを実施した。実験とシミュレーションの温度と速度の分布を比較すると、多孔質体の上面付近の温度を除き、シミュレーションの温度分布は実験の温度分布と良く一致した。また、速度分布も実験結果と定性的に一致した。妥当性確認に加えて、本研究では、多孔質体の内部構造に基づく有効熱伝導率が自然対流熱伝達に及ぼす影響について検討するために、様々な有効熱伝導率モデルを用いた数値シミュレーションも実施した。その結果、多孔質媒体内の温度分布や自然対流の速度分布はモデルごとに大きく異なることがわかり、燃料デブリの有効熱伝導率は1Fの熱挙動解析における重要なパラメータの一つであることがわかった。

論文

Numerical investigation of the accuracy of a conductance-type wire-mesh sensor for a single spherical bubble and bubbly flow

上澤 伸一郎; 小野 綾子; 永武 拓; 山下 晋; 吉田 啓之

Journal of Nuclear Science and Technology, 62(5), p.432 - 456, 2025/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)

ワイヤメッシュセンサ(WMS)の精度を明らかにするため、単一の球形気泡と気泡流に対してWMSの静電場シミュレーションを実施した。単一気泡の静電場シミュレーションでは、様々な気泡位置における電流密度分布と、送信ワイヤから受信ワイヤまでの電流経路を示した。その結果、WMS周囲の不均一な電流密度分布に基づく系統的誤差があることを明らかにした。また、数値流体解析コードJAEA Utility Program for Interdisciplinary Thermal-hydraulics Engineering and Research (JUPITER)で得られた気泡流結果に対して静電場シミュレーションを実施したところ、線形近似やMaxwellの式などの、WMS信号からボイド率への既存の変換方法では0と1の間の瞬間ボイド率の中間値を定量的に推定できなかった。また、WMS信号に対してボイド率$$pm$$0.2という大きなばらつきがあり、瞬間ボイド率を定量的に計測することが困難であることがわかった。一方で、時間平均ボイド率においては、流路の中心付近のボイド率は線形近似を使用して推定でき、流路壁面近くのボイド率はMaxwellの式を使用して推定できることがわかった。

論文

Effects of Al addition on Vickers hardness increase by thermal aging of Fe-Cr-Al alloys; Evaluation by systematic experiments, machine learning modeling, and first-principles calculations

阿部 陽介; 都留 智仁; 藤田 洋平*; 大友 政秀*; 佐々木 泰祐*; 山下 真一郎; 大久保 成彰; 鵜飼 重治

Journal of Nuclear Materials, 606, p.155606_1 - 155606_12, 2025/02

 被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

軽水炉の事故耐性燃料被覆管用として開発中の酸化物分散強化型Fe-Cr-Al合金では、Crリッチ析出物($$alpha^prime$$相)に起因する脆化挙動の解明と予測が課題となっている。我々は、熱時効によるFe-Cr-Alモデル合金における$$alpha^prime$$相の形成に対するAl添加の影響を調査した。ビッカース硬さ試験と過去の研究のデータベースを用いて作成した機械学習モデルにより、低Al添加合金では$$alpha^prime$$相の形成が促進され、高Al添加合金では抑制されることが示された。第一原理計算では、Cr-Al-空孔複合体はCr-Cr対よりも安定であり、$$alpha^prime$$相の核生成時にAl原子を取り込むことがエネルギー的に有利である可能性があることが示された。一方、Al-Al対の形成は非常に不安定である。Al添加量が少ない場合には、$$alpha^prime$$相の界面付近でのAl-Al対の形成は回避できる。しかし、Al添加量が多量の場合には、Al-Al対の形成が避けられなくなり、$$alpha^prime$$相の不安定化につながることが示唆された。

論文

Crystal structure and compressibility of magnesium chloride heptahydrate found under high pressure

山下 恵史朗*; 小松 一生*; 服部 高典; 町田 真一*; 鍵 裕之*

Acta Crystallographica Section B; Structural Science, Crystal Engineering and Materials (Internet), 80(6), p.695 - 705, 2024/12

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)

これまで、水に富む塩化マグネシウム水和物系列(MgCl$$_2$$$$cdot$$$$n$$H$$_2$$O)では奇数の水和数nを持つものは欠落していた。本研究において、2GPa以上の高圧と300K以上の高温で生成する塩化マグネシウム七水和物、MgCl$$_2$$$$cdot$$7H$$_2$$O (or MgCl$$_2$$$$cdot$$7D$$_2$$O)を同定した。その結晶構造は、2.5GPa, 298Kでのその場単結晶X線回折と3.1GPa, 300Kでのその場粉末中性子回折の組み合わせによって決定された。単結晶試料では、望ましくない結晶相の核生成を防ぐためにアルコールを混合して成長させた。得られた結果は、水分子の配向乱れを示しており、密度汎関数理論計算によっても検証された。この乱れには水素結合の再結合が関与しており、水の高圧氷相や既知の乱れた塩水和物とは異なっていた。圧縮による収縮は主に一方向に起こる。この最も圧縮しやすい方向に垂直な面では、酸素原子と塩素原子が六角形状に配列していた。

論文

Systematic experimental and model-based evaluation of the synergistic effects of alloy composition and damage rate on the formation of Cr-rich precipitates in Fe-Cr-Al alloys under ion irradiation

阿部 陽介; 佐々木 泰祐*; 山下 真一郎; 大久保 成彰; 鵜飼 重治

Journal of Nuclear Materials, 600, p.155271_1 - 155271_12, 2024/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)

軽水炉用燃料被覆管として開発中のFeCrAl-ODS (ODS:酸化物分散強化)合金のモデル合金として、CrとAlの組成を系統的に変化させた14種類のFe-Cr-Al合金を$$350^{circ}$$Cで10.5MeVの自己イオンにより0.24dpaまで照射した。中性子照射条件下でのCrリッチ析出物(CrRP)の生成挙動を予測するために、3水準の損傷速度を選択した。3次元アトムプローブ解析の結果、Cr組成の増加、Al組成の減少及び損傷速度の減少に伴い、CrRP数密度、体積率及びCr濃度が増加することがわかった。重回帰分析の結果、これらの主要な効果に加えて、CrRP体積率には次の交互作用があることが示された:(1)Al組成が高いほど、Cr組成の増加に伴うCrRP体積率の増加は小さく、(2)Cr組成が低いほど、Al組成および損傷速度の低下に伴うCrRP体積率の増加は小さい。また、中性子照射下でのCrRP生成挙動に対する損傷速度の影響を理解するためには、損傷量依存性の観点に加えて、損傷速度ゼロの限界として熱時効データを利用することが有効であることを強調した。本研究で構築した体系的なCrRP関連量のデータベースは、数値予測モデルのさらなる開発と検証に貢献するものと考えられる。

論文

Numerical investigation of accuracy of conductance-typed wire-mesh sensor using CFD and electrostatic simulations

上澤 伸一郎; 小野 綾子; 山下 晋; 吉田 啓之

Proceedings of 13th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS13) (Internet), 7 Pages, 2024/11

電極間の気相と液相の導電率の違いを利用したコンダクタンス型ワイヤメッシュセンサ(WMS)は、流路断面ボイド率分布を測定する有効な手法の一つである。本研究では、WMSの計測誤差を明らかにするために、単一球形気泡と気泡流についてWMS周りにおける数値流体力学(CFD)解析と静電場解析を実施した。単一気泡における解析結果より、WMS周囲の不均一な電流密度分布に基づく計測誤差があることが明らかにされた。ボイド率の瞬時値とWMS信号の関係は、同じ気泡であっても、WMSを通過する気泡の位置に対して一意に決まらず、従来用いられてきたWMS信号からボイド率への変換方法である線形近似やマクスウェルの式とも一致しないことが確認された。気泡流における解析結果より、瞬時ボイド率の定量的な計測は、ボイド率の偏差が$$pm$$0.2程度と大きく、難しいことがわかった。一方、WMS信号を時間平均するとその偏差は減少することが確認された。このように、既存の変換方法を使用したWMSでは時間平均ボイド率を計測できるものの、瞬時ボイド率を定量的に計測することは困難であることがわかった。

論文

Hydrogen bond symmetrisation in D$$_2$$O ice observed by neutron diffraction

小松 一生*; 服部 高典; Klotz, S.*; 町田 真一*; 山下 恵史朗*; 伊藤 颯*; 小林 大輝*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 佐野 亜沙美; et al.

Nature Communications (Internet), 15, p.5100_1 - 5100_7, 2024/06

 被引用回数:5 パーセンタイル:67.98(Multidisciplinary Sciences)

水素結合の対称化とは、水素原子が水素結合の中心に位置する現象である。理論的研究により、氷VIIの水素結合は、圧力が増加するにつれて、水素の分布を変化させながら、いくつかの中間状態を経て、最終的に対称化すると予測されている。これまで、多くの実験的研究が行われてきたにもかかわらず、その水素の位置や転移圧力は一貫していない。われわれは、100GPa以上の圧力で中性子回折実験を行い、氷中の水素分布を決定し、隣接酸素間での分布が80GPa付近で2つから1つになり水素結合が対称化することを世界で初めて観測した。

論文

令和3年度開始 廃炉・汚染水対策事業費補助金に係る補助事業「燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上、熱挙動の推定及び簡易分析のための技術開発)」; 2022年度最終報告

小山 真一; 池内 宏知; 三次 岳志; 前田 宏治; 佐々木 新治; 大西 貴士; Tsai, T.-H.; 高野 公秀; 深谷 洋行; 中村 聡志; et al.

廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ホームページ(インターネット), 216 Pages, 2023/11

令和3年度及び4年度に原子力機構が補助事業者となって実施した令和3年度開始「廃炉・汚染水対策事業費補助金に係る補助事業(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度向上、熱挙動の推定及び簡易分析のための技術開発))」の成果概要を最終報告として取りまとめた。本報告資料は、廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ウェブサイトにて公開される。

論文

令和4年度開始「廃炉・汚染水・処理水対策事業費補助金(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(原子炉圧力容器の損傷状況等の推定のための技術開発)」2022年度最終報告

山下 拓哉; 下村 健太; 永江 勇二; 山路 哲史*; 溝上 伸也; 三次 岳志; 小山 真一

廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ホームページ(インターネット), 53 Pages, 2023/10

令和4年度に原子力機構が補助事業者となって実施した「廃炉・汚染水・処理水対策事業費補助金(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(原子炉圧力容器の損傷状況等の推定のための技術開発))の成果概要を、最終報告として取りまとめた。本報告資料は、廃炉・汚染水・処理水対策事業費事務局ウェブサイトにて公開される。

論文

Alloy design and characterization of a recrystallized FeCrAl-ODS cladding for accident-tolerant BWR fuels; An Overview of research activity in Japan

鵜飼 重治; 坂本 寛*; 大塚 智史; 山下 真一郎; 木村 晃彦*

Journal of Nuclear Materials, 583, p.154508_1 - 154508_24, 2023/09

 被引用回数:32 パーセンタイル:95.63(Materials Science, Multidisciplinary)

Following the severe accident at the Fukushima Daiichi nuclear power plant in 2011, FeCrAl-ODS claddings have been developed in Japan. This paper presents an overview of the alloy design and the process used to manufacture the recrystallized cladding, together with an analysis of the applicability of these alloys as BWR fuel cladding and a summary of the simulated severe accident performance. It was verified that core excess reactivities affected by the increased neutron absorption by Fe, Cr, Al can be compensated by reducing the thickness to half that of Zircaloy cladding, while maintaining mechanical integrity. A simulated design basis LOCA event with assessment of post-LOCA ductility confirmed that FeCrAl-ODS cladding provided a greater safety margin. The SA code analysis indicated that melting of the Zircaloy core could be slightly accelerated due to release of the huge amount of exothermic reaction heat, whilst the water injection always acts toward cooling the FeCrAl-ODS core.

論文

Formation of nanoscale protrusions on polymer films after atomic oxygen exposure; Observations with positron annihilation lifetime spectroscopy

後藤 亜紀*; 満汐 孝治*; 岡 壽崇; 田川 雅人*; 山下 真一*

Langmuir, 39(34), p.11954 - 11963, 2023/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.11(Chemistry, Multidisciplinary)

原子状酸素(AO)は地球低軌道における残留大気の主要成分の1つであり、5eVのエネルギーで宇宙船に衝突し、高分子材料表面にナノスケールの突起を形成する。本研究では、高分子の化学構造がAOによる微細構造形成に与える影響を明らかにするため、陽電子消滅寿命測定法を用いて高分子材料の自由体積空孔サイズおよび化学変化を調べた。AO照射によって高分子両面に形成される酸化層の表面からの深さは、ポリエチレンとポリプロピレンの方がポリスチレンよりも深いことがわかった。自由体積空孔サイズはポリスチレンが最も小さく、ポリピロピレン,ポリエチレンの順に大きかったことから、高分子の自由体積空孔の大きさの違いがAOの注入深さに影響を与え、結果として酸化層の厚さや表面形状が変化したと考えられる。

論文

Development of a numerical simulation method for air cooling of fuel debris by JUPITER

山下 晋; 上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之

Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.22-00485_1 - 22-00485_25, 2023/08

乾式での燃料デブリ取り出しにおいて、実機での燃料デブリの詳細な空冷評価が重要である。多孔質体として仮定されるPCV内部の燃料デブリ周囲の熱伝達を機構論的に理解するために、多相多成分CFDコードであるJUPITERに多孔質体モデルを新たに導入した。多孔質体モデルに関して、JUPITERと親和性の高いDarcy-Brinkmanモデルを採用した。このモデルはJUPITERに採用されている多相流解析手法の一つである1流体モデルと同様に、流体相と多孔質体相を一つの方程式で同時に解くことができる。また、非線形性が卓越する高速度の自然対流場については、非線形効果として速度の2乗の項を支配方程式に加えることで対応した。導入したモデルの妥当性を確認するために、例えば、矩形多孔質体領域内の自然体流解析や多孔質体を含む自然体流熱伝達試験といった単純な妥当性確認解析と実験解析を行った。検証解析の結果、先行研究の結果と実験解析の結果と良い一致を示した。また、改良されたJUPITERの応用として、1F2号機の条件を考慮したPCV内部の燃料デブリの空冷予備解析を行った。その結果、燃料デブリ周囲の温度場や速度場は、非物理的挙動を示すことなく安定に計算できることが分かった。故に、JUPITERは詳細且つ精度良く燃料デブリの熱流動挙動を予測できる可能性を有していることが分かった。

論文

Development of numerical analysis method of oxygen concentration near wall of lead-bismuth eutectic channel

渡辺 奈央; 山下 晋; 上澤 伸一郎; 西原 健司; 吉田 啓之

Proceedings of 20th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-20) (Internet), p.3522 - 3534, 2023/08

JAEAでは、鉛ビスマス共晶合金(LBE)を冷却材とする加速器駆動型核変換システム(ADS)を設計している。LBE流路壁の腐食速度の推定は、安全性や構造物全体の寿命を検討する上で重要な課題である。腐食速度は材料表面に形成される酸化層の状態に依存する。そこで、本研究では数値解析により酸化層の成長および溶解(OLGD)速度を推定することで、ADSにおける腐食速度を評価し設計に反映できる手法の構築を目的とする。OLGD速度は材料とLBE間の酸素と鉄の質量移動速度およびLBE中におけるこれらの移流拡散速度と相互に依存している。したがって、OLGD速度を推定するには、3つの数値解析モデルを連成させて解を得る必要がある。このうち、移流拡散の計算には、ADS中の複雑な流れへの適用性からCFDコードの使用が合理的である。一方、移流拡散に比べてはるかにスケールの小さい現象である材料とLBE間の質量移動およびOLGDについては、何らかの相関式を用いることが合理的である。本報告では、JAEAが開発しているCFDコードJUPITERを用いたOLGD速度の解析手法の構築について述べる。なお、材料とLBE間の質量移動速度およびOLGD速度の相関式については、実験式から導出され先行研究で用いられた既存のモデルを修正して用いた。

論文

Development of numerical simulation method of natural convection around heated porous medium by using JUPITER

上澤 伸一郎; 山下 晋; 柴田 光彦; 吉田 啓之

Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 9 Pages, 2023/05

福島第一原子力発電所の廃炉における汚染水対策として、注水低減,間欠注水,空冷が検討されている。しかし、格納容器内には燃料デブリの不確実性があるため、燃料デブリの分布状態や燃料デブリ取り出し作業の進捗状況に応じて、最適な冷却方法を事前に検討する必要がある。そのため我々は、燃料デブリの位置,発熱,気孔率の影響を含む空冷中の熱挙動を推定する方法の開発を進めている。多孔体と考えられる燃料デブリの内部構造をモデル化した上で大規模な熱流動解析を行うことは困難であることから、JUPITERに多孔体モデルを追加することにより多孔体の熱流動の解析を可能にした。本研究では、多孔体モデルを導入したJUPITERの妥当性検証結果について報告するとともに、多孔体の伝熱モデルについて直列,平行,幾何平均モデルのどのモデルが最も有効かについて議論する。多孔体周辺の自然対流の検証データについては、多孔体を含む系における自然対流の伝熱流動実験を独自に行った。実験と各モデルでの数値解析と比較を行ったところ、幾何平均モデルを用いた数値結果が実験結果に最も近い結果を得られた。しかしながら、定量的には温度と速度ともに実験結果よりも過大評価しており、特に、多孔体と空気との境界付近の温度は、より過大評価していることを確認した。

論文

事故耐性燃料(ATF)の開発状況,1; 原子力の安全性向上に資する技術開発事業での事故耐性燃料の開発の概要

山下 真一郎

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 65(4), p.233 - 237, 2023/04

2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、軽水炉の安全性を飛躍的に高めることが期待される事故耐性燃料(ATF)の早期実用化への関心が世界的に高まり、現在、世界中の多くの国々で研究開発が進められている。本稿では、2015年より、経済産業省資源エネルギー庁の支援のもとで進められてきている、国内のATF技術開発の概要を紹介する。

論文

A Numerical simulation method to evaluate heat transfer of fuel debris in air cooling by JUPITER, 2; Validation of porous model for natural convective heat transfer

上澤 伸一郎; 山下 晋; 柴田 光彦; 吉田 啓之

Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 8 Pages, 2022/10

Various types of cooling of fuel debris such as reduction in the amount of water injection, intermittent injection water and air cooling are considered for contaminated water management in the decommissioning of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (NPS). As a method for estimating the thermal behavior of fuel debris in the preliminary containment vessel (PCV) of Fukushima Daiichi NPS, JAEA develops a method for estimating the thermal behavior in the air cooling, including the influence of the position, heat generation, and the porosity of fuel debris by JUPITER added a porous model. In order to validate the natural convective heat transfer analysis with porous bodies by the JUPITER added the porous model, the heat transfer and the flow visualization experiments of air natural convection with a porous body was performed in this study. The temperature distributions of the heat transfer surface, the natural convection area and the porous body were measured with thermocouples. In addition, the flow visualization was performed by a particle image velocimetry (PIV). We compared the temperature and flow results between the experiment and the numerical analysis. The temperature distributions at the central axis were generally agreed on the condition without the porous body. As for with the porous body, the tendency to increase the temperature inside the porous body was reproduced as in the analysis, but quantitative differences were observed. For the flow distribution of the test vessel, flow along the experimental vessel wall to form a vortex was observed in the experiment. On the other hand, an upward flow occurred from the center of the heating surface, and the flow was separated by the ceiling to form two vortices in the numerical analysis. The difference between the analysis and the experiment indicates that discussions for various thermal conductivity models to porous bodies is necessary.

論文

A Numerical simulation method to evaluate heat transfer of fuel debris in air cooling by JUPITER, 1; Project overview and the applicability to the actual reactor system

山下 晋; 上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之

Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 8 Pages, 2022/10

原子炉格納容器内部の燃料デブリを空冷条件で取り出すことは、福島第一原子力発電所の廃止措置において重要な問題である。しかしながら、空冷条件下での燃料デブリの取り出しに関する知見は限られているため、燃料デブリの熱挙動の理解は、確実且つ安全な取り出しを行うために重要である。原子力機構は、数値シミュレーションと実験の両方を用いた空冷条件下での燃料デブリの熱挙動を把握するための国家プロジェクトへ参画している。このプロジェクトでは、PCV内部に存在する燃料デブリ周囲の自然対流を計算するために、CFDコードであるJUPITERへ新しいモデルを導入するとともに、JUPITERに対する検証データを得るための実験を実施している。JUPITERは元来過酷事故時の炉内構造物の溶融移行挙動及び単相・多相流体現象解析のために開発された。多孔質体と推定されている燃料デブリの崩壊熱により生じる自然対流を解析するために、新たに多孔質体モデルの一種であるDarcy-BrinkmanモデルをJUPITERに導入した。このモデルは多孔質体中の流れ場解析に多く利用されており、また、流れ場において純流体と多孔質体の両方が同時に存在する体系を解析するために開発されているため、一流体モデルを用いるJUPITERへの親和性は高い。加えて、非線形効果を含む自然対流を解析するために、速度の2乗の項からなる非線形効果の役割をなすForchheimerモデルを導入した。本研究では、矩形キャビティ内部の多孔質体を含む単純な自然対流問題に対する妥当性検証およびペデスタル壁、制御棒案内管、圧力容器などのPCV内部の構造物を考慮した予備解析を実施した。検証解析において、加熱壁面でのNusselt数についてJUPITERの結果と既往研究結果と比較し、良好な一致を得た。また、予備解析においては、非現実的な挙動を示すことなく安定して自然対流を解析することができた。以上より、JUPITERはPCV内部の複雑な構造物を有する燃料デブリ周りの自然対流解析に適用できる見通しを得た。

論文

Atomic distribution and local structure in ice VII from in situ neutron diffraction

山下 恵史朗*; 小松 一生*; Klotz, S.*; Fabelo, O.*; Fern$'a$ndez-D$'i$az, M. T.*; 阿部 淳*; 町田 真一*; 服部 高典; 入舩 徹男*; 新名 亨*; et al.

Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 119(40), p.e2208717119_1 - e2208717119_6, 2022/10

 被引用回数:7 パーセンタイル:36.64(Multidisciplinary Sciences)

氷の多形体は、圧力や温度により驚くほど多様な構造を示す。水素結合の乱れは、その構造多様性の重要な要因であるだけでなく、その物性をも支配している。しかし、観測可能な逆格子空間が限られていることや、高圧下で測定されたデータの不確かさにより、高圧下において氷多形体の乱れた構造を明らかにすることは困難であった。今回、単結晶および粉末中性子回折の両方を用いて、2.2GPa, 298Kにおいて主要な高圧氷である氷VIIの乱れた構造を初めて明らかにした。最大エントロピー法を用いることにより3次元的な原子分布を導くことに成功し、水素がこれまで言われていた離散的なサイトではなく、リング状に分布をしていることを発見した。また、274Kでの全散乱実験により、氷VIIの水素秩序相である氷VIIIとは、同じ分子構造を持つにもかかわらず、その分子間構造が異なることを明らかにした。今回の単結晶と粉末回折の相補的な構造解析によって、氷VIIのユニークな無秩序構造が明確に示された。今回の発見は、圧力によって大きく変化するプロトンダイナミクスと関連しており、圧力下における氷VIIの異常な物性の構造的な起源を理解することに役立つと考えられる。

論文

MA分離抽出剤の放射線分解メカニズムの研究

樋川 智洋; 熊谷 友多; 山下 真一*; 伴 康俊; 松村 達郎

UTNL-R-0502 (インターネット), 2 Pages, 2022/04

東京大学大学院工学系研究科が有するライナック研究施設を利用して2020年度に得られた成果をまとめたものである。マイナーアクチノイドの分離プロセスで利用が見込まれるヘキサオクチルニトリロトリアセトアミド抽出剤(HONTA)について、ドデカン中における放射線分解過程をパルスラジオリシスにより調べた。ナノ秒時間領域において、HONTAが分解に至る反応中間体であるHONTAのラジカルカチオンと三重項励起状態が観測された。また電子捕捉剤を添加すると、ラジカルカチオンからと三重項励起状態への移行が鈍化し、さらに3重項励起状態の失活が抑制される結果が得られた。

論文

Dislocation-climbing bypass over dispersoids with different lattice misfit in creep deformation of FeCrAl oxide dispersion-strengthened alloys

鵜飼 重治; 山下 真一郎

Journal of Materials Research and Technology, 16, p.891 - 898, 2022/01

 被引用回数:20 パーセンタイル:84.56(Materials Science, Multidisciplinary)

軽水炉の事故耐性燃料被覆管候補材であるFeCrAl-ODS合金の1000$$^{circ}$$Cでのクリープ変形速度は、分散粒子がYAlO$$_{3}$$である場合はY$$_{4}$$Zr$$_{3}$$O$$_{12}$$である場合に比べ、2-3桁大きくなる。また、これらの変形は転位と分散粒子の相互作用で決まる分散強化応力より十分低い応力で起こることが分かっている。このような新しく見出されたクリープ変形現象のメカニズムを2通りのアプローチで検討した。第1のアプローチは分散粒子と母相の界面での転位エネルギーの緩和理論に基づくもので、数値解析により転位の上昇運動が格子ミスフィットの大きいYAlO$$_{3}$$界面で加速されることを示した。他のアプローチは、分散粒子の周りに発生する応力が上昇運動する転位に働く力をPeach-Koehler関係式を解くことにより求める方法である。その結果、格子ミスフィットが大きい整合性の悪いYAlO$$_{3}$$は母相との界面で大きな応力を発生することが、転位の上昇運動を加速し大きな変形速度をもたらすことを定量的に示した。

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