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上澤 伸一郎; 小野 綾子; 永武 拓; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(5), p.432 - 456, 2025/05
ワイヤメッシュセンサ(WMS)の精度を明らかにするため、単一の球形気泡と気泡流に対してWMSの静電場シミュレーションを実施した。単一気泡の静電場シミュレーションでは、様々な気泡位置における電流密度分布と、送信ワイヤから受信ワイヤまでの電流経路を示した。その結果、WMS周囲の不均一な電流密度分布に基づく系統的誤差があることを明らかにした。また、数値流体解析コードJAEA Utility Program for Interdisciplinary Thermal-hydraulics Engineering and Research (JUPITER)で得られた気泡流結果に対して静電場シミュレーションを実施したところ、線形近似やMaxwellの式などの、WMS信号からボイド率への既存の変換方法では0と1の間の瞬間ボイド率の中間値を定量的に推定できなかった。また、WMS信号に対してボイド率0.2という大きなばらつきがあり、瞬間ボイド率を定量的に計測することが困難であることがわかった。一方で、時間平均ボイド率においては、流路の中心付近のボイド率は線形近似を使用して推定でき、流路壁面近くのボイド率はMaxwellの式を使用して推定できることがわかった。
阿部 陽介; 都留 智仁; 藤田 洋平*; 大友 政秀*; 佐々木 泰祐*; 山下 真一郎; 大久保 成彰; 鵜飼 重治
Journal of Nuclear Materials, 606, p.155606_1 - 155606_12, 2025/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)軽水炉の事故耐性燃料被覆管用として開発中の酸化物分散強化型Fe-Cr-Al合金では、Crリッチ析出物(相)に起因する脆化挙動の解明と予測が課題となっている。我々は、熱時効によるFe-Cr-Alモデル合金における
相の形成に対するAl添加の影響を調査した。ビッカース硬さ試験と過去の研究のデータベースを用いて作成した機械学習モデルにより、低Al添加合金では
相の形成が促進され、高Al添加合金では抑制されることが示された。第一原理計算では、Cr-Al-空孔複合体はCr-Cr対よりも安定であり、
相の核生成時にAl原子を取り込むことがエネルギー的に有利である可能性があることが示された。一方、Al-Al対の形成は非常に不安定である。Al添加量が少ない場合には、
相の界面付近でのAl-Al対の形成は回避できる。しかし、Al添加量が多量の場合には、Al-Al対の形成が避けられなくなり、
相の不安定化につながることが示唆された。
阿部 陽介; 佐々木 泰祐*; 山下 真一郎; 大久保 成彰; 鵜飼 重治
Journal of Nuclear Materials, 600, p.155271_1 - 155271_12, 2024/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)軽水炉用燃料被覆管として開発中のFeCrAl-ODS (ODS:酸化物分散強化)合金のモデル合金として、CrとAlの組成を系統的に変化させた14種類のFe-Cr-Al合金をCで10.5MeVの自己イオンにより0.24dpaまで照射した。中性子照射条件下でのCrリッチ析出物(CrRP)の生成挙動を予測するために、3水準の損傷速度を選択した。3次元アトムプローブ解析の結果、Cr組成の増加、Al組成の減少及び損傷速度の減少に伴い、CrRP数密度、体積率及びCr濃度が増加することがわかった。重回帰分析の結果、これらの主要な効果に加えて、CrRP体積率には次の交互作用があることが示された:(1)Al組成が高いほど、Cr組成の増加に伴うCrRP体積率の増加は小さく、(2)Cr組成が低いほど、Al組成および損傷速度の低下に伴うCrRP体積率の増加は小さい。また、中性子照射下でのCrRP生成挙動に対する損傷速度の影響を理解するためには、損傷量依存性の観点に加えて、損傷速度ゼロの限界として熱時効データを利用することが有効であることを強調した。本研究で構築した体系的なCrRP関連量のデータベースは、数値予測モデルのさらなる開発と検証に貢献するものと考えられる。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 山下 晋; 吉田 啓之
Proceedings of 13th Korea-Japan Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS13) (Internet), 7 Pages, 2024/11
電極間の気相と液相の導電率の違いを利用したコンダクタンス型ワイヤメッシュセンサ(WMS)は、流路断面ボイド率分布を測定する有効な手法の一つである。本研究では、WMSの計測誤差を明らかにするために、単一球形気泡と気泡流についてWMS周りにおける数値流体力学(CFD)解析と静電場解析を実施した。単一気泡における解析結果より、WMS周囲の不均一な電流密度分布に基づく計測誤差があることが明らかにされた。ボイド率の瞬時値とWMS信号の関係は、同じ気泡であっても、WMSを通過する気泡の位置に対して一意に決まらず、従来用いられてきたWMS信号からボイド率への変換方法である線形近似やマクスウェルの式とも一致しないことが確認された。気泡流における解析結果より、瞬時ボイド率の定量的な計測は、ボイド率の偏差が0.2程度と大きく、難しいことがわかった。一方、WMS信号を時間平均するとその偏差は減少することが確認された。このように、既存の変換方法を使用したWMSでは時間平均ボイド率を計測できるものの、瞬時ボイド率を定量的に計測することは困難であることがわかった。
小山 真一; 池内 宏知; 三次 岳志; 前田 宏治; 佐々木 新治; 大西 貴士; Tsai, T.-H.; 高野 公秀; 深谷 洋行; 中村 聡志; et al.
廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ホームページ(インターネット), 216 Pages, 2023/11
令和3年度及び4年度に原子力機構が補助事業者となって実施した令和3年度開始「廃炉・汚染水対策事業費補助金に係る補助事業(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度向上、熱挙動の推定及び簡易分析のための技術開発))」の成果概要を最終報告として取りまとめた。本報告資料は、廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ウェブサイトにて公開される。
鵜飼 重治; 坂本 寛*; 大塚 智史; 山下 真一郎; 木村 晃彦*
Journal of Nuclear Materials, 583, p.154508_1 - 154508_24, 2023/09
被引用回数:31 パーセンタイル:96.12(Materials Science, Multidisciplinary)Following the severe accident at the Fukushima Daiichi nuclear power plant in 2011, FeCrAl-ODS claddings have been developed in Japan. This paper presents an overview of the alloy design and the process used to manufacture the recrystallized cladding, together with an analysis of the applicability of these alloys as BWR fuel cladding and a summary of the simulated severe accident performance. It was verified that core excess reactivities affected by the increased neutron absorption by Fe, Cr, Al can be compensated by reducing the thickness to half that of Zircaloy cladding, while maintaining mechanical integrity. A simulated design basis LOCA event with assessment of post-LOCA ductility confirmed that FeCrAl-ODS cladding provided a greater safety margin. The SA code analysis indicated that melting of the Zircaloy core could be slightly accelerated due to release of the huge amount of exothermic reaction heat, whilst the water injection always acts toward cooling the FeCrAl-ODS core.
山下 晋; 上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之
Mechanical Engineering Journal (Internet), 10(4), p.22-00485_1 - 22-00485_25, 2023/08
乾式での燃料デブリ取り出しにおいて、実機での燃料デブリの詳細な空冷評価が重要である。多孔質体として仮定されるPCV内部の燃料デブリ周囲の熱伝達を機構論的に理解するために、多相多成分CFDコードであるJUPITERに多孔質体モデルを新たに導入した。多孔質体モデルに関して、JUPITERと親和性の高いDarcy-Brinkmanモデルを採用した。このモデルはJUPITERに採用されている多相流解析手法の一つである1流体モデルと同様に、流体相と多孔質体相を一つの方程式で同時に解くことができる。また、非線形性が卓越する高速度の自然対流場については、非線形効果として速度の2乗の項を支配方程式に加えることで対応した。導入したモデルの妥当性を確認するために、例えば、矩形多孔質体領域内の自然体流解析や多孔質体を含む自然体流熱伝達試験といった単純な妥当性確認解析と実験解析を行った。検証解析の結果、先行研究の結果と実験解析の結果と良い一致を示した。また、改良されたJUPITERの応用として、1F2号機の条件を考慮したPCV内部の燃料デブリの空冷予備解析を行った。その結果、燃料デブリ周囲の温度場や速度場は、非物理的挙動を示すことなく安定に計算できることが分かった。故に、JUPITERは詳細且つ精度良く燃料デブリの熱流動挙動を予測できる可能性を有していることが分かった。
渡辺 奈央; 山下 晋; 上澤 伸一郎; 西原 健司; 吉田 啓之
Proceedings of 20th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-20) (Internet), p.3522 - 3534, 2023/08
JAEAでは、鉛ビスマス共晶合金(LBE)を冷却材とする加速器駆動型核変換システム(ADS)を設計している。LBE流路壁の腐食速度の推定は、安全性や構造物全体の寿命を検討する上で重要な課題である。腐食速度は材料表面に形成される酸化層の状態に依存する。そこで、本研究では数値解析により酸化層の成長および溶解(OLGD)速度を推定することで、ADSにおける腐食速度を評価し設計に反映できる手法の構築を目的とする。OLGD速度は材料とLBE間の酸素と鉄の質量移動速度およびLBE中におけるこれらの移流拡散速度と相互に依存している。したがって、OLGD速度を推定するには、3つの数値解析モデルを連成させて解を得る必要がある。このうち、移流拡散の計算には、ADS中の複雑な流れへの適用性からCFDコードの使用が合理的である。一方、移流拡散に比べてはるかにスケールの小さい現象である材料とLBE間の質量移動およびOLGDについては、何らかの相関式を用いることが合理的である。本報告では、JAEAが開発しているCFDコードJUPITERを用いたOLGD速度の解析手法の構築について述べる。なお、材料とLBE間の質量移動速度およびOLGD速度の相関式については、実験式から導出され先行研究で用いられた既存のモデルを修正して用いた。
上澤 伸一郎; 山下 晋; 柴田 光彦; 吉田 啓之
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 9 Pages, 2023/05
福島第一原子力発電所の廃炉における汚染水対策として、注水低減,間欠注水,空冷が検討されている。しかし、格納容器内には燃料デブリの不確実性があるため、燃料デブリの分布状態や燃料デブリ取り出し作業の進捗状況に応じて、最適な冷却方法を事前に検討する必要がある。そのため我々は、燃料デブリの位置,発熱,気孔率の影響を含む空冷中の熱挙動を推定する方法の開発を進めている。多孔体と考えられる燃料デブリの内部構造をモデル化した上で大規模な熱流動解析を行うことは困難であることから、JUPITERに多孔体モデルを追加することにより多孔体の熱流動の解析を可能にした。本研究では、多孔体モデルを導入したJUPITERの妥当性検証結果について報告するとともに、多孔体の伝熱モデルについて直列,平行,幾何平均モデルのどのモデルが最も有効かについて議論する。多孔体周辺の自然対流の検証データについては、多孔体を含む系における自然対流の伝熱流動実験を独自に行った。実験と各モデルでの数値解析と比較を行ったところ、幾何平均モデルを用いた数値結果が実験結果に最も近い結果を得られた。しかしながら、定量的には温度と速度ともに実験結果よりも過大評価しており、特に、多孔体と空気との境界付近の温度は、より過大評価していることを確認した。
山下 真一郎
日本原子力学会誌ATOMO, 65(4), p.233 - 237, 2023/04
2011年の東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を契機に、軽水炉の安全性を飛躍的に高めることが期待される事故耐性燃料(ATF)の早期実用化への関心が世界的に高まり、現在、世界中の多くの国々で研究開発が進められている。本稿では、2015年より、経済産業省資源エネルギー庁の支援のもとで進められてきている、国内のATF技術開発の概要を紹介する。
上澤 伸一郎; 山下 晋; 柴田 光彦; 吉田 啓之
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 8 Pages, 2022/10
Various types of cooling of fuel debris such as reduction in the amount of water injection, intermittent injection water and air cooling are considered for contaminated water management in the decommissioning of Fukushima Daiichi Nuclear Power Station (NPS). As a method for estimating the thermal behavior of fuel debris in the preliminary containment vessel (PCV) of Fukushima Daiichi NPS, JAEA develops a method for estimating the thermal behavior in the air cooling, including the influence of the position, heat generation, and the porosity of fuel debris by JUPITER added a porous model. In order to validate the natural convective heat transfer analysis with porous bodies by the JUPITER added the porous model, the heat transfer and the flow visualization experiments of air natural convection with a porous body was performed in this study. The temperature distributions of the heat transfer surface, the natural convection area and the porous body were measured with thermocouples. In addition, the flow visualization was performed by a particle image velocimetry (PIV). We compared the temperature and flow results between the experiment and the numerical analysis. The temperature distributions at the central axis were generally agreed on the condition without the porous body. As for with the porous body, the tendency to increase the temperature inside the porous body was reproduced as in the analysis, but quantitative differences were observed. For the flow distribution of the test vessel, flow along the experimental vessel wall to form a vortex was observed in the experiment. On the other hand, an upward flow occurred from the center of the heating surface, and the flow was separated by the ceiling to form two vortices in the numerical analysis. The difference between the analysis and the experiment indicates that discussions for various thermal conductivity models to porous bodies is necessary.
山下 晋; 上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之
Proceedings of 12th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS12) (Internet), 8 Pages, 2022/10
原子炉格納容器内部の燃料デブリを空冷条件で取り出すことは、福島第一原子力発電所の廃止措置において重要な問題である。しかしながら、空冷条件下での燃料デブリの取り出しに関する知見は限られているため、燃料デブリの熱挙動の理解は、確実且つ安全な取り出しを行うために重要である。原子力機構は、数値シミュレーションと実験の両方を用いた空冷条件下での燃料デブリの熱挙動を把握するための国家プロジェクトへ参画している。このプロジェクトでは、PCV内部に存在する燃料デブリ周囲の自然対流を計算するために、CFDコードであるJUPITERへ新しいモデルを導入するとともに、JUPITERに対する検証データを得るための実験を実施している。JUPITERは元来過酷事故時の炉内構造物の溶融移行挙動及び単相・多相流体現象解析のために開発された。多孔質体と推定されている燃料デブリの崩壊熱により生じる自然対流を解析するために、新たに多孔質体モデルの一種であるDarcy-BrinkmanモデルをJUPITERに導入した。このモデルは多孔質体中の流れ場解析に多く利用されており、また、流れ場において純流体と多孔質体の両方が同時に存在する体系を解析するために開発されているため、一流体モデルを用いるJUPITERへの親和性は高い。加えて、非線形効果を含む自然対流を解析するために、速度の2乗の項からなる非線形効果の役割をなすForchheimerモデルを導入した。本研究では、矩形キャビティ内部の多孔質体を含む単純な自然対流問題に対する妥当性検証およびペデスタル壁、制御棒案内管、圧力容器などのPCV内部の構造物を考慮した予備解析を実施した。検証解析において、加熱壁面でのNusselt数についてJUPITERの結果と既往研究結果と比較し、良好な一致を得た。また、予備解析においては、非現実的な挙動を示すことなく安定して自然対流を解析することができた。以上より、JUPITERはPCV内部の複雑な構造物を有する燃料デブリ周りの自然対流解析に適用できる見通しを得た。
鵜飼 重治; 山下 真一郎
Journal of Materials Research and Technology, 16, p.891 - 898, 2022/01
被引用回数:17 パーセンタイル:81.72(Materials Science, Multidisciplinary)軽水炉の事故耐性燃料被覆管候補材であるFeCrAl-ODS合金の1000Cでのクリープ変形速度は、分散粒子がYAlO
である場合はY
Zr
O
である場合に比べ、2-3桁大きくなる。また、これらの変形は転位と分散粒子の相互作用で決まる分散強化応力より十分低い応力で起こることが分かっている。このような新しく見出されたクリープ変形現象のメカニズムを2通りのアプローチで検討した。第1のアプローチは分散粒子と母相の界面での転位エネルギーの緩和理論に基づくもので、数値解析により転位の上昇運動が格子ミスフィットの大きいYAlO
界面で加速されることを示した。他のアプローチは、分散粒子の周りに発生する応力が上昇運動する転位に働く力をPeach-Koehler関係式を解くことにより求める方法である。その結果、格子ミスフィットが大きい整合性の悪いYAlO
は母相との界面で大きな応力を発生することが、転位の上昇運動を加速し大きな変形速度をもたらすことを定量的に示した。
小山 真一; 中桐 俊男; 逢坂 正彦; 吉田 啓之; 倉田 正輝; 池内 宏知; 前田 宏治; 佐々木 新治; 大西 貴士; 高野 公秀; et al.
廃炉・汚染水対策事業事務局ホームページ(インターネット), 144 Pages, 2021/08
令和2年度に原子力機構が補助事業者となって実施した「廃炉・汚染水対策事業費補助金(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度の向上及び熱挙動の推定のための技術開発))」の成果概要を、最終報告として取りまとめた。本報告資料は、廃炉・汚染水対策事業事務局ウェブサイトにて公開される。
Aghamiri, S. M. S.*; 菅原 直也*; 鵜飼 重治; 大野 直子*; 坂本 寛*; 山下 真一郎
Materials Characterization, 176, p.111043_1 - 111043_6, 2021/06
事故耐性被覆管材料として、化学組成と製造プロセスの改良により、優れた耐酸化性を有するFeCrAl-ODS合金を開発した。圧延方向に{110}112
集合組織を有し、ナノサイズの酸化物粒子を含有する単結晶likeの粗大結晶粒から成るFeCrAl-ODS合金を製造した。これを用いて、圧延方向(L)とこれに直角方向(T)の引張試験を室温から800
Cまでの温度範囲で行い、T方向の降伏応力はL方向より大きいことを示した。このような降伏応力の結晶方位依存性は、L方向とT方向のシュミット因子で説明できることを示した。合わせて、FeCrAl-ODS合金の臨界分解せん断応力を室温から800
Cの温度範囲で初めて決定した。
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 上澤 伸一郎; 山下 晋; 吉田 啓之
Mechanical Engineering Journal (Internet), 7(3), p.19-00531_1 - 19-00531_10, 2020/06
福島第一原子力発電所の廃炉の方法の一つとして、空気のみで冷却する乾式法が挙げられる。日本原子力研究開発機構(JAEA)では、空冷性能のCFD評価手法としてJUPITERコードを開発している。しかしながら、JUPITERコードにおいて、複雑な原子炉内構造物を捉えた解析を実施するためには、非常の多くの計算資源が必要となる。このような問題に対して、本研究ではGPUスーパーコンピュータおよび適合格子細分化(AMR)法を適用した格子ボルツマン法に基づくCityLBMコードを開発している。CityLBMにて乾式法を模擬したJAEAの実験に対して検証計算を行なった結果、AMR格子の一様格子への収束性、および、実験値の再現を確認した。同じ解像度および同数の並列数にて計算速度の比較を行った結果、4台のGPU(NVIDIA Tesla V100)を用いたCityLBM法は、36台のCPU(Intel Xeon E5-2680v3)を用いたJUPITERの6.7倍の速度にて解析が可能であることが示された。
Aghamiri, S. M. S.*; 曽和 貴志*; 鵜飼 重治*; 大野 直子*; 坂本 寛*; 山下 真一郎
Materials Science & Engineering A, 771, p.138636_1 - 138636_12, 2020/01
被引用回数:39 パーセンタイル:89.51(Nanoscience & Nanotechnology)酸化物分散強化型FeCrAlフェライト鋼は、高温までの優れた機械特性とアルミナ皮膜形成による水蒸気酸化特性の著しい改善により、軽水炉用事故耐性燃料被覆管候補材料として開発されてきている。本研究では、被覆管成型プロセスにおいて、1100Cと1150
Cの異なる引き抜き温度で成型した時のFeCrAl-ODS被覆管の微細組織特性及び引張特性を調査した。温間引き抜き成型した試料では、
110
方向に沿った集合組織を有するミクロンサイズの
繊維であったのに対し、冷間ピルガ-圧延で成型した微細組織では、結晶の回転を経由し、
110
方向に沿った集合組織を有するミクロンサイズの
繊維と{111}面に沿った集合組織を有するサブミクロンサイズの
繊維が確認された。次に、最終アニーリングを行うことで、これらの組織は約810-850
Cで再結晶化した大粒径の再結晶組織に変化した。再結晶被覆管材において、これら2つの異なる集合体組織発達が生じた。すなわち、引き抜き温度を1100
Cにして成型した時に形成した(110)
211
集合組織を有する大きな伸張粒と、より高い温度の1150
Cで引き抜き成型した時に見られた(110)
211
集合組織と{111}
112
集合組織である。1100
Cで引き抜き加工を施した被覆管において生じた異なる集合組織の発達と再結晶の遅延は、酸化物粒子の高密度分散に起因していると考えられる。
Pham, V. H.; 永江 勇二; 倉田 正輝; 古本 健一郎*; 佐藤 寿樹*; 石橋 良*; 山下 真一郎
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.670 - 674, 2019/09
Silicon carbide (SiC) has recently attracted much attention as a potential material for accident tolerant fuel cladding. To investigate the performance of SiC in severe accident conditions, study of steam oxidation at high temperatures is necessary. However, the study focusing on steam oxidation of SiC at temperatures above 1600C is still certainly limited due to lack of test facilities. With the extreme oxidation/corrosion environment in steam at high temperatures, current refractory materials such as alumina and zirconia would not survive during the tests. Application of laser heating technique could be a great solution for this problem. Using laser heating technique, we can localize the heat and focus them on the test sample only. In this study, we developed a laser heating facility to investigate high-temperature oxidation of SiC in steam at temperature range of 1400-1800
C for 1-7 h. The oxidation kinetics is then being studied based on the weight gain and observation on cross-sectioned surface of tested sample using field emission scanning electron microscope. Off-gas measurement of hydrogen (H
) and carbon monoxide (CO) generated during the test is also being conducted via a sensor gas chromatography. Current results showed that the SiC sample experienced a mass loss process which obeyed paralinear laws. Parabolic oxidation rate constant and linear volatilization rate constant of the process were calculated from the mass change of the samples. The apparent activation energy of the parabolic oxidation process was calculated to be 85 kJ.mol
. The data of the study also indicated that the mass change of SiC under the investigated conditions reached to its steady stage where hydrogen generation became stable. Above 1800
C, a unique bubble formation on sample surface was recorded.
山下 真一郎; 井岡 郁夫; 根本 義之; 川西 智弘; 倉田 正輝; 加治 芳行; 深堀 智生; 野澤 貴史*; 佐藤 大樹*; 村上 望*; et al.
Proceedings of International Nuclear Fuel Cycle Conference / Light Water Reactor Fuel Performance Conference (Global/Top Fuel 2019) (USB Flash Drive), p.206 - 216, 2019/09
福島第一原子力発電所事故を教訓に、冷却材喪失等の過酷条件においても損傷しにくく、高い信頼性を有する新型燃料の開発への関心が高まり、世界中の多くの国々において事故耐性を高めた新型燃料の研究開発が進められている。本プロジェクトは、経済産業省資源エネルギー庁からの委託を受けて2015年10月から2019年3月までの3年半の間実施され、新型燃料部材を既存軽水炉に装荷可能な形で設計・製造するために必要となる技術基盤を整備することを目的に、国内の軽水炉燃料設計,安全性評価,材料開発を実施してきた人材,解析ツール,ノウハウ、及び経験を最大限活用して進められてきた。本論文では、プロジェクトの総括として、各要素技術について3年半の研究開発の成果をまとめ、日本の事故耐性燃料開発の現状と課題を整理した。
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 河村 拓馬; 上澤 伸一郎; 山下 晋; 吉田 啓之
Proceedings of 27th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-27) (Internet), 6 Pages, 2019/05
福島第一原子力発電所の廃炉の方法の一つとして、乾式法が挙げられる。日本原子力研究開発機構(JAEA)では、空冷性能のCFD評価手法としてJUPITERコードを開発している。しかしながら、JUPITERコードにおいて、複雑な原子炉内構造物を捉えた解析を実施するためには、非常の多くの計算資源と計算時間が必要となる。このような問題に対して、本研究ではGPUスーパーコンピュータに適した格子ボルツマン法に基づくCityLBMコードを開発している。CityLBMにてDry methodを模擬したJAEAの実験に対して検証計算を行なった結果、JUPITERコードと同様の結果が得られることが示された。また、同じ解像度および同数の並列数にて計算速度の比較を行った結果、GPUを用いたCityLBM法は、CPUを用いたJUPITERの1/6の計算時間にて解析が行えることが示された。以上の結果より、CityLBMは熱流動解析コードの有効な手法の一つであることが示された。