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村瀬 清華*; 片岡 龍峰*; 西山 尚典*; 西村 耕司*; 橋本 大志*; 田中 良昌*; 門倉 昭*; 冨川 喜弘*; 堤 雅基*; 小川 泰信*; et al.
Journal of Space Weather and Space Climate (Internet), 12, p.18_1 - 18_16, 2022/06
被引用回数:1 パーセンタイル:22.72(Astronomy & Astrophysics)巨大な太陽フレアによってもたらされる太陽風により磁気圏内にエネルギーが溜まり、そのエネルギーが一気に解放されるサブストームが発生する。そのサブストームが発生する際、高エネルギー電子が大量に中間圏まで降り注ぐ事象(EEP)がしばしば観測されるが、その詳細な発生メカニズムは解明されていない。本研究では、あらせ衛星により観測された2つのEEPに対して、3次元グローバル電磁流体力学的(MHD)シミュレーションや放射線挙動解析コードPHITSを使った解析によりその発生メカニズムを検討した。その結果、カレントシート散乱とwave-particle散乱がEEPの初期及びサブストーム発生後に重要な役割を果たしていることが示唆された。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:43 パーセンタイル:96.93(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
豊田 智史*; 山本 知樹*; 吉村 真史*; 住田 弘祐*; 三根生 晋*; 町田 雅武*; 吉越 章隆; 鈴木 哲*; 横山 和司*; 大橋 雄二*; et al.
Vacuum and Surface Science, 64(2), p.86 - 91, 2021/02
X線光電子分光法における時空間的な測定・解析技術を開発した。はじめに、NAP-HARPES (Near Ambient Pressure Hard X-ray Angle-Resolved Photo Emission Spectroscopy)データにより、ゲート積層膜界面の時分割深さプロファイル法を開発した。この手法を用いて時分割ARPESデータからピークフィッティングとデプスプロファイリングを迅速に行う手法を確立し、4D-XPS解析を実現した。その結果、従来の最大エントロピー法(MEM)とスパースモデリングのジャックナイフ平均法を組み合わせることで、深さ方向プロファイルを高精度に実現できることがわかった。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.
Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04
被引用回数:259 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。
佐藤 稔紀; 笹本 広; 石井 英一; 松岡 稔幸; 早野 明; 宮川 和也; 藤田 朝雄*; 棚井 憲治; 中山 雅; 武田 匡樹; et al.
JAEA-Research 2016-025, 313 Pages, 2017/03
幌延深地層研究計画は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関わる研究開発の一環として、日本原子力研究開発機構が北海道幌延町で進めているプロジェクトである。本報告書は、深度350mの研究坑道掘削終了までの期間(2005年4月から2014年6月)に行われた第2段階における調査研究の成果を取りまとめたものである。第2段階における深地層の科学的研究では、「地質環境調査技術開発」、「深地層における工学的技術の基礎の開発」、「地質環境の長期安定性に関する研究」を、地層処分研究開発では、「処分技術の信頼性向上」、「安全手法の高度化」を実施し、これらに加えて「地下施設の建設」、「環境モニタリング」を実施し、当初の目標どおりの成果を得た。「地質環境調査技術開発」では、坑道掘削中の地質環境の変化を把握するとともに、第1段階で予測した結果の妥当性を確認した。「深地層における工学的技術の基礎の開発」においては、地下施設の建設に適用した工学的技術の有効性を確認した。「地質環境の長期安定性に関する研究」ならびに地層処分研究開発の「処分技術の信頼性向上」と「安全手法の高度化」では、この期間の研究成果をまとめた。「地下施設の建設」では坑道掘削の実績を整理した。「環境モニタリング」では、環境調査などを継続し、地上及び地下施設の建設に伴う影響の低減を図る措置が適切であることを確認した。
石原 圭輔; 横田 顕; 金澤 真吾; 池谷 正太郎; 須藤 智之; 明道 栄人; 入江 博文; 加藤 貢; 伊勢田 浩克; 岸本 克己; et al.
JAEA-Technology 2016-024, 108 Pages, 2016/12
研究機関, 大学, 医療機関, 民間企業等において放射性同位元素や放射線発生装置, 核燃料物質等が使用され、多様な低レベル放射性廃棄物(以下「研究施設等廃棄物」という。)が発生しているが、これらの研究施設等廃棄物については、処分方策が確定されておらず、各事業者において長期間に亘り保管されている状況である。高減容処理施設は、研究施設等廃棄物のうち、主に、原子力科学研究所で発生する低レベルの・固体廃棄物を対象に、将来の浅地中埋設処分(以下「埋設処分」という。)に対応可能な廃棄体を作製することを目的として建設された施設である。埋設処分に対応可能な廃棄体を、安全、かつ、効率的に作製するためには、「予め廃棄物を材質ごとに仕分け、形状等を整えるとともに、埋設処分等に係る不適物等を除去すること」が極めて重要である。本稿では、この研究施設等廃棄物の処理・処分のための解体分別及び前処理について報告を行うものである。
前田 沙織*; 岡 眞; 横田 朗*; 肥山 詠美子*; Liu, Y.-R.*
Progress of Theoretical and Experimental Physics (Internet), 2016(2), p.023D02_1 - 023D02_29, 2016/02
被引用回数:32 パーセンタイル:82.89(Physics, Multidisciplinary)チャームバリオン(, , )と核子の相互作用のポテンシャル模型を構築した。長距離到達力としてと中間子交換を考え、短距離ではクォーククラスター模型を用いて計算したクォーク交換力を用いた。長距離力には、ハドロンが拡がっている効果として単極形状因子を導入した。カットオフパラメータは同じ方法で散乱のデータに合わせて決めた。その結果4つ(a)-(d)のパラメータセットを得た。最も引力の強いポテンシャルセット(d)では-, -, -のチャネル結合によって、スピンパリティがとの束縛状態を持つ。多体系の束縛状態を探すために、パラメータセット(d)に対応する の1チャネルポテンシャルを構成し、--の3体系に適用し、スピン=1/2と3/2の束縛状態を予言した。
横田 久美子*; 田川 雅人*; 松本 康司*; 古山 雄一*; 北村 晃*; 神田 一浩*; 戸出 真由美; 吉越 章隆; 寺岡 有殿
Protection of Materials and Structures from the Space Environment; Astrophysics and Space Science Proceedings, Vol.32, p.531 - 539, 2012/08
Stability of hydrogen in Diamond-like carbon (DLC) film under simulated space environment, i.e., hyperthermal atomic oxygen, vacuum ultraviolet (VUV) and soft X-ray exposures has been studied. Hydrogen in DLC was released by low-energy atomic oxygen beam exposure, whereas the gasification reaction of carbon atom needed collision energy above 3 eV. The desorption process in the deep region required a higher collision energy. The density of hydrogen decreased 11% by atomic oxygen exposure, and was independent of the collision energy. Photon exposure also releases hydrogen from DLC. High-energy photons in soft X-ray promote the hydrogen desorption even from deeper region with high efficiency. It was considered that soft X-ray could release bonded hydrogen which is not released by VUV or atomic oxygen exposures.
奈良 孝幸; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 百合 庸介; et al.
JAEA-Review 2011-043, JAEA Takasaki Annual Report 2010, P. 172, 2012/01
TIARAの主要加速器であるAVFサイクロトロンの、2010年度における運転及び整備の状況、また、東北地方太平洋沖地震の影響並びに新しく開発したイオンビームや多重極電磁石を用いた大面積高均一照射などの技術開発の現状を報告する。
奈良 孝幸; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 百合 庸介; et al.
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 180, 2011/01
TIARAの主要加速器であるAVFサイクロトロンの2009年度における運転及び整備の状況、また、新イオンビーム開発及びビーム計測技術並びにサイクロトロンのイオン種・エネルギー短時間切替技術開発の現状を報告する。
小嵐 淳; 三上 智; 宮内 亨; 小沢 友康*; 横田 友和*; 中田 陽; 秋山 聖光; 百瀬 琢麿
JAEA-Technology 2010-039, 34 Pages, 2010/12
より安定で信頼性が高く、効率的な排気中放射性ヨウ素のモニタリング手法を確立することを目的として、東海再処理施設で実施しているモニタリング手法の基礎となる捕集・測定技術及び放出評価法に関する試験・検討を行った。特に、(1)活性炭含浸フィルターと活性炭カートリッジを組合せたヨウ素捕集方法の捕集効率の評価と、そのサンプリング流量率依存性の解明,(2)活性炭カートリッジに捕集されたヨウ素の放射能定量法の確立,(3)活性炭カートリッジによるヨウ素捕集の適用限界の評価,(4)排気中放射性ヨウ素の連続監視システムの構築を目指した。得られた結果に基づいてモニタリング手法を再評価し、現在のモニタリング手法の妥当性を検証するとともに、手法の高度化へ向けた技術的要件を提示した。
田川 雅人*; 横田 久美子*; 北村 晃*; 松本 康司*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; 神田 一浩*; 新部 正人*
Applied Surface Science, 256(24), p.7678 - 7683, 2010/10
被引用回数:13 パーセンタイル:50.83(Chemistry, Physical)超熱原子状酸素ビームに曝した水素化ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の表面構造変化を、ラザフォード後方散乱分光(RBS),放射光光電子分光(SR-PES),X線吸収端微細構造解析(NEXAFS)で調べた。DLC表面は酸化され、原子状酸素の高エネルギー衝突でエッチングされることがわかった。RBSとリアルタイム質量損失測定では原子状酸素強度とエッチング量は比例した。SR-PESでは酸化層はDLC膜の最表面に限られることがわかった。NEXAFSからはDLCのsp構造が選択的にエッチングされ、spリッチ領域がDLC表面に残ることがわかった。DLC表面にspリッチ領域が生成すると表面荒れが起こり、初期のDLC表面に比べてエロージョン収率が減少することがわかった。
横田 久美子*; 田川 雅人*; 北村 晃*; 松本 康司*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; Fontaine, J.*; Belin, M.*
Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Space Technology Japan (Internet), 7(ists26), p.Pc_37 - Pc_42, 2009/06
Siドープダイヤモンドライクカーボン(DLC)に対する超熱原子状酸素(AO)照射の効果を調べた。組成比でSiを10%含むものと20%のものと二種類のDLCを試験した。試験には放射光光電子分光法(SR-PES)とラザフォード後方散乱法(RBS)を用いた。SR-PES法からAO照射によってSiO層がSiドープDLC表面に形成されることがわかった。RBSからはAO照射によってSiをドープしないDLCの膜厚が目減りすること、それと対照的に、SiドープDLC表面に形成されるSiO層がその下地のDLCを保護する効果があることがわかった。
横田 久美子*; 田川 雅人*; 北村 晃*; 松本 康司*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿
Applied Surface Science, 255(13-14), p.6710 - 6714, 2009/04
被引用回数:13 パーセンタイル:50.25(Chemistry, Physical)超熱原子状酸素に曝した水素化ダイヤモンドライクカーボン(DLC)中の水素と炭素の密度をラザフォード後方散乱分光と弾性反跳イオン分析で調べた。DLC中の水素密度は、原子状酸素の衝突エネルギーが3eV以上では炭素原子を取り去る必要があるが、2eV程度では酸素原子暴露とともに減少した。高い衝突エネルギーはDLCの深い部分からの水素の脱離に有効である。表面での水素密度は酸素原子暴露で6%減少したが、衝突エネルギーには依存しない。さらに、DLC中を拡散する遊離している水素は原子状酸素の衝突によるエネルギー移動によって脱離することがわかった。
奈良 孝幸; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 百合 庸介; et al.
JAEA-Review 2008-055, JAEA Takasaki Annual Report 2007, P. 190, 2008/11
TIARAの主要加速器であるAVFサイクロトロンの、2007年度における運転及び整備の状況、また、新イオンビームや新しい方式による大面積高均一照射などの技術開発の現状を報告する。
中田 陽; 宮内 亨; 秋山 聖光; 百瀬 琢麿; 小沢 友康*; 横田 友和*; 大友 寛之*
JAEA-Data/Code 2008-018, 134 Pages, 2008/10
核燃料サイクル工学研究所再処理施設の放射性気体廃棄物の測定・監視は、1977年度のホット試験開始の年から開始された。これらの測定結果は、法令及び茨城県原子力安全協定に基づいて定期的に国(半期及び四半期ごと)及び地方自治体(四半期ごと)に報告され、その都度公開されている。しかし、公開されているデータは、月間値もしくは3か月値である。本書は、当該施設からの過去10年間の放射性気体廃棄物に関する放出管理データをまとめたものである。本書の編集にあたっては、Krについては日放出量を記載し、その他の核種(全,全, H, C, I, I)については、週間放出量を記載することとした。本書が、放射性気体廃棄物の大気中における挙動を解析するための基礎データとして有効に活用されることを期待する。
横田 久美子*; 田川 雅人*; 北村 晃*; 松本 康司*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; Fontaine, J.*; Belin, M.*
AIP Conference Proceedings 1087, p.368 - 383, 2008/05
Siをドープしたダイヤモンドライクカーボン(DLC)の表面保護に関して、超熱原子状酸素(AO)ビーム照射の効果を調べた。Siの含有率が10%と20%の二種類のDLCを試験した。高分解能放射光光電子分光法(SR-PES)とラザフォード後方散乱法を用いて、超熱原子状酸素ビームを照射したDLC表面を分析した。SR-PES分析から、SiをドープしたDLCではAO照射によってSiO層が形成されることがわかった。RBS分析からは、ノンドープDLCではAO照射によって膜厚が目減りすること、それとは対照的に、SiドープDLCではSiO層が下地のDLCを保護することがわかった。
奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 湯山 貴裕; 石坂 知久; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; et al.
JAEA-Review 2007-060, JAEA Takasaki Annual Report 2006, P. 204, 2008/03
TIARAの主要加速器であるAVFサイクロトロンの、2006年度における運転及び整備の状況、また、新イオンビームや新しい方式による大面積高均一照射技術などの開発を報告する。
湯山 貴裕; 奈良 孝幸; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 石坂 知久; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 百合 庸介; et al.
Proceedings of 5th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 33rd Linear Accelerator Meeting in Japan (CD-ROM), p.259 - 261, 2008/00
高崎量子応用研究所TIARAのAVFサイクロトロンは、材料・バイオ技術の研究開発に広範囲のイオン種及びエネルギーのビームを提供している。原子力機構内外の多くのユーザーに安定なビーム提供をするため、各種装置の修理,整備を計画的に行うことで、高い稼働率を実現している。また多様な照射が要求されているため、重イオンマイクロビーム形成のためのフラットトップ加速技術,ビーム位相幅計測技術,サイクロトロン磁場安定化技術などの各種技術開発や、八極及び六極の多重極電磁石を用いた大面積均一照射技術の開発などを進めている。本発表ではこれらを中心とした技術開発及び運転・保守の状況を報告する。
田川 雅人*; 横田 久美子*; 松本 康司*; 鈴木 峰男*; 寺岡 有殿; 北村 晃*; Belin, M.*; Fontaine, J.*; Martin, J. M.*
Surface & Coatings Technology, 202(4-7), p.1003 - 1010, 2007/12
被引用回数:63 パーセンタイル:89.41(Materials Science, Coatings & Films)低軌道宇宙環境における5eV原子状酸素の影響を、二硫化モリブデンスパッタ膜並びにダイヤモンドライクカーボン潤滑剤に対して実験的に検証した。X線光電子分光の結果から、二硫化モリブデン表面のモリブデンの酸化と、硫黄の気化が顕著であることが示された。深さ方向分析の結果、これらの変化は表面から3nmと極めて浅い領域で生じていることが示された。これは表面で酸化したモリブデンが保護膜の役目を果たし、酸素原子の影響を防いでいるためであると考えられる。このような組成変化は摩擦係数にも影響を及ぼすが、表面層が磨耗によって除去されるとその影響は見られない。しかし、モリブデン酸化物のアブレシブ磨耗の結果、原子状酸素照射のある条件下では二硫化モリブデンの寿命が極端に低下することが示された。一方、ダイヤモンドライクカーボンでは表面の炭素の酸化状態は原子状酸素によっても大きく変化しないことが放射光光電子分光から明らかになったが、ラザフォードバックスキャッタリングの結果、膜自体の気化劣化が激しいことが示され、宇宙環境におけるDLCの利用には保護膜形成等の措置が必要である。