検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 299 件中 1件目~20件目を表示

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

使用言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

論文

Thermally altered subsurface material of asteroid (162173) Ryugu

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.

Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03

 被引用回数:30 パーセンタイル:96.87(Astronomy & Astrophysics)

2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300$$^{circ}$$Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200$$^{circ}$$Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。

論文

X線光電子分光における時空間計測/解析技術の開発; NAP-HARPESから4D-XPSへ

豊田 智史*; 山本 知樹*; 吉村 真史*; 住田 弘祐*; 三根生 晋*; 町田 雅武*; 吉越 章隆; 鈴木 哲*; 横山 和司*; 大橋 雄二*; et al.

Vacuum and Surface Science, 64(2), p.86 - 91, 2021/02

X線光電子分光法における時空間的な測定・解析技術を開発した。はじめに、NAP-HARPES (Near Ambient Pressure Hard X-ray Angle-Resolved Photo Emission Spectroscopy)データにより、ゲート積層膜界面の時分割深さプロファイル法を開発した。この手法を用いて時分割ARPESデータからピークフィッティングとデプスプロファイリングを迅速に行う手法を確立し、4D-XPS解析を実現した。その結果、従来の最大エントロピー法(MEM)とスパースモデリングのジャックナイフ平均法を組み合わせることで、深さ方向プロファイルを高精度に実現できることがわかった。

論文

The Surface composition of asteroid 162173 Ryugu from Hayabusa2 near-infrared spectroscopy

北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.

Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04

 被引用回数:233 パーセンタイル:99.74(Multidisciplinary Sciences)

小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。

論文

The Role of nitric oxide in radiation-induced bystander cell-killing effect

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 小林 泰彦

JAEA-Review 2015-022, JAEA Takasaki Annual Report 2014, P. 67, 2016/02

本研究ではバイスタンダー効果における一酸化窒素(NO)の役割を調べた。ヒト正常線維芽細胞に$$gamma$$線(LETは0.2keV/$$mu$$m)あるいは炭素イオンビーム(108keV/$$mu$$m)を照射した後、非照射細胞と共培養した。24時間の共培養後に非照射細胞の生存率と培養液に含まれるNOの酸化物である亜硝酸イオンの濃度を測定した。非照射細胞の生存率低下は照射細胞に曝露する線量に依存したが線質には依存しなかった。非照射細胞の生存率と亜硝酸イオン濃度には負の相関関係が認められた。一方で、NO発生剤であるNOC12を培養液に加えるだけでは、細胞の生存率は低下しなかった。以上の結果から、細胞内で生成されるNOの量がバイスタンダー効果の決定因子の一つであるが、細胞間情報伝達因子ではない可能性が示された。

論文

放射線の効果を細胞から細胞へ伝えるバイスタンダー効果の特徴; 鍵を握るのは一酸化窒素

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 小林 泰彦

Isotope News, (741), p.21 - 25, 2016/01

International Journal of Radiation Biology誌2015年5月号で我々が発表した論文を中心にバイスタンダー効果について概説した。実験では、バイスタンダー効果の線量及び線質依存性と、それに関連する分子メカニズムを調べるため、$$gamma$$線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト正常線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量が増加すると非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は$$gamma$$線と炭素イオンビームで類似した。また、NOラジカルの特異的消去剤を投与すると非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、NOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカル産生はバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。バイスタンダー効果を制御することで放射線がん治療の副作用低減や治療効果を増強できる可能性にも言及した。

論文

Nitric oxide-mediated bystander signal transduction induced by heavy-ion microbeam irradiation

冨田 雅典*; 松本 英樹*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 大塚 健介*; 前田 宗利*; 小林 泰彦

Life Sciences in Space Research, 6, p.36 - 43, 2015/07

放射線誘発バイスタンダー効果は、放射線で直接照射された細胞から放出された細胞間シグナルが、周辺の非照射細胞に放射線応答を誘導する現象である。とりわけ、低フルエンス重イオンが誘導するバイスタンダー効果は、宇宙環境における宇宙飛行士の放射線リスクに直結する重要な問題である。そこで、原子力機構・高崎量子応用研究所のマイクロビーム細胞照射装置を用いた重イオン照射でバイスタンダー効果を誘導し、そのシグナル経路の解析を行った。研究の結果、COX-2遺伝子が含まれる、AktおよびNF-$$kappa$$B依存シグナル伝達経路が、一酸化窒素ラジカルが関与する重イオン誘発バイスタンダー応答の誘導に重要であることが示された。加えて、COX-2タンパク質が重イオン誘発バイスタンダー応答におけるバイスタンダー細胞の分子マーカーとして利用できる可能性も示した。

論文

The Bystander cell-killing effect mediated by nitric oxide in normal human fibroblasts varies with irradiation dose but not with radiation quality

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦

International Journal of Radiation Biology, 91(5), p.383 - 388, 2015/05

 被引用回数:9 パーセンタイル:64.82(Biology)

本研究ではバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と関連する分子メカニズムを調べるため、$$gamma$$線あるいは炭素イオンビームで照射したヒト線維芽細胞を非照射細胞と共培養した。その結果、照射細胞に曝露する線量の増加につれて非照射細胞の生存率は低下し、一酸化窒素(NO)ラジカルが酸化して生じる培養液中の亜硝酸イオン濃度は上昇した。それらの線量応答は$$gamma$$線と炭素イオンの間で類似していた。また、NOラジカルの特異的消去剤で処理することで非照射細胞の生存率低下は抑制された。さらに、非照射細胞の生存率と培養液中の亜硝酸イオン濃度は負に相関した。以上の結果から、ヒト線維芽細胞においてNOラジカルが媒介するバイスタンダー効果は放射線の線量に依存するが線質には依存しないことが明らかになった。NOラジカルの産生は$$gamma$$線及び炭素イオンが誘発するバイスタンダー効果の重要な決定因子の一つかもしれない。

論文

Responses of the salt chemotaxis learning in ${it C. elegans}$ mutants to microbeam irradiation

坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 服部 佑哉; 池田 裕子; 武藤 泰子*; 横田 裕一郎; 舟山 知夫; 浜田 信行*; 白井 花菜*; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 74, 2015/03

昆虫・哺乳動物等を用いた実験から、放射線被ばくにより学習障害等の神経系への影響がもたらされることが示唆されている。我々は、神経系を研究するためのモデル生物として知られる線虫を用いて、化学走性学習が、特定の条件下においてのみコバルト60$$gamma$$線照射の影響を受けることを明らかにした。しかし、線虫のどの部位における放射線応答が、化学走性学習行動の変化を誘導するかは明らかでない。そこで、我々は、炭素イオンマイクロビームを用いて、線虫の化学走性学習に対する直接的な放射線の影響部位を明らかにすることを目的とした。マイクロビーム照射技術は、細胞あるいは組織レベルでの直接的な放射線の影響を調べるための有効なツールとして知られている。本報告では、2つの線虫変異体(${it gpc-1}$, ${it daf-2}$)に対して、マイクロビームの局部照射を行った結果について報告する。

論文

Effects of carbon-ion microbeam irradiation on locomotion and pharyngeal pumping motion in $textit{C. elegans}$

鈴木 芳代; 服部 佑哉; 坂下 哲哉; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 池田 裕子; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 88, 2015/03

The nematode $textit{Caenorhabditis elegans}$ is a good $textit{in vivo}$ model system to examine radiation effects on vital functions such as locomotion, feeding, learning and memory. Using $textit{C. elegans}$, we recently investigated the radiation effects on locomotion (snake-like crawling motion) and found that whole-body irradiation significantly reduced locomotion. Furthermore, we focused on the pharyngeal pumping motion (chewing and swallowing), which is a rapid periodic motion, and found that the proportion of pumping-motion arrest increased after whole-body irradiation. As the next step, we started to examine whether or not the effects observed after whole-body irradiation could be induced by microbeam irradiation to a very limited region. In this report, we summarize the results of microbeam irradiation experiments we carried out in the past few years. Main findings in this study are the following: (1) Effects of the region-specific microbeam irradiation differ depending on types of motion, and (2) effects of whole-body irradiation tend to be more effective than those of the region-specific microbeam irradiation at the same irradiation dose. Further studies on the mechanisms underlying the radiation-induced changes of movements are required.

論文

Bystander effect mediated by nitric oxide depends on irradiation dose but not on radiation quality

横田 裕一郎; 舟山 知夫; 池田 裕子; 坂下 哲哉; 鈴木 芳代; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 75, 2015/03

本研究では、異なる線量の$$gamma$$線あるいは炭素イオンビームによって誘発されるバイスタンダー効果の線量及び線質依存性と、一酸化窒素(NO)ラジカルの役割について調べた。ヒト正常繊維芽細胞を実験に用い、$$gamma$$線あるいは炭素イオンを照射した細胞と非照射細胞を多孔性メンブレンの上側と下側で24時間培養した。培養後、非照射細胞の生存率は照射細胞に曝露した線量の増加とともに低下し、0.5Gy以上では下げ止まった。このことから、バイスタンダー効果は照射細胞に曝露した放射線の線量に依存するが、線質には依存しないことが明らかになった。さらに、NOラジカルの特異的消去剤であるc-PTIOをあらかじめ培養液に加えておくと、非照射細胞の生存率の低下が抑制された。以上の結果から、$$gamma$$線や重イオンビームによって誘発されるバイスタンダー効果にNOラジカルが重要な役割を果たすことが示された。

論文

Target irradiation of individual cells using focusing heavy-ion microbeam of JAEA-Takasaki, 5; Irradiation of individual cells with scanned heavy-ion microbeam

舟山 知夫; 横田 裕一郎; 鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 73, 2015/03

原子力機構・マイクロビーム細胞照射研究グループでは、集束式重イオンマイクロビームを用いた、従来のコリメーション式重イオンマイクロビームを用いた照射より高速でかつ正確な細胞照準照射技術の開発を進めている。これまでに集束式重イオンマイクロビームを用いた細胞の照準照射のための要素技術の開発を行ってきた。そこで、2013年度は、これまでに確立したそれらの要素技術を用いて、実際の細胞への高速で正確な照準照射技術の確立を目指す実験を実施した。実験では、ヒト子宮頸がん細胞由来細胞株HeLaを用い、顕微鏡下で細胞試料へのスキャンビームを用いた照準照射を行った。その結果、CR-39上で検出したイオンヒット位置と、細胞核内に検出された$$gamma$$ H2AXフォーカスの位置が一致したことから、細胞への高速な照準照射を実現することができたことが確かめられた。

論文

バイスタンダー効果を介した放射線適応応答誘導の機構

松本 英樹*; 冨田 雅典*; 大塚 健介*; 畑下 昌範*; 前田 宗利*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 池田 裕子; et al.

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 76, 2015/03

低線量/低線量率放射線に対して生物が示す特異的な応答様式には、放射線適応応答、放射線誘発バイスタンダー応答、放射線超高感受性、遺伝的不安定性等がある。我々は、原子力機構において開発された細胞局部照射装置(HZ1)および深度制御種子照射装置(HY1)を用いて、放射線誘発バイスタンダー応答による放射線適応応答の誘導機構の解析を実施した。中央にスポットしたコロニーの細胞に520MeV $$^{40}$$Ar$$^{14+}$$をマイクロビーム照射し、4-6時間培養後に同$$^{40}$$Ar$$^{14+}$$をブロードビーム照射した結果、放射線適応応答の誘導が認められ、この誘導はNO特異的な捕捉剤であるcarboxy-PTIOの添加でほぼ完全に抑制された。このマイクロビーム照射による放射線適応応答の誘導が起きた細胞で、${it iNos}$遺伝子の発現が特異的に発現誘導されていることが見いだされ、放射線適応応答の誘導にNOを介したバイスタンダー効果の誘導が関与していることが強く示唆された。

論文

Analysis of bystander response in 3D cultured tissue induced by heavy-ion microbeam irradiation

冨田 雅典*; 松本 英樹*; 大塚 健介*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 鈴木 芳代; 坂下 哲哉; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 77, 2015/03

低粒子数の重イオン線による生物影響を解明する上で、DNA初期損傷量に依存しない「非標的効果」が注目されている。特に、放射線に直接曝露された細胞の近傍に存在する全く放射線に曝露されていない細胞において観察される「放射線誘発バイスタンダー応答」は、最も特徴的な非標的効果であり、その解明は放射線生物学のみならず、粒子線がん治療、宇宙放射線の生体影響評価においても重要である。本研究は、これまでの2次元での培養細胞を用いた研究から、組織レベルでの生体応答研究への展開を図るため、分化誘導させたヒト3次元培養皮膚モデルを用い、原子力機構の細胞局部照射装置を利用し、放射線誘発バイスタンダー応答によって生じるシグナル伝達経路の変化を明らかにすることを目的とした。2015年度は、ヒト3次元培養皮膚モデルへの重イオンマイクロビーム照射条件の検討を行い、照射した試料のMTT法による生細胞率測定を実施し、試料全体を重イオンビームで照射したものと比較した。その結果、全体照射した試料では生存率の低下が認められた一方、本条件でマイクロビーム照射した試料では生存率の低下が認められなかった。

論文

Ion-species dependent bystander mutagenic effect on ${it HPRT}$ locus in normal human fibroblasts induced by C-, Ne- and Ar-ion microbeams

鈴木 雅雄*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 78, 2015/03

これまでに、バイスタンダー効果で誘発される細胞死や染色体変異における照射イオン種依存性の解析を進めてきた。2015年度の研究では、バイスタンダー効果による${it HPRT}$遺伝子の変異誘発におけるイオン種依存性を、ヒト正常線維芽細胞を用いて解析した。コンフルエントに培養した細胞試料に対し、16$$times$$16マトリックス照射法で、異なる核種(炭素,ネオン,アルゴン)のマイクロビーム照射を行った。${it HPRT}$遺伝子の変異誘発頻度は、6-チオグアニン耐性コロニーの頻度で測定した。炭素イオンマイクロビーム照射した試料では、非照射試料およびギャップジャンクション経由の細胞間情報伝達に特異的な阻害剤で処理した試料と較べ、変異頻度が6倍高くなった。一方、ネオン及びアルゴンマイクロビームで照射した試料では、このような変異頻度の上昇が認められなかった。この結果は、ギャップジャンクションを介したバイスタンダー効果による突然変異誘発において、イオン種依存性が存在すること意味する。

論文

Analysis of bystander effect induced by cell membrane response in glioma cells

和田 成一*; 安藤 達彦*; 渡辺 彩*; 柿崎 竹彦*; 夏堀 雅宏*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 79, 2015/03

これまでのマイクロビームを用いた細胞の局部照射実験でバイスタンダー効果の誘導には細胞核の損傷応答だけでなく細胞膜応答も重要であり、細胞膜応答分子であるスフィンゴミエリナーゼがその応答に関与することが明らかになってきた。しかし、スフィンゴミエリナーゼがどのようにして細胞間情報伝達に関与しているかはまだ明らかになっていない。そこで本研究では、照射後に細胞外に分泌されるスフィンゴミエリナーゼが、細胞から放出され、細胞間情報伝達に関与する膜小胞であるエクソソーム内に含有されているかを解析した。照射したグリオーマ細胞をから細胞外に放出されたエクソソーム中にスフィンゴミエリナーゼが含まれるか解析するため、培養上清からExo Quickによるエクソソームの精製を行い、抗スフィンゴミエリナーゼ抗体を用いたウエスタンブロットを行った。その結果、照射によって細胞外に分泌されたスフィンゴミエリナーゼは主にエクソソームの形態で細胞外に分泌されることが明らかになった。この結果からバイスタンダー効果においてスフィンゴミエリナーゼ自身がバイスタンダー因子としてシグナル伝達に関与することが示唆された。

論文

カイコ初期発生卵における重イオンビーム照射の影響

上田 大介*; 白井 孝司*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 横田 裕一郎; 小林 泰彦

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 84, 2015/03

これまで産下2時間後のカイコ初期発生卵に10Gyの炭素イオンを照射すると短時間の発生停止の後に発生を再開するものの、傷害の修復は不完全であり、多くの卵が、産下12-13時間後に傷害核がアポトーシスにより排除されることで孵化することなく致死することを報告した。そこで、本研究では、カイコ初期発生卵における放射線に対する応答の詳細をさらに明らかにすべく、受精直前と受精後卵黄内核分裂期に照射を行うことでその影響を調査した。最初に、産下1.5時間の受精直前の卵に炭素イオン照射を行った。その結果、照射卵では受精直後に発生が停止し、非照射卵と比較すると平均して約2時間の発生遅延が認められた。この結果は、照射によって前核に生じたDNA損傷は受精を阻害しないことを意味する。次に、卵黄内核分裂期である産下6時間後の卵に炭素イオン照射を行い、その後の発生を調査した。その結果、非照射卵と比較して明らかな発生遅延が認められ、発生再開に要する時間は、産下1.5時間の卵の場合と較べ約2倍必要となることが明らかになった。

論文

Medaka blastoderm cells are capable of compensating the injured cells irradiated by carbon-ion micro-beam

保田 隆子*; 尾田 正二*; 浅香 智美*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 池田 裕子; 小林 泰彦; 三谷 啓志*

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 85, 2015/03

本研究では、卵殻が透明で発生までの全過程を生きたまま詳細に観察可能なメダカ胞胚期に重イオン照射を行い、その後の発生を詳細に観察した。メダカ胞胚期に炭素線をブロードビーム照射した結果、10Gyでは体軸形成不能、5Gyでは体軸形成異常、2Gyでは器官形成異常が観察され、全て早期胚死となり孵化には至らなかった。次に、炭素線マイクロビーム(ビーム径120および180$$mu$$m)を用いて胚盤(約500$$mu$$m径)中央を局部照射し、胚盤全体をブロードビーム照射した試料と比較した。その結果、局部照射した試料では、発生遅延や、眼組織における器官形成異常が観察された。一方、孵化率では、全体照射した試料では2Gyでほとんどの胚が孵化できなかったが、炭素イオンマイクロビームで胚盤中央部のみを50Gyで局部照射した試料では約半数の胚で正常な孵化が観察された。

論文

Immunofluorescence observation of oxidative damage of DNA induced by heavy ions from TIARA

北畠 里実*; 後田 藤太*; 平山 亮一*; 古澤 佳也*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 岡畑 恵雄*; 伊藤 敦*

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 86, 2015/03

高LETイオンビームの特異な生物作用は、その飛跡に沿ったエネルギー付与分布のトラック構造が原因であると言われている。そこで、トラック構造を構成するコア領域とペナンブラ領域それぞれの生物作用を明らかにするために、それらがDNAに誘発する損傷の可視化を行った。本研究では、不溶性DNAシートの作製プロトコルを確立すると共に、高LETイオンビームで照射した後に生じる代表的なDNA酸化損傷である8-ヒドロキシグアニンの分布の可視化を試みた。実験では、不溶性DNAシートを原子力機構TIARAのプロトンおよびネオンイオンビームで照射した後、8-ヒドロキシグアニン特異的抗体と蛍光二次抗体で処理することで損傷の可視化を試みた。予備的な実験の結果では、照射したDNAシート上にドット状の蛍光が観察され、これがイオン照射で生じたDNA損傷由来である可能性が示唆された。

報告書

TIARAサイクロトロンにおけるマイクロビーム形成・シングルイオンヒット技術の開発

横田 渉; 佐藤 隆博; 神谷 富裕; 奥村 進; 倉島 俊; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 吉田 健一; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; et al.

JAEA-Technology 2014-018, 103 Pages, 2014/09

JAEA-Technology-2014-018.pdf:123.66MB

日本原子力研究開発機構高崎量子応用研究所のイオン照射研究施設(TIARA)では、イオンビームを利用する主要な研究課題である生物細胞放射線影響評価研究と宇宙用半導体耐放射線性評価研究を推進するため、TIARAのサイクロトロンで加速した数百MeV重イオンビームを磁気レンズで集束させて直径1$$mu$$m以下のマイクロビームに形成する技術を世界で初めて実現した。更に、これを用いて1個のイオンをビーム径の空間精度で照準するシングルイオンヒットを可能にした。この過程で、TIARAの静電加速器で完成した数MeVイオンのマイクロビーム形成・シングルイオンヒット技術を活かしたビーム集束装置、ビーム照準・計測技術や、1$$mu$$mへの集束に必要なエネルギー幅の狭い数百MeV重イオンビームを加速するためのサイクロトロンに特有な技術を開発した。また、開発途中に利用研究の実験に試用することにより、本技術の適用性を適宜評価しその改良を行うことで、利用研究の試用実験を軌道に乗せることができた。本報告書は、およそ10年に亘るこれらの技術・装置開発の過程及び成果を、試用実験における評価とともにまとめたものである。

論文

Radiation-quality-dependent bystander effects induced by the microbeams with different radiation sources

鈴木 雅雄*; Autsavapromporn, N.*; 宇佐美 徳子*; 舟山 知夫; Plante, I.*; 横田 裕一郎; 武藤 泰子*; 鈴木 芳代; 池田 裕子; 服部 佑哉; et al.

Journal of Radiation Research, 55(Suppl.1), P. i54, 2014/03

It is essentially important for evaluating risk such a low-dose-rate exposure as the accident of Fukushima Daiichi Nuclear Power Plants to examine bystander effects induced by low-LET electromagnetic radiations, such as X or $$gamma$$ rays. We have been studying the cellular responses in normal human fibroblasts by targeted cell nucleus irradiations with monochromatic X-ray microbeams (5.35 keV) produced by Photon Factory in High Energy Accelerator Research Organization. The results indicated that the bystander effect in cell- killing effect was observed in the targeted cell nucleus irradiation, not in the random irradiation containing both cell nucleus and cytoplasm by Poisson distribution. The results suggest that energy deposition in cytoplasm is an important role of inducing bystander effects in case of low-LET radiations. We have also been investigating high-LET-radiation induced bystander effects using the heavy-ion microbeams at Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application in Japan Atomic Energy Agency. Only 0.04% of the total numbers of normal human fibroblasts were irradiated with C-ion (220 MeV), Ne-ion (260 MeV) and Ar-ion (460 MeV) microbeams collimated at 20 micro meter in diameter. Cell-killing effect and gene mutation at HPRT locus in the cells irradiated with C ions were higher beyond our expectations and returned the estimated values that only 0.04% of the total cells were irradiated when using the specific inhibitor of gap junctions. On the other hand, no induced biological effects were observed in Ne and Ar ions whether the inhibitor was applied or not. The result suggested that the C-ion microbeam was capable of inducing bystander cellular effects via gap junction mediated cell-cell communication. There is clear evidence that bystander cellular effects are dependent on radiation quality.

299 件中 1件目~20件目を表示