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前川 康成; 鈴木 康之; 前山 勝也*; 米澤 宣行*; 吉田 勝
Langmuir, 22(6), p.2832 - 2837, 2006/03
被引用回数:6 パーセンタイル:30.07(Chemistry, Multidisciplinary)イオン穿孔膜のナノリアクターやナノ分離膜への応用を目的として、PET膜へのイオンビーム照射により作製したイオン穿孔膜の直径が200800nmの微細孔について、その内壁の化学修飾法による表面特性の制御を試みた。微細孔内壁と同じ構造の膜表面をモデルとして、蛍光色素を有する4-(bromomethyl)-6,7-dimethoxy-coumarin(BrCU)を用いて、膜表面の接触角変化と蛍光強度変化よりアルキル化反応の最適条件を確定した。反応溶液を強制的に導入することで、イオン穿孔膜の微細孔内壁のアルキル化反応を試みた。その蛍光,励起スペクトルともに強度が微細孔内壁の表面積に比例して増加することから、内壁表面のアルキル化反応が進行していることがわかった。さらに、蛍光顕微鏡測定において、イオン穿孔膜の孔径210nmの微細孔に対応した位置から蛍光が観察できたことから、蛍光色素がイオン穿孔膜内に化学固定化できることが確認できた。
Zhu, Z.; 前川 康成; 越川 博; 鈴木 康之; 米澤 宣行*; 吉田 勝
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 217(3), p.449 - 456, 2004/05
被引用回数:20 パーセンタイル:76.62(Instruments & Instrumentation)イオン穿孔膜の電子デバイスや分離膜への応用を目的に、イオン穿孔膜微細孔の孔径分布を小さくする(均一な微細孔を作る)ため、イオンビーム照射後のポリエチレンナフタレート(PET)膜への紫外線照射効果、DMF等の有機溶媒への浸蹟効果について検討した。波長が310nm以上の紫外線照射と30分以上のDMF処理を組合せることで、イオンビームダメージ領域のエッチング感度が25倍向上し、孔径が50nm以下の円柱状孔が作製できることを見いだした。
前川 康成; 鈴木 康之; 前山 勝也*; 米澤 宣行*; 吉田 勝
Chemistry Letters, 33(2), p.150 - 151, 2004/02
被引用回数:4 パーセンタイル:21.76(Chemistry, Multidisciplinary)PET膜へのイオンビーム照射により作製したイオン穿孔膜は、直径が0.01-10mと、膜厚に対する孔径が小さく、孔径分布が狭い微細孔を有するため、分離膜やナノリアクターへの応用が期待できる。このイオン穿孔膜の分離膜機能を向上させるために、化学修飾法による微細孔内壁の化学構造と表面特性の制御を試みた。メンブレンフィルター用ろ過器に孔径0.31, 0.54mのイオン穿孔膜をセットし、微細孔内へ蛍光色素を有する1-(bromomethyl)pyreneの反応溶液を導入することで、微細孔内壁のカルボキシル基をアルキル化した。孔径が大きくなるにつれて蛍光,励起スペクトル強度の増加が観察された。蛍光顕微鏡観察より、イオン穿孔膜の微細孔に対応した位置から蛍光が観察されることから、蛍光色素が微細孔内壁に化学固定化できることが確認できた。
前川 康成; 鈴木 康之; 吉田 勝; 前山 勝也*; 米澤 宣行*
Polymer, 44(8), p.2307 - 2312, 2003/04
被引用回数:7 パーセンタイル:29.01(Polymer Science)重イオンビームの利用により、電子デバイスに使用可能なポリイミドからなるイオン穿孔膜作製を試みた。ポリイミド膜は耐熱性,耐薬品性が低い前駆体であるポリアミド酸膜の熱硬化により得られる。そこで、このポリアミド酸のイミド化率を熱硬化温度によって制御することで、イオンビーム及びエッチングによるパターン形成能の向上を試みた。Kaptonの前駆体膜を用いた場合、イオンビームによるダメージが小さいため、円柱状の貫通孔を形成するのに充分なコントラストが得られなかった。そこで、放射線に対して高い感度を示すスルホニル基を有するポリイミドを合成して、イオン穿孔膜作製を試みた。主鎖にスルホニル基のみを有する場合、ポジ型パターンは得られないのに対し、スルホニル基とメチレン基を含むイミド化率6889%膜で直径0.3mのポジ型のホールパターンが観察された。この結果から、ポジ型パターン形成のためには、主鎖にスルホニル基とメチレン基の両方が必要であることが明らかとなった。スルホニル基は開裂によるラジカル対生成に、メチレン基はポリマー主鎖の連鎖的開裂に必要なラジカル源として作用していると考えられる。
鈴木 康之; 前川 康成; 吉田 勝; 前山 勝也*; 米澤 宣行*
Chemistry of Materials, 14(10), p.4186 - 4191, 2002/10
被引用回数:17 パーセンタイル:53.66(Chemistry, Physical)重イオンビ-ムの利用により、電子デバイスに使用可能なポリイミドからなるイオン穿孔膜作製を試みた。ポリイミド膜は耐熱性,耐薬品性が低い前駆体であるポリアミド酸膜の熱硬化により得られる。そこで、このポリアミド酸のイミド化率を熱硬化温度によって制御することで、イオンビーム及びエッチングによるパターン形成性の向上を試みた。Kapton前駆体膜を用いると、イミド化温度145で、膜表面に孔径0.3mのポジパターンが生成するのに対し、150では、直径1.5m,高さ1mの突起パターンが生成した。ATR-IR法によりイミド化率を正確に制御することで、イミド化率67~83%ではポジパターンが、イミド化率88~94%で、ネガパターンが生じるイメージ反転現象を示すことを明らかとした。イミド化率の違いによるポジ-ネガの反転は、イオンビーム照射により、ポリマー鎖の分解と架橋のわずかな変化によるものであると考えられる。
鈴木 康之*; Li, J.; 前川 康成; 吉田 勝; 前山 勝也*; 米澤 宣行*
日本化学会誌, 2002(2), p.255 - 259, 2002/02
PET膜へのイオンビーム照射により作製したイオン穿孔膜は、直径が0.01-10mと、膜厚に対する孔径が小さく、孔径分布が狭い微細孔を有するため、機能性膜などの応用が期待できる。このイオン穿孔膜は加水分解により得られるため、機能性膜へ適用する場合、その親水性表面の安定性が重要となる。そこで、加水分解後のPETを乾燥空気下,窒素下,飽和蒸気下、及び減圧下,0から80で放置し、膜表面の接触角変化から、その安定性に及ぼす環境と温度の影響を評価した。加水分解により得られたPET表面の疎水性への変化は、親水的環境である飽和水蒸気下で全体的に著しく速くなった。親水性PET表面の各環境下でのcosの変化速度を疎水加速度と定義し、速度定数kの温度依存性について調べた結果、飽和水蒸気下では、他の条件と比較して温度依存性が高いことがわかった。したがって、親水的環境での疎水化の促進は、PET表面への水分子の吸着により高分子膜表面の運動性が上昇したため、親水性基の内部への拡散が速くなったためと結論した。