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河部 友三郎*; 佐野 吉彦*; 桑原 不二朗*; 上澤 伸一郎; 吉田 啓之
第63回日本伝熱シンポジウム講演論文集(インターネット), 1 Pages, 2026/05
東京電力福島第一原子力発電所の原子炉格納容器(PCV)内に存在する燃料デブリの熱挙動を推定するため、多孔質体モデルを追加したJUPITERコードによる解析手法の開発が進められている。しかしながら、多孔質体の内部構造に応じたモデルおよびそのパラメータの選定が、シミュレーション結果に大きく影響することが明らかとなっており、これらを適切に選定する手法の確立が求められている。本研究では、多孔質体の一形態である粒子充填層に着目し、その流動特性を記述するモデル定数の算出手法について検討を行った。特に、粒径比や充填構造が不均一な粒子充填層に関する系統的な知見は限られており、構造差を考慮した包括的な整理は十分になされていないことから、本研究では数値シミュレーションを用いて、粒径比や充填構造が異なる粒子充填層の透過率、Forchheimer係数について評価した。得られた結果に基づき粒子充填層の構造特性に応じてこれらのパラメータを適切に算出する手法を提案するとともに,多孔質体内の流動解析モデルの精度向上を確認した。
神谷 朋宏; 近藤 諒一; 福田 貴斉; 福田 航大; 多田 健一; 小野 綾子; 長家 康展; 吉田 啓之
JAEA-Data/Code 2025-021, 28 Pages, 2026/03
日本原子力研究開発機構は中性子輸送計算コードや熱流動計算コードなどのシングルフィジックスコードを結合するため、マルチフィジックス・シミュレーション・プラットフォームJAMPANを開発している。JAMPANは、HDF5形式のデータコンテナとシングルフィジックスコードの入力作成および出力読み取りのためのモジュールから構成されている。ユーザーは結合する計算コードに適合した入出力アクセサモジュールを使用することで、簡単に計算コードを追加・変更することができる。JAMPANには、中性子輸送計算コードMVPと熱流動計算コードJUPITER、ACE-3D、NASCAに対応したインターフェースが実装されており、炉心設計コードの参照解を提供するための核熱結合計算を行うことができる。ユーザーは必要となる計算精度に応じて熱流動計算コードを選択することが可能である。また、燃料棒の物性値の算出としてFEMAXIを利用することが可能である。本報告書ではJAMPANの概要と利用方法について説明する。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之
配管技術, 68(4, 増刊号), p.52 - 56, 2026/03
本稿では、原子炉燃料集合体のような複雑な流路内における気泡の3次元分布を可視化するための新たな計測技術について紹介する。気泡流は多くの工学分野で重要であり、特に原子力工学においては気泡挙動が原子炉の性能や安全性に大きく影響するため、その詳細な把握が求められている。従来のルールベース画像認識では、視線方向に重なった気泡の識別が困難であったが、本研究では深層学習(Mask R-CNNとSwin Transformer)を用いることで、少ない学習データでも高精度な気泡検出を実現した。さらに、ByteTrackを用いたトラッキング技術により、複雑な運動をする多数の気泡の追跡も可能となった。2台のハイスピードカメラを用いて異なる視点から撮影した画像を組み合わせ、楕円体近似により気泡の3次元形状を再構成することで、気泡の位置、直径、速度などの3次元的な瞬時局所情報を取得できる。また、流路内の構造物による視界の遮蔽や屈折の影響を排除するため、水と同程度の屈折率を持つ透明材料(PFAチューブ)を用いて模擬燃料棒を製作し、複雑な構造を持つ流路でも歪みのない撮影と計測を可能にした。これにより、従来困難であった複雑流路内の気泡挙動の3次元可視化が実現された。本技術は、少ないカメラ台数と学習量で高精度な3次元可視化を可能であることから、気泡以外の対象物への応用も期待されている。
福田 貴斉; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Computational Physics, 545, p.114485_1 - 114485_32, 2026/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Computer Science, Interdisciplinary Applications)本論文では、界面捕獲法の形状再現性と界面のシャープさを別々に定量的に評価する新しいアプローチを提案する。この新しい評価により、既存の界面捕獲法であるTHINC法とTHINC/WLIC法の間の形状再現性と界面のシャープさのトレードオフ関係が明らかになった。このトレードオフ関係の原因を解明し解決することで、THINC法やTHINC/WLIC法と同程度に簡潔なアルゴリズムを採用しながらも、形状再現性と界面のシャープさの両方において高い性能を発揮する新しいTHINC法ベースのスキームを開発した。THINC/Advanced WLIC (THINC/AWLIC)法と名付けられたこの新しいスキームは、先行するTHINC/WLIC法の重み関数を、1次風上フラックスの寄与を調整できるように再定義することによって開発された。2次元と3次元の複数のベンチマークテストの結果、THINC/AWLIC法は形状再現性と界面のシャープさの両方の観点で既存のTHINC/WLIC法より優れている。さらに、THINC/AWLIC法のアルゴリズムはTHINC/WLIC法と同様に非常で簡潔であるにもかかわらず、その形状誤差はアルゴリズムが複雑な既存の幾何学的スキームの誤差と同等程度である。
山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 19 Pages, 2026/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本研究では、過酷事故時における原子炉炉心内の三次元溶融物移動現象に対する機構論的CFDコードJUPITERの適用性について検討した。対象として、XR2-1 BWR金属溶融物移動実験を、非活性雰囲気下での溶融物移動挙動のみに着目した総合効果試験として解析した。燃料集合体、制御ブレード、および炉心下部支持構造を含むXR2-1試験部の詳細な三次元モデルを構築し、実験に基づく熱条件の下でSS/B4Cおよびジルカロイ溶融物の時間依存注入を模擬した。解析結果は、溶融物の移動経路の定性的比較および試験部主要領域における移動物質体積の定量的比較によって評価した。その結果、制御ブレードガイドチューブ、ノーズピースおよび入口ノズル、ならびにチャンネルボックス領域に沿った、実験で観測された3つの溶融物移動経路を、内部閉塞を形成することなく再現することに成功した。また、定量比較では、ほとんどの評価領域において試験後のX線断層撮影結果と良好な一致を示した。これらの結果は、JUPITERが複雑な炉心形状における三次元溶融物移動挙動を現実的に再現できることを示し、過酷事故における溶融物移動現象の評価において、大規模実験を補完する有用なツールとなる可能性を示唆している。一方で本研究では、現行のJUPITERコードを用いた燃料集合体内の溶融物移動挙動解析における主な課題として、輻射熱伝達計算に伴う過大な計算コスト、計算格子解像度の不足、ならびに流体-構造連成(FSI)モデルの未整備が挙げられた。
福田 貴斉; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(12), p.1264 - 1278, 2025/12
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)この研究では、VOF法に基づく多相流シミュレーションの3つの界面捕捉スキーム(PLIC法、オリジナルTHINC法、THINC/WLIC法)を、気泡体積の保存に焦点を当てて比較検討した。単一気泡流と単孔連続気泡流の解析の結果により、THINC/WLIC法は著しいVOF拡散を示し総気泡体積を過小評価したのに対し、オリジナルTHINC法とPLIC法は気泡の体積を保存することがわかった。また、新しい視覚化アプローチに基づく分析により、THINC/WLIC法ではVOF値の一部が界面周辺のせん断力によって「引き剥がされ」てしまうことが明らかになり、同法は沸騰水型原子炉等での正確なボイド率の予測には適していないことを示した。一方、オリジナルTHINC法は、気泡体積保存の観点では、高い精度で知られるPLIC法の実装が困難である際の代替手法として有効であることが示された。
小野 綾子; 大川 富雄*; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(12), p.1231 - 1239, 2025/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)高精度で信頼性の高い限界熱流束(DNB)評価手法の開発は、カーボンニュートラルの早期実現のために必要な次世代PWRの最適設計に必要不可欠である。本研究では、DNBを引き起こす主要な必要条件の一つが伝熱面上の大気泡形成であると考え、その形成熱流束を予測するモデル開発に着手した。本モデルでは、ポアソン分布で分布を仮定した発泡点から発生する一次気泡同士の接合により、小合体泡が形成されるとし、離脱時の小合体泡の半径が、三島のスラグ形成条件を満足すれば大気泡が生成される。実験データを用いた解析の結果、提案モデルは大きな蒸気塊を形成するための熱流束をよく予測することがわかった。
Zhang, H.*; 梅原 裕太郎*; 堀口 直樹; 吉田 啓之; 江藤 淳朗*; 森 昌司*
Energy, 335, p.138090_1 - 138090_18, 2025/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Thermodynamics)原子力発電は、カーボンニュートラルな未来を実現するための重要な低炭素エネルギー源である。沸騰水型原子炉(BWR)では、燃料棒周囲における蒸気と水の環状流が原子炉の安全性にとって極めて重要であるが、その高温高圧条件(285
C、7MPa)により、直接計測が困難である。この問題に対処するため、我々はHFC134a-エタノール系を低温定圧条件(40
C、0.7MPa)で用いることで、BWRの液膜流の模擬実験を実施した。高速度カメラと定電流法を用いて、液膜特性、波速度および周波数を分析した。また表面張力と界面せん断応力の影響を調査した。さらに基底液膜厚さについて新たな相関関係を提案した。
柾木 直人*; 金子 暁子*; 堀口 直樹; 吉田 啓之
Extended Abstracts of the 11th JSME-KSME Thermal and Fluid Engineering Conference (J-K TFEC11) (Internet), 6 Pages, 2025/10
原子炉の炉心溶融が発生した場合、溶融燃料はジェット状に冷却材プールへ侵入する可能性がある。ジェットの微粒化は、溶融燃料と冷却材間の熱伝達を促進することから、シビアアクシデントマネージメントにおいて極めて重要である。これまでのジェットの微粒化に関する研究は、ジェットに作用する界面せん断応力に着目してきた。界面せん断応力は、界面波の成長と変形に寄与し、最終的には液滴形成を促進する要因となる。しかし、円柱状のジェットにおける界面波の発展を観察し、界面に作用するせん断応力を定量化することは実験では極めて難しいため、界面せん断応力がジェットに与える影響は未だ十分に解明されていない。本研究は、ジェットに及ぼす界面せん断応力の影響を実験的に明らかにすることを目的とする。実験は3D-LIF法およびPIVを用いた液-液系で行った。ここで、両相の屈折率を一致させるためジェット相にグリセロール-水溶液を、連続相にシリコーンオイルを用いた。ジェットは直径3mmのノズルからプールへ垂直下方に侵入させた。噴出速度は2.6m/s、プールの深さは30mmとした。3D-LIF法およびPIVのため、ローダミン6Gおよびトレーサ粒子を用いた。結果として、ジェットの界面で2種類の波が観察された。ノズルから15mm以上離れた界面では、大きな波が二次元(軸対称)で現れ、それらの表面上に波長
=1mmの三次元的な小波が形成されることが確認された。さらに、小波に作用する界面せん断応力は、大波に作用するそれよりも大きいことが明らかとなった。また、小波からは容易に液滴が形成されることが観察された。これらの結果から、小波に高い界面せん断応力が作用することにより、液滴形成が促進されることを実験的に結論付けた。
佐野 吉彦*; 太田 健介*; 桑原 不二朗*; 上澤 伸一郎; 吉田 啓之
日本機械学会熱工学コンファレンス2025講演論文集, 1 Pages, 2025/10
東京電力福島第一原子力発電所の原子炉格納容器(PCV)内に存在する燃料デブリの熱挙動を推定するため、多孔質体モデルを追加したJUPITERコードによる解析手法の開発が進められている。しかしながら、多孔質体の内部構造に応じたモデルおよびそのパラメータの選定が、シミュレーション結果に大きく影響することが明らかとなっており、これらを適切に選定する手法の確立が求められている。本研究では、多孔質体における流動特性のモデル定数の算出手法について検討を行った。これらの特性は、単なる固体と気体の体積比に依存するだけでなく、内部構造に大きく左右されることから、異なる粒径を持つ粒子充填層に着目し、数値シミュレーションを通じて多様な構造における透過率およびForchheimer係数を評価した。得られた結果に基づき、粒子充填層の構造ごとにこれらのパラメータを適切に算出する手法を提案し、多孔質体内伝熱流動モデルの精度向上に資する知見を得た。
神谷 朋宏; 吉田 啓之
Physics of Fluids, 37(10), p.103359_1 - 103359_23, 2025/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Mechanics)本研究では、圧縮性気液二相流シミュレーションのために、volume of fluid (VOF)法とghost fluid法に基づく保存スキームを開発した。提案手法の圧縮性二相流体シミュレーションに対する性能と適用性を調べるために、いくつかの一次元および二次元数値テスト問題を扱った。その結果、提案手法の計算結果は厳密解や先行研究の数値計算結果とよく一致した。さらに、提案手法が質量、運動量、エネルギーをほぼ完全に保存できることも示された。以上から、提案手法は圧縮性二相流シミュレーションに適用することができ、質量、運動量、全エネルギーを保存することができると結論付けた。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之
画像ラボ, p.1 - 5, 2025/08
本稿では、原子炉燃料集合体のような複雑な流路内における気泡の3次元分布を可視化するための新たな計測技術について紹介する。気泡流は多くの工学分野で重要であり、特に原子力工学においては気泡挙動が原子炉の性能や安全性に大きく影響するため、その詳細な把握が求められている。従来のルールベース画像認識では、視線方向に重なった気泡の識別が困難であったが、本研究では深層学習(Mask R-CNNとSwin Transformer)を用いることで、少ない学習データでも高精度な気泡検出を実現した。さらに、ByteTrackを用いたトラッキング技術により、複雑な運動をする多数の気泡の追跡も可能となった。2台のハイスピードカメラを用いて異なる視点から撮影した画像を組み合わせ、楕円体近似により気泡の3次元形状を再構成することで、気泡の位置、直径、速度などの3次元的な瞬時局所情報を取得できる。また、流路内の構造物による視界の遮蔽や屈折の影響を排除するため、水と同程度の屈折率を持つ透明材料(PFAチューブ)を用いて模擬燃料棒を製作し、複雑な構造を持つ流路でも歪みのない撮影と計測を可能にした。これにより、従来困難であった複雑流路内の気泡挙動の3次元可視化が実現された。本技術は、少ないカメラ台数と学習量で高精度な3次元可視化を可能であることから、気泡以外の対象物への応用も期待されている。
神谷 朋宏; 永武 拓; 小野 綾子; 多田 健一; 近藤 諒一; 長家 康展; 吉田 啓之
Mechanical Engineering Journal (Internet), 12(4), p.24-00461_1 - 24-00461_9, 2025/08
原子力機構では、高忠実な核熱連成シミュレーションを実現するためにJAEA Advanced Multi-Physics Analysis platform for Nuclear systems (JAMPAN)の開発を行っている。今回は、JAMPANを用いたMVP/JUPITER連成シミュレーションの実現可能性を確認するため、単一のBWR燃料集合体に対する核熱連成シミュレーションを実施した。核熱連成シミュレーションの結果、ボイド率とそれに対応する燃料棒の発熱量分布について定性的に妥当であることを確認した。
結城 光平*; 堀口 直樹; 吉田 啓之; 結城 和久*
Mechanical Engineering Journal (Internet), 12(4), p.24-00451_1 - 24-00451_8, 2025/08
福島第一原子力発電所の燃料デブリは通常、浸漬状態で冷却される。しかし、予期せぬ水位低下が発生した場合、冷却水が多孔質構造を持つ高温の燃料デブリに接触する。このような場合、燃料デブリを早急に冷やす必要があるが、固液接触時の毛細管現象といった熱挙動は十分に理解されていない。本論文では、1mm以下の小孔を有する金属多孔体に接触した液滴の蒸発特性を評価した基礎研究について述べる。孔径1, 40, 100
mのブロンズまたはステンレス多孔体を用いた実験を行い、液滴のライフタイム曲線を推定した。結果として、発生した蒸気が小孔から排出されることで、多孔質体表面ではライデンフロスト現象が抑制されることがわかった。さらに、ブロンズ多孔質体では多孔質体の温度が上昇すると微細構造を持つ酸化膜が毛細管現象を促進した。一方、ステンレス多孔体では濡れ性が低いことで毛細管現象が抑制され、孔内への液滴の吸収および分散が抑制される。したがって、燃料デブリには毛細管力が作用しないと仮定して冷却システムを構築すべきである。
Zhang, H.*; 梅原 裕太郎*; 堀口 直樹; 吉田 啓之; 森 昌司*
Proceedings of 12th International Conference of Fluid Flow, Heat and Mass Transfer (FFHMT 2025), P. 222_1, 2025/07
過去数十年にわたり、環状流の液膜特性(膜厚や波高など)は広く研究されてきた。しかし、過去研究における実験や解析のデータのほとんどは大気圧近傍条件下の空気水環状流のものに限定されていた。そのため、表面張力や気液密度比の変化も限定的であり、これらが環状流の液膜特性に及ぼす影響は十分に理解されていない。本研究の目的は、表面張力および気液密度比が環状流の波高および界面せん断応力に及ぼす影響を明らかにすることである。気液環状流の実験を行い、時間とともに変化する液膜の厚さを測定した。作動液体として水とエタノールを、作動気体として窒素とHFC134aガスを用いることで、表面張力を30.7
67.4mN/m、密度比を27
434の範囲で変化させた。コンダクタンスプローブ法を用いた測定のセンサー精度は
である。測定データの後処理することで、液膜特性(ベース膜厚、平均膜厚、最大膜厚)およびじょう乱波の波高を推定した。実験の結果として、じょう乱波の波高のデータは界面せん断応力に対してプロットすると単一の曲線に収束した。これは、じょう乱波の形状が表面張力および界面せん断応力のバランスによって決まるためと考えられた。さらにポテンシャル法に基づく分析により、じょう乱波高さおよび界面せん断応力の間に直接的な関係があることがわかった。これらの知見は、環状流れのダイナミクスに関する理解を深め、二相流モデルの改良に貢献する。
上澤 伸一郎; 山下 晋; 佐野 吉彦*; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(6), p.523 - 541, 2025/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)東京電力福島第一原子力発電所(1F)の廃炉における汚染水対策として、日本原子力研究開発機構(JAEA)では、燃料デブリの位置や発熱、空隙率の影響を含む、空冷時の熱挙動を計算するため、ポーラスモデルを用いたJUPITERコードによる数値解析手法の開発を進めている。本研究では、ポーラスモデルを用いたJUPITERの妥当性確認を行うため、多孔質体を用いた自然対流熱伝達実験とその数値シミュレーションを実施した。実験とシミュレーションの温度と速度の分布を比較すると、多孔質体の上面付近の温度を除き、シミュレーションの温度分布は実験の温度分布と良く一致した。また、速度分布も実験結果と定性的に一致した。妥当性確認に加えて、本研究では、多孔質体の内部構造に基づく有効熱伝導率が自然対流熱伝達に及ぼす影響について検討するために、様々な有効熱伝導率モデルを用いた数値シミュレーションも実施した。その結果、多孔質媒体内の温度分布や自然対流の速度分布はモデルごとに大きく異なることがわかり、燃料デブリの有効熱伝導率は1Fの熱挙動解析における重要なパラメータの一つであることがわかった。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 永武 拓; 山下 晋; 吉田 啓之
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(5), p.432 - 456, 2025/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)ワイヤメッシュセンサ(WMS)の精度を明らかにするため、単一の球形気泡と気泡流に対してWMSの静電場シミュレーションを実施した。単一気泡の静電場シミュレーションでは、様々な気泡位置における電流密度分布と、送信ワイヤから受信ワイヤまでの電流経路を示した。その結果、WMS周囲の不均一な電流密度分布に基づく系統的誤差があることを明らかにした。また、数値流体解析コードJAEA Utility Program for Interdisciplinary Thermal-hydraulics Engineering and Research (JUPITER)で得られた気泡流結果に対して静電場シミュレーションを実施したところ、線形近似やMaxwellの式などの、WMS信号からボイド率への既存の変換方法では0と1の間の瞬間ボイド率の中間値を定量的に推定できなかった。また、WMS信号に対してボイド率
0.2という大きなばらつきがあり、瞬間ボイド率を定量的に計測することが困難であることがわかった。一方で、時間平均ボイド率においては、流路の中心付近のボイド率は線形近似を使用して推定でき、流路壁面近くのボイド率はMaxwellの式を使用して推定できることがわかった。
上澤 伸一郎; 小野 綾子; 吉田 啓之
混相流, 39(1), p.61 - 71, 2025/03
高速度ビデオカメラを用いた気泡可視化は、気泡径や気泡速度の計測技術として用いられてきた。しかし、ボイド率が高い条件下では、ボイド率の増加とともにカメラの視線方向に対する気泡の重なりが増加するため、気泡の検出が困難であった。また、ロッドバンドル流路のような障害物がある体系では可視化がさらに困難になる。本研究では、Shifted Window Transformerを用いたディープラーニングに基づく気泡検出技術を2方向から撮影した気泡画像に適用し、ロッドバンドル流路内の気泡サイズ、気泡の3次元位置、3次元軌跡を求めた。さらに、水とほぼ同じ反射率のパーフルオロアルコキシアルカンチューブを流路に用い、流路全体の気泡流を可視化した。その結果、気泡の重なりやロッド後方の気泡など、個々の気泡を識別して検出できることを確認した。さらに検出結果を用いて、各気泡の直径と流速ならびに断面ボイド率を求めた。
堀口 直樹; 吉田 啓之; 金子 暁子*; 阿部 豊*
Physics of Fluids, 37(3), p.033333_1 - 033333_20, 2025/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Mechanics)シビアアクシデントにおいて溶融燃料は浅い冷却材プール中で壁面衝突噴流として振る舞って微粒化し、デブリとして堆積することが想定されるため、壁面衝突噴流の微粒化機構の解明が重要である。本研究は、浅水プール中の壁面衝突噴流の渦状流れにおける微粒化機構の解明を目的とし、微粒化の素過程として液滴形成に着目した。液液系において屈折率を一致させた3D-LIF法を用いた実験によって得られた三次元界面形状データに対して定量化手法を適用することで機構を定量的に調査した。液滴と渦状流れの拡がり挙動の詳細な観察およびこれら挙動の定量評価によって、渦状流れが液滴の支配的な発生源であることを見出した。次に渦状流れに働く力を分析し、この渦状流れの形成・崩壊プロセスを見出した。この渦状流れに働く法線力の加速度は遠心力の見かけの加速度および重力加速度で代表できる。次に微粒化の素過程である液滴形成に着目して分析し、渦状流れにおいて二つの液滴形成パターンを見出した。一つ目は液膜自体から液滴が形成する液膜破断パターンであり、二つ目は液膜上の界面波から液滴が形成するサーフィンパターンである。無次元数を用いて液滴データを整理し、異なる液滴形成機構を表した理論線と比較した。この比較により、渦状流れにおける液滴形成機構を明らかにした。
中村 聡志; 石井 翔*; 加藤 仁*; 伴 康俊; 蛭田 健太; 吉田 拓矢; 上原 寛之; 小畑 裕希; 木村 康彦; 高野 公秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(1), p.56 - 64, 2025/01
被引用回数:1 パーセンタイル:20.46(Nuclear Science & Technology)過酸化ナトリウム(Na
O
)融解処理法を用いた燃料デブリの元素組成分析法を検討した。融解処理条件として、2種類の模擬デブリ試料((Zr,RE)O
の固溶体及び溶融炉心-コンクリート相互作用生成物(MCCI)など)を用いて融解処理温度及びるつぼ材について検討した。検討の結果、るつぼ材にNiを用いて、923Kで融解処理を行うことが最適な処理条件であることが示唆された。これを受けて、TMI-2デブリを用いたコンクリートセルでの実証試験に適用し、燃料デブリの完全溶解を確認した。得られたTMI-2デブリ溶解液の元素組成は再現性に優れ、SEM/WDX及びXRDによる分析結果と良好な一致を示し、妥当性を確認した。したがって、本手法は燃料デブリの元素組成分析において、有効であると考えられる。