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末岡 茂; 日浦 祐樹*; 小松 哲也
no journal, ,
一般に山地地域の削剥速度は、傾斜量や高度分散量などの地形量と良い相関を示すことが経験的に知られており、この関係を利用して日本列島全域における削剥速度分布を地形量から推定する試みも行われている。しかし近年では、急峻な山地では、削剥速度は非線形に振舞い大きなばらつきを示すため、岩盤の露出や地すべりの分布を考慮する必要性が指摘されている。本研究では、地形量等に基づいた削剥速度の高精度予測に向けて、これらの影響を考慮したDiBiase et al.(2023)のモデルを、日本列島ダム堆砂に基づいた削剥速度データへ適用することを試みた。全国100基のダム集水域のデータを基に、削剥速度と平均傾斜の関係をフィッティングしたところ、岩盤斜面が卓越する急傾斜地域でも、DiBiase式は従来式よりもデータを良く説明することができた。ただし、DiBiaseらが対象としたサン・ガブリエル山地の事例と比べると、概してデータのばらつきは大きく、フィッティングに用いる各パラメータの決定、特に岩盤露出地域の認定方法については更なる改良が望まれる。なお、サン・ガブリエル山地における
Be法を用いた削剥速度の場合と異なり、地すべり面積の増加に伴うモデル値と実測値の乖離傾向は明瞭には認められなかった。この原因としては、それぞれの手法が対象とする時間スケールの違いなどが考えられる。
末岡 茂; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 平田 岳史*; Kranz-Bartz, M.*; King, G. E.*; 田上 高広*
no journal, ,
飛騨山脈では、中新世
第四紀の極めて若い花崗岩が露出していることで知られているが、特に黒部地域では、地温勾配が高い領域に沿って変形が集中した結果、このような若い花崗岩が露出した可能性が指摘されている。本研究では、このような変形集中帯の範囲の推定と、変形集中帯と若い花崗岩の分布域の対応の検討を目的として、黒部地域の南西にあたる立山地域で熱年代解析およびジルコンU-Pb年代測定を行った。ジルコンU-Pb年代は約200Ma以上の船津トーナル岩類に対応される年代を示したことから、今回測定した地点では若い花崗岩の分布は確認できなかった。一方、ジルコンFT年代は約30-9Ma、アパタイトFT年代は約9-2Maの若い値を示した。アパタイトFT年代に基づくと、削剥速度は約0.6-2.8mm/yrと推定され、黒部地域には及ばないものの、世界の変動帯と比べても上位の値となった。黒部地域に沿った地温勾配が高いゾーンに変形が集中した結果、黒部地域から立山地域を含む飛騨山脈の中心部が座屈変形を起こし、もっとも隆起・削剥が速い黒部地域でのみ深部から若い花崗岩が露出するに至った可能性が考えられる。
安邊 啓明
no journal, ,
岩脈の方位分布はテクトニクスを反映した広域応力の推定に利用されてきた。マグマだまりや泥ダイアピルのような流体供給源周辺は、多数の岩脈が貫入している点で古応力の推定に適している。一方、流体供給源の貫入に伴って局所的に応力場が変化するため、広域応力と局所応力の影響を峻別する必要がある。先行研究は半無限弾性体中の有限サイズの球状圧縮源に伴う応力場モデルを提案した。本研究ではこのモデルの応力場と広域応力を足し合わせた新たな応力場モデルを提案し、実際の流体供給源周辺の応力場との比較を行う。本モデルは火山活動の影響範囲のより正確な推定に資するため、火山防災や地層処分の観点からも有用であると期待される。本研究では、西南日本の中新統田辺層群に貫入した含礫泥岩岩脈の方位を測定した。調査地域を数十から数百m規模の区画に分け、各区画の岩脈の方位分布を混合ビンガム分布法で解析した。調査地域全体で南北走向の岩脈が卓越する傾向は、この地域全体に東西方向の
軸を持つ応力が広域応力として働いたことを示唆する。区画ごとの軸の方向は、調査地域北部では東西でよく揃うのに対し、南部ではばらつきがある。岩脈の貫入密度は、北から南に向かって増大する。これらのことから、調査地域の岩脈を形成した流体の供給源が調査地域南部に存在すると考えられる。応力の型に注目すると、南から北に向かって正断層型応力、
軸が南にプランジした応力、横ずれ断層型応力と変化する。この傾向は、調査地域南部に流体供給源が存在する場合に先行研究の応力場モデルで予想される傾向と整合的である。調査地域の応力場を基に、本研究が提案する応力場モデルの変数を逆解析で求めたところ、広域応力は東西引張の正断層型応力としてよく制約された。この結果は、田辺層群の他地域の砕屑岩脈から推定された応力と整合的である。
吉田 晶*; 幸塚 麻里子*; 宮川 和也; 別部 光里*; 天野 由記; 鈴木 庸平*
no journal, ,
陸域地下には地球上のバイオマスの約8割が存在すると推定されているが、地下深部の微生物生態系を把握するためには、掘削に用いられる泥水などによる汚染の影響を正確に評価する必要がある。本研究では、2021年から2022年にかけて幌延深地層研究センター地下施設の近傍で地上から掘削された深度500mのボーリング調査において得られた深度499.60-75mの岩石コアを用いた。掘削泥水に微細な蛍光ビーズを添加し、顕微鏡観察によりコア試料内部の微細な割れ目(細脈)への蛍光ビーズの侵入程度を調べることにより、掘削泥水による汚染を評価した。その結果、汚染の影響が及ばない細脈の表面付着物質の赤外吸収スペクトルから、細脈表面に微生物が生息していることが明らかになった。16S rRNA遺伝子配列解析の結果、独立栄養性が知られる
_Altiarchaeumが優占し、その他にメタンの生成や酸化を行う古細菌も共存することが確認された。一方で、掘削泥水により汚染されたコア試料の外縁部では
属細菌が優占することから、岩石内部から検出された古細菌は細脈に土着であると判断された。以上のように、これまでに困難であった地上から地下深部の低透水性領域の掘削時の汚染評価手法の有効性を示すことができた。
) be utilized to identify the uplift pattern of young mountains along with thermochronology?中嶋 徹*; 安邊 啓明; 末岡 茂; 西山 成哲; 福田 将眞
no journal, ,
Normalized channel steepness index (), geomorphic index that correlates with the rock uplift rate and the bedrock erosibility along steady-state rivers, has been extensively employed as a proxy for the exhumation rate and its spatial distribution across mountain ranges. Recent advancements in thermochronological studies have indicated two end-members of rock uplift in island arcs: 1) block-like uplift of fault blocks (e.g., Kiso range) and 2) dome-like uplift (e.g., Iide Mountain). We mapped for numerically simulated mountains to examine the question of whether it is possible to determine the uplift pattern of mountains from the spatial distribution. TTLEM was employed to generate fault block-like and dome-like uplift velocities in a model space of 30 km on each side over a period of 2.6 Myr. A distribution exhibited a strong correspondence with the uplift velocity distribution after 0.5 Ma in both models. For actual Japanese mountains, the 30 m mesh DEM was employed with TopoToolbox utilized for the extraction of river networks and slope data, and the calculation of the . In the Kiso range, increased rapidly at both edges of the mountain range, with the maximum value being observed at a point that deviated from the main ridge line. In the Iide Mountain, a gradual increase in was observed towards the central part. In both ranges, the spatial distribution of was approximately consistent with the distribution of denudation rates indicated by thermochronological studies. Conversely, there were local abrupt changes in inactive faults, lithological boundaries, landslide topography, and dam lakes. It is necessary to carefully consider the geological and topographical background of individual mountains for estimating the uplift pattern from the spatial distribution of .
田村 友識; 藤田 奈津子; 安江 健一*
no journal, ,
問寒別断層帯は、北海道幌延町東部に位置する問寒別地域を南北方向に横断する断層帯であり、主として低断層崖や撓曲崖を発達させる逆断層によって構成される(今泉ほか, 2018)。本地域においては岡(1985)による広範な地形解析と地質調査が行われてきており、一部の活断層については大津ほか(2007)による活動時期の推定がなされている。一方で、上記以外の活断層に関しては、断層露頭の直接的確認がなされていないものも多く、活動時期が不明瞭なものも多い。このように問寒別断層帯に属する、活動時期が不明瞭な断層の性状や活動性を明らかにすることは、地域の地震評価において重要である。我々は、岡(1985)の示すパンケルぺシュペ川西岸断層の近傍において、泥炭層や砂礫層が変位・変形を受けた断層露頭を発見した。そこで本研究では、地質記載や放射性炭素年代測定を実施し、断層の活動時期を検討したため、その結果を予察的に報告する。本露頭は、基盤岩である白亜紀砂岩が泥炭層を挟み込むように分布しており、その上位には砂礫層が覆っている。砂岩と泥炭層の境界部分には断層ガウジあるいは断層角礫が確認され、その周囲には砂岩のクラストや泥炭層中に含まれる材の引きずり構造が発達する。北側の境界断層からはR1や材のP-フォリエーションからなる複合面構造が確認されることから、若干の左横ずれ成分を伴う逆断層センスであると判断した。泥炭層中には条線を伴うせん断面を確認でき、部分的に上位の砂礫層に変位・変形を与えている。泥炭層からは材や腐植土のサンプリングを9か所実施し、放射性炭素年代測定を行った。その結果、新しいもので約45,000年程度の年代が認められる一方で、放射性炭素年代測定法の測定限界をわずかに超える古い年代値も得られている。以上のことから、本露頭において確認された断層は、おおよそ50,000年前現在にかけての間で変位・変形を引き起こしたと推定される。ただし、一般にAMSの測定限界は50,00060,000年程度とされていることから、比較的若い年代結果ですら、測定限界に近い値となっている。そのため年代値の正確性にはやや疑問が残る結果となってしまったものの、本研究で得られた材や堆積物中に含まれる花粉を抽出し、これらの分析を進めている。本大会においてはこれら樹種同定や花粉分析の内容も含め、本断層の活動性を議論する予定である。
下岡 和也*; 長田 充弘*; 小北 康弘; 高橋 俊郎*; 谷 健一郎*; 壷井 基裕*; 齊藤 哲*
no journal, ,
大陸地殻の成長・成熟過程を解明するカギとして、火山弧でのマグマの異常発生期である"フレアアップ"の大規模珪長質火成活動が注目されている。日本でも白亜紀フレアアップで形成された花崗岩類が多数報告されているものの、それらの岩石を形成したマグマの生成メカニズムは明らかにされていない。そこで本研究では、西南日本内帯の梶島に産出する珪長質岩および苦鉄質岩を対象とし、それらの成因関係を明らかにすることで、西南日本でのマントル・地殻間のマグマ過程および白亜紀フレアアップのメカニズムの解明を目指す。梶島の花崗岩類および斑れい岩類に対して岩石記載、全岩化学組成分析、ジルコンHf同位体分析を行った結果から、梶島の花崗岩類と斑れい岩類には成因的関連性が強く示唆された。梶島の岩石に対して部分溶融モデリングを行ったところ、斑れい岩類の部分溶融によるトーナル岩質マグマの生成とそれに引き続くトーナル岩の再溶融による花崗岩質マグマの形成の2段階のプロセスにより梶島の岩石の化学組成を説明可能であることが示された。
福田 将眞; 小北 康弘; 安邊 啓明; 中嶋 徹*; 近藤 英江*; 手嶋 勝弥*
no journal, ,
本研究では年代測定の参照物質として活用可能な均質な化学組成で瑕疵のない結晶を人工合成するべく、フラックス法に基づく結晶合成を試みた。特に、U-Pb法や(U-Th)/He法、フィッション・トラック法などの年代測定法で対象鉱物となるモナザイト(LREE(PO)4)について検討した。フラックス合成は、液相から結晶育成する方法の一つであり、出発物質と溶媒(フラックス)を混合・加熱し、溶液を冷却もしくはフラックスを蒸発させることで、目的単結晶を合成する。今日ではレーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置(LA-ICP-MS)や電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)等を用いられることが多いため、参照物質として以下のものを条件とした: (1)均質な主要・微量組成でUやThを一定量(10100ppm)以上含有、(2)100ミクロン以上の十分な結晶サイズ、(3)不純物や空隙、劈開などが可能な限り少ない。本講演では3種類の異なる冷却条件を採用してモナザイトの育成を試みた。出発物質として、ウランやトリウムを含有すると期待されるスリランカ産の天然モナザイトを用いることで合成を試みた。まず出発物質を粉砕し、パンニングによって不純物や変質部を除去後、自然乾燥したものをフラックスであるNa
MoO
と混合した。その後、窒素雰囲気下にて1300度で30時間保持し、(a)900度まで15度/時間の冷却速度、(b)1100度まで5度/時間、(c)1100度まで5度/時間の後、900度まで15度時間の速度、といった3条件で冷却して焼成した。その後、残存したフラックスを除去したところ、条件(b)と(c)から自形性が高く、無色透明な数百ミクロン数mmスケールの結晶を得た。続いて、結晶内の化学組成の均質性の評価やU・Thの含有量を調査するために、東濃地科学センター所有のEPMAによる元素マッピングを行った。結果として、数ミクロンスケールで均質な組成であることが確認された。U・Th濃度については数百ppm以下であるが、均質に分布していることが確認された。これらの結果から、参照物質としての潜在性を有していることが期待される。
高井 静霞; 三箇 智二*; 島田 太郎; 武田 聖司
no journal, ,
放射性廃棄物処分の安全評価(中深度処分:評価期間10
年)にて、将来の気候変動の不確かさを考慮した地形予測を行うには、地形発達モデル(Landscape evolution models: LEMs)に基づく数値解析が有用である。しかしLEMsに用いられる侵食・堆積に関するパラメータの多くは測定から直接設定できない。そのため処分の影響評価では、万年スケールを対象としたLEMsのパラメータ設定が課題の一つだった。本研究では、過去から現在の再現解析(最終氷期・間氷期サイクル:12.5万年間)に基づく地形変化評価パラメータのキャリブレーションとバリデーションの方法論を構築し、JAEAで開発中のLEMsを用いて青森県上北沿岸で検証した。(i)キャリブレーション(戸鎖川流域):測定から直接推定できないLEMsのパラメータは、過去~現在の地形変化に関する拘束条件(段丘面侵食速度、埋没谷深度、河床縦断形、谷底侵食低地の幅)を再現する値として解析的に求めた。キャリブレーションは影響度評価(Morris法:拘束条件への影響度が高いパラメータの抽出)・近似モデル(拘束条件をパラメータの2次多項式で近似)を組み合わせ、効率的に行った。評価の結果、影響度が大きい5つのパラメータ(斜面侵食、河川侵食、海食、気候変動に伴う侵食量の変動の大きさ)が抽出され、近似モデルは全ての拘束条件を決定係数0.7以上で近似した。(ii)バリデーション(二又川流域):求めたパラメータセットを地形・地質学的特徴が類似する別流域に適用し、妥当性を確認した。その結果、再現した現地形と実地形の標高差は2流域とも領域の約8割で
15m以内となった。また現在の汀線位置やMIS5e段丘の位置を概ね再現しつつ、埋没谷の形成を模擬できたことから、評価の妥当性を確認した。
小松 哲也; 島田 耕史; 石原 隆仙; 箱岩 寛晶; 細矢 卓志*; 松本 なゆた*; 寺田 龍矢*; 後藤 慧*; 岡本 茂*
no journal, ,
原子力機構東濃地科学センターは、2024年度から2027年度までの予定で、ボーリング孔や坑道において遭遇することが想定される上載地層法の適用が困難な断層を対象として、その活動性評価において有効な既存手法の順序・組み合わせを探求することをテーマとした研究開発を進めている。本発表では、そうした研究開発の事例対象とした木津川断層帯の伊賀断層において、2024年度に実施した結果、すなわち、(1)地表面下25mまでのボーリング調査により得られた伊賀断層と考えられる花崗岩-堆積岩境界を含むコアと(2)ドローンのレーザー測量と反射法地震探査から得られたボーリング地点周辺の地形・地下構造、を示すとともに、2025年度の調査計画について紹介する。
川村 淳; 西山 成哲; Jia, H.*; 石川 泰己*; 小泉 由起子*
no journal, ,
地層処分システムに著しい影響を与える可能性がある天然現象のうち、地震・断層活動に関しては新たな断層が発生した場合や地質断層が再活動した際の断層周辺の破砕帯、ダメージゾーンなどの閉じ込め機能の喪失に関わる影響範囲のモデル化が必要となる。断層が形成されるとその断層が地下水の新たな移行経路になるなどの複雑な状況が想定されるが、変位量や断層面の性状は同一の断層においても均質ではないと考えられる。しかしながら、これまでの安全評価に関する検討で採用されているモデルでは断層の変位量や断層面の性状が均質なものとして取り扱われており、これらの不均質を反映したモデルを提示するまでには至っていない。地質工学分野においては微小地震に基づく岩盤割れ目の発達を把握する技術が確立されており、地震発生後の微小地震を含む余震の発生域がダメージゾーンの範囲を示唆するものと考えられる。また、気象庁が公開している「震源過程などの解析結果」の断層モデルが断層の変位量や断層面の性状を推察するうえで有力な参考情報となる可能性がある。そこで、評価モデルへの反映を念頭に、地震・断層に関するデータを収集・整理する試行的な取り組みを実施した。その結果、モデル化の際に参考となる断層活動の規模に応じた余震域の範囲や形状を3次元情報として表現することができた。また、断層面の透水性等物性の不均質性に直接的ではないものの、それらを検討する際に参考になる情報として収集・整理することができた。
小形 学; 西山 成哲; 松四 雄騎*; 内田 真緒; 小松 哲也; 末岡 茂
no journal, ,
長石の光ルミネッセンス(OSL)年代測定法は、1)堆積物中に長石が普遍的に含まれること、2)適用年代範囲が数千年から数十万年であること、そして3)堆積過程における太陽光曝露によってOSL信号が初期化するため堆積年代の推定が可能であることから、中・後期更新世海成段丘の編年への利用が期待される。これまでに、テフラ編年との比較により長石OSL年代測定法の日本の海成段丘への適用性が示されてきたが、未だ適用事例は少なく、事例蓄積による信頼性の向上が課題である。本発表では、能登半島珠洲のMIS 5c海成段丘のOSL年代測定の結果について報告する。
release increase and microbial community sift under dry-wet cycles; Comparison of surface soils and buried humus layers鈴木 優里*; 永野 博彦*; 鈴木 一輝*; 平舘 俊太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 中山 理智*
no journal, ,
Recent observations of decreased precipitation frequency and increased intensity are expected to intensify dry-wet cycles (DWC), increasing soil microbial-derived carbon dioxide emissions. To elucidate the effect of differences in soil nutrient conditions on microbial community sift under DWC, we conducted incubation experiments using 12 surface soils and 2 buried humus soils. Microbial community composition was analyzed by targeting bacterial 16S rRNA genes and fungal ITS regions in soil samples. In the surface soils, microbial community compositions of bacteria, archaea, and fungi varied not only among soils, but also among water treatments and incubation timings. DWC resulted in common changing patterns with an increase in Actinobacteria relative abundance, a decrease in Acidobacteria for bacteria and archaea, and a decrease in Mortierellomycota for fungi. Furthermore, the relative abundances of nitrification-related genes and methane-production-relatad genes showed a greater change due to DWC in the buried humus soils than in the surface soils. The expected DWC intensification may alter soil microbial communities, particularly in soils with low carbon availability, such as buried humus soils and affect the dynamics of greenhouse gases.
Sun, R.; 安藤 麻里子; 阿部 有希子; 中西 貴宏; 萩原 大樹; 小嵐 淳
no journal, ,
土壌中の鉱物と有機炭素の結合は、土壌による炭素貯留において重要な役割を果たしている。しかし、鉱物結合有機炭素の微生物分解に対する抵抗性のメカニズムは十分に解明されていない。本研究では、バッチ吸着法により3種の有機化合物(腐植酸ナトリウム塩、グルコン酸ナトリウム、およびバニリン酸)を2種の鉱物(カオリナイト、アロフェン)に結合させ、その結合量と結合強度をDubinin-Radushkevich吸着等温モデルにより評価した。さらに、その微生物分解性を培養実験におけるCO放出速度の測定に基づいて評価した。その結果、有機炭素の微生物分解は、鉱物との結合によって顕著に抑制された。さらに、微生物分解に対する抵抗性の程度は、鉱物の吸着可能な有機炭素の総量よりも有機炭素との結合強度(親和性)に依存する傾向が見られた。この知見は、鉱物結合有機炭素の持続性は、鉱物表面への親和性と吸着容量とのトレードオフであることを示唆する。
永野 博彦*; 鈴木 優里*; 平舘 俊太郎*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
Changes in soil carbon dynamics can significantly impact atmospheric CO concentrations and global environmental changes. In this presentation, we focus on the drying and rewetting cycles (DWC) of soils and introduce our research on the effects of DWC on soil organic matter-derived CO emissions and the dynamics of greenhouse gases other than CO. Through soil incubation study, we found that CO emission under DWC conditions was 1.3 to 3.7 times higher than that under constant moisture conditions and the variation in the rate of increase in CO emission was positively correlated with the amount of reactive metals. Furthermore, a study using 50 soils revealed that the amount of dissolved organic matter extracted with water from air-dried soils was strongly correlated with microbial biomass carbon measured by the conventional chloroform fumigation-extraction method using raw soil. These results suggest that DWC can be a key process to understand the mechanisms of soil carbon and greenhouse gas dynamics.
中山 理智*; 鈴木 優里*; 阿部 有希子; 谷口 武士*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 永野 博彦*
no journal, ,
Global warming triggers soil drying and rewetting even in humid areas. Here, we aimed to reveal the impact of repeated soil dry-wet cycles (DWC) on soil carbon (C) and nitrogen (N) mineralization and the factors regulating the effect sizes in humid temperate forests by incubating soils under five DWCs or constant moisture conditions. Rewetting of dried soil caused pulse increases in CO emissions and net N mineralization. Soil extractable organic C microbial biomass C after rewetting had significant negative and positive correlations with CO emission during the wet period, respectively. Likewise, microbial biomass N and change in extractable organic N after rewetting positively and negatively correlated with the net N mineralization rate after rewetting, respectively. These results indicated that the stress tolerance of soil microbial communities and microbial survivability for the novel dry-wet stress is the key to determining the response of CO emission and N mineralization to chronic soil DWC in humid temperate forest ecosystems.
秋澤 紀克*; 安邊 啓明; 他27名*
no journal, ,
Continent-ocean transition (COT) zone is a fundamental place where we can understand the Earth's unique breakup process of continental lithosphere and formation of new oceanic lithosphere. The Tyrrhenian Sea is an ideal study target to investigate the COT process as deep-seated mantle materials with various COT magmatic records were exhumed to the seafloor via oceanic detachment faulting. IODP Exp 402 (9 February to 8 April 2024) sailed at the Tyrrhenian Sea recovered mantle peridotites from two drill sites. The peridotites are intercalated with felsic granitoids with various deformation intensities. Calculated normative anorthite-albite-orthoclase compositions of granitoids showed that these samples are classified into trondhjemite to granite series. The granitoids are abundant in Na
O content up to 7.6 wt% and are subaluminous in terms of Aluminous Saturation Index (ASI 
0.9). Because these granitoids are similar in chemical characteristics to those of igneous-type granitoids, we hypothesize that the granitoid magmas were generated during the COT in the Tyrrhenian Sea. Considering their zircon-apatite U-Pb geochronology data and microstructures (Poulaki et al., 2025; Abstract of EGU annual conference), the granitoid magmas intruded into the peridotites at Pliocene ages and the granitoids accommodated strain during exhumation along the detachment fault. The "unusual" granitoid magmas probably facilitated the formation of oceanic core complex in the magma-poor continental margin.
旭 祐輔*; 福田 将眞; 末岡 茂; Kohn, B.*; 田上 高広*
no journal, ,
The uplift of the Chugoku Mountains has been attributed to geotectonic factors such as the subduction of the Philippine Sea Plate, however, the mountain building process of the Chugoku Mountains after the middle Miocene is poorly understood. Therefore, we have applied thermochronometric approaches to estimate the long-term uplift and denudation history of the Chugoku Mountains based on apatite and zircon (U-Th)/He (hereafter, AHe and ZHe, respectively) methods across the mountain. As a result, we obtained AHe ages ranging from 41.3 to 12.7 Ma (n=6) and ZHe ages ranging from 66.9 to 15.1 Ma (n=9), indicating younging from south to north. The youngest AHe age of approximately 13 Ma was obtained at the northernmost locality in the traverse, around the northern part of Shimane Prefecture. Two possible interpretations can be considered for this youngest age. First, since this locality is within the cluster of the late Cenozoic volcanic rocks, it is possible that a local reheating event caused the age to be reset due to the late Cenozoic magmatic activity. Alternatively, the young age might be due to the back-arc spreading and the clockwise rotation of the Southwest Japan Arc at 18-16 Ma. However, if a large-scale tectonic event was responsible, it is unlikely that the young age would be obtained at only a single location along the Sea of Japan coast. Therefore, the younger age is more attributable to reheating by the magmatic activity based on the present dataset.
板山 由依*; 村上 拓馬*; 藤田 奈津子; 鏡味 沙耶; 木田 福香; 落合 伸也*; 丹羽 正和; 勝田 長貴*
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シベリア南東部・バイカル湖地域は、日射量変動に対して地球上で最も鋭敏に応答してきた。バイカル湖湖底堆積物を用いた古環境復元研究はこれまで数多く行われてきた。その中で、生物起源シリカ(BioSi)や花粉化石に基づく古気候記録は、氷期・間氷期(数万年)スケールや間氷期における千年スケールの変動を明確に示した。一方で、このような生物指標は寒冷期において低濃度でほぼ一定に推移するため、環境変動を評価することは困難であった。そこで、本研究は生物起源と独立性の高い無機地球化学指標に着目し、バイカル湖湖底堆積物コアBDP-99-1のケイ酸塩分画の鉱物粒子径、ウラン(U)含有量をBioSi含有量と共に連続的に測定してきた。本発表では、再検討した年代軸に基づく、過去14万年間の古環境変動解析の結果を報告する。
安江 健一*; 平松 良浩*; 小川 智史*; 山崎 伶士*; 廣瀬 健大朗*; 三浦 知督*; 白濱 吉起*; 杉戸 信彦*; 向吉 秀樹*; 藤田 奈津子; et al.
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令和6年能登半島地震に伴い、珠洲市若山町を流れる若山川に沿って部分的に2mを超える断層崖が生じた。この崖の一部は、既存の崖地形と重なることから、崖をつくる断層が過去に繰り返し活動していた可能性がある。我々は、この崖の成因と過去にも同じような活動があったかどうかを明らかにするために、断層崖を横切るトレンチ掘削調査を実施した。また、令和6年9月能登半島豪雨により若山川が氾濫し、その際の侵食によって断層露頭が出現したことから、その露頭の観察も実施した。本結果から、一部の断層はシルト岩の層理面に沿った剪断によって形成されたと考えられ、その変位は今回の地震だけでなく、過去にも同じ場所で変位していた可能性が高く、過去約700年の間に少なくとも2回の変位があったと考えられることが分かった。