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中野 政尚
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故後、放出された放射性物質について地球規模の海洋拡散シミュレーションを行い、その結果を日本原子力学会誌アトモス, Journal of environmental radioactivity等で発表した。事故から2年が経過し、本シミュレーションで対象とする外洋域での海水中及び海産生物中Cs濃度の実測データが集まりつつある。これら実測データを用いて、シミュレーション結果を比較検証した結果、LAMERは沿岸域や海底土,底生生物などの濃度分布の再現まではできないものの、地球規模の海洋拡散状況の概略を比較的簡便な計算によって示すことができることを確認した。
佐藤 仁士; 木名瀬 栄; 斎藤 公明; 坂本 隆一*; 龍福 進*; 石橋 一房*
no journal, ,
平成24年度文部科学省受託調査「福島第一原子力発電所事故に伴う放射性物質の長期的影響把握手法の確立」の一環として、福島県内の狭い範囲における放射性セシウムの沈着量の時間変化モデルの開発に資するため、福島県伊達郡川俣町山木屋地区において空間線量率測定調査を実施している。平成25年2月時点で、計画的避難地域に設定されている山木屋地区を対象とした、さまざまな調査が実施されている。本研究では、季節による空間線量率の分布状況を把握した時間変化モデルの開発のため、積雪による空間線量率の変化傾向を調査し、時間変化モデル開発に役立てるデータ採取を実施した。
深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 河裾 厚男
no journal, ,
反射高速陽電子回析(RHEPD)は、結晶の最表面に極めて敏感な手法である。これは、陽電子がプラスの電荷をもつことにより、結晶ポテンシャルが障壁として働き、低視射角入射で全反射を起こすためである。これまで陽電子線源を用いたRHEPD実験を行い、表面研究におけるRHEPD法の有用性を実証してきた。最近われわれは、本手法を高度化させるため、電子線形加速器ベースの高強度・高輝度RHEPD装置を開発した。今回新しく開発したRHEPD装置を用いて、Si(111)-77清浄表面からの全反射陽電子回析パターンを測定したところ、強度が弱い高次ラウエゾーンの分数次スポットを明瞭に観測することに成功した。これらの分数次スポットの強度分析は、Si(111)-7
7表面の最表面原子であるadatomの原子配置のみを考慮し、動力学的回析炉論に基づいて計算した回析パターンによってよく再現できる。さらに同じadatomでも、ランプリング構造を仮定した場合が実験結果とより一致することがわかった。したがって、全反射陽電子は結晶の最表面を選択的にプローブすることが可能であり、より少ないパラメーターで精度の高い最表面原子の原子配置の決定が可能である。
望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男
no journal, ,
ルチル型TiO(110)表面は、原子スケールで均一平坦な表面が容易に得られるため、金属酸化物の触媒反応過程を調べるためのモデルケースとして最もよく研究されている。また、触媒活性をもつナノ粒子の担体としても用いられ、触媒反応の分子・原子レベル解明が進められる。一方、TiO
(110)表面構造は超高真空下でアニールすると(1
2)周期構造に転移する。STM, LEED, 表面X線回折, DFT計算から多数の構造モデルが提案されており、未だ決着していない。そこで本研究は、最表面構造解析に特化した反射高速陽電子回折(RHEPD)法を用いて、RHEPDロッキング曲線を測定し、動力学的回折理論に基づいた構造解析からTiO
(110)表面の原子配置の決定を試みた。これまで提案されているさまざまな構造モデルを用いて、ロッキング曲線を計算したところ、Ti
O
モデルのみが実験結果を非常によく再現できることがわかった。今後、デバイ温度などのパラメータを最適化する必要があるものの、RHEPDロッキング曲線の解析から、Onishiらが提唱したTi
O
モデルによってTiO
(110)-(1
2)表面の原子配置を説明できることがわかった。
和田 健*; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 小菅 隆*; 斉藤 裕樹*; 濁川 和幸*; 設楽 哲夫*; 大澤 哲*; 池田 光男*; 白川 明広*; et al.
no journal, ,
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の低速陽電子実験施設では、ライナックベースの大強度低速陽電子ビームを共同利用に供している。2012年春に、日本原子力研究開発機構の協力を得て、反射高速陽電子回折(RHEPD)用に透過型の輝度増強ユニットを導入した。これにより、Naベースの陽電子ビームと比較して、ビームの輝度が約3600倍上がり、ビーム強度は約60倍向上した。この輝度増強ビームを用いてSi(111)-7
7表面におけるRHEPD実験を行ない、全反射臨界角以下の領域で、最表面原子層からのみの明瞭な回折像を観測することに成功した。近年成果が上がっている上記RHEPD実験とポジトロニウム負イオン分光実験を次の段階に進めるために、地下1階部分の多数のコイル用電源を実験と干渉しないスペースへ移動して、より広い実験スペースを確保した。ロングパルスモードを使用するRHEPD実験は地下1階で、ショートパルスモードを使用するポジトロニウム負イオン実験とポジトロニウム飛行時間測定実験を地上1階で行うよう、ステーションの再配置を行った。
山下 真一*; MA, J.*; Marignier, J. L.*; 廣木 章博; 田口 光正; Mostafavi, M.*; 勝村 庸介*
no journal, ,
本研究では、パルスラジオリシス実験により、天然由来高分子ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ゲル中における放射線誘起活性種を観測し、その挙動を調べることを目的とした。厚さ1mmに成膜したペースト状HPCに電子線を照射し、得られたHPCゲルを水洗浄・乾燥し、パルスラジオリシス実験に用いた。パルスラジオリシス実験は、パリ南大学の電子線加速器施設ELYSEで行った。30kGyの照射により得られたHPCゲルを純水で膨潤したHPC濃度12%のゲル中における水和電子の時間挙動を調べた結果、水和電子の初期収率は、純水中の値(4.1(100eV))よりも1割ほど高い値を示すことがわかった。この増加分の水和電子は、高濃度で存在するHPC分子からはじき出された電子由来と考えられる。また、増加分の水和電子は、400ps以内に消失したことから、高分子鎖上の酸化性ラジカルと速やかに再結合していると考えられる。
岩松 和宏; 前橋 佑樹*; 山下 真一*; 端 邦樹; 田口 光正; 勝村 庸介*
no journal, ,
水の放射線分解によって生じる水酸化ラジカル(OH)は酸化力が強く、有機物に対する反応速度が大きいため重要な活性種である。本研究では、BrをOHの捕捉剤として用いた場合の捕捉反応に及ぼすBr
濃度の影響を明らかにすることを目的に電子線パルスラジオリシス実験を行った。0.9-900mMのNaBr水溶液に電子線照射した場合、捕捉剤濃度の増加に伴い、360nmにおける光吸収が速やかに現れるようになった。これはOHの捕捉反応が速くなることに加え、Br
の生成経路がOH+Br
BrOH
、BrOH
Br+OH
、Br+Br
Br
という3段階の反応経路から、OH+Br
BrOH
、BrOH
+Br
Br
という2段階の経路に変化していることが原因と考えられる。また、Br
の再結合反応の速度定数はBr
の濃度増加に伴い1.4
10
から2.8
10
M
s
に増加した。これは、イオン強度増加により反応速度が大きくなるという理論的予測で説明可能であった。
平出 哲也; 酒井 弘明; 峯井 俊太郎
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴い環境中に多くの放射性物質が放出された。実際に、環境中に存在する放射性セシウムの量は半導体検出器やNaI検出器を用いて得られるエネルギースペクトル上の全吸収ピークによって評価が行われている。しかし、これらの方法は放射性物質と検出器の距離に対して2乗に反比例する検出効率を有しており、周囲からの放射線があれば、正しい評価が難しくなるため、試料と検出器は重たい鉛などでできた遮蔽容器に入れる必要がある。今回、われわれは放射性セシウムの中で、複数の線を放出する
Csに着目した。現在、環境中に存在している放射性核種において、複数の
線を放出するもので比較的多く存在しているものは
Csのみである。
Csからの
線に関しては、605keVと796keVの
線の放出比が高く、これらの
線を同時計測することで、距離の4乗に反比例する検出効率を実現でき、周囲の汚染などに影響を受けにくい計測法として提案し、また、実用可能であることを実験で確かめた。この検出法は鉛などの遮蔽体を必要としないため、環境中において非破壊でその場観察によって、放射能量の評価を行うことが可能である。
平出 哲也; 峯井 俊太郎; 酒井 弘明
no journal, ,
LSO(LuSiO
:Ce)シンチレータは陽電子放射断層撮影(PET: Positron Emission Tomography)などへの利用されているシンチレータであり、
線検出の効率が高い。このシンチレータを利用してNa-22を用いた陽電子消滅法,特に陽電子消滅寿命測定や運動量-寿命相関測定(AMOC)に適用し、検出効率を大幅に改善し、試料への照射効果などを低減した高精度な測定を実現することに成功した。
前川 雅樹; 河裾 厚男; Lin, J.*; 斎藤 峯雄*
no journal, ,
陽電子のスピン偏極性を利用したスピン偏極陽電子消滅法では、通常の格子欠陥の検出に加え、物質の磁化といった磁性に注目した評価が可能となり、スピントロニクス研究への寄与が期待できる。磁場印加下にある強磁性体材料について、消滅線エネルギースペクトル測定から電子運動量分布の磁場反転効果の観測に成功しているが、陽電子寿命測定から得られる電子密度については報告がされていなかった。現在、Na-22線源を用いた従来型の寿命測定装置で、磁場印加下にある焼鈍鉄試料の測定を行っている。磁場極性を入れ替えた際、純鉄試料では2ps程度の寿命の違いが検出されている。これは理論計算から予測される値にほぼ相当する寿命差であった。
薮内 敦*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; Zhou, Y.*; 長谷川 繁彦*; 朝日 一*
no journal, ,
Cr添加GaN(GaCrN)はスピントロニクス材料として期待されているが、実用化に向け磁化率のさらなる向上が求められており、2つのアプローチが試みられている。1つはキャリア誘起強磁性を増強するためのSi添加であり、もう1つはCrN等の2次相を析出させずにCr濃度を増大させるための低温での分子線エピタキシー(MBE)成長である。ただし低温MBE成長ではデバイス特性を劣化させる空孔型欠陥の導入が予想される。そこで本研究では成長温度及びSi添加の有無を変えた、MBE成長GaCrN膜中の空孔型欠陥について低速陽電子ビームを用いて評価した。その結果、高温(700C)成長GaCrN膜からはSi添加の有無によらずGa空孔以上の空孔型欠陥は検出されないことが示された。一方、低温(540
C)成長GaCrN膜には
-
の空孔クラスターが導入されることが明らかになった。さらに、低温成長であっても成長時にSiを同時添加することで空孔の凝集は抑制され、導入される欠陥は複空孔(
)に変化することが見いだされた。
河裾 厚男; 前川 雅樹; Zhang, H.; 深谷 有喜
no journal, ,
ドップラー拡がり測定法によるバルク強磁性体のスピン偏極陽電子消滅実験から、磁性電子の運動量分布の研究が可能であることを示してきた。他方、スピントロニクスにおける強磁性体から非磁性体へのスピン注入効果や磁気抵抗効果などを考えるとき、強磁性薄膜においても同様の研究を進める必要がある。強磁性薄膜の多くは、面内に磁化する。さらに強磁性表面電子のスピン偏極状態も重要な研究課題と考えられる。そこで本研究では、面内に磁化できるサンプルホルダーを作製しスピン偏極陽電子消滅実験を試みた。その結果、Fe(001)/MgO(001)の面内磁化に伴う電子運動量分布の磁場反転効果を観測することに成功した。
Zhang, H.; 河裾 厚男; 深谷 有喜; 前川 雅樹; 関 剛斎*; Gu, B.; 家田 淳一; 前川 禎通
no journal, ,
Using spin-polarized positron annihilation spectroscopy, I have attempted to observe current-induced spin polarization (CISP) on several kinds of non-magnetic metal surfaces. I found that the 3- annihilation fraction of Pt(25nm)/Fe(1nm)/MgO, Pt(50nm)/Fe(1nm)/MgO and Au(3nm)/Nb(50nm)/MgO exhibited an oscillation upon DC reversal suggesting the appearance of in-plane spin-polarized electrons on the outermost surface. The thickness dependence of CISP in Pt(t
)/Fe(1nm)/MgO (t
=25, 50, 75 nm) was studied. The estimated spin polarization of Pt(25nm)/Fe(1nm)/MgO was 0.11 at j=1.8
10
A/cm
, which is nearly two times than that of Pt(50nm)/Fe(1nm)/MgO at the same current density. Study of material dependence of CISP in Au(50nm)/Fe(1nm)/MgO, Au(3nm)/Nb(50nm)/MgO and Cu(25nm)/MgO shows that, the spin polarization of Au(3nm)/Nb(50nm)/MgO thin film is much larger than that of Au(50nm)/Fe(1nm)/MgO and Cu(25nm)/MgO.
松橋 信平; 箱田 照幸; 高崎 浩司; 花岡 宏史*; 遠藤 啓吾*; 石岡 典子
no journal, ,
Ra-266密封線源から放出される線を平行化し、複数枚重ねたIP内におけるエネルギー分布の広がりから、その散乱を評価した。0.5mmのスリットによりコリメートした
線で露光した計測では、線源に近い上側のIP(IP-1)で検出したピーク強度と下側のIP(IP-2)で検出したピーク強度の比は1:0.69となり、IP-1により約30%のエネルギーが損失したと考えられた。一方、線源からの
線をコリメートせずに露光したIPでは、IP-1とIP-2のピーク強度比は1:0.66となり、コリメートした
線による露光での強度比とほぼ同じとなったことから、IP-1によるピーク強度の減少は、入射した
線の方向に依存するものではなく、IPによるエネルギー損失にのみ依存すると考えられた。IP-1及びIP-2におけるエネルギー分布のプロファイルにおいて、エネルギーピークの半値における半値幅が線源からの
線の空間的な拡がりを示していると仮定し、線源からIPまでの距離を求めたところ2.9mmとなり、実際の距離2.5mmに近い値が得られ、本法がIPから離れたところにある線源位置を推定することに有効であることが示唆された。
茅野 政道
no journal, ,
原子力機構は、福島第一原子力発電所事故当初から緊急時環境線量情報予測システムWSPEEDIと環境データを組合わせた放出量の逆推定と大気拡散評価を実施してきた。今回の発表では、プラント近辺の福島県モニタリングポストデータ、炉内状況の解析、航空機サーベイによるI-131沈着量分布評価などのデータをもとに、事故初期の大気放出と、局地的な大気拡散状況の再評価を試みた。再評価の期間は、2011年3月12日午後の1号機でウェットベントによるDW圧力低下と水素爆発が発生した期間、3月14日夜間から3月15日未明までの2号機での伴い炉心圧力が低下し風下ポストで3回線量率が上昇した期間、及び3月15日朝から3月16日昼までの最大の汚染を生じたと考えられる期間である。放出量推定では、1号機ベントの放出量や15日午後の大量放出開始がこれまでの推定より遅いことが明らかになった。また、新しい放出量を用いた沈着量計算は測定結果を、よりよく再現した。
千葉 悦子*; 飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 内田 健*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
世界の多くの国で実用化されている食品照射が日本で理解されない理由として、国民の不安や、国民的コンセンサスの不足が言われる。そこで食のコミュニケーション円卓会議の有志は、食品照射について体験実験を通して自ら実感し、その情報を発信している。2011年に実験した柿の結果を踏まえ、照射後長く保存した場合の、照射の影響の有無や照射による食味の変化について実験を進めた。今回は、硬めだが何とか食べられる程度に熟した柿を照射し、20日間前後まで保存した試料について検討した結果を報告する。2011年に未熟柿を用い同じ産地・品種で実験した際にも、照射すると軟らかく熟す傾向が見られたが、今回、食べ頃の最後ぎりぎりまで追熟したところ、必ずしも照射品が軟らかいわけではなかった。このことから、照射後低温で保管すると食べ頃の時期がやや長くなる傾向があると考えられ、「熟度の調整」がしやすいようだ。今回、長期保存による著しい劣化はなかったので、柿の検疫処理として照射を検討する価値があるだろう。
飯塚 友子*; 市川 まりこ*; 千葉 悦子*; 鵜飼 光子*; 菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
食のコミュニケーション円卓会議では、食品照射について体験実験を通して自ら実感し、その情報を発信している。以前、インド国内及び欧州向けに殺菌目的で照射されたフェアトレード商品のティーバッグが過って日本に輸入され自主回収となったことがある。われわれはできるだけ広範囲の食品について食品照射の体験を積み上げたいと考え、殺菌線量での茶の照射を試した。紅茶・緑茶・ウーロン茶の茶葉に対して、照射をしても十分に美味ならば、照射処理が実用化できるかもしれないと考え、香りや風味の変化など品質と嗜好性への影響を検討した。その結果、茶3種類とも、照射が向くようだとわかった。これまで照射して味や風味が良い意味で強くなることは、香辛料以外ではあまり体験したことがなかったので、興味深かった。有用な食品照射技術について社会に発信し、実りあるリスクコミュニケーションを通じて消費者利益に繋げたい。
岸田 敬吾*; 川村 翔栄*; 亀谷 宏美*; 菊地 正博; 中村 秀夫*; 小林 泰彦; 鵜飼 光子*
no journal, ,
電子スピン共鳴分光法(ESR)は、照射により食品に誘導されるラジカルをESR信号として直接測定できることから、照射食品検知法として大変有用である。従来、照射食品のESR計測は連続波ESR(CW-ESR)が用いられ、ラジカルの緩和時間(T,T
)はLundらの解析ソフトを用いて間接的に算出している。この解析ソフトはsinglet信号から得られるパラメーターを用いているので、複雑な信号では厳密なパラメーターを得られないと予想される。Pulse-ESR計測を用いると緩和時間は直接求められるが、食品の分析例はほとんどない。そこで、本研究では照射食品のPulse-ESR計測を詳細に検討し、緩和時間を求めた。同時にCW-ESR計測を行い、ラジカルの緩和時間を算出し、得られた緩和時間を比較検討することにより、照射食品に誘導されるラジカルの解析を行った。Pulse-ESR測定において、照射黒コショウ及び照射強力粉でecho信号の観測に成功し緩和時間を求めることができた。黒コショウのCW-ESR測定による緩和時間の算出値はPulse-ESR測定で得られた値よりも低い傾向にあった。照射強力粉では、CW-ESR測定で算出された緩和時間はPulse-ESR測定で得られた値とほぼ等しくなった。
太多 由依*; 川村 翔栄*; 菊地 正博; 小林 泰彦; 鵜飼 光子*; 中村 秀夫*
no journal, ,
ESRスピントラップ法によるラジカル捕捉活性評価に有用な新規スピントップ剤CYPMPOを開発した。さらにCYPMPO誘導体の一つで高い脂溶性もつDB-CYPを合成した。本研究では、ラジカル捕捉活性をもつ生薬の抽出物である漢方エキス剤を用い、CYPMPO及びDB-CYPをスピントラップ剤としアルコキシラジカル,ヒドロキシラジカル,ペルオキシラジカル捕捉活性の計測を放射線及び未照射試料で行いCYPMPO及びDB-CYPの有用性を検証した。DB-CYPを用いて未照射試料の各ラジカル種の捕捉活性を評価することができた。ラジカル捕捉活性は漢方エキス剤1gあたりの標準抗酸化物質相当量で示したが、CYPMPOとDB-CYPとでは異なった。DB-CYPは高い脂溶性をもつため、DB-CYPを用いることで、CYPMPO使用時のときとは異なる成分のラジカル捕捉活性を評価することができると考えられる。
菊地 正博; 小林 泰彦
no journal, ,
牛の肝臓に腸管出血性大腸菌が存在する可能性が示唆されたことから、2012年の7月以降、安全に生食するための有効な対策が見いだされるまでの間、牛肝臓を生食用として提供することが禁止された。放射線を用いると、包装後に「生レバー」を殺菌し、生食用として安全に提供できると考えられる。将来、照射殺菌が適用される場合は、照射したことを検知する手段が必要となる。そこで、化学発光ELISA法を、牛レバーに適用することを試みた。非凍結状態で照射された検体に対してELISAを行うとそのシグナルは0kGyより大きくなったが、線量依存的ではなかった。一方、凍結状態で照射した生レバーでは線量が増加してもシグナル変化は認められなかった。これらの結果から、本法は非凍結で照射された生レバーでは検知できる可能性があるが、凍結状態で照射された牛生レバーでは検知が難しいと考えられた。実用的には、生レバーは冷凍で照射される可能性が高く、別の検知法が必要と考えられる。