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永野 博彦; 安藤 麻里子; 小嵐 淳
no journal, ,
日本の森林に広く分布する火山灰土壌の二酸化炭素(CO)放出速度は、温度上昇に対し指数関数的に増大する可能性が指摘されている。また、土壌の乾燥と湿潤が繰り返される条件(乾燥-湿潤サイクル条件)でのCO
放出は、水分が変化せず一定の条件(水分一定条件)での放出に比べて大きく、火山灰土壌ではその差が50%程度にも及ぶことが分かってきた。本研究では、理化学性の異なる2種類の火山灰土壌(炭素量・リン酸吸収係数ともに、土壌A
土壌B)を乾燥-湿潤サイクルおよび水分一定の各条件で培養し、乾燥-湿潤サイクルがCO
放出速度の温度依存性におよぼす影響を調査した。培養温度を20
Cと30
Cに設定し、各温度でのCO
放出速度の比Q10(Q10=30
Cでの放出速度
20
Cでの放出速度)をCO
放出速度の温度依存性の指標として比較した。土壌AのQ10は、水分条件の違いによらず、1.4から1.5程度であった。一方、より典型的な火山灰土壌である土壌BのQ10は、水分一定条件(Q10
1.5)よりも乾燥-湿潤サイクル条件(Q10
1.3)で明らかに低かった。以上より、乾燥-湿潤サイクルがCO
放出速度の温度依存性に及ぼす影響は土壌理化学性によって異なり、典型的な火山灰土壌では温度上昇に伴うCO
放出の指数関数的増大が緩和される可能性が示唆された。
平舘 俊太郎*; 宮邦 怜*; 佐藤 臨*; 安藤 麻里子; 小嵐 淳; 可知 直毅*
no journal, ,
小笠原諸島・媒島の植生は、野生化したヤギによる採食行動や踏圧を発端に衰退した履歴を持っており、現在はその回復過程にあると考えられる。このような生態系において植生の生産性を制限しているのは、多くの場合、植物必須多量元素である窒素(N)である。そこで、媒島における植生回復のための基礎的情報を得ることを目的に、長期間植生が保たれていた在来林、ギンネムが侵入した外来林、土壌流出の影響を受けて成立した草原における窒素の給源を、土壌中および植物体中のN安定同位体比(N)を測定することにより推定した。その結果、在来林の生態系は、海鳥が海洋生態系から持ち込んだと思われる
N値の高いNが利用されていること、ギンネム林では最近侵入した影響を受けて土壌表層からギンネム由来の
N値の低いNに置き換わりつつあること、草原植生では、場所によってNの給源は異なることが示された。