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河村 聖子; 松浦 直人*; 井口 敏*; 佐々木 孝彦*; 谷口 弘三*; 窪田 愛子*; 佐藤 一彦*; 稲村 泰弘; 菊地 龍弥; 川北 至信; et al.
no journal, ,
最近、分子ダイマーモット絶縁体-(BEDT-TTF)
ICl
において、リラクサー的な電荷応答を示す強誘電性が示唆されている。われわれはこの系に対し、チョッパー分光器を用いた中性子非弾性散乱測定を行い、広い波数ベクトル(Q)-エネルギー(E)空間でのフォノンの観測に、分子性導体では初めて成功した。測定では、音響フォノンと36meVまでの光学フォノンモードが明瞭に観測された。最もエネルギーの低い4.2meVのモードの強度は、グラス的強誘電が発現する温度
=62K以下でゾーン境界において増加し、さらに反強磁性転移温度
=22K以下では、観測された全Q領域で大きくエンハンスされることが明らかになった。この結果は、4.2meVモードにより特徴づけられる格子ダイナミクスが、電荷・スピンの自由度と強く結合していることを示している。