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深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 兵頭 俊夫*; 松田 巌*; 河裾 厚男
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グラフェンのシリコン版であるシリセンは、ディラックコーンのような興味深い物性を発現する可能性から、次世代の電子デバイスの新素材として注目されている。シリセンのディラックコーンの分散は、グラフェンとは異なり、そのバックリングの大きさや基板との間隔により大きく影響を受けることが理論的に示されている。最近、Ag(111)表面上でシリセンの合成の成功が報告された。しかし、シリセンの原子配置は実験的に確かめられていなかった。本研究では、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を用い、Ag(111)表面上のシリセンの構造を決定した。TRHEPD法は、陽電子の全反射を利用する表面敏感な手法である。全反射領域では、陽電子ビームの侵入深さは1-2原子層に相当する。したがって、TRHEPD法は基板上に保持した二次元原子層の構造決定に有用である。動力学的回折理論に基づくロッキング曲線の解析から、シリセンにおけるバックリングの存在(0.83A)を実験的に確認した。さらに、シリセンと基板との間隔を2.14Aと決定した。したがって、シリセンはグラフェンとは異なりバックリング構造を持つことが確かめられた。
和田 健*; 前川 雅樹; 深谷 有喜; 望月 出海*; 兵頭 俊夫*; 設楽 哲夫*; 河裾 厚男
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高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設では、電子線形加速器を用いて発生させた高強度の低速陽電子ビームが、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)研究に適用されている。専用電子線形加速器から発生した電子ビームは、タンタルコンバーターに打ち込まれ、対生成により陽電子を生ずる。陽電子の一部は、タングステンモデレーターにより熱エネルギーまで減速され、その後15kVまで加速される。陽電子ビームは、接地されたビームラインを通り、TRHEPDステーションまで磁場輸送される。陽電子は非磁場領域に解放された後、透過型の輝度増強システムを用いることにより、その輝度が1000-2000倍に増大される。その後、10kVに再加速された陽電子ビームは、接地された試料表面に入射する。最終的なビームのエミッタンスは、以前の
Naベースのものとほぼ同じであるが、フラックスと輝度は著しく増大した。これにより、これまでのものに比べ約60倍の反射強度が得られるようになった。さらに、これまで観測できなかった、高次ラウエゾーンの分数次スポットを明瞭に観測できるようになった。これを用い、全反射条件下におけるSi(111)-
再構成表面からのTRHEPDパターンがバルク中の原子からの寄与を含まないことを示した。
)-Pt and rutile-TiO
(110)-(
) surfaces determined by TRHEPD rocking curve analysis望月 出海*; 有賀 寛子*; 深谷 有喜; 和田 健*; 朝倉 清高*; 前川 雅樹; 河裾 厚男; 設楽 哲夫*; 兵頭 俊夫*
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最近、高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設において、電子線形加速器ベースの全反射高速陽電子回折(TRHEPD)装置を開発した。本研究では、Ge(001)表面上に形成したPt原子吸着誘起ナノワイヤーとルチル型TiO
(110)表面の原子配置の結果について報告する。これまで、Ge(001)-(
)-Pt表面の原子配置として、いくつかの異なった構造モデルが報告されていた。我々は、動力学的回折理論に基づくロッキング曲線解析から、理論計算により得られていた構造モデルのうちの一つがナノワイヤーの基底構造であることを確かめた。ルチル型TiO
(110)表面は、1100K以上で加熱することにより、(
)から(
)構造へ表面の周期性が変化することが知られているが、後者の原子配置はまだ明らかになっていない。現状では、走査型トンネル顕微鏡, 低速電子回折, 表面X線回折, 第一原理計算などを用い様々な構造モデルが提唱されているものの、統一的な見解には至っていない。この問題を解決するために、我々はTRHEPDロッキング曲線を測定し、結晶表面の原子配置を決定した。
兵頭 俊夫*; 深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 設楽 哲夫*; 一宮 彪彦*; 河裾 厚男
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全反射高速陽電子回折(TRHEPD)は、反射高速電子回折(RHEED)の陽電子版である。高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設では、輝度増強された高強度陽電子ビームを用いたTRHEPDステーションが稼働している。TRHEPD法は、1992年に提唱され、1998年に実証された。全ての固体中の陽電子の平均ポテンシャルエネルギーはプラスであるため、ある臨界角以下の視射角で結晶表面に入射した陽電子は全反射される。この特徴により、陽電子回折が結晶表面の最上層に極めて敏感な手法となる。本研究では、全反射の臨界角以下の視射角でSi(111)-
再構成表面において計算したTRHEPDパターンが、アドアトムと第一層の原子のみを考慮して計算したものと本質的に同じであることを示す。また、臨界角をわずかに超えた視射角で計算したTRHEPDパターンは第二層までの原子を含んだ計算と本質的に同じであることも示す。これは、臨界角以下の角度から視射角を増加させながら回折パターンを測定すると、最表面層から下層の原子までの情報を順々に得ることができることを意味する。特筆すべきことは、これらのTRHEPDパターンは、バルク原子から派生するバックグランドを含まないことである。
一宮 彪彦*; 深谷 有喜; 望月 出海*; 前川 雅樹; 和田 健*; 河裾 厚男; 設楽 哲夫*; 兵頭 俊夫*
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陽電子はプラスの電荷をもつため、結晶ポテンシャルから反発力を受ける。これは、ある角度以下で結晶表面に入射すると全反射が起こることを意味する。たとえば10keVの陽電子ビームがSi表面に入射する場合、全反射の臨界角は
になる。全反射条件下では、陽電子ビームの侵入深さは0.5nm以下である。したがって、全反射高速陽電子回折(TRHEPD)を使うと、バルクからの影響なしに、最表面の構造と物性を検出することができる。最近、高エネルギー加速器研究機構低速陽電子実験施設で開発された輝度増強高強度陽電子ビームを用いて、全反射条件下のTRHEPDパターンが最表面構造の情報だけを確かに含むことが示された。これまでにTRHEPD法を用い、表面相転移や表面デバイ温度など様々な結晶表面構造や表面物性も決定してきた。これは、TRHEPD法ではバルクの影響なしに表面デバイ温度を決定できるからである。また、Si(111)-(
)表面合金のような複雑な表面構造においても、原子配置の決定における本手法の有用性を示した。