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Redmann, F.*; 河裾 厚男; Petters, K.*; Krause-Rehberg, R.*; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 363-365, p.126 - 128, 2001/05
炭化ケイ素(SiC)半導体中の欠陥は電気・光学特性に大きな影響を与えるため、欠陥挙動の解明は物理的にも工学的にも重要な課題である。SiC半導体における欠陥挙動解明研究の一環として、われわれはn型6H-SiCに2MeV電子線を110/cm照射し、光照射下で陽電子寿命測定を行った。この結果、電子線照射により陽電子寿命の増加が観測され、空孔型欠陥の形成が確認できた。さらに、150K以下の温度において光照射により陽電子寿命が減少することを見いだした。これは、光照射により欠陥の荷電状態が負から中性あるいは正に変化して、欠陥の陽電子捕獲が抑制されることに起因すると考えられる。また、この光照射効果は永続的ではなく、18Kでは光遮断後約30分で回復する結果が得られた。この挙動は、DLTS測定で観測されるE1/E2欠陥が示す光照射後の準安定状態と類似しており、E1/E2準位が空孔型欠陥に起因することが示唆される。
河裾 厚男; 児島 一聡; 吉川 正人; 伊藤 久義; 岡田 漱平; 一宮 彪彦*
Materials Science Forum, 363-365, p.445 - 447, 2001/05
われわれは、反射高速陽電子回折(RHEPD)に最適な陽電子ビームを開発することで、RHEPD回折図形とロッキング曲線の取得に初めて成功し、RHEPD特有の一次ブラッグ反射と全反射の効果を見いだすことができた。また、本手法を水素終端Si表面やSiC表面に適用することで、表面に残留する原子尺度の欠陥の存在を明示した。これより、高速陽電子の表面回折現象を実験的に証明するとともに、全反射領域におけるロッキング曲線が表面状態に非常に敏感であることを明確にできた。しかし、RHEPDの最も重要な応用である吸着構造の決定や表面デバイス温度の測定には至っていない。また、金属表面の陽電子反射率についても、数種の金属に対するデータは取得できたが、理論値との十分な比較を行えるほどには蓄積されていない。本講演では、さらに進んだ研究には何が必要か、高速陽電子と表面との相互作用では何が未解決であるかについて論述する。
平出 哲也
Materials Science Forum, 363-365, p.248 - 253, 2001/05
1987年に低温でのゆっくりしたポジトロニウム形成の増加が観測され、長い間その解明が待たれていた。筆者は陽電子消滅実験(核寿命形成)を行い、陽電子と捕捉電子の反応によってこの現象を説明することに成功した。この捕捉電子は陽電子照射によって物質中に蓄積されたものである。また多くの高分子は室温近くで放射線照射を行うとポジトロニウム形成が抑制されることが知られている。これは高分子の物理構造の変化によるものであると予測し、実験的にこれを実証した。
Shantarovich, V. P.*; 平出 哲也; Kevdina, I. B.*; Gustov, V. W.*; Arzhakov, M. S.*
Materials Science Forum, 363-365, p.352 - 354, 2001/05
ポジトロニウムは陽電子と電子の結合状態であるが、それらのスピン状態によってパラーポジトロニウムとオルリーポジトロニウム(o-Ps)が形成する。o-Psの消滅寿命はo-Psの捕まる空間の広さに依存し、高分子の微視的自由体積評価に期待されている。しかし、o-Psがどのように自由体積に由来する空間につかまるかわかっていなかった。平出らによって見いだされた新しいポジトロニウム形成を用い、o-Psがどのように空間につかまるかを考察し、その結果、ほぼすべてのo-Psがその寿命よりはるかに短い時間で空間につかまっていることが判明した。
前川 雅樹; 河裾 厚男; 岡田 漱平; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 363-365, p.658 - 660, 2001/05
高時間分解能陽電子ビームを用いた陽電子寿命測定は高温・高圧等の極限環境下での材料の構造変化や欠陥集合過程の観察に極めて有効である。本技術の確立を目指し、高周波加速の手法を用いた高速短パルス陽電子ビーム形成装置の開発を行ってきた。電子ビームを用いて動作試験を行った結果、最大ビームエネルギー1MeV5%,ビーム径0.8mmが得られ、ほぼ設計性能を満たすことが確認できた。また、陽電子消滅寿命測定を行うため、5.6ns周期、幅100psのファインパルス列形成を目指し調整を進めた。広帯域デジタルサンプリングオシロスコープによるパルス波形観測の結果、本来必要とされるパルス列に加え、サテライトパルスが観測された。サテライトパルスは陽電子寿命測定の際、擬似寿命成分となり測定精度を悪化させる原因となる。ビームシミュレーションに基づく検討を行った結果、付加的なサテライトパルスの除去にはバンチング効率の向上が有効であるとの結論を得た。
阿部 浩之; 上殿 明良*; 内田 裕久*; 小松 淳*; 岡田 漱平; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 363-365, p.156 - 158, 2001/05
パラジウム(Pd)の水素吸蔵能を向上させることは実用上非常に重要である。われわれは、イオン照射による材料改質の検討の一環として、照射欠陥と水素吸蔵特性との関係を調べた。Pd板(サイズ: 10100.1mm)にプロトン照射(エネルギー: 100keV,ドーズ量: 最大110/cm)を行い、形成される欠陥を低速陽電子ビームを用いた消滅線エネルギードップラー拡がり測定により評価した。この結果、照射によるS-パラメータの増加が観測され、Pd表面層(厚さ400nm)における空孔クラスターの形成が確認された。また、照射及び未照射試料の水素吸蔵速度及び最大吸蔵量を比較した結果、照射により最大吸蔵濃度は変化しないが、吸蔵速度は低下することがわかった。これは、Pdバルク内への水素原子侵入に対する空孔クラスターのブロッキング効果で説明できる。