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前田 茂貴; 伊藤 主税; 大川内 靖; 関根 隆; 青山 卓史
Reactor Dosimetry State of the Art 2008, p.474 - 482, 2009/00
照射性能を向上させた「常陽」MK-III炉心の核熱特性評価を詳細に把握するため、多重放射化箔,ヘリウム蓄積型フルーエンスモニタ(HAFM),熱膨張差型温度モニタ(TED)を装填した集合体をMK-III炉心に装荷して、測定と解析を実施した。本論文では、このうち、ドシメータによる中性子照射場特性の測定と解析について述べる。(1)合計92セットのドシメータにより、燃料領域から炉容器外照射孔まで含めた範囲の各種反応率分布を系統的に測定し、中性子束や出力分布を実験的に把握できた。(2)炉心燃料領域においては、MK-III炉心管理用に開発整備したHESTIAコードにより、U核分裂率を4%以内の誤差で評価できることがわかった。(3)内部構造が非均質な照射試験用集合体については、幾何学形状を厳密にモデル化できるモンテカルロ計算により、計算誤差を6%に低減できる。(4)反射体領域より外側では3次元輸送計算コードTORTが有効であるが、内側反射体については最大で約20%の過大評価となっており、現状ではモンテカルロ計算で補正する必要がある。
前田 茂貴; 関根 隆; 青山 卓史; 鈴木 惣十
Reactor Dosimetry State of the Art 2008, p.607 - 615, 2009/00
高速実験炉「常陽」は、高速中性子束を1.3倍に高め、照射スペースを2倍に拡大したMK-III炉心の本格運転を開始した。このMK-III炉心を有効に活用し、国内外の多様な照射ニーズに応えるべく、低速中性子スペクトル照射場の設置,照射温度の低温化,可動型の照射装置の導入及び中性子照射孔の設置等の照射機能のさらなる拡大を計画している。これらの設置に向けた実現性と照射条件を評価した。この結果、現状よりも幅広いニーズに対応可能な照射場が実現可能であることを確認し、一部については設置変更許可を取得した(平成19年5月)。この計画により、世界的にも貴重な高速中性子照射場である「常陽」の付加価値をさらに高めて、幅広く活用していく。
伊藤 主税; 前田 茂貴; 関根 隆; 青山 卓史
no journal, ,
Nbドシメータは、中性子断面積のエネルギー分布が鉄の弾き出し損傷関数に相似しており、高速中性子照射量や鉄のdpa評価に適するとともに、反応生成核種であるNbは半減期が16.4年と長く、長期積算型モニタになる利点を有する。本研究では、Nbドシメータを溶解・乾燥固化処理して自己吸収効果を低減させるとともに、誘導結合プラズマ質量分析装置でその重量を精度よく求め、誤差3%の高精度で反応率を測定できた。さらに、Nbドシメータ溶解に非放射性Nbを添加することにより、不純物の放射化物であるTaに起因する妨害X線の影響を定量評価し、反応率の測定精度低下を抑制した。本手法を「常陽」のドシメトリーに適用してNb(n,n')Nb反応率を測定した結果、Nbドシメータによる測定値と多重放射化箔法による評価値の比は0.971.03で、両者の誤差の範囲内で一致し、Nb反応率の高精度測定法を確立した。