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直江 崇; Xiong, Z.*; 二川 正敏
Journal of Nuclear Materials, 506, p.12 - 18, 2018/08
被引用回数:6 パーセンタイル:58.02(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARCの核破砕中性子源では、SUS316L製の水銀ターゲット容器は陽子及び中性子による損傷を受けると同時に、水銀中の陽子線励起圧力波により繰返し応力が負荷される。ターゲット容器は、1MW条件で2500時間という設計寿命中にひずみ速度約50sで2億回を越える繰返し負荷を受ける。これまでに、SUS316L材のギガサイクルの疲労強度を調べるために超音波疲労試験を実施し、疲労き裂が発生し、試験片の共振周波数が変化する直前に表面温度が急激に300度程度増加する現象を観測した。本研究では、この温度上昇現象のメカニズムを知るために、サーモグラフィを用いた試験片表面の温度分布を計測した。その結果、温度上昇はき裂先端周囲の局所的な領域で生じ、最高温度点がき裂の進展と共に移動することを確認した。さらにLS-DYNAにより非線形構造解析を実施し、要素のひずみエネルギーから温度上昇を導出した結果、き裂の摩擦による温度上昇よりもき裂先端の塑性変形による温度上昇が支配的であることを明らかにした。
直江 崇; 涌井 隆; 木下 秀孝; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 原田 正英; 高田 弘; 二川 正敏
Journal of Nuclear Materials, 506, p.35 - 42, 2018/08
被引用回数:6 パーセンタイル:58.02(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器(SUS316L製)は、ビーム窓と呼ばれる厚さ3mmの先端部分が、陽子線励起圧力波よるキャビテーションにより壊食損傷する。この損傷は容器の構造健全性を低下させ、容器の寿命の決定因子となっている。我々は、2014年からキャビテーション損傷及びそれを誘発する圧力波を低減するために、気泡注入に加えて狭隘流路を設置することで、ビーム窓の水銀流速を速める2重壁構造を採用し、300500kWの強度で運転を行った。使用済みの容器を切断し、内壁を観察した結果、狭隘流路の内側で最大深さ約25
mの帯状の損傷が観測された。この原因を調べるために、負圧の持続時間に着目した圧力波伝ぱ解析を実施した結果、ビーム入射直後から1msまでに生じる負圧の持続する時間をマッピングした結果と、形成された損傷の分布がよく対応しており、比較的短時間の負圧によって生じるキャビテーションが損傷形成に寄与していることを示唆した。
涌井 隆; 若井 栄一; 直江 崇; 新宅 洋平*; Li, T.*; 村上 一也*; 鹿又 研一*; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 高田 弘; et al.
Journal of Nuclear Materials, 506, p.3 - 11, 2018/08
被引用回数:3 パーセンタイル:34.06(Materials Science, Multidisciplinary)J-PARCの核破砕中性子源の水銀ターゲット容器は、水銀容器と二重壁構造を持つ保護容器からなる薄肉(最小3mm)の多重容器構造で、TIG溶接により組み立てられる複雑な構造を持つ。容器の健全性を評価するためには、溶接部等の欠陥を正確に測定することが重要である。溶接部の非破壊検査方法として、放射線透過試験では検出が難しい欠陥形状等もあるので、超音波探傷試験の併用が有効である。JISで規定されている非破壊の超音波探傷試験方法では、厚さが6mm以上のものを対象としているため、薄肉構造の本容器の検査には適用できない。そこで、より有効な検査方法を開発するため、寸法が分かっている微小な欠陥を持つ試料に対して、様々な超音波探傷法による測定を試みた。その結果、最新のフェーズドアレイ法(FMC/TFM)では、計測値(約1.3mm)と実寸法(約1.2mm)とほぼ同じであり、これまで、欠陥測定が困難であった薄肉構造においても、正確な欠陥検知が可能であることが初めて分かった。
羽賀 勝洋; 粉川 広行; 涌井 隆; 直江 崇; 若井 栄一; 高田 弘
no journal, ,
J-PARCの核破砕中性子源(JSNS)の水銀標的では、2015年の500kW運転中に熱応力に起因して保護容器の不具合が二度生じた。SUS316L製の標的容器は、水銀容器及び内側と外側の保護容器の三重壁構造で構成され、水銀容器と内側保護容器の間はヘリウムで満たされている。最初の不具合は、外側保護容器の欠陥であり、その場所はボルト結合部周囲の溶接箇所であった。次の不具合は、保護容器の内側のヘリウム層で検出された。FEM解析により、欠陥は陽子ビームのトリップに起因する熱サイクルに伴う疲労き裂が進展して生じたことが示唆された。何れの不具合も未溶接部を残す標的容器の複雑な設計が原因であったと考えられたため、次に製作する標的容器の設計では、溶接線を約30%低減し、ボルト結合を可能な限り減らすよう改良を施した。
斎藤 滋; 菊地 賢司*; 鈴木 和博; 畠山 祐一; 遠藤 慎也; 鈴木 美穂; 大久保 成彰; 近藤 啓悦
no journal, ,
世界初のメガワット級鉛ビスマス核破砕ターゲットであるMEGAPIE(MEGAwatt Pilot Experiment)ターゲットは運転終了後、解体され照射後試験用の試料が作製された。原子力機構の試料はビーム窓(T91)及びフローガイドチューブ(SS316L)から切り出された。照射条件は、陽子エネルギーが580MeV、照射温度は251-341C、はじき出し損傷は0.16-1.57dpaであった。SP(small punch)及び3点曲げ試験は室温、大気中で実施された。直径2.4mmの鋼球を用いたSP試験では8mm角で厚さ0.5mmの試験片を用いた。T91試料はビーム窓部から、SS316L試料はフローガイド管からそれぞれ採取した。3点曲げ試験の試料はSS316Lのみで、ノッチ無し試験片を用いた。SP試験の結果より、照射によるSP破壊エネルギーや推定破壊靱性値の変化が明らかになった。また、3点曲げ試験の結果より照射の影響は、引っ張り試験よりも顕著には表れないことが分かった。表面観察で見られたピットの断面観察の結果、亀裂などは見られなかった。TEMによる微細組織観察の結果も併せて報告する。
涌井 隆; 直江 崇; 粉川 広行; 羽賀 勝洋; 若井 栄一; 高田 弘; 二川 正敏
no journal, ,
J-PARCの核破砕中性子源で使用する水銀ターゲット容器は、1.31.3
2.5m
と大きいため、使用済み容器の廃棄量を低減する観点で、損傷量の大きい前半部を分割できる構造を検討している。分割部のフランジには、高いシール性能(1
10
Pa・m
/s以下)が必要である。このフランジの材料として、ビーム運転時の熱変形を低減するために低熱膨張材であるインバー合金は有望であるが、弾性係数が低いためボルト締結時の変形が大きくなる。実用上はステンレス鋼で補強するが、HIP接合により広い面積を全面にわたって確実に接合する条件を見出すことが課題であった。そこで、接合温度が異なる試験片(973, 1173, 1373及び1473K)について、引張試験及び数値解析による残留応力評価を行った。973Kで接合した試験片は、拡散層厚さがほとんどなく接合界面で破断した。引張強度は、接合温度の上昇とともに減少し、1473Kの場合、約10%低下した。接合面近傍の残留応力は最大50%増加した。これらの結果から、1173Kが最適な接合温度であることを結論付けた。