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加藤 千明; 佐藤 智徳; 上野 文義; 山岸 功
Proceedings of 17th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors, Vol.2, p.1357 - 1374, 2016/05
福島第一原子力発電所事故の汚染水処理で発生する廃ゼオライト吸着塔の腐食評価の基礎的検討として、線照射下における人工海水を含んだゼオライト中のステンレス鋼(SUS316L)の電気化学試験を行った。ステンレス鋼の定常自然浸漬電位は
線照射により貴化し、吸収線量率の増加に従い定常自然浸漬電位が上昇した。この電位上昇は、主に放射線分解で生じるH
O
濃度の増加によるものであることを明らにした。一方、ゼオライト共存系では
線照射下の定常自然浸漬電位を低下させた。これは、ゼオライトによるH
O
濃度の低下によるものであり、ゼオライトの種類によりH
O
分解率が異なることを明らにした。
線照射下におけるステンレス鋼の電位上昇機構は放射線により生じるH
O
がステンレス鋼のカソード反応を活性化するためであり、ゼオライトはH
O
の生成を抑制するために電位が低下することを明らかにした。ステンレス鋼の局部腐食発生電位は、照射の有無、ゼオライトの種類や接触により大きく変化しないことから、ゼオライト共存は
線照射下において定常自然浸漬電位を低下させ、局部腐食発生リスクを低減できることが期待できることを明らにした。