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根本 義之; 加治 芳行; 小川 千尋*; 中島 一雄*; 東條 匡志*
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
使用済み燃料プールの冷却水損失事故に対応するためには、事故時に想定される空気中または空気と水蒸気の混合した雰囲気中でのジルコニウム被覆管の高温酸化挙動の把握が重要である。本研究では空気と水蒸気の混合した雰囲気中でのジルカロイ2及び4の酸化試験を行い、混合比の影響について600Cから1100Cの温度域での評価を行った。その結果、ジルカロイ2は900Cから1000C、ジルカロイ4は800Cから1000Cの範囲で、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化速度が乾燥空気中や水蒸気中よりも速くなった。この傾向は酸化層に割れが入った、酸化過程の後半において、より顕著に見られた。この結果は、使用済み燃料プール事故解析を目的とした酸化モデルの構築においては、空気と水蒸気の混合雰囲気中での酸化挙動の考慮が重要であることを示していると考えられる。
宮原 直哉; 三輪 周平; 中島 邦久; 逢坂 正彦
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2017/09
本発表は、核分裂生成物(FP)の化学挙動データベースを作成するために必要な、FPの放出移行挙動を再現するための実験装置と、その実験結果を解析するための解析ツールを開発したことを報告するものである。開発した実験装置(TeRRa)を用いてFPの放出移行挙動を再現できることを確認するため、CsIを用いた性能確認試験を実施した。その結果、エアロゾルの生成、成長、沈着といった代表的な放出移行挙動が良く再現できることを確認した。解析ツールはCFDコードであるANSYS-FLUENTをベースに、いくつかのモデルを追加することにより開発した。開発した解析ツールの性能を確認するため、水蒸気雰囲気でのCsI加熱実験を模擬した試解析を実施した結果、追加したモデルが適切に機能していることを確認した。
山下 真一郎; 永瀬 文久; 倉田 正輝; 野澤 貴史; 渡部 清一*; 桐村 一生*; 垣内 一雄*; 近藤 貴夫*; 坂本 寛*; 草ヶ谷 和幸*; et al.
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
我が国では、事故耐性燃料の技術基盤を整備するために2015年に軽水炉の事故耐性燃料等(ATFs)に関する研究開発プロジェクトが立ち上がった。日本原子力研究開発機構は、国内のプラントメーカ, 燃料メーカ, 大学等が有する国内軽水炉においてジルカロイを商用利用した際の経験、知識を最大限活用するために、これらの機関と協力して本プロジェクトを実施するとともに取りまとめを行っている。プロジェクトの中で検討されているATF候補材料は、微細な酸化物粒子を分散することで強化されたFeCrAl鋼(FeCrAl-ODS鋼)と炭化ケイ素(SiC)複合材料であり、通常運転時の燃料性能は同等かそれ以上で、事故時にはジルカロイよりも長い時間原子炉炉心においてシビアアクシデント条件に耐えることが期待されている。本論文では、日本のプロジェクトで実施中の研究開発の進捗について報告する。
高野 渉*; 草ヶ谷 和幸*; 後藤 大輔*; 坂本 寛*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
事故耐性燃料の一つである酸化物分散強化したFeCrAl鋼(FeCrAl-ODS)に着目した。FeCrAl-ODSは、BWRに適用できる見通しはあるものの、相対的に高い中性子吸収が補償されなければならない。我々は、中性子経済性に対するインパクトを減らすための薄肉FeCrAl-ODS被覆管を設計し、薄肉FeCrAl-ODS被覆管で構成される99型先進沸騰水型軽水炉(ABWR)バンドルを装荷した時の、炉心の特性を評価した。ウォーターロッドやチャンネルボックスにも薄肉FeCrAl-ODSを適用した。解析の結果、FeCrAl-ODS炉心反応度は、UO燃料を上限の5wt%までウラン濃縮度を増加させることで十分な値が得られることを確認した。さらに、幾つかの代表的なFeCrAl-ODSの炉心特性をジルカロイ炉心の時と比較し、通常時及び過渡時の薄肉FeCrAl-ODS被覆管の熱機械的挙動は許容できる範囲にあることも確認した。これらの結果から、本研究の解析条件の範囲においては、FeCrAl-ODSがBWRに適用できると結論される。
石橋 良*; 田邊 重忠*; 近藤 貴夫*; 山下 真一郎; 永瀬 文久
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
沸騰水型原子炉環境における炭化ケイ素(SiC)の耐食性を改善するため、SiCの耐食性に及ぼすコーティングの効果を評価した。SiCは、ジルカロイに比べて水素発生速度や反応熱が低いため、事故耐性燃料の有力な候補材料として期待されている。しかしながら、SiC燃料被覆管やチャンネルボックスを実際に適用するには、いまだに多くの解決すべき課題が残されており、その一つが高温水中での腐食である。SiCは化学的には安定であるが、酸化によって形成されるSiOが高温水に溶出する。SiCの溶解速度は非常に低いが、炉水に溶出したSiO濃度は規制基準値以下に抑制されなければならない。本研究では、非照射条件での高純度水中における腐食試験前後を比較し、SiCの腐食挙動に及ぼす候補コーティング技術の効果を評価した。
天谷 政樹; 宇田川 豊; 成川 隆文; 三原 武; 谷口 良徳
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
JAEA has conducted a research program called ALPS-II program for advanced fuels of LWRs. In this program, the tests simulating a RIA and a LOCA have been performed on the high burnup advanced fuels irradiated in European commercial reactors. The failure limits of the high-burnup advanced fuels under RIA conditions have been obtained by the pulse irradiation tests at the NSRR in JAEA. The information about pellet fragmentation etc. during the pulse irradiations was also obtained from post-test examinations on the test rods after the pulse irradiation tests. As for the simulated LOCA test, integral thermal shock tests and high-temperature oxidation tests have been performed at the RFEF in JAEA. The fracture limits under LOCA and post-LOCA conditions etc. of the high-burnup advanced fuel cladding have been investigated, and it was found that in terms of these materials the fracture boundaries do not decrease and the oxidation does not significantly accelerate in the burnup level examined.
白数 訓子; 齋藤 裕明; 山下 真一郎; 永瀬 文久
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2017/09
シリコンカーバイド(SiC)は、その耐熱性、化学的安定性、照射安定性の高さより、事故耐性燃料の有力な候補物質となっている。SiCをジルカロイの替わりに被覆管材料として用いた場合の燃料挙動評価を行うために、軽水炉燃料ふるまい解析コードFEMAXI-7に、物性値や機能の追加などの改良を行った。整備したコードを用い、SiC被覆燃料のふるまい解析を、BWRステップ3(99燃料(B型))を例にして行った。SiC被覆管は、照射により大きくスエリングし、熱伝導率が低下する。このことにより、被覆管-燃料ペレット間のギャップが広がり、燃料ペレット温度の上昇がみられた。また、ジルカロイ被覆管とは応力緩和のメカニズムが異なり、計算の高度化のためには、破断応力等のデータ取得、モデルの改良が必要であることが明らかになった。
木村 晃彦*; 湯澤 翔*; 坂本 寛*; 平井 睦*; 草ヶ谷 和幸*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
接合による微細組織変化に焦点を当てた議論では、ODS鋼のPRW接合に及ぼすAl添加の効果がポイントとされている。FeCrAl-ODS鋼製の被覆管に対してSUS430製の端栓を接合する方法として、電子ビーム(EB)接合やタングステン不活性ガス(TIG)接合等を含む通常の接合方法も実施し、端栓を接合したODS鋼管材サンプルを室温で引張試験した。EB接合したFeCrAl-ODS/SUS430サンプルは、ODS鋼管の胴体部で破壊した。このことから、接合部はODS鋼管の胴体部よりも強度が高いことが示された。一方、TIG接合したFeCrAl-ODS/SUS430サンプルでは接合部で破壊した。接合部に対するX線CTスキャン解析を実施し、事故耐性燃料用ODS鋼被覆管に対する前述した幾つかの接合方法の実用性を評価するために、接合強度とX線CT解析結果の相関関係付けを実施した。
古本 健一郎*; 渡部 清一*; 山本 晃久*; 手島 英行*; 山下 真一郎; 齋藤 裕明; 白数 訓子
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
2015年以降、三菱原子燃料(MNF)は、日本原子力研究開発機構(JAEA)が経済産業省からの受託事業で実施している日本の事故耐性燃料の研究開発プロジェクトに加わった。このプログラムにおいて、MNFは、現行の沸騰水型軽水炉(PWR)において炭化ケイ素複合材料(SiC)を被覆管として導入した場合の影響を評価することを担当している。本論文では、既存のPWRに対してSiCを被覆管として用いる場合の適用性に関する評価結果を報告する。既存PWRへのSiC被覆管の適用性評価として、SiC複合材を用いた場合の解析評価と炉外試験の両方を実施した。解析評価では、三菱独自の燃料設計コードとJAEAが開発した燃料ふるまいコードを用いた。なお、これらのコードは、SiC複合材被覆管を用いた燃料のふるまいを評価するために改良が施されている。一方、炉外試験としては、SiC複合材サンプルの熱伝導度測定とオートクレーブを用いた腐食試験を実施した。合わせて、設計基準事故を模擬した条件下でのSiC複合材の性能評価が行えるようにするために、新たに試験装置も開発した。
坂本 寛*; 平井 睦*; 鵜飼 重治*; 木村 晃彦*; 山路 哲史*; 草ヶ谷 和幸*; 近藤 貴夫*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 7 Pages, 2017/09
本論文では、現在、経済産業省のプログラムにおいて進められている沸騰水型原子炉(BWR)用事故耐性FeCrAl-ODS燃料被覆管の開発の状況について概要を述べる。本プログラムでは、多種多様な内容の研究により、軽水炉において事故耐性燃料等を実用化するために必要な技術基盤を整備することが目的である。FeCrAl-ODS燃料被覆管の開発においては、実験研究と解析研究の両方を実施してきており、FeCrAl-ODS燃料被覆管の主要な材料特性に関しては、解析研究における評価を実験的にもサポートするために、本事業で製作した各種形状の試験片を用いてデータ取得やデータ拡充を行う。本事業では、機械的な特性に及ぼす中性子照射の影響を調べるために、米国オークリッジ国立研究所の高照射束炉(HFIR)を用いた中性子照射試験も実施している。
佐藤 寿樹*; 武内 豊*; 垣内 一雄*; 山下 真一郎; 永瀬 文久
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2017/09
2015年以降、既存軽水炉に事故耐性燃料を適用するための技術基盤を整備することを目的に掲げて、新たに日本国内の研究開発プロジェクトが立ち上がった。炭化ケイ素(SiC)は、事故耐性燃料候補材料の一つであり、本プログラムにおいて適用性に関する広範囲の研究が実施されている。本プログラムの研究の一つとして、設計基準内での燃料ふるまい解析を含めた新たな手順を開発し、それを用いて予備的な解析を実施した。解析の結果として、ジルカロイとSiCでは、典型的な過渡事象や冷却水喪失挙動において大きな違いは無いことが結論付けられた。
山路 哲史*; 山崎 大輝*; 岡田 知也*; 坂本 寛*; 山下 真一郎
Proceedings of 2017 Water Reactor Fuel Performance Meeting (WRFPM 2017) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2017/09
現行のBWR99型燃料においてジルカロイ被覆管をFeCrAl-ODS鋼被覆管(経済産業省の研究開発プロジェクトで開発中の一種の酸化物分散強化型鋼)に置き換えた時の事故耐性燃料性能の特徴について、燃料ふるまい解析コードFEMAXI-7を用いて評価した。特に、燃料温度、核分裂ガス放出、ペレット-被覆管機械的相互作用(PCMI)に及ぼす、クリープひずみ速度やODS被覆管の肉厚の影響について調査した。