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横田 渉; 小原 祥裕; 荒川 和夫
Proceedings of 36th ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop (NANOBEAM 2005) (CD-ROM), 6 Pages, 2005/10
静電加速器のビームのマイクロビームは、TIARAを含めた世界の幾つかの施設で既に実用化されている。サイクロトロンにおいては、一般にビームのエネルギーの広がりが大きいことが、マイクロビーム形成の障害になっていた。TIARAではフラットトップ加速の導入により、エネルギーの広がりをマイクロビーム化が可能な従来の1/10に狭め、世界で初めての数百MeVの直径1ミクロン重イオンビームの実現を目指している。本マイクロビームは大気中に取出して生きた細胞に照射するもので、バイスタンダー効果等の生物照射影響研究の推進に不可欠である。本マイクロビーム開発の基礎となったTIARAの静電加速器のマイクロビーム技術の紹介,ビーム光学設計,フラットトップ加速技術,シングルイオンヒット技術,現在の到達点、及び将来計画等に関する解説を行う。
小林 泰彦
no journal, ,
放射線によるエネルギー付与は、ほとんどの場合、荷電粒子によって与えられる。荷電粒子によるエネルギー付与はトラック構造を持ち、時間的・空間的に離散的で、粒子の電荷や運動エネルギー(速度)に依存する。従来のマクロな捉え方による吸収線量やLETといった量では、その不均一性の記述や生物効果の評価基準として不十分である。さらに、バイスタンダー効果のように、同一細胞集団内でヒット細胞から非ヒット細胞に放射線作用が伝達される現象が存在することは、放射線の生物作用をますます複雑なものにしている。マイクロビームはこういった不確実性をできる限り明確にして、個々の細胞に対する真の放射線生物学的効果を追求できる可能性を持ったツールである。そこでわれわれは、重イオンマイクロビームを用いて個別の細胞を狙って正確な個数の重イオンを照射し、その影響を長時間追跡観察するシステムを開発した。低線量放射線被曝において混在する照射細胞と非照射細胞を明確に区別して個々の細胞の放射線応答を解析することにより、バイスタンダー効果や線質効果などの放射線の生物作用の分子機構を明らかにして行く。