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田辺 哲朗*; 宮坂 和孝*; 杉山 一慶*; 正木 圭; 児玉 幸三; 宮 直之
Fusion Engineering and Design, 41(3), p.877 - 881, 2002/05
JT-60Uのダイバータタイル及び内側第1壁に蓄積されているトリチウムの表面分布測定にイメージングプレートを適用した。その結果は以下のようにまとめられている。(1)JT-60Uのダイバータ領域の黒鉛タイルのトリチウム蓄積量は、表面ドームの頂及び、ダイバータバッフル板で大きく、ダイバータ領域で小さくなっていた。(2)バッフル板での蓄積トリチウム量は約10kBq/cmであり、これは発生した全トリチウムが均一に壁に入射されたと仮定して計算された10kBq/cm
とほぼ同じオーダーであった。(3)ダイバータ黒鉛タイルに蓄積されているトリチウムの分布は、基本的には、トリチウムがいったんプラズマから均一に打ち込まれ、その後の黒鉛の温度により放出量が異なることを反映している。特に表面温度が1000
以上になったと思われるダイバータの足の部分では、トリチウムはほとんど検出されなかった。(4)しかし、タイル上には、プラズマによる熱負荷のため、いったん打ち込まれたトリチウムも、タイルの温度が1000
以上になるとほとんど放出され、残っていない部分が存在する。逆にトリチウムの蓄積量から、入熱が予測できその値は1-5MW/m
となった。(5)トロイダル全周にわたって、ドーム頂上のトロイダル分布はほぼ均一であったが、内側第1壁のポリダル方向には不均一分布が見られ、プラズマの上下非対称性を反映しているものと考えられる。
中村 博文; 洲 亘; 林 巧; 大平 茂; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.887 - 891, 2002/05
核融合炉のプラズマ対向機器(PFC)から冷却材へのトリチウム透過量の予測手法の確立を目的として、プラズマ対向材料及び冷却管材料の候補材である低放射化フェライト鋼(F82H)と無酸素銅(OFCu)に関し、DTプラズマに曝された場合のトリチウム透過を模擬した低エネルギー重水素イオン注入試験を行い、重水素透過特性について研究した。透過試験は、0.2mm厚のF82H膜及び0.05mm厚のOFCu膜を試料とし、試料温度,イオンフラックス及びイオンエネルギーを関数として実施し、各試験条件における重水素透過の律速過程の同定を行った。実験の結果、F82H中の透過は、入射側-透過側で表面再結合過程により律速されていることが判明した。一方、OFCuに関しては、低温で入射側-透過側共に拡散過程で律速されており、高温においては入射側再結合過程、透過側拡散過程で律速されていることが判明した。本結果は、別途行った計算コードによるシュミレーションによっても確認された。
河村 繕範; 小西 哲之; 西 正孝; 角田 俊也*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.1035 - 1039, 2002/05
核融合炉を成立させるためには、増殖ブランケットで生成されるトリチウムを効率良く回収し、燃料として消費される以上のトリチウムを得なければならない。原研では、効率の良いブランケット増殖トリチウム回収システムとして、プロトン導電性セラミック膜を用いた水素ポンプシステムの適用を提案している。プロトン導電性セラミック膜は、膜の両面に電位差を設けることにより、水素同位体を選択的かつ積極的に透過させる性質を持つため、水素同位体分圧の低いブランケットパージガスからの水素同位体の回収に有効である。これまでに軽水素(H)及び重水素(D)単成分での移送特性を調べており、今回はH-D混合ガスを用いて移送特性を調べた。膜全体での透過速度を比較するとHを優先的に透過させる傾向にある。トリチウムを含む実際の系ではさらにその傾向が顕著となることが予想されるため、設計においては配慮が必要となるであろう。
角田 俊也*; 平田 慎吾*; 森 清治*; 小西 哲之; 河村 繕範; 西 正孝; 小原 祥裕
Fusion Science and Technology, 41(3), p.1069 - 1073, 2002/05
原研では核融合原型炉として超臨界水冷却方式の採用を検討しており、研究開発を開始している。原型炉では燃料の自己補給を行うため、増殖トリチウムを効率良く、安全に取り出すシステムが必要であり、その概念設計を行った。設計のポイントは、システム操作におけるエネルギーロスが少ないこと、インベントリーが小さいことである。従来の候補システムである低温吸着による連続バッチプロセスやパラジウム拡散器による連続プロセスは、設計のポイントからみて一長一短があるため、原型炉では固体電解質を用いた電気的膜分離プロセスの採用を検討する。このシステムは、プロトン導電体を用いた水素ポンプと、酸素イオン導電体を用いた酸素ポンプから構成される。検討の結果、本システムは消費エネルギーが小さく、事故時のトリチウム放出も少ないシステムであるという結果が得られた。
磯部 兼嗣; 今泉 秀樹*; 林 巧; 小西 哲之; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.988 - 992, 2002/05
燃料精製システム(FCU)は、核融合炉のプラズマ排ガスから水素同位体を回収するシステムである。原研では、電解反応器,管状リザーバタンク,パラジウム拡散器から成るFCUシステムを研究開発してきた。固体電解質を用いた電解反応器は、水素同位体を含む化合物から水素を分子として取り出す世界に例のない独自の装置である。また、管状リザーバタンクは少ない循環回数で高い除染係数を得るために導入したものである。実証試験は、プラズマ排ガスを模擬した水素同位体,メタン,ヘリウムの混合ガスをFCUシステムで循環処理することで実施し、メタン濃度は3回の循環処理で2.3%から12ppm以下までステップ状に減少した。このことから、FCUシステムが少ない循環回数で高い除染係数が得られるシステムであることを実証した。
富永 真哉*; Busnyuk, A.*; 松島 輝昌*; 山口 憲司; 小野 双葉*; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.919 - 923, 2002/05
水素粒子と金属膜の相互作用において、膜表面での水素解離に対するポテンシャル障壁は大きな影響を及ぼす。中でも、表面不純物層の存在は水素の金属膜を介しての透過に決定的な影響を与える。本研究はNbならびにPdの水素透過性を調べることを目的としているが、特に、「プラズマ膜試験装置(PMTD)」を用いて、膜表面の炭素付着層がプラズマ駆動透過(PDP)に及ぼす影響を明らかにすることに重点を置いている。PMTDはBonch-Bruyevich大学(ロシア・サンクトペテルブルグ市)・A. I. Livshits教授の研究グループとの共同研究により製作された。本装置により、PDPに加えて、原子駆動透過(ADP)や分子駆動透過(GDP)を調べることも可能である。実験結果によれば、Nbにおいては、炭素付着物層の存在により、ADPとPDPは大幅に減少するが、GDPはほとんど影響を受けなかった。一方、Pdにおいては、すべての駆動様式に対して炭素付着層の影響は認められなかった。これは、炭素がPd上で安定に存在しないためと考えられた。Nb,Pdのいずれにおいても、透過の律速段階は、表面過程もしくはバルク拡散過程であると考えられるが、詳細については論文で詳論する。
洲 亘; 川久保 幸雄*; 大平 茂; 大矢 恭久; 林 巧; 中村 博文; 岩井 保則; 西 正孝; Gentile, C. A.*; Skinner, C. H.*; et al.
Fusion Science and Technology, 41(3), p.690 - 694, 2002/05
核融合炉内で高濃度トリチウム汚染した機器の効率的な表面トリチウム除去方法を開発することを目的として、紫外線レーザー照射法の有効性を検証する実験を行った。試料として、TFTR D-Tプラズマ燃焼実験で実際にトリチウム汚染したプラズマ対向機器を用いた。紫外線レーザー(ArF,193nm,200mJ,25ns/pulse,1~20Hz)による照射試験を実施し、照射前後の表面トリチウム濃度及び照射中のトリチウム除去速度を測定した。照射開始約30秒後にトリチウム除去速度は最大となった。また、照射後の表面と濃度は照射前のそれと比較して顕著に減少した。今回の試験により紫外線レーザー照射が表面トリチウムの迅速な除去に有効であるとの結論を得た。
有田 忠明*; 山西 敏彦; 岩井 保則; 西 正孝; 山本 一良*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.1116 - 1120, 2002/05
深冷壁熱拡散塔の分離係数をH(水素)-D(重水素),H-T(トリチウム)系で測定した。塔は高さ1.5m,内径0.03mである。塔の中心に同心状に設置するヒーターとして、径0.05mmのタングステン線と、径11mmのシースヒーター型のものを使用し試験した。塔の分離係数は、ヒーター温度の増加とともに増大する。また塔への供給流量の増加に対して、分離係数は減少し最適圧力は増大する。タングステン線使用時の全還流操作時の最大分離係数は、温度1273Kで、H-D系では49.2,H-T系の条件では284であった。供給流量10cm/min,温度1273K,H-T系の条件で、タングステン線ヒーター使用の場合、最大分離係数は55であったが、シースヒータ使用の場合には温度が763K以外は同条件で、2660の高い分離係数を得た。これは、ヒーター径が大きくなることで、塔内の温度分布勾配が大きくなることによるものである。
山田 正行; 山西 敏彦; 洲 亘; 鈴木 卓美; 中村 博文; 河村 繕範; 岩井 保則; 小林 和容; 磯部 兼嗣; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.593 - 597, 2002/05
日本原子力研究所のTPL(トリチウムプロセス研究棟)は、日本において、核融合研究に1g以上のトリチウムを取り扱うことのできる唯一の施設である。TPLの建屋は1984年に、安全設備は1985年に完成し、その許認可,トリチウムの搬入を経て、1988年よりトリチウムを用いた運転を開始した。現在(2001年4月)のトリチウム貯蔵許可量は22.2PBq(63g)である。TPLの安全はトリチウムの多重閉じ込めによって確保されており、閉じ込め空間に漏洩したトリチウムを除くために、触媒酸化塔と水分吸着塔からなる除去装置が備えられている。最近10年間のTPLにおける運転実績として、スタックから放出されたトリチウム平均濃度は2.310
Bq/cm
である。この値は、法令上定められている空気中のトリチウム水蒸気許認可濃度の1/200以下であり、トリチウム安全取り扱い実績を積み上げている。
岩井 保則; 中村 博文; 小西 哲之; 西 正孝; Willms, R. S.*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.668 - 672, 2002/05
核融合実験炉の燃料循環システムではトリチウムの大部分が水素同位体分離システム(ISS)の深冷蒸留塔に液の形で滞留する。ISSの冷却材喪失事象は塔内の液化水素の異常な蒸発を引起こす。核融合炉の安全性の観点から、冷却材喪失事象時のISSの挙動を把握し、数値評価手法を確立することを目的に、日米協力の下、米国ロスアラモス国立研究所トリチウムシステム試験施設の核融合実験炉規模の深冷蒸留塔で冷却材喪失事象模擬試験を世界で初めて実施した。定常状態における深冷蒸留塔内の水素同位体インベントリーの所在を評価した後、冷凍機を手動で停止させることで冷却材喪失事象を模擬した。また同時に再沸器のヒーター出力を零とした。塔内の圧力が定常時の106.7kPaから液の蒸発とともに上昇し、235kPaに達するまでに90分を要することを観測し、水素吸蔵ベットを用いた水素急速回収等により圧力上昇を防ぐ十分な時間猶予があることを見いだした。
岩井 保則; 身崎 陽之介*; 林 巧; 山西 敏彦; 小西 哲之; 西 正孝; 二宮 龍児*; 柳町 晨二*; 泉類 詩郎*; 吉田 浩
Fusion Science and Technology, 41(3), p.1126 - 1130, 2002/05
国際熱核融合実験炉(ITER)トリチウムプラントに向けたトリチウム水処理システム(WDS)の設計を行った。WDSには液相化学交換法と電解法を組み合わせた複合プロセス(CECE)を採用した。本WDS設計条件は次の通り。(1)供給されるトリチウム水(HTO)の濃度: 3.710
~3.7
10
Bq/kg,(2)供給量: 20kg/h,稼働日数: 年間300日,(3)塔頂排気ガス中のトリチウム濃度限度: HT
9
10
Bq/m
,HTO
5
10
Bq/m
,(4)電解セル内のトリチウム濃度
9.25
10
Bq/kg.liq.。電解セル内のトリチウム濃度は、電解セルを解放したメインテナンスが定期的に必要であることを考慮して、その上限値を決定した。また理論段相当高(~30cm)の値及び塔内径と塔内流速の相関関係は、本方式を採用した新型転換炉ふげんの重水精製装置の設計を参考にした。
林 巧; 小林 和容; 岩井 保則; 浅沼 徳子; 大平 茂; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.647 - 651, 2002/05
安全性が高く社会的に受容される核融合炉の建設には、トリチウムの安全な取り扱い技術(閉じ込め・除去)が必要である。万一のトリチウムの室内漏洩を想定し、その素早い検知とトリチウムの室内閉じ込め・除去が、環境への放出抑制上特に重要である。これにかかわる工学的データを取得するために、原研では、気密の簡素化空間(ケーソン)からなるトリチウム安全性試験装置(CATS)を設置し、トリチウムの室内漏洩模擬試験を実施してきた。その結果漏洩トリチウムの室内閉じ込め性能データを、漏洩検知用モニターの位置や室内通常換気流量のパラメータとして蓄積した。またその実験結果を開発した3次元流体解析コードにより解析し、良い一致をみた。
小林 和容; 林 巧; 岩井 保則; 浅沼 徳子; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 41(3), p.673 - 677, 2002/05
安全性が高く社会的に受容される核融合炉の建設には、トリチウムの安全な取り扱い技術(閉じ込め・除去)が必要である。万一のトリチウムの室内漏洩を想定し、その除去挙動を把握するために、大型(12m)の気密簡素化空間(ケーソン)からなるトリチウム安全性試験装置(CATS)を用い、トリチウムの室内漏洩・閉じ込め・除去模擬試験を実施してきた。その結果として、トリチウム水蒸気(HTO)が漏洩した場合には、汚染の残留が検出され、その程度がケーソン内の雰囲気湿度に顕著に依存することがわかった。トリチウムの除去換気中に水分を添加して雰囲気湿度を高めることにより汚染トリチウムの除去が促進されることを見いだした。さらに、HTO吸脱着を考慮した解析モデルにより、実験結果を再現することに成功した。
安藤 麻里子; 天野 光; 一政 満子*; 一政 祐輔*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.427 - 431, 2002/05
環境中に放出されたトリチウムは、植物体中で有機化することにより食物連鎖に組み込まれることになるため、トリチウム水(HTO)から有機結合型トリチウム(OBT)への転換速度を求めることが、被ばく線量評価のために必要である。1994年にカナダで行われたHTガス放出実験の結果より、食用植物に関して、植物体中でのHTOからOBTへの転換速度を求めた。HTガスは、小松菜,二十日大根,ミニトマトが栽培されている11m11mの実験場に、濃度ができるだけ均一になるように調整しながら12日間放出された。植物の葉に関するHTOからOBTへの転換速度は約0.2 (% h
)であったが、若い葉においてはより速くなる傾向が見られた。二十日大根の根、及びミニトマトの実については葉よりも遅く、それぞれ、0.07,0.05 (% h
)の値が得られた。
安藤 麻里子; 天野 光; 高橋 知之*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.470 - 473, 2002/05
原子力施設から大気中に放出されたトリチウムの環境中移行挙動と線量評価を行うためのコードETDOSEの開発を行った。核融合研究や原子力利用により大気中に放出されるトリチウムの化学形はHTとHTOが大部分であり、土壌への沈着,土壌表面での微生物によるHTからHTOへの転換,地表面からのHTOの再放出,植物による吸収と光合成による有機結合型トリチウム(OBT)の生成など化学形を変化させながら地表環境中を移行する。ETDOSEは、これらの移行過程を考慮し、使用者がパソコンで容易に線量評価を行うことが可能なコードである。このコードの概要と適用例を報告する。
小嵐 淳*; 飯田 孝夫*; 安藤 麻里子; 山澤 弘実; 天野 光
Fusion Science and Technology, 41(3), p.464 - 469, 2002/05
環境中に放出されたトリチウムの影響を評価するためのモデル構築の一環として、地表面に近い不飽和土壌中でのHTO輸送モデルの開発と、モデル検証のためのトリチウム水を模擬した重水を用いた土壌カラム実験を行った。モデルには、土壌水分についてRichardsの式とVan Genuchtenタイプの土壌水分特性曲線の組み合わせを用い、HTO輸送については移流拡散方程式を用いた。実験では、重水を添加した水盤上に砂質土壌を均質に詰めた0.5m高のカラムを設置し、一定時間後の土壌中の重水濃度と堆積含水率の分布を測定した。実験で得られた土壌中での重水の拡散係数及び分散係数と、実験で得られた濃度分布とモデル計算結果の比較によるモデル検証結果について議論する。
小西 哲之; 飛田 健次; 西尾 敏; 岡田 英俊*; 栗原 良一
Fusion Science and Technology, 41(3), p.817 - 820, 2002/05
実験炉の次の段階のデモ炉にむけたトリチウム工学に関する技術的課題をレビューした。トリチウム燃料の安定供給は重要である。初期装荷トリチウムが原型炉において自給できることは指摘したが、一方余剰のトリチウム生成も問題であり、増殖率TBRの制御は今後核工学の観点で検討が必要である。トリチウムプロセス,安全の問題の力点は燃料から熱媒体に移る。事故時の安全対策は基本的にはとじ込めと除去系によるが、通常運転での放出量制御は空気及び熱媒体からのトリチウム除去回収プロセスの性能に依存する。環境影響も通常時放出が生態系に及ぼす複雑な影響が重要となる。これらの問題はいずれもエネルギーとしての核融合の社会経済的評価に影響を及ぼすので、その観点からのプラント概念の構築が必要である。
時松 宏治*; 朝岡 善幸*; 岡野 邦彦*; 小西 哲之
Fusion Science and Technology, 41(3), p.831 - 834, 2002/05
将来のエネルギー市場を環境経済モデルで解析した。2100年に大気中二酸化炭素濃度を550ppmとしながら需要を最小エネルギーコストで満たすモデルで核融合の可能性を評価すると、発電コストが市場と競合できる段階で導入された後は、建設速度の上限によりシェアが規定される。殊に導入当初は初期装荷トリチウムの供給が問題になりうる。著者らはこれが自給できることを示したが、その影響は21世紀終わりの核融合のシェアに顕著にあらわれ、核融合のエネルギー供給への貢献度を大きく高めることになる。将来の核融合開発において、トリチウム供給をエネルギーと関連して検討する必要がある。
古作 泰雄; 柳 義彦*; 榎枝 幹男; 秋場 真人
Fusion Science and Technology, 41(3), p.958 - 961, 2002/05
核融合原型炉用としての超臨界圧水冷却固体増殖ブランケットの設計では、リチウムセラミックスの微小球をトリチウム増殖材としてヘリウム流によりトリチウムを回収し、構造材に低放射化フェライト鋼を用いて、発電効率を上げるため圧力25Mpa,入口温度550K,出口温度780Kの超臨界圧水を冷却材としている。その条件では冷却管の温度が650Kから800Kと見積もられ、冷却水は直接発電系へ供給することから、冷却管でのトリチウム透過を安全上考慮する必要がある。今回は第一壁でのインプランテーションによる冷却水への透過量及び増殖域での冷却水への透過量を評価した。第一壁での透過量は粒子負荷がSSTR条件10cm
s
(E=50eV)で68.3g/dayとなり、増殖域での透過量はパージガス中のトリチウム分圧が1Paとなるようにパージガス流量を設定した場合で75.3g/dayと、生産したトリチウムの20%が透過により冷却水に移行する結果となった。
沓掛 忠三; 関 正和; 田中 滋; 荻沼 義和*; 阿部 雄一; 山内 通則*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.555 - 559, 2002/05
核融合中性子源(FNS)では、DT中性子発生用のターゲットとして、チタン金属にトリチウムを吸蔵したターゲットを使用している。ターゲットのトリチウム量測定とトリチウム分布を測定することは、中性子発生特性を向上する基礎データとして、また、トリチウムの安全取り扱い上で重要である。FNSではイメージングプレート(IP)を使用し、ターゲットのトリチウム放射能測定と、トリチウム平面分布測定を行った。IPによる測定は、遮光と汚染防止のためポリエチレン・アルミニウムのラミネートシートを使用し、ターゲットから放出される特性X線に1分間露出して測定した。IPの校正は既知の小型トリチウムターゲットを使用し校正を行った結果、トリチウム放射能が0.1GBqから30TBqの範囲で直線性のよい測定が可能であることがわかった。また、使用前後のターゲットのトリチウム分布測定の結果から、中性子発生率の最適化を検討するための、入射イオンビームのフォーカス,トリチウム消耗率の分布測定が可能となった。