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安藤 麻里子; 熊倉 康治*; 天野 光; 福井 正美*
Fusion Science and Technology, 48(1), p.771 - 774, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.90(Nuclear Science & Technology)イネによるトリチウムの取り込み量は、成長段階のどの時期にトリチウムに曝露されたかにより大きく異なることが報告されている。本研究では、可食部への移行量が増える出穂から収穫までの期間をさらに細分化し、各段階におけるトリチウム取り込み量と収穫時までの残留の違いを明らかにすることを目的とした。実験ではトリチウムの代わりに安定同位体である重水を使用し、光量及び温湿度を制御した室内チェンバー内で鉢植えの稲に対し重水水蒸気を4時間曝露した。曝露後、稲を直ちに屋外に移して、定期的に試料を採取しながら収穫時まで栽培し、穂,葉,茎中の重水濃度を測定した。穂中有機態重水素(OBD)の生成量は穂の成長量の大きい出穂後初期の段階で最も高かった。出穂後26日以降に曝露した場合には、葉から穂へのOBDの移行がみられず、穂のOBD上昇はごくわずかにとどまった。
落合 謙太郎; Verzilov, Y. M.; 西谷 健夫; Batistoni, P.*; Seidel, K.*
Fusion Science and Technology, 48(1), p.378 - 381, 2005/07
被引用回数:7 パーセンタイル:44.26(Nuclear Science & Technology)トリチウム生成率の測定精度を推定するためにIEA核融合中性子工学サブタスクの一つとして国際トリチウムベンチマーク実験が2003年から開始された。JAERI,ENEA,ドレスデン工科大学がこのプログラムに参加している。このプログラムは標準トリチウム水(HTO)サンプルによる測定機器の較正,DT中性子照射で生成したLi-7及びLi-6濃縮ペレット中のトリチウム生成率をそれぞれの研究機関で測定するものであり、現在まで標準HTOの測定が完了している。それぞれの測定結果から、較正の分散程度は1.5%以内であることを確認した。
Verzilov, Y. M.; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Fusion Science and Technology, 48(1), p.650 - 653, 2005/07
被引用回数:7 パーセンタイル:44.26(Nuclear Science & Technology)ブランケット設計のための核特性実験においては、トリチウム生成率の精度を確認することが必要である。実験体系はブランケットの設計にしたがって、できるだけ忠実に模擬した多層体系が必要であり、その中のトリチウム生成率分布を測定する手法は、感度と位置分解能が大きく、かつ中性子場を乱さないことが重要である。トリチウム生成率の精度検証のためにはトリチウム生成率を直接測定することが必要である。ここでは炭酸リチウムの粉末を圧縮したぺレットをトリチウム増殖層の埋め込み、照射後、ペレットを酸で溶解し、中和後液体シンチレーション法で測定する。2Bq/gのトリチウム生成量で測定誤差5%が得られるが、FNSでは8時間以上の照射が必要となる。間接的測定法はパラメータサーベイ的な実験に便利である。もしリチウムと同じようなエネルギー応答関数を持つ放射化反応があれば、リチウムペレットの代用として使用できる。そこでLiのトリチウム生成反応に対しP(n,)P、Liのトリチウム生成反応に対しS(n,p)Pに着目し、ぺレットとしてNHPHO.とCHSOCHを採用した。これらを用いることにより、リチウムのぺレットの1/100の照射事件で十分な計数を得られることを明らかにした。
河村 繕範; 岩井 保則; 中村 博文; 林 巧; 山西 敏彦; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.654 - 657, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.90(Nuclear Science & Technology)核融合炉固体増殖ブランケットにおいて水素添加ヘリウムスイープガスをトリチウム回収に使用した場合、冷却系へのトリチウム透過漏洩が懸念される。原研で行われた実証炉に関する設計研究では、典型的な水素添加スイープガス条件で、透過漏洩量が生成トリチウム量の約20パーセントに上ると試算されている。これらのトリチウムをITER規模の水処理システムで回収しようとすれば、何らかの透過防止措置により透過量を0.3パーセント以下に低減する必要がある。有力な透過防止措置の一つとして、水素に代わり水蒸気を添加したスウィープガスを使用する場合について検討した。水蒸気添加では、同位体交換の反応速度は水素より大きく、平衡定数はほぼ1.0であると予想される。水素添加同様H/T比を100として増殖領域でのトリチウムインベントリーを比較すると、水蒸気分圧の増加に伴いインベントリーは増加するもののそれほど大きくないことがわかった。トリチウム回収システムとしてはトリチウムを含む水蒸気をヘリウムから分離するのは比較的容易であるが、燃料として利用するために分解して水素同位体に戻すプロセスが必要である。
中村 博文; 林 巧; 小林 和容; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.452 - 455, 2005/07
被引用回数:2 パーセンタイル:17.30(Nuclear Science & Technology)トリチウムに汚染した炉内機器等を取り扱うITERホットセルに関し、セル内に放出されたトリチウムの挙動を解析・評価した。解析は、コンクリートとエポキシ塗装の多層構造壁中におけるトリチウムの1次元拡散モデルと完全混合下での換気によるトリチウム濃度の減衰モデルを組合せて行った。解析の結果、ホットセル内のトリチウム濃度は、トリチウム放出源を取り除いた後すみやかに低下し、数日で300DAC(240Bq/cm)から1DAC(0.8Bq/cm)まで低下することを明らかとした。また、ホットセル壁中のトリチウムインベントリは20年間の運転後約0.1PBqとなり、壁材の数10%はクリアランスレベルを超えるが、壁から外部へのトリチウム透過は無視し得る量であるとの結果を得た。さらに、コンクリート壁へのエポキシの塗布は、トリチウムの透過やインベントリを数桁低減する効果があることを明らかにした。
小林 和容; 寺田 修*; 三浦 秀徳*; 林 巧; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.476 - 479, 2005/07
被引用回数:10 パーセンタイル:55.96(Nuclear Science & Technology)ITERのトリチウムに関する安全を確証するうえで、トリチウム除去設備の通常運転時及び異常発生時における水素及びメタン形のトリチウムの除去性能を確認することは非常に重要である。ITERのトリチウム除去設備は、触媒酸化水分吸着方式であり、水素やメタン形のトリチウムを触媒酸化して水形に転換した後、水分を吸着除去する。本方式のトリチウム除去設備の通常運転時の性能については十分実証されているものの、火災等の異常時における酸化性能を実証するデータは非常に少ない。そこで火災時に発生しうる一酸化炭素及び二酸化炭素を共存させて水素及びメタンに対する酸化性能試験を実施した。実験に用いた装置の通常の雰囲気下における水素及びメタンの酸化性能は、それぞれ99.99%及び99.9%以上であるが、最大30%の二酸化炭素共存下における水素及びメタンの酸化性能が通常時性能と同等であることを確認した。また、10%の一酸化炭素共存下でも通常時性能と同等の性能が得られており、影響がないことを確認した。
洲 亘; 大平 茂; 鈴木 卓美; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.684 - 687, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.90(Nuclear Science & Technology)核融合炉の燃料処理系において起こり得る線誘起放射化学反応を研究する一環として、T-CO系の放射化学反応について研究した。40kPaのTと同量のCOを混合して室温に保持し、レーザーラマン分光法で反応過程を、また質量分析法で反応生成物を測定した。ガス混合後の30分以内では反応が速く、その後は大変遅くなることを明らかにした。また、T-CO系の放射化学反応の主な生成物は、ガス相ではCO、容器の壁面に付着した凝縮相においてはTOであることを明らかにした。さらに、容器を真空排気した後、250Cまでの加熱により、容器内壁に凝縮していた生成物がCO, CO, T, TOなどに熱分解されることを明らかにした。
磯部 兼嗣; 中村 博文; 神永 敦嗣; 東島 智; 西 正孝; 小西 哲之*; 西川 正史*; 田辺 哲朗*
Fusion Science and Technology, 48(1), p.302 - 305, 2005/07
被引用回数:5 パーセンタイル:35.15(Nuclear Science & Technology)核融合炉真空容器内トリチウムインベントリー低減・制御技術開発の一環として、水分濃度を管理した空気をJT-60U真空容器内に封入した場合のトリチウムの壁面からの放出挙動を観測した。トリチウムの放出は300ppmから水分濃度の上昇とともに促進されることがわかり、3400ppmにおいては13MBqのトリチウム放出量となった。この放出量は、放電洗浄によるトリチウム除去運転で最もトリチウム放出量の多かった5時間の水素雰囲気グロー放電に匹敵し、水との同位体交換反応により容易にトリチウムが除去されることを確認した。また壁調整運転の一環として、水素,ヘリウム及びアルゴンガスを真空容器内にパージさせた場合の排ガス中におけるトリチウム濃度も測定した。その結果、排ガス中におけるトリチウム濃度は、ガス種や導入圧力にかかわらず、約0.1Bq/cmであった。このことから、単なる水素ガスパージでは、同位体交換反応によるトリチウム除去を期待できないことが判明した。
松廣 健二郎; 中村 博文; 林 巧; 中村 博雄; 杉本 昌義
Fusion Science and Technology, 48(1), p.625 - 628, 2005/07
被引用回数:6 パーセンタイル:39.85(Nuclear Science & Technology)IFMIFの安全評価やトリチウム処理システムの設計に必要となるIFMIFターゲットシステムのリチウムループでのトリチウム透過量及びインベントリについて詳細な評価を行った。その結果リチウムループからのトリチウム透過量は1.010Bq/hとなり、その内約95%が窒素除去用ホットトラップ(873K)からのものであることがわかった。透過したトリチウムはリチウムループエリアに放出されアルゴン排ガス処理システムでテストモジュールから発生したトリチウム(610Bq/h)とともに処理される。また、アルゴン雰囲気調整装置で分離された空気中に最大3.510Bq/cm混入する可能性があるが、空気排ガス処理システム(最大処理トリチウム濃度5Bq/cm)で処理されることからリチウムループからのトリチウム透過は問題とならない。一方リチウムループ機器材料中のトリチウムインベントリは510Bqであり、ターゲットシステムにおけるリチウム中(9 m)のトリチウムインベントリ(510Bq)に比べ問題とならない。
山西 敏彦; 林 巧; 河村 繕範; 岩井 保則; 磯部 兼嗣; 鵜澤 将行*; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.63 - 66, 2005/07
被引用回数:6 パーセンタイル:39.85(Nuclear Science & Technology)増殖ブランケットにおけるヘリウム(He)スイープガス中のトリチウム(T)回収を目的として液体窒素冷却低温吸着塔を開発した。吸着塔は、Heスイープガスから、Tを含む水素同位体を少量のHeとともに分離するものであり、そのガスを燃料処理系に送り処理することでT回収が最終的に成立する。本論文は、吸着塔と燃料処理系の連結実証試験を行い、連結時のシステムの成立性及び応答特性を報告するものである。ブランケットスイープ模擬ガス(ITERテストブランケットと同規模流量及び組成)を低温吸着塔に供給して軽水素(H)及びTを吸着し、減圧・昇温により塔を再生してそのガスを不純物除去装置(パラジウム膜拡散器)に送り、H及びTのみを最終的に回収した。吸着塔再生は、初期は減圧操作のみであり、吸着塔内の残留Heのみがパラジウム膜拡散器に送られる。その後の昇温により、H及びTが急速に脱着してパラジウム拡散器に送られる。この組成の大幅な変化に対し、システムは問題なく稼働し、吸着塔に送られた水素同位体ガス(H及びT)と再生操作で最終的に回収された水素同位体ガス量は、測定誤差範囲内で一致(99%以上の水素同位体回収を実証)し、システムの定量的成立性が実証された。
林 巧; 鈴木 卓美; 山田 正行; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.317 - 323, 2005/07
被引用回数:10 パーセンタイル:55.96(Nuclear Science & Technology)核融合炉燃料であるトリチウムの安全貯蔵とその効率的な計量の観点から、ZrCo金属間化合物を用いた通気式熱量計量方式による「その場」トリチウム計量機能付き貯蔵ベッドを開発し、計量精度: 1%のITERの要求性能を実証するとともに、試験的に実用に供して総合的実証を進めている。本ベッドは、一次容器内にZrCo金属間化合物700gを充填したもので、ZrCoT1.8として約25g-T2,約100Lの水素同位体ガスを貯蔵できる。また、ZrCoの一次容器内に螺旋状の配管を有し、この配管内部にHeガスを循環することにより、貯蔵したトリチウムの崩壊熱を循環Heの温度上昇として計測し、トリチウム貯蔵量を計量できる構造となっている。今回は、長期保管後の計量性能の確認のため、約13gの純トリチウムの7か月間の安定貯蔵、及び約5gのトリチウムを同量の重水素で希釈したガスの5年4か月間の安定貯蔵の前後にくり返し熱量計測を実施し、初期の計量性能と比較した。その結果、計測条件(一次容器内に蓄積する3Heガス圧など)を整えることにより、初期の計量感度(約0.2g)及び精度(約0.05g)を維持できること、などを確認し、現状までのトリチウム貯蔵においては計量性能の劣化はないことを確証した。
岩井 保則; 山西 敏彦; 林 巧; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.456 - 459, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.90(Nuclear Science & Technology)既存の触媒酸化吸着除去方式雰囲気トリチウム除去プロセスへの気体分離膜を用いた膜分離プロセスの付加は、大容量雰囲気ガス処理を必要とする核融合プラントには魅力的である。このため、ガス分離膜による雰囲気からのトリチウム分離に関し、その分離機構の解明と工学設計への適用を目的とした静特性及び動特性コードを開発してきた。本報告では膜分離の新しい概念である還流膜分離を提案する。中空糸膜による膜分離の駆動力は膜を介した目的成分の分圧差であるので、透過側ガスの一部を供給側に還流することで意図的な駆動力の向上を見込むことができる。今回の検討で得られた主な結果は、(1)還流には駆動力の向上という正の効果と、還流による供給流量の増加という負の効果であり、よって還流比には最適値がある,(2)トリチウム回収には透過側圧力値が強く影響する,(3)高い透過係数を有する成分ほど還流の効果が顕著となるが、トリチウムガスとトリチウム水は他の空気構成成分より高い透過係数を有することからトリチウム回収に還流膜分離は適している。また、還流膜分離は高価な膜分離モジュールの規模低減効果も見込め、さらにトリチウム除去システム全体のコスト改善への貢献も期待できる。
岩井 保則; 林 巧; 小林 和容; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.460 - 463, 2005/07
被引用回数:4 パーセンタイル:29.98(Nuclear Science & Technology)換気中の室内にトリチウム漏洩が発生した場合のトリチウム挙動とその初期閉じ込め性能を把握するための三次元コードを開発し、その整備を続けている。今回、本コードを用い、室内トリチウム漏洩事象が発生した際に単位時間あたりの室内換気回数がトリチウム閉じ込め性能に与える影響,トリチウム漏洩検知までにかかる時間に換気回数が与える影響,ダクトとトリチウムモニターの最適位置について検討した。本検討の結果、(1)換気回数のトリチウム閉じ込め率への影響は小さく、37GBqのトリチウム漏洩を想定した場合では99%を大きく上回る閉じ込め率が得られること,(2)漏洩を検知するまでにかかる時間は換気回数が小さい程長くなる傾向にあるものの数分以内であり、室内に排気ダクトを均等に配してトリガーモニターを各排気ダクト内に設置することで漏洩の迅速な検知が可能であること,(3)緊急遮断弁閉止後、トリチウム濃度が均一になるまでにかかる時間は数時間のオーダーであること、などが得られた。トリチウムは漏洩直後にはプルームを形成して室内の換気流れに従い広がる。よって初期の閉じ込めではプルームを直接排気しないことが重要であり、排気口を壁面から離して配することが有効な対処法である。
大平 茂; Luo, G.; 中村 博文; 洲 亘; 喜多村 和憲*; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.621 - 624, 2005/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)本報告では、プラズマ対向機器における現実的なトリチウム透過を模擬し、トリチウム透過量評価のためのモデル及び計算コードを検証するためのトリチウム透過試験体の新しい概念設計を示す。試験体は、TPLに設置されたITERのダイバータの照射条件(100eV以下の粒子エネルギー及び、高粒子束(1e+22/m/s))とほぼ等価の水素同位体プラズマビームを生成できるプラズマイオン源を使用する実証試験のために設計されている。試験体は、高粒子束のプラズマビームにさらされるプラズマ対向材が銅ヒートシンク上に接合されている多層構造のターゲットモジュールを備えており、銅のヒートシンクには加圧された冷却材(水)が閉じ込められている。予備実験のための試験体が製作され、繰り返し照射条件における接合部の熱的及び機械的挙動を確証するための電子ビーム照射試験が行われた。熱負荷試験後に、接合部に有意な欠陥等は観察されず、使用条件下における構造健全性が確認された。また、予備実験用試験体を用いTSTAで最初のトリチウムプラズマ照射試験を実施し、透過トリチウムの測定プロセスが確立された。中性子あるいは高エネルギーイオンビーム照射により欠陥等を模擬するターゲットモジュールを使用することについても考察する。
片山 一成*; 竹石 敏治*; 永瀬 裕康*; 眞鍋 祐介*; 西川 正史*; 宮 直之; 正木 圭
Fusion Science and Technology, 48(1), p.561 - 564, 2005/07
被引用回数:1 パーセンタイル:10.27(Nuclear Science & Technology)JT-60Uのグラファイトタイルに蓄積されている軽水素,重水素,トリチウムを加熱法と同位体交換法を利用して放出させ、各種水素同位体の放出挙動を観測した。その結果は以下のようである。(1)軽水素,重水素については、比較的同様な放出曲線を示したが、トリチウムとは異なっていた。(2)グラファイト中に蓄積した水素同位体をすべて放出させるには、加熱のみでは困難であり、同位体交換法あるいは燃焼法が必要である。(3)水素蓄積量は、重水素蓄積量に比べ一桁多かった。この結果は、重水素放電によりグラファイト中に捕捉された重水素の大部分が、後の軽水素放電により放出されたことを示す。(4)カーブフィッティング法により、おおまかな水素同位体の深さ方向分布を推定した。第一壁タイルでは、軽水素,重水素は表面から1mmまで、トリチウムは2mmまで、比較的一様に分布していると推定された。また、ダイバータタイルでは、軽水素,重水素,トリチウムとも表面から2mmまで比較的一様に分布していると推定された。
廣畑 優子*; 柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 大矢 恭久*; 新井 貴; 後藤 純孝*; 正木 圭; 柳生 純一; 小柳津 誠*; 奥野 健二*; et al.
Fusion Science and Technology, 48(1), p.557 - 560, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.90(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで重水素と水素放電に曝されたダイバータタイル中の水素同位体保持特性を昇温脱離法と二次イオン質量分析法で測定した。JT-60Uのタイルから放出する主な気体はH2, HD, D2とCH4であった。内側ダイバータタイルの水素同位体保持量は、再堆積層の厚さに比例して増加した。この直線の勾配より求めた再堆積層中の水素濃度は約0.02で、JT-60で水素放電に曝されたタイルの値に類似し、他のプラズマ実機装置に比べて極めて低かった。この理由として、JT-60Uの運転温度が300Cであったこと、再堆積層がポーラスで基板との熱接触が劣化し、放電中にタイル表面の温度が上昇したものと考えられる。損耗を受けていた外側ダイバータタイルは、内側ダイバータタイルに比べてH保持量が少なく、バッフル板でも同様な傾向が見られた。ドームトップタイルは外側バッフル板とほぼ同程度の保持量であった。タイル中に保持されたDとHの比(D/H)はほぼ0.4であり、放電回数が少なかったHの方がむしろ多く保持されており、表面近傍に保持されていたDが水素放電中に交換されていたことを示唆している。同じことは水素同位体の深さ分析の結果でも示されている。再堆積層直下にも重水素が保持されていた。
竹石 敏治*; 片山 一成*; 西川 正史*; 宮 直之; 正木 圭
Fusion Science and Technology, 48(1), p.565 - 568, 2005/07
被引用回数:1 パーセンタイル:10.27(Nuclear Science & Technology)JT-60Uの第一壁及びバッフル板に使用された等方性グラファイトタイルに捕捉されたトリチウムの定量並びに回収法の検討を行う目的で、乾燥ガスパージ,同位体交換並びに酸素燃焼によってトリチウムの回収を行った。その結果は以下の通りである。(1)真空容器内のどの位置の等方性グラファイトタイルにも、800C-1200Cでの乾燥ガスパージ直後の水蒸気を利用した同位体交換によって回収されるトリチウムが存在した。これはグレイン内部から拡散したトリチウムが一旦グレイン表面にトラップされ、水蒸気中のHと交換する形で放出したものであると考えられる。(2)その後の1000Cでの酸素燃焼によりいずれのタイルからも全放出量の1-21%のトリチウムが放出され、全トリチウムの回収には燃焼法が必要であることがわかった。(3)グラファイトバルクの酸素燃焼は600C以下では起こらない。(4)グラファイトバルクに残留する全トリチウムの回収は酸素燃焼法により可能であるが、グラファイトバルクの燃焼は650C以上が必要なため、真空容器内に据え付けた状態でのトリチウム回収は難しいと考えられる。
Cristescu, I. R.*; Travis, J.*; 岩井 保則; 小林 和容; Murdoch, D.*
Fusion Science and Technology, 48(1), p.464 - 467, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:23.90(Nuclear Science & Technology)安全性が高く社会的に受容される核融合炉の建設に向けて、トリチウムの安全な取り扱い技術は、重要な課題の1つである。特に、建屋内にトリチウムが漏洩した場合、環境への放出低減及び作業者への被ばく防止の観点から建屋内でのトリチウムの挙動を把握することは非常に重要である。そこで、建屋内に放出されたトリチウムの挙動を把握するためにGASFLOW-IIと称する解析コードを開発し、原研TPLのケーソンを用いて得たトリチウムの空間内挙動に関する実験結果と比較検討した。その結果、実験的に得たトリチウムの挙動をよく再現することに成功し、GASFLOW-IIの有効性を証明した。
一政 満子*; 粟ヶ窪 さゆり*; 高橋 美穂*; 田内 広*; 林 巧; 小林 和容; 西 正孝; 一政 祐輔*
Fusion Science and Technology, 48(1), p.759 - 762, 2005/07
被引用回数:7 パーセンタイル:44.26(Nuclear Science & Technology)分子状トリチウム(HT)を酸化して水(HTO)に転換する種々のバクテリアが土壌中に存在し、そのトリチウム酸化活性について研究してきた。一方、重水素とトリチウムを燃料とする核融合炉では雰囲気からのトリチウム除去設備が必要であるが、除去方法としては酸化・除湿の方法が一般的であり、酸化の工程には高温の酸化触媒が現在用いられている。この酸化工程に室温でトリチウムを酸化できるトリチウム酸化バクテリアを用いたバイオリアクターを適用し、トリチウム除去設備の合理化を図ることを構想して研究を行った。試作したバイオリアクターを原研のトリチウム安全性試験装置(CATS)で試験し、空気中トリチウム濃度200Bq/cm,流量100cm/min,一回通過処理の処理条件で85%の酸化率を得、将来への見通しを得た。