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稲見 俊哉; 大和田 謙二; 坪田 雅己; 村田 悠人*; 松田 康弘*; 野尻 浩之*; 植田 浩明*; 村上 洋一*
Journal of Physics; Conference Series, 51, p.502 - 505, 2006/00
被引用回数:16 パーセンタイル:97.49(Physics, Condensed Matter)幾何学的フラストレーションのある立方晶スピネルCdCrO
の31Tまでのパルス強磁場下単結晶X線回折実験を行った。この化合物は8Kで反強磁性秩序を示すと同時に正方晶への構造変化を起こし、これにより部分的にフラストレーションを解消する。28T以上で飽和磁化の半分の磁化を示す磁化プラトー相が実現し、ここでは、磁気構造に対応して結晶構造が菱面体晶か立方晶になると予想されている。この28Tでの構造変化を観測するためにSPring-8のBL22XUでX線回折実験を実行した。広大な逆空間で何処に現れるかわからない鋭いBraggピークを探すのは簡単な仕事ではない。われわれはこの目的に2次元検出器が有用であることを見いだした。X線シャッターとチョッパーで生成した短いX線パルスと磁場を同期させることにより、高磁場相の逆空間のみを観測した。これによりCdCr
O
の28Tでの磁場誘起構造変化を観測することに成功した。
坂井 徹; 利根川 孝*; 岡本 清美*
no journal, ,
S=1とS=2の混合スピン鎖からなるフェリ磁性体に容易軸型の異方性がある場合の磁化過程について、数値的厳密対角化と密度行列繰り込み群の手法を用いて異理論的に解析した。その結果、飽和磁化の3分の2のところに出現する量子効果による磁化プラトー形成のメカニズムが、異方性の値によって変わる量子相転移が起きることがわかった。選られた相図には3つ異なるプラトー相が存在する。
松田 雅昌
no journal, ,
フラストレート反強磁性体は、磁性と構造の自由度が相互に深く関わり合い、興味ある現象を示すことが大きな特徴である。特にACrO
(A=Hg, Cd)は磁場中の広い領域で磁化1/2のプラトー状態を示すことが磁化の研究から明らかになっている。この現象はスピン-格子相互作用に起因していることが理論的研究から示唆されていたが、実験はまだ行われていなかった。われわれは、HgCr
O
粉末を用いて磁場中での中性子回折実験とX線回折実験を行った。その結果、プラトー状態ではP4
32の対称性を持つ磁気構造が安定になるように結晶構造もP4
32の対称性を持つ構造に転移することを明らかにした。これは、フラストレート反強磁性体における強いスピン-格子相互作用をあらわす重要な結果である。