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友寄 克亮; 日下 勝弘*; 山田 太郎*; 玉田 太郎
Journal of Structural and Functional Genomics, 15(3), p.131 - 135, 2014/09
J-PARCの物質生命科学施設(MLF)に、250
を超える単位胞を持つ結晶からの回折データ収集を可能とする生体高分子専用高分解能単結晶中性子回折装置の設計を計画している。この新しい回折計は、膜蛋白質や超分子などの巨大蛋白質の詳細構造解析のために利用される予定である。パルス幅時間分解能を考慮し、結合型減速材(CM)と非結合型減速材(DM)の強度およびパルス幅の定量的な比較を行った結果、CMよりもむしろDMが我々の目指す回折計の基準を満たすことが分かった。この結果は狭いパルス幅をもつDMが、大型単位格子をもつ結晶からのブラッグ反射の分離には、必要不可欠であることを示唆するものである。一方で、特に、大型単位格子の場合にはDMからの弱い信号が、水素原子の非干渉性散乱によって引き起こされる高いレベルのバックグランドの下に埋没してしまうということも念頭に置かねばならない。我々は、時間方向のパルス形状を忠実に再現するためのエネルギー損失関数とStatistics-sensitive Nonlinear Iterative Peak-clipping法による精度の高いバックグラウンド除去法を組み合わせた反射積分方法を提案する。
安達 基泰; 目黒 瑞枝*; 前川 峻*; 岡崎 伸生*; 別府 実穂*; 永澤 和道*; 平野 歩美*; 玉田 太郎; 加藤 尚志; 黒木 良太
no journal, ,
ヒト由来EPOとTPOは、それぞれ受容体結合型及びモノクローナル抗体結合型として、結晶構造が決定されているが、単体での結晶構造は決定されていない。それら造血因子の構造的及び機能的違いを明らかにするために、両生類及び魚類というヒトとは異なる脊椎動物からのEPO及びTPOに関して、構造と機能を調べている。最近、カエル及びメダカ由来の組換え型EPOを大腸菌及びブレビバチルス発現系を用いてそれぞれ調製し、結晶化に成功した。そして、カエルEPOの単体での結晶構造解析に成功した。カエル及びメダカ由来の組換え型EPOの結晶構造解析は、受容体結合における構造変化を含めたEPOの構造機能相関を理解するうえで重要な情報を与えるだろう。
友寄 克亮; 日下 勝弘*; 山田 太郎*; 玉田 太郎
no journal, ,
蛋白質の生体高分子結晶の中性子回折実験では、生体高分子に含まれる水素からの非干渉性散乱によるバックグラウンドが高いため反射強度が低下する。特に弱い反射の積分強度精度向上させるためには、プロファイルフィッティング法が有効である。第一段階として茨城生命物質構造解析装置iBIXが設置されているビームラインの結合型減速材特性に合致したTOFプロファイル解析関数を模索することにした。この減速材から出る中性子はパルス幅が広がり減衰部は長いテイルを引くため、このような非対称性部を忠実に再現する解析関数が必要である。荷電粒子が薄い物質を通過する際の電離損失分布Landau, Vavilov分布が、減速材液体水素との衝突による中性子の運動エネルギー損失分布に類似していると考え、結合型減速材TOFプロファイルを表現するのに良い関数であると考えた。実験データに適用した結果良い一致を示すことがわかった。今後建設予定のJ-PARC生体高分子専用高分解能中性子結晶回折計についても、iBIXとは異なる非結合型減速材が設置されているが、減速機構は同様であるため積分強度精度改善が期待される。
新井 栄揮; 米澤 悌*; 安達 基泰; 玉田 太郎; 徳永 廣子*; 石橋 松二郎*; 徳永 正雄*; 黒木 良太
no journal, ,
好塩性蛋白質は高い酸性アミノ酸含量により分子表面に多くの負電荷を有し、高塩濃度環境下において機能発現や立体構造形成が可能な特殊な蛋白質である。一般に好塩性蛋白質は分子表面の負電荷の影響で結晶化が困難であるが、われわれは二価金属イオンを添加剤とした結晶化スクリーニングを構築し、これまでに数種類の好塩性蛋白質の結晶化及びX線結晶解析に成功している。本会議では、好塩性蛋白質の構造-機能相関の研究の一環として行った
sp.560由来
-Lactamase(HaBLA)、
sp.593由来nucleoside diphosphate kinase(HaNDK)及びalkaline phosphatase(HaAP)のX線結晶解析の結果について発表する。これら三種類の好塩性蛋白質の立体構造を解明して比較した結果、分子表面における負電荷の密度及び分子内部の疎水性アミノ酸含量はHaAPが最も高いことが判明した。分子表面の負電荷は高塩濃度環境下での可溶性に寄与するとともに、金属イオンとの相互作用の可能性をもたらし、また、分子内部の高い疎水性アミノ酸含量は高塩濃度環境下での蛋白質の構造安定性に寄与することから、HaAPの構造学的特徴は金属イオンを捕集する蛋白質材料を人工創製に利用できる可能性がある。
有森 貴夫*; 川本 乃理子*; 岡崎 伸生*; 中澤 昌美*; 宮武 和孝*; 深溝 慶*; 上田 光宏*; 玉田 太郎
no journal, ,
好熱性細菌
sp. A-471由来キチナーゼ(Ra-ChiC)は、天然資源であるキチンをさまざまな分野で利用できるオリゴ糖へと分解する。しかしRa-ChiCはこれまでに同定されているキチナーゼとはアミノ酸配列の相同性を有さず、キチナーゼとしては唯一GHファミリー23に分類される。一方、GHファミリー23には主にガチョウ型(G-type)リゾチームが属しているが、Ra-ChiCはリゾチーム活性を有さない。われわれは、Ra-ChiCの基質認識機構及び触媒反応機構を解明するため、Ra-ChiCの触媒ドメイン(野生型, E141Q変異体, E162Q変異体)のリガンド非結合型及びキチンオリゴ糖結合型の結晶構造解析を行った。Ra-ChiCは基質特異性を司るトンネル構造を含む基質結合部位を有しており、そのトンネル上に位置するAsp226が塩基触媒として水分子を活性化する機構が構造情報に基づく変異体解析の結果から示唆された。構造的に高く保存された酸触媒として機能するGlu141とこのAsp226の相対配置は、Ra-ChiCの特徴的な機能と関連していると考えられた。
柴崎 千枝; 安達 基泰; 黒木 良太
no journal, ,
生体分子の分子認識機構・反応触媒機構の解明のためには、X線と中性子線を併用した結晶構造解析が正確な水素原子の位置や触媒活性部位の水和構造を知るために必要となる。本研究では、中性子解析に必要な良質で大型の結晶を、効果的に作製する技術を確立するとともに、結晶化条件の知識データベースの構築を目指した。まず、結晶核生成を制御する添加剤に着目した新しいスクリーニングシステムを考案した。今回の発表では、新しいスクリーニングシステムを4種類のタンパク質に適用し、そのシステムの有効性を検討した。その結果、どの試料においてもスクリーニング条件内に結晶化ドロップに1
2個だけ結晶が析出する条件を見いだすことができた。今後は、今回スクリーニングを行ったタンパク質について大型結晶作製を進めるとともに、本スクリーニング系をできるだけ多くのタンパク質に適用することによって、結晶大型化のための知識データベースの構築を目指す。また、J-PARC/MLFに建設計画中の新装置(生体高分子専用高分解能中性子回折計)を効果的に利用することにより、医薬品開発やバイオエネルギー開発にも繋がると考えられる。
reductase by X-ray crystallography玉田 太郎; 山田 貢*; 竹田 一旗*; 松本 富美子*; 木村 成伸*; 黒木 良太; 三木 邦夫*
no journal, ,
NADHシトクロム
還元酵素(b5R)はNADHドメインとFADドメインの2つのドメインからなるフラボタンパク質で、NADHから二個の電子を受け取り、二分子のシトクロム
(Cb5)に一電子ずつ伝達する反応を触媒する。嫌気環境下で作製した結晶を用いて1.68
分解能で解析した二電子還元型b5Rの構造は、酸化型と比較して2つのドメインの相対配置がわずかに変化しており、その結果、FADの溶媒露出面積が増大し、FADのイソアロキサジン環のN5原子と、FADからのプロトン放出に関わっていると考えられているThr66の側鎖の水酸基間に水素結合が形成していた。一方、イソアロキサジン環の平面性は、還元型においても酸化型と変わらず保持されており、NAD
のニコチンアミド環とスタッキングしていた。これらの構造的特徴は、b5Rの触媒サイクルにおいて、電子の逆流を防ぎ、Cb5のような電子受容体への電子移動を促進するものであった。さらに、クライオトラップ法により還元型結晶の大気暴露時間を制御し作製した結晶を用いた解析により、還元型から酸化型への再酸化反応は二段階を経ることが示唆された。