Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
吉井 文男; 幕内 恵三; Zainuddin*; A.Sudradjat*; D.Darwis*; M.T.Razzak*
医科器械学, 62(6), p.285 - 289, 1992/06
ポリビニルアルコール(PVA)ハイドロゲルを医用材料として使用する目的で、PVA水溶液を乾燥して得たフィルムの放射線橋かけへの加熱処理の影響と照射後得たハイドロゲルの熱安定性について調べた。PVAフィルムは照射前に加熱処理すると、処理のないものよりも放射線橋かけに大線量を要するが、照射によるハイドロゲルの強度低下が抑制できる。加熱処理したPVAフィルムを200kGy照射して得たハイドロゲルは、煮沸滅菌を15分間行っても溶解や分解は観察されず、煮沸前の形状を保持している。煮沸後もこのゲルは透明で弾力性のあるものであった。したがって、耐熱性PVAハイドロゲルを得るには照射前の加熱処理が重要であることが分った。
吉井 文男
医科器械学, 62(2), p.78 - 86, 1992/02
原研では医療用具素材であるポリプロピレン(pp)の電子線とガンマ線の照射劣化の比較と耐放射線性を上げるための研究を行っている。電子線照射はガンマ線よりも照射中の酸化劣化および照射後の経時劣化が少なく、その違いは化学発光法による酸化量の測定から明らかにした。耐放射線性の高いppは、エチレンと共重合した共重合体、高分子量ppおよび成形後急冷によって得たポリマーであることが分った。以上の結果をもとに医療用具素材の照射効果からみた電子線滅菌についてまとめた。
吉井 文男; 須永 博美; 幕内 恵三; 石垣 功; K.Bahari*
医科器械学, 61(9), p.387 - 392, 1991/09
比較的分子量の高いポリプロピレン単独重合体とプロピレン共重合体の電子線照射によりタングステン板から発生した交換X線による放射線損傷が電子線とガンマー線の場合と比較した。ポリプロピレンには照射中と照射後の保存中の二つの劣化がある。その劣化はX線、電子線及びガンマー線とで大きな差はないが、電子線に比べるとわずかにX線の方が劣化しやすい。放射線酸化は、ガンマー線X線電子線であり、これはそれぞれの照射の線量率と良く対応し、酸化が最も起きにくい電子線が最も劣化しにくかった。材質損傷では酸化でみられるようなガンマー線とX線との差は認められなかった。以上の結果から、電子線照射による変換X線は材質損傷が電子線とガンマー線と比べ大きな差がなく、透過力もあることから医療用具の放射線滅菌の有用な方法となると考えられる。
伊藤 均
医科器械学, 60(10), p.469 - 475, 1990/10
電子線の滅菌作用は基本的には線と同じであるが、電子線は線と比べ(1)物体への透過力が小さい、(2)散乱線の影響が大きい、(3)線量率が著しく高い、(4)エネルギー利用効率が高い、などの特徴がある。ことに電子線は線量率の影響によりBacillus属やStreptococcus faeciumなどでの必要滅菌線量が若干多くなる傾向が認められている。この原因としては、細菌芽胞又は細胞を照射するとき、酸素が共存すると殺菌を促進するが、高線量率下では生物活性点への酸素拡散が不十分となるため感受性が低下することで説明ができる。電子線は透過力が小さいため、3MeV以上のエネルギーでないと実用滅菌は困難であり、比重の高い材質の医療用具は照射技術に工夫が必要である。
吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
医科器械学, 57(2), p.59 - 64, 1987/02
照射後の保存中の劣化が起こりにくいエチレン鎖を含む共重合ポリプロピレン(CPP)とハーキュレス社のポリプロピレン(profax)の固体構造をX線と粘弾性測定により調べた結果、保存中の劣化が激しいポロプロピレン(PP)に比べると結晶化度が低いことが明らかとなった。また成形において急冷により調製した低結晶化度のPPとCPPいずれも徐冷試料に比べて保存中の劣化が著しく小さく安定であった。保存中の劣化挙動は、パーオキシラジカルの減衰曲線とよく対応し保存劣化の少ない急冷試料は、徐冷試料に比べて照射直後と保存中のラジカル量が著しく少なかった。したがって、PPの経時劣化を防止するにはPPの結晶化度を下げることが有効であると結論できた。
吉井 文男; 貴家 恒男; 幕内 恵三; 石垣 功
医科器械学, 56(3), p.102 - 107, 1986/00
プロピレンの単独重合体とエチレン鎖を6%含む共重合体の耐放射線性は、成形条件により大きく異なる。熱溶融ポリマーを-60Cのメタノールや水の中で冷却した試料は、冷プレスで冷却した徐冷試料に比べて著しく耐放射線性が優れていた。特に急冷の効果は単独重合体に顕著に現われた。粘弾性測定から、急冷試料のモルホロジーは、徐冷に比べて結晶部の分散と非晶部の分散の分離が不明瞭であり、かつ結晶化度が低かった。一方、との分離のよい試料は耐放射線性が極めて低かった。したがって、放射線滅菌における医療用具としてのポリプロピレンは、結晶部と非晶部の分離が不明瞭な比較的結晶化度の低いものが良好であることが明らかとなった。
吉井 文男; 幕内 恵三; 石垣 功
医科器械学, 56(7), p.313 - 316, 1986/00
モルホロジーの異なる高度に配向したポリプロピレン(PP)製外科用縫合糸と無配向の成形シートとの照射効果を比較した。配向試料の照射に対する安定性は、線照射よりも電子線照射の方が高く、またエチレンを6%含むポリプロピレン(CPP)の方がPP単独よりも劣化しにくかった。これは無配向の成形シートと同じ結果であった。CPPは照射後1ヶ月くらいまで劣化が進むが、それ以後は全く経時劣化が認められなかった。さらにPP単独では、照射後外科結びを行った場合、酸化により表面から剥離が起きた。電子線照射したCPPは、外科結びしても表面酸化による剥離が起らず、引張り強度も医療機器基準である照射前の80%の強度を十分保持していた。したがって、CPP縫合糸は、電子線照射により十分滅菌可能であることが明らかとなった。
吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; 石垣 功
医科器械学, 55(8), p.396 - 400, 1985/00
線と電子線照射における照射中のポリプロピレンの劣化の程度を酸化層の深さと関連づけて考案した。劣化の程度は、試料の厚みにより異なり、100mや200mのように薄い試料だと、試料の内部でも表面に近い酸化が起こるために極めて劣化しやすい。一方500mや1000mのように厚い試料だと試料内部における酸化が少ないために劣化が起こりにくい。線量率に対しては、低線量率ほど酸化層が深くなるために極度に劣化しやすくなる。したがって、医療用具の滅菌においては、高線量率で短時間で照射することが材質の劣化を防止するのに有益であることが明らかとなった。
吉井 文男; 佐々木 隆; 幕内 恵三; 田村 直幸
医科器械学, 55(5), p.251 - 255, 1985/00
ディスポーザブル注射器に使われている組成の異なるポリプロピレンとポリメチルペンテンの電子線と線照射した後の経時劣化を調べ、その劣化挙動を化学発光分析による発光の減衰量と関連づけて考察した。ホモポリプロピレンは照射中の劣化が大きいために、顕著な経時劣化は認められなかった。コポリプロピレンは照射後3ヶ月くらいまでの比較的初期に劣化するが、それ以後はあまり大きな経時劣化は認められなかった。さらに、コポリプロピレンの電子線照射後の経時劣化は線に比べて極めて小さく、滅菌線量(2.5Mrad)では経時劣化が認められなかった。経時劣化は化学発光分析の結果から、保存前の発光量に依存することが分った。経時劣化は耐放射線性ポリプロピレンとポリメチルペンテンには全く認められなかった。経時劣化は保存中の雰囲気にも影響され、真空中保存の方が空気中よりも劣化しにくかった。