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鎌田 裕; 芳野 隆治; 牛草 健吉; 閨谷 譲; 及川 聡洋; 内藤 磨; 徳田 伸二; 白井 浩; 滝塚 知典; 小関 隆久; et al.
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.247 - 258, 1997/00
JT-60U装置では、ポロイダル磁場コイル系の改良により、プラズマ断面の三角度を、従来の約0.1から0.48まで上昇させた。これにより、プラズマ周辺部の不安定性であるELM及び、内部低n不安定性を安定化することに成功した。この結果、規格化ベータ値は、同様な圧力分布及び内部インダクタンスを持つプラズマにおいて、約2倍に上昇した。エネルギー閉じ込め性能も、三角度とともに上昇することが分かった。さらに、従来よりも高電子密度で良好な閉じ込め性能が得られた。ELMの質は、小振幅、高周波数となり、ダイバータ板の熱負荷集中の観点から好ましいことも分かった。以上の改善により、高い総合性能(閉じ込め改善度2、規格化ベータ値。2.5、完全非誘導電流駆動(NB駆動電流40%、自発電流60%)を持つプラズマを約2秒間準定常に維持することに成功した。
石田 真一; 閨谷 譲; 鎌田 裕; 諫山 明彦; 藤田 隆明; 及川 聡洋; 小出 芳彦; 河野 康則; 白井 浩; 小関 隆久; et al.
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.315 - 330, 1997/00
JT-60Uにおいて、高イオン温度Hモードと高 Hモードによる高性能実験を実施し、電流領域をそれぞれ、4.5MA(q
~2.0)、2.7MA(q
~2.5)まで拡大した。高電流低q領域の結果から、核融合性能が最大化するのは、ITERの運転領域であるq
~3付近であることを明らかにした。最大の核融合積は、高
Hモードで得られ、世界最高の1.5
10
m
skeVに達し、その時のイオン温度は45keVを記録した。高
Hモードでは、分布制御によってITERの要求に近い安定性が得られたが、放電はベータ限界に達し、ディスラプションに至ることがわかった。特に、q
~3かそれ以下の領域では、ベータ限界に近い運転において、ELM(Edge Localized Mode)自体がm=3、n=1モードを引き起し、内部モードと結合して、ディスラプションにつながる機構を明らかにした。
福田 武司; 佐藤 正泰; 滝塚 知典; 土屋 勝彦; 鎌田 裕; 竹永 秀信; JT-60チーム
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.857 - 866, 1997/00
Hモード遷移閾値に中性粒子密度が与える影響について報告する。これまでに集積された遷移閾値データを用いた解析で充分な精度と信頼性を有する比例則が現在確立されていない主な理由は、幾何寸法依存性と密度依存性の不明瞭性にある。特に密度依存性は、第1壁の粒子補給条件に敏感であることから「重要であるが解明が困難な課題」であると認識されている。我々は、JT-60Uにおける詳細な実験研究の結果、(1)プラズマ周辺部における中性粒子密度が密度依存性を決定すること及び(2)同様の物理機構が低密度遷移限界をも規定していることを初めて明らかにした。この結果は、周辺中性粒子密度の情報を基にこれまで装置依存性が高いと考えられてきた密度依存性を統一的に理解できることを示唆している。また、密度依存性が明確になれば、核融合炉に外挿可能な幾何寸法に関する比例則を確立することが可能になると期待される。
河野 康則; 芳野 隆治; 閨谷 譲; 近藤 貴; 伊世井 宣明; 石田 真一; 飛田 健次; 波多江 仰紀; 伊丹 潔; 逆井 章; et al.
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.345 - 357, 1997/00
JT-60Uで開発されたキラーペレット入射による急速電流停止法は、ITERなどのトカマク型核融合炉のディスラプション緩和や装置の緊急事態発生時における速やかなプラズマ放電停止の有望な手法である。一方、キラーペレットによる急速電流停止時には高エネルギーの逃走電子の発生が指摘されており、この逃走電子を抑制することが課題となっている。そこで逃走電子を抑制しつつ放電を停止する手法の確立を目的とした研究を行った。その結果、外部ヘリカル磁場発生コイルの使用やトロイダル磁場温度を低下することにより電流停止時の磁場揺動強度を増大させることで、逃走電子を抑制できることを明らかにした。
飛田 健次; 西谷 健夫; 原野 英樹*; 谷 啓二; 磯部 光孝*; 藤田 隆明; 草間 義紀; G.A.Wurden*; 白井 浩; 及川 聡洋; et al.
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.497 - 505, 1997/00
核融合反応で生成した1MeVトリトンの燃焼率と中性粒子入射イオンの核融合反応を利用して、高エネルギーイオンの輸送と損失を調べた。通常の磁気シアと比べ、負磁気シアの配位では、トリトン燃焼率が低く(粒子損失がないと仮定した計算の10-60%)、高エネルギーイオンの閉じ込め特性が劣ることを実験で示した。軌道追跡モンテカルロコードを使った解析により、粒子損失の原因はリップル統計拡散と衝突リップル拡散であることを明らかにした。これらの結果は、負磁気シアの炉心プラズマを構想する際に、粒子を含めた高エネルギーイオンの損失に留意しなければならないことを示している。また、ITER相当の上下非対称リップルを持つプラズマにおいて高エネルギーイオンの損失を調べた。実験の結果、この上下非対称性は粒子損失に影響を与えないことがわかった。
藤田 隆明; 井手 俊介; 木村 晴行; 小出 芳彦; 及川 聡洋; 竹治 智; 白井 浩; 小関 隆久; 鎌田 裕; 石田 真一; et al.
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.227 - 237, 1997/00
JT-60Uの負磁気シアー放電において、内部輸送障壁の形成による閉じ込め改善が得られた。安全係数が極小となる位置のすぐ内側に明瞭な電子密度・電子温度・イオン温度の急勾配が観測された。この輸送障壁はプラズマ小半径の65%にまで広がり、大きな閉じ込め改善をもたらした。エネルギー閉じ込め時間、プラズマ蓄積エネルギーはプラズマ電流とともに増大し、2.5MAにおいてそれぞれ1.08s、9.56MJに達し、いずれもJT-60Uの最高値を記録した。等価DT核融合エネルギー増倍率においても従来の記録(0.6)を大きく更新する0.8という値を得た。電流ランプアップ中に輸送障壁を形成し高い電子温度を得ることが高電流領域において広い輸送障壁を維持するために有効であった。この閉じ込め改善はイオン温度と電子温度の比が1.4という炉心条件(イオン温度=電子温度)に近い状態で得られており、核融合炉の運転モードとしても適している。
伊丹 潔; 細金 延幸; 朝倉 伸幸; 逆井 章; 木島 滋; 藤田 隆明; 及川 聡洋; 嶋田 道也; 芳野 隆治; JT-60チーム
Fusion Energy 1996, Vol.1, p.385 - 395, 1997/00
JT-60Uの高パワーNBI加熱実験において放射冷却ダイバータ実験を行い、以下の成果を得た。(1)輸送障壁内側に、ピーキングしたプラズマ温度、密度分布を持つ負磁気シアー放電に対して、ネオンと水素ガス及び重水素ガスの注入を行った。水素放電においては、輸送障壁を維持した状態で、ダイバータへ熱及び粒子が流入しなくなるデタッチ状態を1秒間維持した。重水素放電においては、コラプスにより制限されるが、短時間のデタッチ状態をHファクター1.1~1.4と同時に実現した。(2)低リサイクリング状態で生成したELMy H-mode放電において、最大加熱入力=20MWの条件で放射冷却ダイバータを準定常的に維持した。