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日下 博幸*; 池田 亮作*; 佐藤 拓人; 飯塚 悟*; 朴 泰祐*
Journal of Advances in Modeling Earth Systems (Internet), 16(10), p.e2024MS004367_1 - e2024MS004367_38, 2024/10
被引用回数:0マイクロスケールの都市気候シミュレーションのための気象学Large-eddy simulation (LES)モデルと数値流体力学(CFD)モデルとのギャップを埋めるために、本研究では都市域を対象とした気象学LESモデルを開発した。このモデルはメソスケール(都市スケール)からマイクロスケール(街区スケール)までの都市機構のシミュレーションを行うことができる。本論文では、このLESモデルの概要を紹介する。このLESモデルは、建物や樹木を解像してマイクロスケールのシミュレーションを行うことができる点で、標準的な数値気象モデルと一線を画していると言える。また、大気成層の影響や物理過程を考慮することも標準的なCFDモデルと異なる点である。本モデルの特筆すべき特徴は、(a)ラジオシティ法による都市キャノピー層内の多重反射の考慮や、建物影・ビル影の考慮など長波放射・短波放射の3次元計算、(b)様々な暑さ指数の出力、(c)ミスト散布や街路樹、高反射舗装やクールルーフ、屋上緑化の効果の評価、(d)3次元並列化の実装によるスーパーコンピュータでの動作と、GPU版の実装である。本研究では、モデルの紹介に続き、対流境界層におけるサーマルや、都市キャノピー内・都市キャノピー上の流れや乱れの様子、都市街区における熱環境・熱ストレスのシミュレーションなど、様々な実験を行いその基本性能を確認した。本研究で開発したモデルは、都市気候学の基礎的・応用的研究に取り組むためのコミュニティツールとなることを目指している。
中山 浩成; 竹見 哲也*
Journal of Advances in Modeling Earth Systems (Internet), 12(8), p.e2019MS001872_1 - e2019MS001872_18, 2020/08
被引用回数:2 パーセンタイル:7.97(Meteorology & Atmospheric Sciences)データ同化手法は、数値モデルに観測値を入力してより現実に近い結果を出せるように計算値を修正していく技術である。しかしながら、これまでの手法は主に広域スケールを対象とした気象モデルのために開発されたものであり、通常用いられる観測値も10分から1時間程度の間隔で時間平均されたものが多い。そのため、従来の手法は、瞬間的に変化する乱流スケールの風速変動を考慮できず、乱流の非定常計算を行うLarge-Eddy Simulation(LES)モデルには適さないという問題があった。そこで本研究では、振動方程式を使用して平均風速の観測データをLESモデルに融合するデータ同化手法を開発した。まず、試計算により振動方程式中の固有角振動数を接近流が持つ風速変動のピーク振動数よりも小さくすると乱流スケールの短周期変動性状を維持しつつターゲットとする平均風速分布に近づけることが分かった。次に、この固有角振動数をもとに京都市街地で測定された気象観測データを用いてデータ同化を行ったところ、乱流構造を維持しつつターゲットとする平均風速分布に近づけることができた。以上により、振動方程式を用いた本データ同化手法はLESモデルに適合した手法として有効に利用できる可能性が示唆された。