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楡井 真実; 古府 麻衣子; 中島 健次; 菊地 龍弥*; 河村 聖子; 村井 直樹; 原田 正英; 稲村 泰弘
Journal of Neutron Research, 26(2-3), p.75 - 82, 2024/09
We investigated neutron flux at a sample position and energy resolution of a direct-geometry disk-chopper spectrometer AMATERAS under various chopper conditions and compared them with simulations and calculations. The measured flux was comparable to other similar spectrometers with high flux. The resolution when using a pulse-shaping chopper was in close agreement with the analytical calculations, including the thickness of the disk chopper, the sample size, and the penetration depth into the detector. It is found that the chopper, placed at the intermediate distance of the primary spectrometer, works as a pulse shaper that optimizes the flux and resolution below the incident energy of 10 meV.
勅使河原 誠; 池田 裕二郎*; 村松 一生*; 須谷 康一*; 福住 正文*; 能田 洋平*; 小泉 智*; 猿田 晃一; 大竹 淑恵*
Journal of Neutron Research, 26(2-3), p.69 - 74, 2024/09
冷中性子のような低速中性子は、基礎物理学だけでなく、生命科学における構造ゲノミクスの進歩や水素社会への移行に必要な電池技術の進歩にとっても重要な非破壊プローブである。中性子を利用した科学は、中性子高強度依存科学とも呼ばれる。このエネルギー領域の中性子強度を増加させるため、ナノサイズ粒子群に着目した新しいユニークな方法が提案されている。この方法は、ナノサイズ粒子群による多重干渉性散乱による強度増強に基づく。ナノサイズ粒子群は、冷中性子以下の波長と一致することから、いわゆるブラッグ散乱と呼ばれる干渉性散乱と同様の効果を引き起こし、数桁もの中性子強度増強につながる。ナノダイヤモンドと水素化マグネシウムがこれまで数値的及び実験的に研究されているが、実用化において、ナノダイヤモンドの主な課題は賦形である。この問題の解決策を見出すために、我々は、もう一つの炭素構造体であるグラフェンに着目した。本論文では、冷中性子下の反射体材料としてのナノサイズグラフェンの可能性について、実験結果とともに報告する。
山本 風海; 守屋 克洋; 沖田 英史; 山田 逸平; 地村 幹; Saha, P. K.; 菖蒲田 義博; 田村 文彦; 山本 昌亘; 森下 卓俊; et al.
Journal of Neutron Research, 26(2-3), p.59 - 67, 2024/01
J-PARC Linacおよび3GeVシンクロトロン(RCS)は、1MWの大強度ビームを中性子実験施設および主リングシンクロトロンに供給するために運転している。これまで進めてきたビーム調整および機器改良により、当初想定よりもはるかに低いビームロス量で1MWのビーム運転を行うことが出来ている。現在のビーム出力はビームロスではなくRCSの高周波加速空胴の電源容量によって制限されている。近年、RCSグループではより少ない消費電力でビームを加速することのできる新しい構造の加速空胴の開発に成功した。この空胴によって、利用運転中に加速空胴で消費される電力を大幅に削減することが出来、さらに1MW以上の大出力での運転も可能となる。これまでの試験結果から、RCSの加速空胴を全て新しい物へ更新すれば、1.5MW以上の大出力も可能となる事が判っている。今後、中性子利用および主リングシンクロトロンの更なる成果創出のため、2MWを目標にRCSで必要な改良について検討を行った。その結果、高周波空胴の更新以外にも、高周波増幅器の増強やビームモニタの増強が必要であることが判ったため、今後順次更新を進める。
国枝 賢; 山本 和喜; 今野 力; 岩元 洋介; 岩本 修; 若林 泰生*; 池田 裕二郎*
Journal of Neutron Research, 24(3-4), p.329 - 335, 2023/01
核データライブラリJENDL-5のためにBe(p,xn)反応二重微分断面積の評価を行った。本研究ではまず、理化学研究所で開発された若林関数を内挿法などを工夫してデータベース化し、MCNPやPHITSを用いて薄膜ターゲットに対する検証解析を実施した。それにより、JENDL-4.0/HEや米国のENDF/B-VIII.0と比べて良い予測を与えることを確認した。更に反応断面積の絶対値を若林関数オリジナル値から15%(測定データ間の差異の範囲内で)減少させることにより、更に核データとしての精度が高まることを確認した。以上の知見を投入した新たな核データライブラリJENDL-5を用いることにより、
Be(p,xn)反応からの中性子スペクトルや収量を世界一の予測精度で計算することが可能である。
佐藤 節夫*; 梶本 亮一; 稲村 泰弘
Journal of Neutron Research, 24(3-4), p.427 - 434, 2023/01
In many neutron scattering experiments, He-gas position-sensitive detectors (PSDs) are employed to obtain high-quality data. However, the exact position where a neutron is detected cannot be determined if two or more neutrons are simultaneously captured at different positions. This results in noise and degrades the quality of the data. In particular, such noise is a serious source of spurious scattering in inelastic neutron scattering instruments equipped with a large number of long PSDs recently developed at pulsed neutron sources. Herein, we introduce a pulse-width-discriminating PSD system that monitors the pulse width and height of the collected data. The system utilizes previously developed neutron-readout boards and removes instances of two or more simultaneous captures from the data to significantly improve the performance of PSDs. We also propose a new program to monitor the pulse width from PSD data using a hardware function implemented for other purposes. We confirm that the noise decreases to a level almost equal to that of the background. Although the developed program is applied to an inelastic scattering experiment, it is applicable to other types of experiments in which mispositioned signals should be eliminated as noise.
新井 正敏*; Andersen, K. H.*; Argyriou, D. N.*; Schweika, W.*; Zanini, L.*; Harjo, S.; 神山 崇*; 原田 正英
Journal of Neutron Research, 23(4), p.215 - 232, 2021/12
The general performance of diffractometers at the first long pulse spallation source ESS, is compared with their counterparts at J-PARC, a short pulse spallation source. The difference in the inherent pulse structure of these neutron sources presents opportunities for new concepts for instrumentation, where performance does not scale simply with source power. The article describes advantages and disadvantages of those diffractometers, adapting to the very different source characteristics. We find that the two sources offer comparable performance in flux and resolution when operating in high-resolution mode. ESS offers significant advantages in tunability and flexibility, notably in the ability to relax resolution in order to increase flux for a given experiment. On the other hand, J-PARC instruments perform very well in spite of the lower source power and allow better access to epithermal neutrons, of particular interest for PDF analysis of diffraction data.
梶本 亮一; 中村 充孝; 飯田 一樹*; 蒲沢 和也*; 池内 和彦*; 稲村 泰弘; 石角 元志*
Journal of Neutron Research, 22(2-3), p.99 - 107, 2020/10
The elastic energy resolution, integrated intensity, and peak intensity of the direct-geometry neutron chopper spectrometer 4SEASONS at Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) were re-investigated. This was done with respect to the incident energy and the rotation speed of the Fermi chopper using incoherent scattering of vanadium and simple analytical formulas. The model calculations reproduced the observed values satisfactorily. The present work should be useful for estimating in instrument performance in experiments.
酒井 健二; 大井 元貴; 勅使河原 誠; 直江 崇; 羽賀 勝洋; 渡邊 聡彦*
Journal of Neutron Research, 22(2-3), p.337 - 343, 2020/10
核破砕中性子源やミュオン標的などを安全に効率よく運転するために、物質・生命科学実験施設(MLF)は、専用の全体制御システム(GCS)を有する。GCSは、様々な運転状況下でMLF内の多くの設備機器の監視操作やインターロック系を管理・運用する。2008年の最初の陽子ビームの受け入れ以来、GCSは10年以上も大きなトラブルもなく安定したMLFの運転を実現してきた。GCSはターゲットステーション関連の運転データを保存するデータ蓄積サーバーを有し、蓄積されたデータを調べることで異常事象検知や原因究明に貢献してきた。しかしながら、今後もMLFの安定した運転を継続するには、放射線損傷や経年劣化などに起因するターゲットステーションの潜在的な異常を予知する異常兆候判定システム(ASDS)の導入が必要になってくる。ASDSは、陽子ビーム,ターゲットステーション, 2次ビームなどの多様で長期間に渡る運転データを使った解析に基づいて、ターゲットステーションの僅かな状態変化から異常を判断する。本報告は、GCSの現状、ASDSの概念設計、及びASDSのための多様なデータを包括的に扱う統括データ蓄積サーバーの導入について論ずる。
渡辺 真朗; 野尻 浩之*
Journal of Neutron Research, 21(1-2), p.39 - 45, 2019/05
磁場は物質中の電子のスピンと軌道運動に直接作用し、強磁場中では、興味深い量子現象と相転移が発現する。そのため、近年、中性子散乱実験用の強磁場実験装置が急速に開発されてきている。例えば、既に17Tまでの超伝導DC磁石が中性子散乱実験のために開発されている。MLFでは、試料環境(SE)チームがSE装置として7Tまでの超伝導DC磁石を運用しているが、一部のユーザーから、より高い磁場環境が要求されている。しかし、20T以上を発生させるには、超伝導技術の摘要は困難で、大スペースを必要とする大型システムの構築が要求されるが、コスト、スペースの観点で非現実的である。そこでMLFでは、強磁場環境SE機器として、小エネルギー・小型化が可能なパルス磁場方式を採用することを決定し、開発を進めてきた。本発表では、開発した30Tのコンパクトで可動式のパルスマグネットシステムについて報告する。
河村 聖子; 高橋 竜太*; 石角 元志*; 山内 康弘*; 中村 雅俊*; 大内 啓一*; 吉良 弘*; 神原 理*; 青山 和弘*; 坂口 佳史*; et al.
Journal of Neutron Research, 21(1-2), p.17 - 22, 2019/05
MLF試料環境チーム低温・マグネットグループは、J-PARC MLFにおいて、利用者の実験のための冷凍機やマグネットの運用を行っている。これまでトップローディング型He冷凍機、ボトムローディング型
He冷凍機、希釈冷凍機インサート、超伝導マグネットを導入してきた。これらの機器の使用頻度は、ビーム出力、課題数の増加に伴い、ここ2年間で急激に高くなってきている。この状況に対応するために運用経験を加味しながら、これらの機器の性能向上作業を進めている。例えば、
He冷凍機の制御ソフトには、自動の初期冷却および再凝縮のプログラムが備わっていたが、新たに、
He potにヒーターを焚くことなくsorbの温度制御のみで
He potを温調するプログラムも作成した。また2017年は、超伝導マグネット用に、揺動型ラジアルコリメーター付きのOVCテールを製作した。このラジアルコリメーターの導入によりデータの質は劇的に向上し、中性子非弾性散乱実験でも超伝導マグネットが使用できるようになった。
河村 聖子; 奥 隆之; 渡辺 真朗; 高橋 竜太; 宗像 孝司*; 高田 慎一; 坂口 佳史*; 石角 元志*; 大内 啓一*; 服部 高典; et al.
Journal of Neutron Research, 19(1-2), p.15 - 22, 2017/11
J-PARC MLFにおける試料環境(SE)チームは、ユーザー実験のためのSE機器の運用や開発を行っている。メンバーは、低温マグネット、高温、高圧、ソフトマター、光照射、水素環境、He偏極フィルターといったサブチームに所属している。現在は、数台の冷凍機と、マグネット、高温炉、高圧実験用パリエジンバラプレス、偏極中性子実験のためのSEOPシステムが運用中で、ユーザー実験への提供、運転を行っているほか、パルス磁場システムの汎用化に向けた開発も行っている。またJ-PARC研究棟では、レオメーター、ガス蒸気吸着量測定装置などのソフトマター研究に必要な機器類も整備している。
中村 充孝; 新井 正敏; 梶本 亮一; 横尾 哲也*; 中島 健次; Krist, T.*
Journal of Neutron Research, 16(3-4), p.87 - 92, 2008/09
4SEASONSは特別なフェルミチョッパーを利用することで複数の入射エネルギーを活用し、測定効率を向上することができるように設計されている。この方法はRRM測定と呼ばれるものであるが、通常のフェルミチョッパーで決定される開口時間は常に一定となってしまうために、4SEASONSでのRRM測定を成功させるためには、新しい概念に基づいたフェルミチョッパーが求められる。チョッパーの開口時間が一定である場合、複数の入射エネルギーすべてに対して最適な実験条件を実現できないことに注意しなければならない。今回の講演では、4SEASONSでのRRM測定に特化した、中性子スーパーミラーが貼付されたフェルミチョッパー(マジックチョッパー)の新概念について報告する。マジックチョッパーにより、より低い入射エネルギーにおいて実効的な開口時間を増加させることができ、その結果として実効的な開口時間のエネルギー依存性はMLF中性子源カップルドモデレータのパルス幅に近付けることが可能になる。こうした実験条件のマッチングに加えて、マジックチョッパーでは複数の入射エネルギーすべてに対して、実質的に一定のエネルギー分解能が実現できる。
梶本 亮一; 中島 健次; 中村 充孝; 長壁 豊隆; 佐藤 卓*; 新井 正敏
Journal of Neutron Research, 16(3-4), p.81 - 86, 2008/09
現在、大強度陽子加速器(J-PARC)物質・生命科学実験施設(MLF)の核破砕中性子源に設置すべく冷中性子ディスクチョッパー分光器(CNDCS)が建設中である。この分光器は80meV以下の入射エネルギーの中性子を用いた低エネルギー領域の非弾性現象の研究に利用される。この分光器の減速材-試料間の距離()は30mであり、減速材と試料の間には中性子スーパーミラー・ガイド管を設置する。陽子が中性子ターゲットに入射した直後に発生する速中性子や
線を取り除くために、ガイド管は湾曲されている(カーブドガイド)。今回の発表では、CNDCSのカーブドガイドのパフォーマンスをモンテカルロ・シミュレーション・プログラムMcStasを用いて評価した結果について報告する。カーブドガイドによる強度ゲインや中性子ビームの空間・角度分布を幾つかのスーパーミラーを幾つか変えた場合について調べた。さらに、直線ガイド管に
チョッパーを組合せた場合との比較についても考察する。
鈴木 裕士; 和久 芳春*; 中川 成人*; 秋田 貢一*; 盛合 敦; 森井 幸生
Journal of Neutron Research, 15(2), p.113 - 120, 2007/06
AlO
-Y
Al
O
(YAG)共晶複合材料(Al
O
/YAG MGC)のYAG相の残留応力を放射光X線により測定した。平面応力状態における残留応力は試験片の表面と側面で異なっていた。したがって、MGC材料内部には残留応力異方性が存在していると考えられる。MGC材料内部の残留応力を中性子回折法により測定した。YAG相の残留応力は試料凝固方向に圧縮であり、凝固方向から直交方向に向かうにつれて引張応力に変化した。Al
O
相の残留応力は、異方的な圧縮残留応力状態であり、すべての方向で引張応力は確認されなかった。この残留応力異方性は、Al
O
相における熱膨張係数の異方性により説明することができる。しかしながら、両相の残留応力はバランスしておらず、本研究に使用したMGC試料内部には残留応力分布が存在していると予想される。
中島 健次; 中村 充孝; 梶本 亮一; 長壁 豊隆; 加倉井 和久; 松田 雅昌; 目時 直人; 脇本 秀一; 佐藤 卓*; 伊藤 晋一*; et al.
Journal of Neutron Research, 15(1), p.13 - 21, 2007/03
われわれは、J-PARCの物質・生命科学実験施設に設置する中性子分光器の1つとして、冷性子ダブルチョッパー型分光器を検討している。この分光器は、冷中性子から熱中性子領域にかけての非弾性散乱測定を高効率かつ高い自由度で実現することが期待される装置である。2つの高速ディスクチョッパーを装備し、減速材から得られる中性子パルスの波形を任意に整形することで、これまで直接配置型分光器にはあまり向かないとされてきた結合型減速材の高いピーク強度を装置の性能を損ねることなく利用する。本装置では、=1
20meVの比較的低エネルギー領域で高分解能(
%@20meV),大強度(試料位置で10
n/cm
/sec.@
=20meV,
%)の最高性能を実現し、さらに最大で
=80meV程度までの測定に対応する。この広いエネルギー範囲で、3.5srの立体角をカバーする検出器により広い
領域にわたって、最高
%程度のQ分解能で非弾性散乱を測定し、物性物理から材料化学,生体物質の広範囲の研究課題を視野に入れている。
高橋 伸明; 柴田 薫; 佐藤 卓*; 新井 正敏
Journal of Neutron Research, 15(1), p.61 - 67, 2007/03
J-PARC, MLFに建設予定の逆転配置型非弾性中性子散乱分光器は、散乱ベクトル・エネルギー範囲がそれぞれ0.1-3.9, 2
eV-35meVを達成するように設計されている。通常の測定においては、25Hzで回転する幅広いウインドウを持つ三枚のパルス整形チョッパーを通り得た白色中性子を入射ビームとして用い、サンプルにより散乱された中性子をPG, Ge二種類の結晶アナライザーで特定エネルギーの中性子のみを反射し、検出器によりカウントされる中性子の飛行時間からエネルギー変化を見積もる原理となっている。一方、本分光器は超高エネルギー分解能を必要とする測定にも耐え得る設計となっており、それはサンプルに照射される入射中性子エネルギー幅、及び検出器に入る散乱中性子エネルギー幅ともに非常に狭くすることにより達成される。超高速(300Hz)で交互回転するウインドウ幅の狭いチョッパーを三枚のチョッパーよりも上流に設置し、なおかつ内部異方性の小さいSi単結晶をアナライザーに用いることにより、エネルギー分解能2.5
eVが達成されるが、入射中性子エネルギーを狭く選別することはモデレータから出る中性子のほとんどを捨てることと等価であり、測定効率としては決して高くはない。そこでわれわれは、入射中性子パルス数を増加させることによりエネルギー分解能を損なうことなく測定効率を上げる方法を検討したので報告する。
梶本 亮一; 横尾 哲也*; 中島 健次; 中村 充孝; 曽山 和彦; 猪野 隆*; 社本 真一; 藤田 全基*; 大山 研司*; 平賀 晴弘*; et al.
Journal of Neutron Research, 15(1), p.5 - 12, 2007/03
われわれはJ-PARCのパルス中性子源に向けて新しいチョッパー型中性子非弾性散乱分光器4SEASONSを開発している。この分光器は中程度の分解能とISISの同種の装置の2桁上の測定効率を有する。この分光器では新奇な量子現象、特に高温超伝導体の機構の解明を目指す。中性子輸送系を工夫することで試料位置での高いフラックスを達成し、エネルギー遷移におけるエネルギー分解能は5-6%である。さらにこの分光器に特徴的なことは、Repetition Rate Multiplication(RRM)法による測定が可能なことである。RRM法によって複数入射エネルギーの同時測定を行うことで測定効率は5倍以上向上し、4次元
-
空間内の測定がより容易になる。
中村 充孝; 中島 健次; 梶本 亮一; 新井 正敏
Journal of Neutron Research, 15(1), p.31 - 37, 2007/03
同時に多数の非弾性散乱過程を測定することができれば、チョッパー分光器の測定効率は大きく向上する。そのような測定では、パルス源の1周期内に複数の入射エネルギーを持つ中性子ビームを試料まで導かなければならない。この方法はMezeiにより提案されたものであり、Repetition Rate Multiplication(RRM)法と呼ばれる。われわれは、単色ビーム実験で最高の性能を発揮するチョッパー分光器の設計を行うことが最優先課題であるので、RRM法はオプション的な運用かもしれない。しかしながら、チョッパーブレードの交換や非常に長い飛行距離を必要とせず、わずかな設計変更のみで、高性能のRRM法を実施することが可能である。今回は、J-PARCでのチョッパー分光器でRRM法を実現するための装置設計とその性能について紹介する。
社本 真一; 坪田 雅己*; 伊賀 文俊*; Fk, B.*; 梶谷 剛*
Journal of Neutron Research, 13(1-3), p.175 - 178, 2005/03
30Kの強磁性転移温度を持つYTiOを、5, 40, 200Kの温度で、また130, 500meVの入射エネルギーで、MARI分光器によって調べた。広いQ-E領域(0.5
Q
25
, 6
E
350meV)で、明瞭な軌道励起は観測できなかった。軌道励起の強度はフォノンに比べて顕著に低いと思われる。
鈴谷 賢太郎; 亀田 恭男*; 大友 季哉*; 吉田 亨次*; 伊藤 恵司*; 福永 俊晴*; 三沢 正勝*
Journal of Neutron Research, 13(1-3), p.123 - 128, 2005/03
J-PARCの大強度中性子源(JSNS)に設置すべき中性子散乱装置として、水素(軽水素)系物質専用全散乱装置を提案している。本稿では、この装置のデザイン,特性,概念設計結果を示し、また装置設計のための予備実験の結果を紹介して、この装置の有効性を立証する。本装置デザインの大きな特徴は、中性子飛行距離において、試料-検出器間の距離が相対的に非常に小さいことであり、この特徴は、従来の軽水素を含む物質を測定する際の困難(非弾性散乱効果)を大きく低減する。したがって、今後急速な需要が予想される生体関連物質,水素エネルギー材料などの軽水素含有物質の構造解析に極めて有用であると期待できる。