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石井 英一
Journal of Structural Geology, 89, p.130 - 143, 2016/08
被引用回数:9 パーセンタイル:30.53(Geosciences, Multidisciplinary)すべり面の変位センスは古応力場の解析など様々な研究で重要であり、最近はテクトニック・ノンテクトニックな断層の区別においても重要な情報として着目されている。すべり面沿いの破断ステップを形成する二次割れ目は広く観察される地質構造であり、変位マーカーのずれやガウジ中の非対称構造が使用できない場合は変位センスの決定に欠かせない指標である。本研究は一見、正断層に見える層面すべりが逆断層であることを詳細な微視的観察と鉱物化学分析より明らかにした。層面すべり面沿いには粘土鉱物のすべりとオパールCTのpressure solutionによる延性変形が全般的に起こっており、すべり面の形成過程において、脆性的な岩石に一般的なR面の発達ではなく、P葉理の発達が先行しておこっている。このような現象は過去に報告例がないが、溶解しやすい鉱物と粘土鉱物が共存する堆積岩において広く起こり得る現象であり、断層・地すべり調査にかかわる多くの研究者・技術者にとって有益な情報となり得る。
藤内 智史*; 伊藤 駿*; 橋本 善孝*; 田村 肇; 富岡 尚敬*
Journal of Structural Geology, 89, p.19 - 29, 2016/08
被引用回数:16 パーセンタイル:50.42(Geosciences, Multidisciplinary)地震源性の化石断層である南阿波断層の活動年代を調べるために、粘土鉱物のK-Ar年代測定を行った。メランジェの基質の頁岩から得られたK-Ar年代は85から48Maであり、砕屑性雲母鉱物の量の減少に伴って年代が若くなる傾向を示した。対照的に、断層の中心部から採取したウルトラカタクレーサイトのK-Ar年代は明らかにメランジェより若く、29から23Maとなり、かつ粒径との相関は見られなかった。このことは、23から29Maの間にウルトラカタクレーサイトからArが完全に散逸したことを意味する。ウルトラカタクレーサイトにおけるArの散逸は、断層が再活性化した際に起こった摩擦による加熱もしくは熱水の侵入によるものと思われる。この結果は、付加複合体中の整合層からテクトニックメランジェを分離する地震源性断層が、付加の進行中のみならず、付加が完了した後にも滑った可能性を示す。
大野 卓也; 吉田 英一*; Metcalfe, R.*
Journal of Structural Geology, 87, p.81 - 94, 2016/06
被引用回数:4 パーセンタイル:13.77(Geosciences, Multidisciplinary)付加体の形成にともない割れ目充填鉱物が形成する。これらの鉱物は特定の地質学的環境のもとで形成したものであり、鉱物から付加時の環境を推定できる可能性がある。本研究では九州四万十帯の地下約140mから掘削されたボーリングコアに対し、地質学的観察および分析を実施した。その結果、鉱物の構造関係は、研究対象岩体の割れ目充填鉱物の形成時期が5つのステージに区分されることを示唆した。充填鉱物種の組み合わせから、岩体は深度数kmまで沈み込み、200300Cに到達したと推定される。その後、岩体が隆起すると、地表から地下80mまで達する酸性地表水の浸透が生じた。この酸性水により割れ目を充填する方解石が溶解することで、割れ目が現在の地下水の水みちとなったと考えられる。これらの知見は、充填鉱物が付加体地下環境の変遷を解析するための有用なツールとなることを示唆する。
石井 英一
Journal of Structural Geology, 34, p.20 - 29, 2012/01
被引用回数:20 パーセンタイル:48.09(Geosciences, Multidisciplinary)幌延地域の珪質泥岩に発達する断層の起源を露頭観察より検討した。露頭では断層沿いや断層の端部に非常に薄いシアバンドが確認された。それらの断層は延性変形によりシアバンドが形成された後、そのバンド沿いにすべり面が形成されることにより形成されたことが示唆される。
石井 英一; 舟木 泰智; 常盤 哲也; 太田 久仁雄
Journal of Structural Geology, 32(11), p.1792 - 1805, 2010/11
被引用回数:25 パーセンタイル:54.64(Geosciences, Multidisciplinary)岩質的にほぼ均質な岩盤(例えば泥岩)中において荷重圧(もしくは深度)が断層運動に伴う二次破砕の変形様式に与える影響を評価するために、幌延地域の珪質泥岩(埋没深度:1km以上)中に発達する露頭スケールの横ずれ断層の発達モデルを検討した。露頭記載とコア観察による割れ目調査,室内試験による岩石の物性把握、及びグリフィス理論とクーロン理論に基づく理論計算を行い、それらを統合した結果、(1)上記の変形様式は岩石の強度のみならず荷重圧(もしくは深度)も重要なファクターであること、及び(2)岩盤の隆起浸食の間もしくは後に、深度約400m以浅では断層は多数の引張割れ目の形成を伴って連結し成長していくのに対して、深度約400m以深では剪断割れ目の形成を伴って発達することがわかった。このような深度による断層の発達メカニズムの違いは、水理試験により把握された本岩盤中の高透水領域(透水量係数:10m/sec.)が深度約400m以浅に限られることと整合する。