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勝田 長貴*; 梅村 綾子*; 内藤 さゆり*; 益木 悠馬*; 板山 由依*; 丹羽 正和; 城野 信一*; 吉田 英一*; 川上 紳一*
Spectrochimica Acta, Part B, 210, p.106817_1 - 106817_11, 2023/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Spectroscopy)湖成堆積物から過去の気候変動を読み取る上で、蛍光X線分析による化学組成マッピングは非常に有効な分析手法の一つとなっている。ただしその際、粒子径や鉱物組成がX線強度に及ぼす影響、すなわち「不均一効果」の評価が課題となっていた。本研究では、組成既知のいくつかの2種混合粉末試料、およびバイカル湖の湖成堆積物を対象とした走査型X線顕微鏡による分析を行い、X線強度や粒子径などとの関係を検証した。その結果、粒子径が小さい場合において、不均一効果の影響が大きくなることが分かった。
松山 嗣史*; 中江 理紀*; 村上 昌史; 吉田 幸彦; 町田 昌彦; 辻 幸一*
Spectrochimica Acta, Part B, 199, p.106593_1 - 106593_6, 2023/01
被引用回数:3 パーセンタイル:45.49(Spectroscopy)It is important to reduce the measurement time in X-ray fluorescence (XRF) analysis. Micro XRF and confocal micro XRF analyses have been used to obtain elemental distribution. Because these techniques are performed in the scanning mode, shortening the measurement time per unit measurement point enables rapid determination of the elemental distributions. Therefore, we applied the Bayesian theorem to XRF analysis to estimate the accurate XRF net intensity in a short time. In the Bayesian formula, the posterior distribution is determined by the likelihood function and prior distribution. As the obtained posterior function is a probability distribution, the expected value in the function is used as the optimal value. By determining the optimal likelihood function and prior distribution, we consider that the XRF spectrum in a long-time measurement can be estimated by that in a short time. In this study, the Poisson distribution and the sum of the two exponential functions were employed as the likelihood function and prior distribution, respectively. To estimate the XRF spectrum using the Bayesian formula, a standard glass sample containing several metal elements was analyzed using a laboratory-made micro XRF instrument. The micro XRF measurements were performed at measurement times of 1, 3, 5, 7, 10, 20, 30, 60, 100, 180, and 3600 s, and then the net intensity of Zn K obtained with and without the Bayesian estimation was compared. To obtain a net intensity of Zn K close to that in 3600 s, the measurement times with and without the Bayesian estimation were required to be 3 and 7 s, respectively. Thus, we significantly reduced the measurement time for an accurate XRF net intensity measurement by more than 50%.
山本 昌彦; Do, V. K.; 田口 茂郎; 久野 剛彦; 高村 禅*
Spectrochimica Acta, Part B, 155, p.134 - 140, 2019/05
被引用回数:5 パーセンタイル:38.63(Spectroscopy)本研究では、発光分光分析装置の小型化に有効な液体電極プラズマに着目し、これに基づく発光分光分析法(LEP-OES)によりテクネチウム(Tc)の発光スペクトルについて調査した。その結果、200-500nmの波長範囲において合計52本のピークを確認し、全てTcの中性原子線とイオン線に帰属された。最も発光強度の高いピークは、254.3nm, 261.0nm, 264.7nmで確認された。模擬試料を用いて、高放射性廃液中に共存する成分による分光干渉の影響を評価した結果、264.7nmのピークでは干渉なく測定できることがわかった。そこで、264.7nmのピークを用いて分析性能を評価した結果、検出限界値は1.9mg/L、Tc標準試料(12.0mg/L)の繰り返し測定時の相対標準偏差は3.8%(N=5, 1)であった。
宮部 昌文; 大場 正規; Jung, K.; 飯村 秀紀; 赤岡 克昭; 加藤 政明; 音部 治幹; Khumaeni, A.*; 若井田 育夫
Spectrochimica Acta, Part B, 134, p.42 - 51, 2017/08
被引用回数:31 パーセンタイル:90.75(Spectroscopy)炉心溶融事故により生成された燃料デブリやデブリで汚染された廃棄物の核種組成分析では、ウランやプルトニウムなどの核燃料物質の分析性能が重要である。本研究ではプルトニウムの同位体分析のため、レーザーアブレーションと共鳴吸収法を組み合わせて、プルトニウム原子種の分光特性を調べた。Puの中性原子およびイオンの17個の光学遷移について、測定した吸収スペクトルのフォークトプロファイル近似から、吸光度、同位体シフト、超微細構造分裂幅を求め、分析に適した遷移として3つの候補を選定した。これらの遷移を利用して得られる分析性能を評価し、吸光度とプルトニウム濃度の相関係数として0.9999、プルトニウム濃度の検出下限値として30-130ppm、濃度2.4%のPu信号に対する相対標準偏差として約6%を得た。これらの結果から、レーザーアブレーション吸収分光法が、複数のアクチノイド元素を含む高い放射能を有する燃料デブリや廃棄物の遠隔同位体分析に適用可能であることが分かった。
宮部 昌文; 大場 正規; 飯村 秀紀; 赤岡 克昭; Khumaeni, A.*; 加藤 政明; 若井田 育夫
Spectrochimica Acta, Part B, 110, p.101 - 117, 2015/08
被引用回数:26 パーセンタイル:81.62(Spectroscopy)レーザー誘起蛍光撮像法を用いて雰囲気ガス中のアブレーションプルームの動的挙動を調べた。YAGレーザーの2倍高調波光をガドリニウムの酸化物や金属試料上に照射し、生成したプルームにはシート状の紫外色素レーザー光を交差させて、様々な時刻の蛍光像をICCDカメラによって撮影した。得られたプルームの断面画像から、ガドリニウムの基底状態の原子やイオンが、プルームとガスの境界の半球層内に蓄積されることや、プルームの中心部に粒子密度の少ない空洞が生じることが明らかになった。膨張の初期段階では、その空洞内を別の明るい成分が膨張し、半球層と合流する様子も観測された。このようなプルームの分離や合流は、イオンに比べて原子の方が遅く現れた。また半球層の出現もイオンに比べて原子の方が遅いが、出現位置はほぼ同じであった。このような出現位置の一致や出現時間のずれは、半球層の原子が、イオンとガスの衝突による三体再結合反応によって生じることを示唆している。得られたプルームの膨張ダイナミクスやプルームの詳細構造に関する知見は、レーザーアブレーションを利用する様々な遠隔分光分析法の実験条件を決める上で有用である。
今園 孝志; 鈴木 庸氏; 佐野 一雄*; 小池 雅人
Spectrochimica Acta, Part B, 65(2), p.147 - 151, 2010/02
被引用回数:2 パーセンタイル:14.24(Spectroscopy)近年磁性体研究,バイオ研究が1keV近辺で盛んとなってきたが、計測の高度化に対応する光学素子の開発が遅れている。この一因に偏光状態まで制御された光学素子評価装置がなかったことが挙げられる。本研究では当該領域の光の偏光状態評価、さらには薄膜や多層膜界面の元素別磁気情報の取得や光学定数の決定等を行うことを目的として、軟X線偏光解析装置を設計・製作した。本装置は、移相子ユニット,検光子ユニットから成る偏光解析ユニットに8つの駆動機構を搭載しており、各ユニットに1個ずつ偏光素子等をマウントできる。高真空対応ステッピングモータによって駆動する駆動軸により、通常の偏光別の反射率・透過率測定のほか、ストークスパラメタによって記述される全偏光パラメータを決定するために必要な測定が可能である。このため、4種類の測定モード((a)反射-反射,(b)透過-透過,(c)透過-反射,(d)反射-透過)にて回転検光子法や回転移相子法が可能である。偏光測定では移相子(又は偏光子)-検光子,磁性材料等の物性評価では試料-検光子(移相子)と、マウントする試料(素子)を適切に選択することによってさまざまな応用研究が可能である。
小池 雅人; 石野 雅彦; 今園 孝志; 佐野 一雄*; 笹井 浩行*; 畑山 雅俊*; 竹中 久貴*; Heimann, P. A.*; Gullikson, E. M.*
Spectrochimica Acta, Part B, 64(8), p.756 - 760, 2009/08
被引用回数:9 パーセンタイル:42.52(Spectroscopy)18keV領域で高回折効率を呈するW/CとCo/SiO多層膜ラミナー型平面回折格子(刻線密度1200本/mm)を開発した。Co/SiO回折格子においては4,6keVでそれぞれ0.41, 0.47、W/C回折格子においては8keVで0.38の高い回折効率を観測した。この特長を利用して1.7keV領域で用いることができる平面結像型分光器用としてMoSiO多層膜を蒸着したラミナー型不等間隔溝球面回折格子を開発した。0.91.8keVでの回折効率は0.050.20であった。また、Hf-M(1644.6eV), Si-K(1740.0eV), W-M(1775.4eV)の半値全幅は13.7eV, 8.0eV, 8.7eVであった。このことにより、18keV領域での多層膜ラミナー型回折格子の高回折効率性を実証したのみならず数keVでの平面結像型回折格子分光器の利用を可能とした。
篠永 妙子*; 江坂 文孝; 間柄 正明; Klose, D.*; Donohue, D.*
Spectrochimica Acta, Part B, 63(11), p.1324 - 1328, 2008/11
被引用回数:39 パーセンタイル:84.94(Spectroscopy)単一のウラン及びプルトニウム微粒子の同位体比分析を可能とする方法の開発を行った。電子顕微鏡による観察で選択した粒径数マイクロメートルの個々のウラン及びプルトニウム微粒子をそれぞれ溶解し、誘導結合プラズマ質量分析(ICPMS)及び表面電離型質量分析(TIMS)の2種類の方法により同位体比を分析した。その結果、両分析方法において保証値と一致した結果を得ることができた。以上より、単一微粒子の同位体比分析法として本法が有効であることが示された。
Zhang, X. Z.*; 江坂 文孝; 江坂 木の実; 間柄 正明; 桜井 聡; 臼田 重和; 渡部 和男
Spectrochimica Acta, Part B, 62(10), p.1130 - 1134, 2007/10
被引用回数:24 パーセンタイル:70.91(Spectroscopy)本研究では、単一ウラン粒子の同位体比分析における誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)法の有効性について検討を行った。まず、マニピュレータを用いた単一粒子移送法,粒子溶解法及び同位体比測定法について検討を行い、一連の分析手順を確立した。同位体標準試料の測定結果として、粒径0.5-3.9mの粒子について、認証値からの偏差1.8%以内でU/U同位体比の測定が可能であった。また、本法は模擬環境試料の分析にも適用され、その有効性が確認された。以上より、ICP-MSを用いた単一ウラン粒子分析法は保障措置のための有効な手段になり得ることが示された。
村松 康司; 山下 満*; 元山 宗之*; Denlinger, J. D.*; Gullikson, E. M.*; Perera, R. C. C.*
Spectrochimica Acta, Part B, 59(8), p.1317 - 1322, 2004/08
被引用回数:2 パーセンタイル:10.03(Spectroscopy)電子線マイクロアナライザーで測定したグラファイトのCKX線発光スペクトルについて、そのスペクトル形状の偏光依存性を議論した。スペクトルの解析には分子軌道計算を用い、その結果をいぶし瓦表面炭素の構造解析に応用した。
江坂 文孝; 渡部 和男; 小野寺 貴史; 田口 拓志; 間柄 正明; 臼田 重和
Spectrochimica Acta, Part B, 58(12), p.2145 - 2155, 2003/12
被引用回数:20 パーセンタイル:61.98(Spectroscopy)全反射蛍光X線分析法によるエアロゾル粒子の元素分析の感度向上のために、粒子の直接捕集及び分析のための直径25mmのシリコンウェハー試料台を作成した。その試料台を用いた際の元素の検出限界は、従来より用いられているガラス状炭素及び石英ガラス試料台よりも、X線散乱によるバックグラウンドを抑えられたことにより優れていた。このシリコンウェハー試料台を用いてエアロゾル試料(粒子径: 2.0m, 0.3-2.0m, 0.05-0.3m)を1月から8月まで茨城で捕集し分析した。その際、セレンを内標準物質としてそれぞれの試料に加えた。結果として、ng/cm-pg/cmの濃度の粒子中の元素を検出することができた。実験結果から、K, V, Zn, Br, Pbの各元素は粒子径の小さい粒子に多く存在し、人為起源であることが推定された。一方、Ca, Ti, Feは、粒子径の大きな粒子に多く存在した。これは、土壌によるものと推定された。発表では、測定期間中の元素組成の変化についても議論する。
加藤 金治; 福島 弘之; 中島 篤之助
Spectrochimica Acta, Part B, 39(8), p.979 - 991, 1984/00
被引用回数:9 パーセンタイル:70.68(Spectroscopy)誘導結合高周波プラズマ(ICP)を光源とする発光分光分析法は高精度、高感度、化学干渉が少ない、また分析濃度範囲が広い等の特長を有することから近年その普及は著しい。我々はICP光源について、光源の特性(温度、電子密度等)、干渉効果、試料導入法等の検討を行なうために高分解能圧力掃引型Fabry-perotエタロン-回析格子分光器を使用して同光源中のスペクトル線プロフィールの観測を進めてきた。プロフィール観測の過程で、スペクトル線の中心波長がシフトする現象が新たに見出されたので、より系統的に一連の観測(8元素16スペクトル線)を行なった。本報ではその結果、プラズマ条件、観測位置、共存Cs濃度等の変化によって生ずるこれら波長シフト現象について見出された傾向と規則性を述べ、合せて本現象はStark効果によるスペクトル線のエネルギー項の非対称分岐に起因するものとの考察を示し報告した。
高島 教一郎; 中島 篤之助; 岡下 英男*; 清水 良一*
Spectrochimica Acta, Part B, 36(7), p.687 - 695, 1981/00
被引用回数:5 パーセンタイル:51.72(Spectroscopy)微量希土類元素分析用として、X線励起ルミネッセンス測定装置を設計・製作した。本装置の特徴は(1)強力なX線管球を備えると同時にこれを作動させる電源をより安定化させた。(2)試料を照射するX線の漏洩を特殊な光学系を設計して完全に防護した。(3)試料から発するホストルミネッセンスを抑制するため試料加熱装置を作成した。(4)光学系の分解能を向上させた、などの点である。 ランタン中の希土類元素を定量することにより、この装置の性能をテストした。得られた結果は再現性および検出感度の点で良い性能を有することを示していた。また、散乱X線の漏洩は完全に防止されていることがわかった。