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論文

Growth processes of zircon crystals in a granitic magma chamber, variation in U-Pb age, titanium concentration, and Th/U in relation to internal texture

湯口 貴史*; 遠藤 京香*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 坂田 周平*; 横山 立憲; 井村 匠*; 大野 剛*; 笹尾 英嗣

Lithos, 494-495, p.107909_1 - 107909_14, 2025/02

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geochemistry & Geophysics)

花崗岩質マグマ溜りプロセスの解明のために、東北日本、北上山地の久喜花崗岩体に産出するジルコンの成長の特徴を明らかにした。分離ジルコンの複数断面と薄片中のジルコンに基づいて、ジルコンU-Pb年代、Ti濃度、Th/U比とジルコンの内部組織とを3次元的に関連付けるとともに、他の鉱物との晶出順序について検討した。ジルコンの内部組織には、低ルミネッセンスの均質なコア(LLC)と反復累帯構造(OZ)が見られた。LLCとOZはそれぞれ900-800$$^{circ}$$C、850-700$$^{circ}$$Cの結晶化温度を有し、LLCのTh/U比はOZよりも高い。これは、マグマ溜りの冷却に伴う漸進的な分別結晶作用によりLLCからOZへの遷移を生じたことを示唆する。分別結晶作用が進行し、マグマ温度の低下により拡散速度が減少することが、界面反応律速によるLLCの形成から拡散律速によるOZの形成への遷移を引き起こしたと考えられる。薄片での分析では、異なる鉱物に含まれるジルコンでは異なるTh/U比を有することがわかった。周辺鉱物によるTh/U比や結晶化温度の違いは、広い温度範囲にわたるマグマ分化や鉱物の結晶化を明らかにすることに有用である。

論文

Outlining zircon growth in a granitic pluton using 3D cathodoluminescence patterns, U-Pb age, titanium concentration, and Th/U; Implications for the magma chamber process of Okueyama granite, Kyushu, Japan

湯口 貴史*; 伊藤 大智*; 横山 立憲; 坂田 周平*; 鈴木 哲士*; 小北 康弘; 八木 公史*; 井村 匠*; 甕 聡子*; 大野 剛*

Lithos, 440-441, p.107026_1 - 107026_14, 2023/03

 被引用回数:2 パーセンタイル:34.82(Geochemistry & Geophysics)

本研究は、花崗岩質プルトンのジルコン成長過程を解明するために、3次元立体的なカソードルミネセンス(CL)パターン,U-Pb年代,チタン濃度,Th/U比の変動に基づく新しいアプローチ方法を提案するものである。また、本研究では、九州中央部に位置する大崩山花崗岩(OKG)のジルコン成長過程に着目し、この方法を用いて花崗岩質プルトンの形成に至るマグマ溜まりでの結晶化プロセスの解明を目的とした。大崩山花崗岩体は黒雲母花崗岩(BG),角閃石花崗岩(HG),角閃石花崗閃緑岩(HGD)の3つの岩相から構成されている。まず、ジルコン結晶の3次元内部構造と成長様式を明らかにするため、試料の多断面についてCL観察を行った。同時に、試料の中心部のジルコンのU-Pb年代とチタン濃度も測定した。CLパターンから確認できるオシラトリーゾーニングの3次元分布からは、結晶核を決定することができる。花崗岩試料のジルコンU-Pb年代とTi濃度の同時測定は、花崗岩マグマが固化するまでの時間-温度(t-T)履歴を示すものである。BG, HG, HGDの温度履歴はマグマ溜り内での類似した冷却挙動を示し、16Maから10Maの間にジルコン結晶化温度から黒雲母K-Ar系の閉鎖温度まで急速に冷却されたことがわかった。また、Th/U比の温度に対する変化も、約670$$^{circ}$$Cの境界で異なる傾向を示した。マグマ溜まりでの分別結晶は670$$^{circ}$$C以上で著しく進行し、670$$^{circ}$$C以下では結晶化が緩やかになり、マグマ組成の変化が小さくなっていたことが示された。BG, HG, HGDの温度に対するTh/U比の変化は共通の傾向を示し、すなわち大崩山花崗岩体の3つの岩相の分別結晶化の進行は同じ挙動を示し、マグマ溜り全体で同じ挙動を示すことが示された。

論文

Dissolution and precipitation behaviors of zircon under the atmospheric environment

北垣 徹; 吉田 健太*; Liu, P.*; 菖蒲 敬久

npj Materials Degradation (Internet), 6(1), p.13_1 - 13_8, 2022/02

 被引用回数:2 パーセンタイル:12.90(Materials Science, Multidisciplinary)

Zircon's degradation due to reactivity with aqueous solutions renders it difficult to read past records. Therefore, the reactive behavior of zircon in various acid-base solutions was examined under normal temperature and pressure conditions. A piece of zircon mineral was immersed in three different solutions: 0.1M HCl (aq), ultrapure water, and 0.1M NaOH (aq). Consequently, the reaction was limited when zircon was immersed in ultrapure water. In the case of the zircon immersed in 0.1M HCl (aq), Zr precipitated on the surface after the dissolution of ZrSiO$$_{4}$$. In the zircon immersed in 0.1M NaOH (aq), dissolved Zr and Si precipitated on the surface in the early stages. Subsequently, the dissolution of ZrSiO$$_{4}$$ formed a porous layer, and most dissolved Zr precipitated as new zircon crystals.

論文

Evaluation of the dissolution behavior of zircon using high-resolution phase-shift interferometry microscope

北垣 徹

Journal of Nuclear Materials, 557, p.153254_1 - 153254_8, 2021/12

AA2021-0312.pdf:1.55MB

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.00(Materials Science, Multidisciplinary)

The dissolution behavior of the zircon mineral in ultrapure water, 1 M HCl (aq), and 1 M NaOH (aq), under room temperature and nearly atmospheric pressure was evaluated by in situ measurement of the change in the surface height. A high-resolution phase-shift interferometry microscope (HR-PSI) was employed to evaluate the velocity of the change in the surface height of zircon in different solutions, and the application of this method in evaluating the dissolution behaviors of nuclear materials was examined. As a result, the velocity of surface change and the precipitation behaviors of zircon was successfully evaluated using HR-PSI. This relatively quick method would be useful for evaluating the detailed surface change behaviors of nuclear materials, such as fuel debris, ceramic waste forms and UO$$_{2}$$, during the reaction with various solutions, since it minimises radiation exposure times and also the amount of radioactive waste generation during measurement.

論文

Application of M$$_{V}$$-edge XANES to determination of U oxidation state in zircon

田中 万也; 高橋 嘉夫*

Geochemical Journal, 53(5), p.329 - 331, 2019/00

 被引用回数:1 パーセンタイル:4.79(Geochemistry & Geophysics)

本研究では放射線量の異なる天然ジルコン3試料のウランM$$_{V}$$吸収端及びL$$_{III}$$吸収端XANESスペクトルの測定を行った。最も線量が高いジルコン試料中では、M$$_{V}$$吸収端及びL$$_{III}$$吸収端ともにウランが四価であることを示す結果が得られた。残りの2試料は五価ウランの存在の可能性を残しつつも、四価と六価のウランが共存していることが示唆された。本研究は、ウランM$$_{V}$$吸収端XANESを天然試料に適用した初めての論文である。

報告書

火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究,9; 文献集

*

PNC TJ1308 97-002, 297 Pages, 1997/02

本文献集は、報告書の巻末に示した参考文献のうち特に報告書の論旨に影響するものを収録したものである。なお、参考文献リストに記載され本文献集に収録していないものは、1989年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関するナチュラルアナログ研究(I)「(PNC SJ4308 89-001)、1990年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査(PNC SJ-4308 90-001)、1991年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査(PNC SJ-1308 92-001)、1992年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査」(PNC SJ-1308 93-001)、1993年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究(VII)」(PNC SJ-1308 94-001)、1994年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究(VIII)」(PNCSJ-1308 95-002)そし て1995年度の報告書「火山ガラス及びベントナイトの長期変質挙動に関する調査研究(IX)」(PNC SJ-1308 96-002)の文献集を参照されたい。

論文

Poling characteristics of PZT/epoxy piezoelectric paints

江草 茂則; 岩沢 直純*

Ferroelectrics, 145, p.45 - 60, 1993/00

チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミックス微粉末を顔料とし、エポキシ樹脂をバインダとする塗料を作成した。この塗料をアルミニウム板の表面に塗布したのち、室温或いは150$$^{circ}$$Cで乾燥させることにより、厚さ25~175$$mu$$m、PZT体積含有量53%の薄膜を形成した。次に、この薄膜に最高450kV/cmまでの電界を空気中・室温で印加することにより、この薄膜に圧電性を付与した。この薄膜の分極挙動は、塗料の乾燥温度、薄膜の厚さ、及び、分散ペースト中のPZT/エポキシ組成に依存し、極めて複雑である。しかし、薄膜の電気伝導度を測定したところ、分極挙動と電気伝導度との間には良い相関が存在することが分かった。この事実は、PZT/エポキシ複合系薄膜の電気伝導度によって薄膜中に分散したPZT粒子に作用する電界の強さが決定され、さらに、その電界の強さによってPZT粒子の分極挙動が決定されることを示している。

論文

Piezoelectric paints: Preparation and application as built-in vibration sensors of structural materials

江草 茂則; 岩沢 直純*

J. Mater. Sci., 28, p.1667 - 1672, 1993/00

 被引用回数:63 パーセンタイル:90.80(Materials Science, Multidisciplinary)

チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミックス微粉末を顔料とし、エポキシ樹脂をバインダとする塗料を作成した。この塗料をアルミニウム板の表面に塗布したのち室温で硬化させることにより、厚み35~81$$mu$$m、PZT体積含有量25~53%の薄膜を形成した。次に、この薄膜を最高350kV/cmまでの電界下で分極処理することにより、この薄膜に圧電性を付与した。薄膜の圧電特性は、2チャンネルFFTアナライザを用いて、アルミニウム板の振動解析を行なうことにより評価した。その結果、薄膜の振動センサとしての感度或いは圧電定数は、膜厚及びPZT含有量の増加とともに増加することが見出された。また、この圧電性薄膜は、アルミニウム板の固有振動数のみならずモード・シェープをも決定できることが実証された。

論文

PZT/epoxy piezoelectric paints as vibration and acoustic emission sensors

江草 茂則; 岩沢 直純*

Proc. of the 7th Int. Conf. on Solid-state Sensors and Actuators, p.976 - 979, 1993/00

チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミックス微粉末を顔料とし、エポキシ樹脂ヲバインダとする塗料を作成した。この塗料をアルミニウム板の表面に塗布したのち、その乾燥塗膜に高電圧を印加することにより圧電性を付与した。この方法により形成される圧電性薄膜は、構造材料と一体化した振動センサとして、その構造材料の固有振動数のみならずモード・シェープをも決定することができる。加えて、この圧電性薄膜は、数10kHz~数MHzの超音波領域においても充分な感度を有する。この事実は、この圧電性薄膜は、構造材料と一体化した亀裂センサ或いはアコースティック・エミッション・センサとしても有望であることを示している。

論文

Alpha-decay event damage in zircon

村上 隆; B.C.Chakoumakos*; R.C.Ewing*; G.R.Lumpkin*; W.J.Weber*

American Mineralogist, 76, p.1510 - 1532, 1991/00

密度測定、X線回折、透過電子顕微鏡の結果に基づき、ジルコンの放射線損傷の過程と機構を明らかにした。損傷は10$$^{14}$$の崩壊/mgまでは蓄積される。損傷の第1段階では($$<$$3$$times$$10$$^{15}$$$$alpha$$/mg)$$alpha$$粒子により生成した点欠陥により結晶格子が膨張し歪められる。欠陥は地質時代を通じ一部アニールされる。第2段階では(3-8$$times$$10$$^{15}$$$$alpha$$/mg)反跳核による結晶構造の破壊が進む過程である。非晶質構造も一部アニールされる。第3段階は($$>$$8$$times$$10$$^{15}$$$$alpha$$/mg)完全に非晶質化した状態である。非晶質領域の密度変化は非晶質構造の変化を表している。Pu入りの人工ジルコンとの比較から照射率による損傷機構の変化はないことがわかった。

論文

Alpha-decay-induced fracturing in zircon; The Transition from the crystalline to the metamict state

B.C.Chakoumakos*; 村上 隆; G.R.Lumpkin*; R.C.Ewing*

Science, 236, p.1556 - 1559, 1987/00

 被引用回数:185 パーセンタイル:97.03(Multidisciplinary Sciences)

ジルコンの単結晶で厚さ1~数百ミクロンのZonation(帯状組織)を持つものが見出された。このZonationは各帯でU,Th含有量が異なり、したがって各帯で放射線損傷が異なるために出来たものである。

論文

福岡県糸島半島産のモナズ石及びジルコン

吉村 恂*; 石森 富太郎; 波多江 一八郎*

日本化學雜誌, 82(9), P. 1156, 1961/00

抄録なし

口頭

北アルプス、仁科山地に分布する青木花崗岩のジルコンU-Pb年代

植木 忠正; 横山 立憲

no journal, , 

北アルプス北東部、仁科山地に分布する青木花崗岩は、高温で水に乏しい火成活動で形成された岩石である。白亜紀-古第三紀の珪長質火成活動の時空変遷は多くの研究から議論されているが、このような特異な火成活動を議論するには、活動年代の情報が不可欠である。本研究では、土岐地球年代学研究所におけるLA-ICP-MSを用いたU-Pb年代測定技術の整備の一環として、青木花崗岩のジルコンU-Pb年代測定を行った。その結果、ディスコーダント粒子を除いた26粒子の加重平均年代は65.7$$pm$$0.8Maとなった。高温のマグマから形成された青木花崗岩において、閉鎖温度の高いジルコンU-Pb年代は火成活動の年代を示すと考えられる。また、この年代値は周辺の火成岩類の既存研究での年代値とも矛盾しない。この結果は、白亜紀-古第三紀火成活動の時空変遷の議論において重要と考えられる。

口頭

MCCIにより生成したジルコンを用いた燃料デブリの生成環境の解析,1; MCCI時の温度、組成によるジルコン生成への影響

北垣 徹; 堀江 憲路*; 竹原 真美*; 大貫 敏彦*

no journal, , 

福島第一原子力発電所(1F)事故時の溶融燃料とコンクリートの相互作用(MCCI)で生成したZrSiO$$_{4}$$(ジルコン)を用いた、MCCIにより生成する溶融プールの環境条件の推移を解析する手法の開発の一環として、種々の条件下でUを含まない模擬MCCI生成物を作製し、ジルコンの生成状態を確認した。

口頭

岐阜県及び長野県に分布する美濃帯堆積岩から得られたジルコンU-Pb年代

箱岩 寛晶; 長田 充弘; 山田 来樹; 丹羽 正和

no journal, , 

中部日本の美濃帯は、主にジュラ紀から白亜紀初頭にかけて形成された付加体からなる(Wakita, 1988など)。美濃帯の地質及び年代に関する研究は、特に放散虫を用いた微化石層序が確立されて以降、その岩相及び年代が詳細に解明されてきている(例えばWakita, 1988; Otsuka, 1988など)。これらを基準に美濃帯の延長と考えられている丹波帯や足尾帯、中国やロシアなどのジュラ紀付加体と対比が行われている(例えば、中江, 2000など)。近年では、砕屑岩に含まれているジルコンのU-Pb年代を用いた地質帯どうしの対比が盛んに行われており、中国やロシアに分布するジュラ紀付加体に関しても同様に、ジルコンU-Pb年代に関する研究は行われているが、美濃帯においては研究例が非常に少ない。日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは近年、ジルコンのU-Pb年代測定技術の整備を進めてきたことから、それら技術の適用実績の拡充を目的として、既存の美濃帯堆積岩試料を対象としたジルコンU-Pb年代測定を実施した。本研究は、美濃帯と他の地質帯との高精度の地質対比を行うための基礎データ拡充にも貢献する成果になると考えられる。試料は土岐-多治見地域の美濃帯相当層、美濃地域の金山ユニット、高山地域の平湯コンプレックス、木曽地域の沢渡及び味噌川コンプレックスの砕屑岩である。試料からジルコンを分離し年代測定を実施した。その結果暫定的ではあるが、土岐-多治見地域の美濃帯相当層からは149.5$$pm$$5.4Maのクラスター年代、金山ユニットからは160.0$$pm$$9.7Maの最若年代が得られた。加えて本発表では平湯コンプレックス、沢渡コンプレックス及び味噌川コンプレックスの砕屑岩から得られたジルコンU-Pb年代についても報告する予定である。本研究は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和5年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(地質環境長期安定性総合評価技術開発)(JPJ007597)」の成果の一部である。

口頭

愛媛県高縄半島および梶島に分布する白亜紀深成岩類のジルコンHf同位体組成

下岡 和也*; 長田 充弘*; 小北 康弘; 齊藤 哲*

no journal, , 

大陸地殻の成長・成熟過程を解明するためのカギとして、火山弧でのマグマの異常発生期であるフレアアップ期の大規模珪長質火成活動が注目されている。フレアアップ期火成活動は地殻中に大規模な花崗岩塊を形成し、大陸地殻の成長に関与する。近年の珪長質岩類の同位体岩石学的研究からマントル活動による熱的影響がフレアアップを引き起こすトリガーとして有力視されるとともに、西南日本白亜紀の地殻岩石研究からもフレアアップ期のマントルからの熱的影響が指摘されている。西南日本内帯には、東アジア大陸縁辺域の白亜紀フレアアップ期に形成された花崗岩を主体とする深成岩類が広く分布している。同位体岩石学をはじめとした研究から、これらの花崗岩類は斑れい岩類などの苦鉄質下部地殻構成岩類の部分溶融によるものであると考えられている一方で、これらの深成岩類についてのジルコンHf同位体組成の報告は極めて少なく、深成岩類の起源物質となった苦鉄質下部地殻のソースマントル物質についてのHf同位体組成の議論は限られている。本研究では、愛媛県高縄半島および梶島の斑れい岩類・花崗岩類中のジルコンに対してHf同位体組成分析を実施し、白亜紀ユーラシア大陸東縁におけるフレアアップ期のマントルHf同位体組成の変化を議論した。当地域の花崗岩類のジルコンHf同位体組成は斑れい岩類と類似する。このことは、斑れい岩類の部分溶融による花崗岩質マグマの生成とその後の上昇・固結過程において、既存の地殻物質の同化作用が極めて限られていたことを強く示唆する。また、この地域における白亜紀大規模火成作用を駆動したマントル物質がエンリッチしていたことを示している。これまでの白亜紀ユーラシア大陸東縁についてのテクトニクスモデルでは、94Maから85Maにマントルウェッジへアセノスフェリックマントルが流入することに伴い、エンリッチしたマントルがデプリートしたマントルに改変されたと考えられている。一方で、本研究でのややエンリッチした同位体組成の特徴は、Cheong, et al.(2023)が示したヤングリソスフェリックマントル(110Ma以降)の同位体組成と類似する。このことは110Ma以降もマントルウェッジの最も海溝側にヤングリソスフェリックマントルが存在したことを示唆する。

口頭

花崗岩中の石英の結晶化プロセス; 九州の大崩山花崗岩体のマグマ溜りプロセスの理解

湯口 貴史*; 加藤 丈典*; 小北 康弘; 渡邊 みのり*; 加藤 あすか*; 伊藤 大智*; 横山 立憲; 坂田 周平*; 大野 剛*

no journal, , 

石英は珪長質深成岩中に普遍的に含有される鉱物である。このため、石英の結晶化プロセス(結晶の内部構造や温度条件などの結晶化の際の情報)は、花崗岩質マグマの貫入・定置に関するマグマ溜りプロセスの情報を保存する。本研究では宮崎県の大崩山花崗岩体の石英の結晶化プロセスを解明することを目的とする。1つの珪長質の深成岩体において、その岩体内部の異なる岩相においても石英はしばしば共通して産出する。本研究で対象とする大崩山花崗岩体は鉛直方向において上方の珪長質の黒雲母花崗岩から、ホルンブレンド黒雲母花崗岩を経て、下方の苦鉄質のホルンブレンド黒雲母花崗閃緑岩へと変化するが、そのいずれでも石英は観察される。このため、複数の岩相の石英から温度条件などの結晶化の際の情報を取得し、結晶化プロセスを解明することは、深成岩体全体のマグマ溜りプロセスの把握へと発展可能である。本研究では石英の結晶化プロセスの解明に、カソードルミネッセンス(CL)像およびチタン濃度を組み合わせる方法を用いる。本研究は、1)薄片による石英結晶の観察、2)分離した石英の複数断面による観察の2つのアプローチにより、マグマ溜りの中の石英結晶の石英粒の三次元的な内部構造と成長特性を明らかにした。薄片中のジルコンを包有する石英は、ジルコンの結晶化に続いて石英の結晶化が生じたことを示す。このことは、冷却中のマグマ溜りの中で石英の結晶化温度はジルコンの結晶化温度よりも低温であるという制約を与える。このような岩石学的な制約により、適切な地質温度計の採用が可能となり、正確な石英の結晶化温度の決定が可能となった。分離した石英結晶の複数断面を用いた観察により、結晶粒子内の三次元内部構造と真の結晶化の開始地点が取得できる。花崗岩体内の岩相間のCL特性や結晶化温度の違いは、時空間的なマグマ溜りプロセスの解明に貢献する。

口頭

Formation ages of the Oligocene to Middle Miocene strata in the Toyama basin, SW Japan

山田 来樹

no journal, , 

本研究では、44-15Maに起きたとされる日本海拡大の時期に日本海側で形成された堆積盆のひとつである富山堆積盆について、その形成年代を正確に推定するために高速多点フェムト秒レーザーを接続した多重検出型誘導結合プラズマ質量分析装置(msfsLA-MC-ICP-MS)を用いてジルコンU-Pb年代測定を行った。本研究で扱った地層は、下位から城端層(22.8Ma)、楡原層(18.0Ma)、岩稲層(17.0Ma)、医王山層(16.9Ma)である。年代測定の結果によって、富山堆積盆の形成について以下のような新たな知見が得られた。1つ目は、城端層と楡原層の間に大きな不整合がある可能性がある点である。2つ目は、岩稲層と医王山層を形成した巨大な火成作用が、地質学的には非常に短期間に生じた点である。このように、msfsLA-MC-ICP-MSを用いた高精度なジルコンU-Pb年代測定の結果に基づいて、富山堆積盆の発達史を先行研究よりも詳細に議論することが可能となった。

口頭

北上山地,遠野複合深成岩体に産出するジルコンの晶出条件と周辺鉱物との晶出関係

小北 康弘; 坂田 周平*; 大野 剛*; 横山 立憲; 鈴木 哲士*; 遠藤 京香*; 湯口 貴史*

no journal, , 

ジルコンU-Pb年代は火成活動の時期の指標として広く用いられる一方で、ジルコンの結晶化に数百万年程度の期間の幅があるケースが報告されている。ジルコンのU-Pb年代測定から得られる年代値は、あくまでジルコンの結晶化年代を示すに過ぎず、マグマ溜りプロセスをより精緻に議論するためには岩石学的情報を踏まえた解釈が必要となる。そこで本研究では、単一の花崗岩体におけるジルコンの結晶化条件(年代、温度)を、ジルコン周辺の鉱物との晶出関係と関連させて解釈を行うことを目的として、薄片中のジルコンに対して結晶化年代、結晶化温度の推定を実施した。試料として、北上山地の遠野複合深成岩体の岩石サンプルを用いた。それぞれのサンプルで薄片を作製し、ジルコンのカソードルミネッセンス像観察とジルコンU-Pb年代及びTi濃度の同時取得分析を行った。その結果、産状によるジルコンの結晶化年代、結晶化温度に明瞭な相違が認められないことから、ジルコンやその周囲の鉱物の晶出が同じ時間、温度条件で並行して進んだことが明らかとなった。このことは、遠野岩体を形成したマグマ溜りの急速な冷却を示唆する。

口頭

地質環境の長期安定性に関する研究, 後背地解析技術の開発,2; 岩石・鉱物学に基づく後背地解析指標の検討

植木 忠正; 清水 麻由子; 佐野 直美; 代永 佑輔

no journal, , 

後背地解析では、堆積物とその供給源と考えられる地質体を比較する指標が不可欠であるが、供給源に類似した種類の岩石が分布する地域では後背地の特定が容易ではない。そこで、既存研究で礫層の観察から検討が行われている岐阜県東濃地域を事例対象として、岩石を構成する鉱物種、鉱物の化学組成などの分析を行い、堆積物(東海層群土岐砂礫層)の後背地の指標となる岩石特有の特徴の検討を行った。その結果、礫の場合は岩石の肉眼$$sim$$顕微鏡観察によって得られる特徴、細粒な堆積物中では重鉱物の化学組成やジルコン中の包有物が指標として活用できるという結果が得られた。

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